<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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城南地区 ギークス株式会社

ギークス株式会社 セブ島で行われる6か月の独自育成プログラムで「世界で働ける」エンジニアを輩出

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セブ島で行われる6か月の独自育成プログラムで「世界で働ける」エンジニアを輩出

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ギークス株式会社

セブ島で行われる6か月の独自育成プログラムで「世界で働ける」エンジニアを輩出

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新入社員成長ストーリー
セブ島で行われる6か月の独自育成プログラムで「世界で働ける」エンジニアを輩出

 Web・スマホ市場が盛り上がるなか、ITエンジニア不足が深刻化している。ギークス株式会社ではITエンジニアの育成のため、エンジニアを志す未経験者を積極的に採用している。こうした人材が会社の活力促進につながり、スマホ用のゲームやアプリといったコンテンツ制作分野で業績を伸ばしている。

エンジニアと企業をつなぐマッチング事業で10年の実績

 「世界に通じる総合インターネットカンパニー」を目標に掲げ、2007年に設立したギークス株式会社。インターネットの普及とともに、エンジニア不足にあえぐ業界内外の状況をビジネスチャンスとにらみ、経験豊富なフリーランスのITエンジニアと技術力を求める企業をつなぐ「クラウドエンジニアリング事業」。この事業はこれまでに8,000名を超えるフリーエンジニアと、6,000社の企業をマッチングし、着実に業績を伸ばしている。
 「米国ではフリーランスという働き方は一般的でしたが、日本ではそこまで認知されていませんでしたから、フリーエンジニアがより安心して働けるようなインフラをつくれば、日本全体の技術力にアップにもつながるという思いがありました」と事業スタート当時を振り返るのは代表取締役社長の曽根原稔人氏。
 あらゆる業界に浸透するIT技術だが、業界によってその運用方法は微妙に異なる。しかも、日進月歩で進化する技術だけに、それに対応できるエンジニアをいち企業で育成するには限界がある。そんなエンジニアを必要に応じて確保できるとなれば、企業にとってこれほどありがたいサービスはない。一方のエンジニアも、多様な経験を積めるフリーランスという形態で、スキルを存分に発揮でき、安心、安定が約束されるのならば、これほど嬉しいことはない。同社のサービスの力強さは、双方のメリットをうまく組み合わせたところにある。同社が運営する案件情報検索サイト「geechs job(ギークスジョブ)」ではエンジニアを求める企業の案件情報が数百件にもおよぶ。常に双方の最適なマッチングをフォローすべく、様々なスキルを持ったエンジニアを抱え、臨機応変に対応している。
 順調な企業成長を後ろ盾に、同社は盛り上がりを見せるスマホ市場に参入。スマホゲーム事業・スマホアプリ事業を立ち上げ、実績を上げている。しかし、ここでもエンジニア不足。そこで同社は新たなチャレンジに打って出た。「不足しているなら、自分たちで育てよう」と、若手エンジニアの育成に着手したのだ。
 即戦力となる人材を育成するために独自開発したプログラムが、フィリピン・セブ島で6か月間にわたって行われる「geechs camp(ギークスキャンプ)」である。ここでプログラミングの技術と英語を徹底的に鍛え、プログラム修了後は社員として同社に入社。各種プロジェクトに参画し経験を積んでもらい、リーダーとなりうるエンジニアに育てようという試みである。ギークスキャンプには、例年、エンジニアを志す大勢の応募者が殺到。応募者の経歴は実にさまざまで、多くがエンジニアとは無縁のバッググラウンドを持つ未経験者だという。

body1-1.jpgセブ島で行われるギークスキャンプの様子。プログラミングの知識や英語力など、得るものは大きい。

未経験者からエンジニアを育成。村田さんはモデルから転身

 2014年にギークスキャンプに参加し、現在、新規事業開発本部でアプリ開発に携わる村田千紘さん(26歳)も、いわば、業界の素人からの応募だった。入社するまで、モデルやウエディングプランナー、フレンチレストランの店員など、さまざまな仕事に携わってきたという。
「いろいろなサービス業に携わった経験を活かして、何か世の中の役に立つことをしたいという思いはあったのですが、それが何なのかよく分からずにいたんです」と村田さんは応募当時を振り返る。悶々と過ごしながらも、多角的な求人を模索していた村田さんの目に留まったのが未経験者からITエンジニアを育成するという「ギークスキャンプ」の募集だった。
 「エンジニアの技術を身につければ、自分からたくさんの人に発信できる」「技術があれば、世界中どこでも働ける」そんなエンジニアへの憧れがにわかに膨らんだ。これが人生を変えるきっかけになるかもしれない、そんな予感が村田さんを突き動かした。情熱だけは誰にも負けないと自負する村田さんだが、実のところプログラミングはもとより、パソコンにも苦手意識があったという。
 「キャンプに行く前は“ググる”の意味も知らなかったくらい(笑)。プログラミングの授業では、まわりのみんなが交わしている言葉がわからなくて、早く追いつかなければと必死でした。わからないことはその都度、同期に教えてもらい解消していくというスタイルで猛勉強。セブ島というリゾートにいることを忘れるくらい、寝ても覚めてもパソコン漬けの毎日でした」
 文字通りのがむしゃらな日々だったが、自分の成長を実感できる研修だったと胸を張る。その自信の裏づけとなっているのが、キャンプ中に制作したカメラアプリ。研修中の身分でありながら、リリース後3か月で1000ダウンロードという実績から研修の充実度がうかがい知れる。
「自分で作ったサービスが世界中の人に使ってもらえるかもしれないというITの可能性を肌で感じた瞬間でした。うれしい驚きでしたし、とてもワクワクしました」
6か月の研修を終えた村田さんが現在、手がけるのは、ゴルフ用品専用フリマアプリ「golfpot(ゴルフポット)」の支払いシステムや宅配サービスシステムの開発だ。
「自分がいちユーザーとして利用していた機能を自分の手でつくり出せるというのは、達成感があります。これからも経験をどんどん積んで、世の中に役立つ新しいサービスを生み出していきたい」と目を輝かせる。

