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城南地区 サイエスト株式会社

サイエスト株式会社 シニアの力で海外展開をサポート。人材がさらなる可能性を切り開く

サイエスト株式会社

シニアの力で海外展開をサポート。人材がさらなる可能性を切り開く

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城南地区

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シニアの力で海外展開をサポート。人材がさらなる可能性を切り開く

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若き企業の誕生ストーリー
シニアの力で海外展開をサポート。人材がさらなる可能性を切り開く

 新しいアイデアは突如天から降ってくるわけではない。苦労、葛藤、出会いといったドラマの中から生まれてくる。シニア人材を活用した新たなサービスを展開するサイエストの発想の原点と挑戦に迫った。

シニア世代の知見を海外展開に

 グローバル社会の現代、どこの企業も海外展開に意欲的な姿勢を見せるが、ノウハウもネットワークも持たない企業がいきなり海外進出をと願っても易々とできるものではない。なるほど、人材確保に投資してノウハウを持った優秀な人材を雇うこともできようが、中小企業にはなかなか難しいところ。そもそもノウハウがなければ「どんな人を雇えばいいのか」すらわからないのだ。
 そこで登場したのが、中小企業の海外展開を後押しするサイエストである。同社では、「グローバル×シニア人材」というコンセプトのもと、海外経験が豊富なシニア人材を顧問として中小企業に派遣し、海外展開をサポートするというサービスを展開している。なにより現役を退いたシニア世代の活躍の場の創出も果たすというところがポイントになる。
 「30代・40代といった現役世代は能力のある人ほど自分を高く売り込もうとしますから、企業としてはそれだけの給料を払わなければなりません。ところが、シニア世代の場合、自分のノウハウを社会で役立てることや社会参画を働くモチベーションにしているので、年収や出世は二の次という方が多いんです。顧問派遣は両者の需要と供給を満たすこれからの時代を象徴する事業なのです」
 同社の共同創業者の一人、塚崎義直社長はこう解説する。起業までの経験から、従来の海外支援サービスの課題を感じ、このサービスに思い至ったという。

body1-1.jpg熱い思いを軽快に語る塚崎義直社長

一気通貫の海外展開支援サービス

 海外で事業を始めるには、実にさまざまなステップが存在する。現地のクライアントと出会い、交渉し、契約書を交わして、商品を物流にのせ、代金を回収する。従来の海外支援サービスには、たとえば出会いの部分だけ、あるいは契約書を作るだけというように、どこか一部だけを支援するモデルしかなかった。しかし、顧問派遣であれば、始めから終わりまでのサポートが可能になる。これが塚崎社長の作りたかった形なのだ。
 一気通貫のサービスの必要性を実感したのは、塚崎社長自身の体験からだったという。それは塚崎社長の最初の職場での話。「とにかく挑戦したい」という想いで、インドでの海外事業を希望して入社したが、なんのノウハウもネットワークも持たない状態である。気持ちだけを武器に一から情報収集を始め、めぼしい企業や人物に当たると積極的にアプローチをかけた。そして、契約書が必要になれば弁護士に相談し、物流が必要になれば運送業者にヒアリングしというように、壁にぶつかるたびに解決法を探っていった。何も知らなければこれしかやりようがないのだが、当然無駄も多い。
 「せっかく契約書を作っても、次の物流の段階に行くと『この契約書じゃダメだよ』と言われ、また契約書の段階に戻って、一から企画を説明して……という3歩進んで2歩下がるような状態でした。先の段階まで見通して仕事を進めていかないと非効率だということを身をもって知りました」(塚崎社長)
 実はこれと同じ苦労を多くの中小企業の社長が抱えていると気づいたのは2つ目の職場でのことだった。そこでは海外進出を果たしたい中小企業と、海外のバイヤーを結び付けるマッチングサイトの運営に携わった。サイトに企業の商品を掲載すると、世界中のバイヤーがそれを閲覧し、興味を持ってくれれば両者がつながって、ビジネスがスタートするという仕組みだ。
 「出会いの部分では良質なサービスを提供できている自信がありましたが、その後どうするの?という部分には応えられていませんでした。お客様と接する中で、中小企業の方がかつての自分と同じ悩みを抱えていることを知り、一気通貫のサービスでなければ心からお勧めできないと思い始めました」(塚崎社長)
 目指すべき方向性が見えてはいたものの、具体的な行動を起こせないままに仕事を続ける悶々とした日々。ある日、同僚に胸の内を明かしてみると「全く同じことを考えていた」と意気投合した。その同僚こそサイエストのもう一人の共同創業者である李嘉章副社長だった。考えているだけのことを口に出してみると、志を一つにする同志がいた。それはなによりの原動力となり、一気に起業に向けて動き出したのだった。

body2-1.jpg国籍も年齢バラバラだが、コミュニケーションはバッチリ!

