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有限会社藤野金属挽物

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ベテランが若手社員に寄り添い 金属加工の技術継承に取り組む

ベテランが若手社員に寄り添い 金属加工の技術継承に取り組む

金属加工の技術を武器に、建築金物から産業機械の部品までお客様の多種多様なニーズに応えてきた藤野金属挽物。最新設備を積極的に導入することで、若手社員も増えている。ベテランが若手に付いて丁寧に指導しながら、長年蓄積してきた伝統の技術の継承に取り組んでいる。

伝統の技術と最新の設備 で多様なニーズに対応

 江戸川区を拠点に、70年以上にわたり金属挽物加工一筋に取り組んできた藤野金属挽物。“挽物”とは、鉄やステンレスなど金属の棒材を回転させ、旋盤という工作機械の刃物を当てて様々な形に削っていく技術。同社の技術力は精密と評判で、金属のネジやピン、建築金物や自動車部品をはじめ、産業機械の部品など多品種小ロット品や試作品などの製作をオーダーされることも多い。
 会社を率いるのは、3代目で42歳の藤野代表。新技術の導入や若手社員の採用にも積極的に取り組んでいる。
 「従来、職人の技術だけに頼ってきた業界ですが、当社ではベテランの職人だけではなく、コンピュータを搭載し、複合的で複雑な加工を短時間で仕上げられるNC旋盤機などを導入し、お客様のどのような注文にも迅速に応えることに力を入れています」と藤野代表は説明する。
 同社の3つの工場には最新の工作機械が配置され、若手からベテランまで、多くの従業員が作業に取り組んでいる。NC旋盤を操作する女性社員の姿もある。
 「高い技術を持っている70代の“職人”的な社員から、NC旋盤など新しい機械の操作に長けた20代の社員まで、幅広い年代の社員が在籍しているので、多様なニーズに応えることができるのが当社の強みです」(藤野代表)
 その強みを生かして、短納期・高品質の製品づくりで顧客の信頼を獲得。近年では、技術力の高さや働きやすい職場環境の整備が認められ、江戸川区の優良工場にも認定されている。受注件数も年々伸びており、更なる設備、人員の充実も検討しているという。

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社員一人ひとりの要望に耳を傾け働きやすい環境整備を進めていると語る藤野代表

ベテランから若手社員に 時間を掛けて技術を伝達

 「金属加工の仕事は、実は覚えることが山ほどあるのです」と藤野代表は言う。伝統の技術を学びたいという若手社員が増えている同社で、技術継承のために大切にしているのが「教育」である。
 まず、機械の基本的な操作は、現場と機械メーカーの各種研修で習得する。
 「機械の種類によって研修期間はまちまちですが、長いものでは半年~1年掛けて学ぶケースもあります」(藤野代表)
 更に、製品づくりに必要な実践的なノウハウは、仕事を熟知しているベテラン社員が新入社員に伝授。材料の手配から加工の段取り、機械の操作、納品まで、OJTを通じてじっくりと時間を掛けて身に付けていく。
 「全く知識がない段階から一つひとつ教えてもらえるので安心でした。質問などもしやすい雰囲気です」と話すのは、一之江第三工場でNC旋盤を担当する入社7年目の小川さん。まだまだ勉強すべきことはたくさんあるが、仕事を覚えるほどできることが増えて行くのが嬉しいと意欲いっぱいに語る。
 「『まだ機械に使われている』と言われることもあるので、早くベテランの先輩方のように機械を使いこなせるようになりたいです」(小川さん)。
 そのほかにも、モチベーションアップや自己啓発を図る外部研修の受講を促し、社員の成長を後押ししている。

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工場長と綿密な打ち合わせを行う小川さん。技術や作業の“コツ”が共有されている

現場で柔軟に調整し 社員の要望を実現

 2015年には第三工場を増設し、社員の増加とともに働きやすい環境づくりにも取り組んでいる。
 仮眠スペースやエアコンの設置、女性社員の増加に対応して女性用トイレを新設するなど、環境を整えてきた。給与支給日はノー残業デーとしているほか、家庭の事情などで休みを取りたいときには、柔軟に業務を調整できる。
 「例えば、子供の学校のイベントに参加するために『この日の午後は休みたい』というときには、どのように仕事を進めればいいのかを、各自の判断で段取りして良いことにしています。ある程度現場に任せることで、社員の責任感やコミュニケーションスキルも育まれます」(藤野社長)
 社長の指揮のもと20代から70代まで幅広い年齢層の社員たちが、協力し合いながら柔軟に働いているという。

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量産品から、多品種小ロット品まで幅広く対応

ここがポイント!働くやりがい!

自分で考えて動くことで得られる達成感
 受注産業では、顧客の注文によって残業をせざるを得ないこともある。しかし、同社では「残業を増やさず対応するにはどうすべきか」をまず社員が考える。例えば、工程の効率化や短縮化などを自ら考え、仕事を進める。納期を守ることは大前提だが、ある程度の裁量と責任を持つことで、仕事へのモチベーションは高まる。そんな姿勢で仕事に取り組むからこそ、顧客から感謝の言葉を掛けられた時のやりがいと達成感は何物にも替えがたい喜びという。

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「請求や給与など経理を任されています。責任の重い仕事にやりがいも大きい」と話す総務部の藤野さん。

●第20号 (2020年3月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。

企業情報

社名
有限会社藤野金属挽物
設立・創業年
設立年 1954年3月
資本金
1,000万円
代表者名
代表取締役社長 藤野 展誉
従業員数
16名(内、女性従業員数6名)
所在地
132-0003 東京都江戸川区春江町2-29-14
TEL
03-3677-3970
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