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多摩地区 株式会社CSS技術開発

株式会社CSS技術開発 工事現場に欠かせない測量のプロフェッショナル集団。さらなる躍進をめざす

株式会社CSS技術開発

工事現場に欠かせない測量のプロフェッショナル集団。さらなる躍進をめざす

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多摩地区

株式会社CSS技術開発

工事現場に欠かせない測量のプロフェッショナル集団。さらなる躍進をめざす

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技術集団のチャレンジストーリー
工事現場に欠かせない測量のプロフェッショナル集団。さらなる躍進をめざす

 1985年創業の株式会社CSS技術開発は、確かな測量技術で業界の信頼を築いてきた。今年、新社長を迎え、同社は次代に向けて新たな挑戦をはじめている。

入社3年目、古川さん。測量の仕事は奥が深い

 「めざすのは、やっぱり『アタマ』ですね。もっと現場を踏んでスキルを高めて、チームを率いて大きな現場を任せてもらえるようになりたい」
 そう語るのは、入社3年目の測量部の古川優輝さんだ。
 1つの現場の測量は数名のチームで行われ、その現場の測量を取り仕切るリーダー格は「アタマ」と称される。より大きく難しい現場の「アタマ」になるということは、身に付けた技術を認められ、「この人なら任せられる」という信頼の証でもあるという。古川さんは同業他社で現場監督をしている父の影響で、土木の仕事に興味をもったという。とはいえ、同社の面接に応募したのは、「高校の頃から計算は得意だったし、外で体を動かすのも好きだったから」といたって単純な動機。したがって、現場の何たるかを知っていたわけではない。実際、現場に出たてのころは、「みんないろいろ機械をいじっているけれど、何をやっているのかさっぱり意味がわからなかった」と入社早々の自らを吐露する。
 仕事は現場で先輩についてイチから手ほどきを受けた。
 「測量機を使って地形を測ったり、基準点を定めては杭打ちしたりしていく仕事です。道路や建物も測量なしに作ることはできません」
 3年のキャリアを積み、今では測量の重要性を後輩に語れるまでに成長した。

body1-1.jpg「週に2、3か所、別々の現場に出かけます」と語る古川優輝さん

アドリブの効く測量士になりたい

 工事をする際、設計図面さえあれば工事ができるというものではない。図面をもとに実際の現場を実測して地面に座標を置いていき、工事はその座標をもとに進められることになる。
 「やればやるほど、測量の仕事は奥が深いことを思い知らされます。しかも、現場にはハプニングがつきもので、そこでどう対応できるかが問われるんです。いろんな先輩について、いろんなやり方を教わったことが今に生きていると思います」
 例えば通常、「基準点」という座標値や標高が与えられている点をもとに、現場の座標値や標高を求めるが、工事などの影響で基準点がなくなっていることもあるのだそうだ。
 「その場合は、何を基準に現場を進めて行くかを自分で考える必要があります。」
 また、現場に草木が生い茂っていて測量ができないこともあるという。
 「測量は測量機から光を飛ばして計測しますから、あまりの草薮の時には光波が通る部分だけを刈って作業をします。『測れませんでした』と帰ってくるわけには、いかないですからね(笑)。それでもたまにどうすればいいか悩む現場に遭遇します。先輩たちのように、どんな現場でもアドリブで乗り切れるようになるのが目標ですね」

body2-1.jpg「新体制になって、ますます事業拡大していくのではないかという機運が会社全体にみなぎっています」と語る角田紳さん

入社7年目、角田さん。出来上がりを見るのがよろこび

 「自分たちの測量をもとに工事が進むわけですから、絶対に間違えられません。そのため、どんなに小さなことでもアレ?と疑問に思うことが生じたら、どこがおかしいのかトコトン追求します。時には振り出しに戻って再測ということさえあります。そんな徹底した仕事ぶりが後輩に測量ミスの怖さを伝えるのだと思います」
 と語る測量士の角田紳さんは、入社7年目。同社の将来性に魅かれての転職だという。これまで手掛けた測量の件数は1000現場を下らない。現場を任される「アタマ」と呼ばれるリーダーとしての経験も豊富で、現在は後輩指導にもあたる。
 測量の世界では、一人前になるまで5年から10年かかるといわれる。
 「いろんな図面を見て、その現場を体験していくうちに、ここの線形は測りづらいとか、難しいとかを図面で見抜けるようになってくるんです。そんな能力が身について初めて一人前と認められるわけです」
 角田さんが印象に残っている仕事のひとつに圏央道がある。入社以来、継続的に携わり、測量に赴いた回数は数えきれないほどという。
「自分が手がけた道路が開通したのを見るのはうれしいものです。測量をしたときから景色ががらりと変わるので、すぐにはわからないこともありますが、自分の打った杭が残っているのが証。杭を見つけると感慨深いですね」