自由な社風に、多様なメンバーが集まる

 こうして2人でスタートした会社は、今や25名にまで膨らんだ。集まった社員は個性的で、塚崎社長は現状を「いい意味でとっちらかっている」と表現する。多様性が強みということだ。
 確かに20代の新卒社員もいれば、70代のベテランもいる。外国人がいたり、ワーキングママがいたり、副業を持つ人がいたりと、さまざまなバックグラウンドを持つ人がいて、統一されたカラーは見えてこない。
 このようなメンバーが集ったのは、同社が自由な働き方を推奨していることが関係しているからだ。一般的に企業の就業時間は大枠で決められているものであるし、副業を禁止しているところも多い。しかし同社は、与えられたミッションさえクリアできていれば、あとの時間は自由に使っていいというスタンス。つまり、時間をうまくやりくりして、仕事以外のことにも打ち込みたい人にとってはうってつけの環境ということだ。
 自由な働き方は、裏を返せば一人ひとりに任される裁量が大きいということでもある。それがたとえ新入社員であっても同じこと。昨年12月からのインターンを経て、4月に正式入社した伊藤理佐子さんは、新規顧客の開拓を任されている。
 海外展開の需要がある業界や企業、あるいは自分が海外展開して欲しい企業をリサーチして、アポイントを取る。新入社員の登竜門ともいえる新規顧客開拓に、伊藤さんはどのようなモチベーションで挑んでいるのか。
 「どうすれば興味を持ってもらえるか、試行錯誤していますが、新人にできることはとにかくがむしゃらにがんばることだと思います。幸い、私が興味を持って営業をかけている介護や教育分野は、将来的に外国人の手を借りることになる業界ですから、興味を持ってもらいやすいですね」
 上司や先輩のサポートはあるものの、基本的には自分で考え、行動する自由な環境から得るものは多いと語る。さらに、営業では社長クラスとも話をしなければならないこともあり、刺激に満ちた毎日と力強く語る。

body3-1.jpg今日も電話でアポ取り。アタックあるのみ

人材が集まれば、さらなる可能性が生まれる

 登録しているシニア顧問は2400人を超え、質・量ともに多様化してきたことで、顧問派遣だけでなく、新しい形の支援サービスも立ち上がっている。
 「私たちは企業の海外展開をサポートすることが目的ですから、顧問派遣という手段にこだわる必要はないと思っています。例えば、『グローバル人材の育成』という形でサポートしたり、ここで出会った顧問同士がくっついて起業してもおもしろいかもしれません。せっかくこれだけの才能が集まったのですから、躊躇なくいろいろなことにチャレンジしていきたいです」(塚崎社長)
 なんと夢の広がる話だろう。活用の仕方や組み合わせによって、無限の可能性が生まれる。それが人材のおもしろいところだろう。そんな財産を持つサイエストなら、若い会社ならではのエネルギーとチャレンジングな姿勢で、大きな化学反応を生み出してくれそうだ。

body4-1.jpg会社入り口のロゴ。サイエストの理念が端的に表現される。

編集部メモ

ひょんなことから急接近

 共同創業者の塚崎義直社長と李嘉章副社長は、前職での同僚だった。だが、塚崎社長は企画で李副社長は営業と、部署が別だったため仕事での接点はなかったという。そんな二人の唯一の接点が早朝出勤。
 「お互いに『朝、早く来てるな』くらいの認識だったんですけど、ひょんなことから飲みに行くことになって、そこで意気投合したんです」(塚崎社長)
 人間の出会いは、どんなことがきっかけになるかわからない。

若い会社、若い社長のもとで働く魅力

 塚崎社長も李副社長も30代の若き経営者。会社のトップが若いと、年齢による上下関係がなくなり、フラットな関係が築けるのだという。それが世代間の交流を活発にして、会社が持つ多様性の効果がいかんなく発揮されることにつながっているのだ。

  • 社名:サイエスト株式会社
  • 設立年・創業年:設立年 2013年
  • 資本金:1,000万円
  • 代表者名:代表取締役社長 塚崎義直
  • 従業員数:25名(うち、女性従業員13名)
  • 所在地:107-0052 東京都港区赤坂2-17-69赤坂フェニックスビル3F
  • TEL:03-5797-7650
  • URL:https://cyestc.com
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください