成長し続けるスタッフたちが地域に密着し新たな介護スタイルを探す
<3つの特徴>
●指名制度で、満足度の高いケアを提供
●資格を持つ先輩が新人をきめ細かく指導
●やりたい仕事を任せてくれる社風
介護を求める人の声を聞き 的確なケアを実践
2008年に設立されたグレースケア機構は、東京・三鷹市に拠点を置き、地域密着で訪問介護事業を手掛けている。
「もともとは介護ヘルパー有志が集まり、地域や介護業界の課題に取り組めないかと三鷹市主催のビジネスプランコンテストに応募し、自分たちの考えた介護システムを事業化しようと立ち上げたのが始まりです」(柳本代表)
同機構では利用者が料金を自費で負担する介護サービスの提供に力を入れている。そのため受け入れる利用者の幅も広く、多様なニーズに応えている。
「訪問介護を求めるのは高齢者に限りません。難病や精神疾患、重度の障がいを抱える方など、たくさんの依頼が寄せられています」(柳本代表)
支援の内容にも幅広いニーズがある。痰の吸引といった医療的ケアや、食事や入浴の介助などだけではなく、散歩の付添い、外食や旅行、冠婚葬祭などの付添いにも対応しているという。
「介護マニュアルではなく、利用者の生活に合わせたきめ細かいサービスをモットーとしています」(柳本代表)
同機構で特徴的なのは、介護を求める人やその家族が、希望するヘルパーを選べる「指名」制度。趣味が合う、世代が同じ、中には同郷の人を指名するというケースもあるという。
さらに、利用者やその家族の要望に応えようと誕生したのが、「片づけ事業部」と「おいしい事業部」。片づけ事業部は、思い出の品の片づけや有効活用、障がい者にも使い勝手の良い収納方法などの相談から生まれた。一方の「おいしい事業部」は、食材や食べやすさにこだわった料理を作るというサービス。介護などの制度に、利用者の生活を合わせるのではなく、普通に生きることを支えたいという思いが事業化につながっている。
このように、同機構では、利用者が「楽しみを我慢しない」こと、そして「やりたいことを叶える」ことを信条に掲げ、サービスを提供している。
介護福祉士などの介護資格のほか、整理収納アドバイザーやアロマセラピストなど、豊富な資格や経験を持つスタッフがおり、自身が持つ特技を生かして、利用者の楽しみややりたいことの手助けを行っている。
また介護を通したまちづくり活動として、泊まれるデイサービス「となりのでこちゃん」などの運営も行っている。民家を再利用した各施設では、子どもたちと高齢者たちのコミュニティを創出し、地域で助け合いの仕組みを作ることに一役買っている。

アセッサーとともに 実践的スキルを学ぶ
同機構では新人教育として、介護に関する資格取得研修、痰の吸引法など技術的な研修を半年から1年掛けて実施している。また、介護の実践的スキルを評価する「アセッサー」という介護資格を持つ先輩が新人に付き、ケアの技術をきめ細かく指導している。
「痰の吸引などは、要領良く実施しないと利用者に負担を掛けます。こわごわ対応していた若手が上手にできるようになった姿を見ると嬉しいですね」と入職3年目、副所長の加守田さん。
その他、研修期間中は、訪問介護をはじめ、ケア付きシェアハウス、デイサービスなどの各セクションを1カ月単位で体験し、自らの適性を知る機会も設けているという。

成長意欲が高い人を 全面的にサポート
同機構には介護福祉士の資格を取得することを条件に、学生時代に借りた奨学金の返済を支援する制度がある。
「将来を見据えている人、自分はこれがしたいという明確な考えを持っている人を全面的に応援しています」(柳本代表)
また、社員がやりたいと思ったことを積極的に支援する社風があるという。
「文章を書くのが好きで、そうした仕事をしたいと申し出たところ、広報の仕事を任せてもらえることになりました」と話すのは、入職6年目、ヘルパー兼広報業務を担当する中川さん。
「やりたいことを実現できる環境です。職員同士でカバーしながら、有給休暇もしっかり取得しています」

代表からメッセージ
暮らしの違いを理解し自ら創意工夫をできる人 私たちは赤ちゃんから100歳過ぎの高齢者、難病の方や障がい者まで、様々な方の暮らしに関わります。1つのマニュアルでは通用しないため、介護はもちろん、家事、接遇、コミュニケーションなど、基本的なスキルを丁寧に学びながら、さらにプラスアルファが求められます。「できない理由よりするための工夫を」をモットーに、多様な利用者に関わるスタッフは日々創意工夫を重ねています。暮らしやすさや心地よい居場所を広げることで、誰もが住みやすいまちを作りたい。そんな視点を持って挑める人を求めています。


●第21号 (2020年8月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。