body2-1.jpgゴルフ用品専用フリマアプリの開発に携わる村田さん

世界に発信できるエンジニアをめざす伊藤さん

 2015年3月にキャンプをおえて日本に戻り、サービス開発部で活躍する伊藤新さん(26歳)は、大学卒業後、先輩たちとともに飲食店の経営に携わっていたという。そこでは、お店に足を運んでくれる限られたお客様が相手。限られた場所で限られた人に対するサービスにもの足りなさを感じていた。そんなときに、ギークスキャンプに関する記事をインターネット上で目にし、エンジニアという仕事に大きな可能性を感じたという。
 「Webやスマホを通じたサービスは、世界中の人たちを相手にサービスを届けられます。もっと多くの人たちにサービスを提供したいと思っていた僕は『コレだ!』とインスピレーションを感じ、さっそく説明会に申し込みました」
 もちろん、伊藤さんにとってセブ島ははじめて行く場所。一緒に研修に参加した5人は同じ20代ではあるが、全員はじめて会うメンバーだ。文化も言葉も異なる土地で、はじめて会うメンバーと一緒にものづくりするのは貴重な経験だったと振り返る。
 「みんな前職は全く違う業界で働いていた人たちばかり。全員がいちからのスタートですから、過去の経験やプライドみたいなものが邪魔することもなく、自然に打ち解けていきました。みんな自分で何かを作りたい、発信したいという熱い気持ちがあって、こんなアプリがあったら面白い、こんなサービスがあったら世界で流行るんじゃないか、そんな話ばかりしていましたね」

body3-1.jpg新たに開設された沖縄の開発専門拠点で活躍する伊藤さん

沖縄の新規開発拠点創設メンバーに抜擢される

 伊藤さんは、現在、同社が那覇市に新しく開設した開発専門拠点で、エンジニアと企業をつなぐ業務システムのリニューアルに携わっている。
「そもそもエンジニアは働く場所を選ばないというのが魅力です。沖縄という恵まれた環境の中で開発の効率化と技術力の向上を図り、さらに沖縄の人たちとネットワークを広げて新しいサービスを生み出していく拠点づくりをするのが、僕たち創設チームに与えられたミッションです」
 新しい土地で、新しい仲間たちと、新しいサービスを生み出していく。あまりにスケールが大きすぎて、普通なら尻込みしてしまいそうだ。しかし、ここでも伊藤さんのギークスキャンプで体験したことが生かされている。「恐れるというより、どんなことができるかとても楽しみ」と期待感に胸を膨らませる。
 さらに、キャンプに参加して英語を身につけられたことも大きな財産になったと伊藤さん。
「Webやスマホの技術は進化が速いですから、毎日、掲示板やフォーラムなどをのぞいて新情報をリサーチしています。もちろん、それらの情報はほとんど英語。英語に対して抵抗がなくなったのもキャンプで鍛えられたおかげですね」
 2013年にスタートしたギークスキャンプ卒業生は2015年9月末時点で21人。若きエンジニアの卵たちは、確実に成長を遂げている。

body4-1.jpg「エンジニアは、世界を相手にする仕事です」(伊藤さん)

編集部からのメッセージ

プログラミングと英語を学ぶギークスキャンプ


 同社グループ会社が運営する語学学校で行われる6か月間の研修。Webアプリケーションの基礎を学んだ後、実際にチームでアプリケーション開発を行い、実践的なプロジェクトの進め方を身につけるほか、スマホアプリの企画からリリースまで一連のフローも経験する。英語のレッスンも充実しており、ネイティブレベルのフィリピン人講師によるマンツーマン指導が受けられる。そのほか、スラム街の見学やボランティア、現地企業との交流などの体験などもあり、密度の濃い内容となっている。
 さまざまなキャリアやバックボーンを持ったギークスキャンプ卒業生が社員として加わることで、多様性が生まれ、新しいサービスを生み出す活力になっている。

edit-1.jpg社員同士気軽にコミュニケーションを交わせるオープンなオフィスedit-2.jpg

「出る杭を讃える」社風


 平均年齢28歳という若さも同社の強み。「挑戦を応援してくれる環境がある」と社員が口々に言うように、年齢に関係なく誰でも意見を言いやすい風通しのよい社風がある。「やりたい!」「はじめたい!」と思ったことを社員は積極的に発言、周りはその意見を聞き、真剣に考え、応援する。そうして生まれたプロジェクトや社内イベント、勉強会なども数多い。そうした社風があるからこそ、社員一人ひとりが目的意識とやりがいを持って仕事に取り組んでいると感じた。

  • 社名:ギークス株式会社
  • 設立年・創業年:設立年2007年
  • 資本金:1億4,520万円
  • 代表者名:代表取締役社長 曽根原稔人
  • 従業員数:100名(内、女性従業員比率35%)
  • 所在地:150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-14-6ヒューマックス渋谷ビル3F
  • TEL:03-6690-7978
  • URL:http://geechs.com/
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください