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中央・城北地区 株式会社クレアビジョン

株式会社クレアビジョン フレキシブル勤務を採用し、自分の時間も大切にして働ける環境づくりに注力

株式会社クレアビジョン

フレキシブル勤務を採用し、自分の時間も大切にして働ける環境づくりに注力

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中央・城北地区

株式会社クレアビジョン

フレキシブル勤務を採用し、自分の時間も大切にして働ける環境づくりに注力

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在宅ワーク活用ストーリー
フレキシブル勤務を採用し、自分の時間も大切にして働ける環境づくりに注力

 工場やデータセンター向けのエネルギー監視・制御システムを開発・構築するクレアビジョンでは、在宅ワークによる柔軟な働き方が実践されている。

16名の有志が集まり、自分たちが主体となれる会社を設立

 2008年、中堅ソフトウェア開発会社で同僚だった16名が集まって設立されたクレアビジョン。小川潤社長は、起業に至った当時の心境を率直に振り返る。
 「20代、30代、40代と仕事に追われて多忙な毎日を過ごし、あっと言う間に40代後半。人生の後半戦に差し掛かり、これまで自分を育ててくれたお客様や情熱を注ぎ込んできた製品、苦楽を共にしてきた仲間たちをはじめ、大切にしなければいけないものを大事にできる場所を自分たちで作りたいという思いが募り始めたのです。社員全員で会社を作り、この会社でよかったと思える、思ってもらえる会社ができれば最高だろうなと」
 そんな思いを仕事に追われ続ける同僚に打ち明けてみた。すると意を同じくする仲間が何人もいることがわかった。思いは理想。簡単に叶いそうにないことは承知の上だったが、それでも意に賛同し決意を固めた仲間は総勢16名に広がり、それぞれで資本金5,000万円を持ち寄り、「自分たちの会社作り」をスタートさせた。
 「大切にしなければいけないもの」は、社員一人ひとり異なる。家族との触れ合いや子育て、趣味などを楽しむ時間もその大切なものの一つ。そう考えた小川社長は、設立1年目から環境づくりに取り組んだ。今どきはフレキシブル勤務も珍しくないが、同社のは徹底している。在宅勤務、つまり、自宅での仕事も認められるという。「1日単位のものなら前日までに申請すればOKですし、事情によっては長期の在宅勤務も認められます」
 それだけではない。中には全く出社しなくても良しという完全在宅勤務もあるというのだ。

body1-1.jpg自身も母親の介護経験があり、仕事と家庭を両立できる仕組みの重要性を実感したという小川潤社長

完全在宅ワークによって実家の果樹園の仕事と両立

 完全在宅勤務制度を利用して通勤ノルマから解放されているのは設立メンバーの一人、里吉美紀さん。山梨の実家でシステムエンジニアとしての仕事をこなす傍らで家業の果樹園を手伝っているという。
 「通常勤務時代は桃の収穫期になると毎週土・日曜に実家に戻って手伝っていたんです。そんな生活を続けていたところ、社長が会社の仕事と畑の手伝いが効率よく両立できるようにと、私に在宅勤務制度の活用を提案してくれたんです」
 完全在宅勤務を口で言うのは容易いが、いざ運用するとなるとそう簡単にことは運ばない。まずは木・金曜を在宅ワークにし、土・日曜と合わせて毎週4日間連続で実家で過ごせるように切り替え、在宅勤務に慣れてきた段階で、今の完全在宅ワークにシフトさせたという。
 「東京と山梨で物理的には離れていても、社内チャットを使って社内のメンバーとリアルタイムに進捗を共有し合っていますので、仕事上の距離はほとんど感じません」
 そう話す里吉さん、農繁期には日中も果樹園で汗を流しているという。会社の業務は朝や夕方以降の時間にこなす。大変そうにも映るが、畑仕事は子どもの頃から好きだったこともあり、クレアビジョンでの仕事も「好き」の沿線上にあるので、むしろ充実した日々を送っているという。
 「自然と向き合う仕事と、PCに向き合う仕事は両極端ですが、だからこそ自分の中の“スイッチ”を明確に切り替えられ、どちらの仕事にも新鮮な気持ちで臨めるのだと思います」
 里吉さんは現在、週1日のペースでWebデザインの学校にも通い、新たなスキル習得に挑んでいるという。果樹園での仕事も開発の仕事も、どちらも切り捨てずに両立することで、好循環が生まれ、新たな意欲にも結び付いている様子だ。