body3-1.jpg角田さんが測量を手がけた圏央道。写真は、高尾山インターチェンジ

最新技術をいち早く取り入れ、顧客の信頼を獲得

 今年創業31年目を迎える同社は、公園やイベント施設、道路や橋などあらゆる工事現場における測量を手掛ける。その領域の広さこそ、なによりの信頼の証といえる。
 「測量は現場に人が行って作業する仕事です。職人的な仕事なので、一人の人間に負荷がかかりやすく、経営的には効率化が図りにくい職種ともいえますが、弊社では早くから経営的効率化に取り組んできました。技術開発やソフト開発で機械に任せられるところは機械に任せる、あるいは、他の人に任せられる仕事はなるべく任せるという分業体制を取り入れるなどが挙げられます」と大山竜吾社長は同社の強みを語る。
 実際、デジタルカメラと3次元レーザ計測機を積んだ測量装置MMS(Mobile Mapping System:モバイル・マッピング・システム)を業界に先駆けて導入。これは車を走らせれば、車の周囲すべての3次元座標データを自動計測するという革新的な測量機械だという。
 「取り外し可能で高精度なライカ製のMMSは日本にまだ3台しかありません。また、ソフト開発も積極的に手がけており、過去、弊社ではスマホアプリ『おまかせ君ワンマン』を開発。このアプリのおかげで、それまで二人一組で操作しなければならなかった測量機器を一人で操作ができるようになりました」(大山社長)

body4-1.jpg社員の皆さん。女性の活躍と社員同士の強い信頼が同社の躍進を支えている

技術と信頼を武器に、さらなる躍進をめざす大山新社長

 実は大山社長、昨年入社したばかりのある意味では期待のルーキー。公認会計士という肩書きを持ち、建設会社などでの経営実績をかわれて、次代の舵取り役として社長に抜擢されたという。前社長が測量のたたきあげなら、大山社長は経営のプロ。事業拡大をめざして、さまざまな経営改革に乗り出していく意気込みだ。
 まず、大山社長が考えているのは、社員の意識改革。良くも悪くも先代社長はトップダウン式経営。それを、社員一人ひとりが課題を見つけ、周りと協力し合って解決していくボトムアップ式経営にしていくというのが大山社長の構想だ。
 「当社には、小さくてもきらりと光る企業として強みと信頼があります。それに加えて、社員がお互いを信頼し合っている人間関係の良さも特筆すべきことだと思います。ものごとが決定する仕組みを変えるだけでも、さらに発展していく大きな可能性を秘めていると感じています」

body5-1.jpg同社の次代を担う大山竜吾新社長

編集部メモ

海外社員旅行・近隣居住手当

 同社の社風を古川さんは「職場の誰もがフレンドリーすぎるぐらいフレンドリー」と証言する。同社では、例年、海外への社員旅行を実施(2012年北京、2013年バリ、2014年パリ、2015年ハワイ)。帰国後は、旅先のスナップを社員から集めて記念誌を作成。社員からの評判も良いという。そうした社員一丸となってのイベントが、さらに社員同士の交流を深めるという。
 2016年には、会社近くに転居した場合に、家賃補助として毎月2万円を補助する「近隣居住手当」をスタート。遠方からの通勤は、時間的・体力的な負担も大きいだろうとはじめたこの制度、社員から想定以上の反響があり、申込が集まったという。目下、大山新社長のもと、同社はさまざまな組織改革を構想している。新卒を積極的に採用するとともに、測量技術の継承・教育にも組織的に取り組んでいきたいと話す大山社長。社内勉強会など、測量士の資格取得支援などの制度も充実させていく予定だという。

edit-1.jpg社員旅行の思い出がぎっしり詰まった記念誌
  • 社名:株式会社CSS技術開発
  • 設立年・創業年:創業年 1985年
  • 資本金:3,700万円
  • 代表者名:代表取締役社長 大山竜吾
  • 従業員数:70名(内、女性従業員数22名)
  • 所在地:206-0014 東京都多摩市乞田1251サークビル3F
  • TEL:042-373-2100
  • URL:http://www.css24.jp
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください