シー・エイチ・シー・システムは「省エネルギーと快適空間の創造」をテーマに、空調・換気や給排水衛生等の設備設計・施工を中心に事業を展開してきた。商業ビルから住宅まで、幅広い建築設備を手掛ける同社が創業時からこだわるのは、自らものづくりをすること。建物や設備と真摯に向き合うことで、顧客ニーズの吸い上げを可能にし、商品開発につなげてきたという。
　コロナ禍の現在、注目されている同社の「CO2モニター」「CO2センサー・コントローラー」は、設備施工現場や顧客との対話を通じて「CO2濃度を意識する時代が必ずくる」と、2008 年に製品化に踏み切ったもの。換気が必要な状況を感知したり換気システムを自動で制御したりすることで、快適な室内環境を実現している。
　「建物の各室に空調は付いていても、換気は部屋ごとにはできない施設が多いのです。現在、自治体や様々な企業から問合せや発注をいただいています」（渋谷社長）
　さらに、意匠設計・デザインや建築工事も対応できるのが同社の強み。例えば空調設備の修理をした社員が、状況を見て壁紙の張り替えの提案もできる。設備・建築・設計・商品開発という４事業で課題解決に取り組み、ワンストップで提案・施工できるため、顧客にとって利便性が高い。
　同社のCO2センサーは、新型コロナウイルス感染症拡大で改めて注目される室内環境の問題解決をサポートしている。クラスターが発生した店舗の空調・換気設備の改善はその一例。
　空調は数千万円という費用を掛けて工事を行えば改善できるが、小規模事業者にすぐに対応できる金額ではない。そこで、同社では店舗内部の各所にCO2センサーを設置し、室内換気に関する各種データを収集した。その結果、ある箇所の換気設備を改善し、運用方法を工夫することで、CO2濃度が基準値に戻ることを突き止めた。10万円以下で工事を行い、店舗も営業を再開しているという。
　「ウィズコロナ時代の新しい事業運営を支援できました。今後は室内環境・室内空間のビッグデータを分析提案する事業も本格的に稼働していきます」（渋谷社長）

　同社では、半年に一度渋谷社長と全社員が１対１で面談を行っている。
　「厳しいことも伝えますが、互いに意見を言い合い、一緒に会社の未来を作りたいと考えています」（渋谷社長）
　また、いつでも社長に直接提出できる「業務改善提案制度」は、社員が改善点を出し合い、半年で500件近くのアイデアが寄せられた。これらの声により、多くの業務効率化が図られたという。
　その他、同社には短時間勤務制度を利用している子育て中の女性社員や、介護などの事情で週３～４日勤務の社員も在籍している。個人の状況をヒアリングし、可能な限り柔軟に対応している。