body2-1.jpg「好きな畑仕事とモノづくりを両立できて、マインドも良好です!」と笑顔を見せる里吉美紀さん

在宅ワークを賢く取り入れ、出張と帰省の一挙両得を実践

 新卒入社6年目の寺坂望さんは、10時~15時をコアタイムとするフレックスタイムの会社勤務に在宅ワークをうまく活用している。工場向けのエネルギー監視システム「EverGreenVision」の設計・運用を担う寺坂さんの出身は、顧客の製造拠点が多く集まる静岡県。顧客との打ち合わせのために地元に出張する機会も多く、寺坂さんは静岡出張が入れば、その翌日以降を実家での在宅ワークにあて、週末は家族とのんびり過ごすという出張と帰省の一挙両得を実践している。
 「在宅ワークではプログラミングやメール対応がメインです。パソコンが1台あれば仕事はこなせますから、実家での仕事場はリビング。両親も自分の娘が働く姿を間近で見られて喜んでくれているようです」と、少々照れながら語る寺坂さん。静岡出張と帰省を組み合わせるだけでなく、東京の自宅でも在宅ワークを活用しているという。
 「プログラミングに没頭したいときなどに月1~3回在宅勤務を申請しています。日常のルーティーンを変えると集中力が高まるなど、仕事の効率が上がるんですよね」と、在宅ワークを私的な日常シーンに取り入れる寺坂さんは、実感をこめて在宅ワークの魅力を語ってくれた。

body3-1.jpg「お客様と一緒に環境保全に役立つシステムをどんどん作っていきます」と抱負を語る寺坂望さん

60代、70代になっても必要とされる場所を作る

 こうした柔軟な働き方を実践するには、制度の拡充のみならず、社員同士の信頼関係も欠かせないと語るのは、在宅勤務の発起人である小川社長。
 「在宅ワークは自分のペースで働けますが、仕事の質や納期に対しての責任感も問われます。やはり、自己管理を徹底しなければなりません。また、周囲の理解も不可欠で、お互いにフォローし合う思いやりが何より大事になります。その意味で、在宅ワークはお互いの信頼関係の上に成り立つ働き方。制度を導入して8年が経ち、事例が増えるにしたがって、社員同士の信頼関係が深まっていることに大きな手応えを感じています」
 里吉さん、寺坂さんも「私たちが在宅ワークのモデルケースとなって、後輩にももっと活用の裾野を広げていきたい」と口をそろえる。
 長く働き続けられる環境作りに邁進する小川社長も、50代として先陣を切ってこれからの働き方を模索していきたいと意気込む。
 「60代、70代になっても、週1回でもいいから会社に来て長年の経験やノウハウを後輩のために役立てる働き方の事例を、一番そこに近い年の者として作っていくつもりです。私は社員に『一つでもいいから会社でナンバーワンのことを持とう』と常々言っています。全員がそれを持ち寄れば真の頭脳集団になれますし、60代、70代になってもナンバーワンを活用して会社に貢献することができます。いつまでも必要とされる場所があるなんて、最高の幸せでしょ?」

body4-1.jpg社内の風通しはすこぶる良好で、チームワークが行き届いたクレアビジョンの社内の様子

編集部メモ

省エネ・節電ニーズにフレキシブルに対応する製品群

 同社は2008年の設立後、設立メンバーの16名全員で自社製品の開発に挑み、エネルギー監視システム「EverGreenVision」をリリースした。これは、消費エネルギーを可視化させ、そのデータをもとに、メーカーの種別を問わず照明・空調などの最適なエネルギー消費をコントロールするという画期的なシステムだ。省エネ・節電への意識の高まりとともに、既存の機器を活かしながらフレキシブルに導入できるメリットが高く評価され、工場、学校、病院などへの導入が進み、Visionシリーズは全7種類までに広がりを見せている。
 「エンドユーザーのニーズや環境に応じてカスタマイズしますので、自分たちのモノづくりが誰にどこで役立つのかが明確ですから、モノづくりの醍醐味を存分に味わえる環境ですよ」と胸を張る小川社長は、強力な製品群をベースに、社員全員が「クレアビジョンにずっと関わりたい」と思える会社づくりを今後も推進していく構えだ。

edit-1.jpg直近3年の離職率はわずか0.08%。長く働き続けられる仕組みづくりが着実に実を結んでいる
  • 社名:株式会社クレアビジョン
  • 設立年・創業年:設立年 2008年
  • 資本金:5,000万円
  • 代表者名:代表取締役社長 小川潤
  • 従業員数:28名(内、女性従業員数10名)
  • 所在地:173-0024 東京都板橋区板橋1-42-13大佳板橋ビル7階・8階
  • TEL:03-5943-8688
  • URL:http://www.clairvision.co.jp
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください