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有限会社原田左官工業所

有限会社原田左官工業所 映像教材を用いた独自の育成制度で、左官職人の世界に若い力を吹き込む

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映像教材を用いた独自の育成制度で、左官職人の世界に若い力を吹き込む

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有限会社原田左官工業所

映像教材を用いた独自の育成制度で、左官職人の世界に若い力を吹き込む

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職人の人材育成ストーリー
映像教材を用いた独自の育成制度で、左官職人の世界に若い力を吹き込む

 職人の高齢化が危惧される左官業界のなかで、原田左官工業所は独自の人材育成制度を導入して若手職人の育成に努めている。若手職人が一人前になった暁には「年明け披露会」という祝いの席を設けるなど、サポートも充実。業界の救世主ともいえる同社の取り組みを紹介する。

一人前の職人を育てるまでの安定した育成制度

 左官とは、鏝(こて)を巧みに使い、壁や床に土やセメントなどの素材を塗り上げていく仕事。これには見映えも大事だが、防寒、防熱、さらには防火性やアレルギー予防など、快適な住居にするためには欠かせない建築技術の一つだ。機械化著しい建設業の中にあって、人の手が頼りの工程であり、装飾要素が強い分、腕の見せどころのある分野といっていいだろう。その一方で、技術を磨くのに時間を要するという側面もあり、近年、左官職人の高齢化が進み、平均年齢が60歳近くになっているというのが現状だ。原田左官工業所の代表取締役原田宗亮社長は左官業界の抱える問題をこう話す。
「そもそも、育成方法が時代に則したものではないんですよ。若手職人が先輩について回り、現場で道具や素材の名前を覚え、運搬作業の傍で鏝の技を盗んで、なんてやり方は今どきじゃありませんよね」
なるほど、左官に限らず、職人といわれる世界では、昔ながらの伝統的徒弟式の育成方法に頼るところが多い。見習い期間を耐え、根気が鍛えられるというメリットもあるのだが、鏝にふれる機会がなければ、左官の面白さはわからない。ましてや、若手の格好の勉強となる仕事がいつもあるとは限らない。つまり、面白味を経験する前に嫌気がさして、辞めてしまう、そんなことが少なくないのだという。

body1-1.jpg独自の育成制度について説明する原田社長

練習用の壁や熟練職人のビデオで、短期間で技を習得

「これを改善するには、現場だけで教育しようというのを見直すしかありません」
そこで同社が取り入れたのが、練習用の壁。ここで新入社員は早々に塗り壁を体験。仕上がりはともかく仕上げることで、その難しさも、左官職人の醍醐味も実感できる。それが狙いの設備だ。また、必要なスキルを万遍なく学べるようにと座学も積極的に取り入れ、並行して、熟練した職人の塗り方をビデオを見せて動きを真似させる、モデリングという制度を導入。こうした研修用の映像は、肝心なところにフォーカスして撮影されているので、例えば、手首の返し方、鏝の動かし方、リズムを刻む腰の使い方など、的を絞って学べ、また、滅多にお目にかかれないような技術を目の当たりにすることもできる。初めのうちは、ビデオを見て上手い、下手が分からずとも、動きを真似て経験を積んでいくうちに、効率がよく仕上がりもきれいになる洗練された動きであることに気付くというわけだ。1時間に20枚のべニア板を塗り上げるのが合格ラインで、かつてはクリアするまで半年ほどかかっていたのが、導入して5年経った現在、1か月ほどでクリアする新入社員もいるというから効果は上々といえるだろう。
 「若手職人を育成する体制を整えたので、将来的には、中堅職人が熟練者になるまでの成長過程もシステム化したいと思っています。デザインなどの仕上がりをクライアントに提案できる、発信力をもった職人を育てたいですね」と原田社長は未来構想を語る。
また、同社では入社4年を勤めると、見習い期間を終えた職人として認める「年明け披露会」という門出を祝う儀式が伝統行事となっている。職人として認められた者は、職人としての決意を表明し、日頃、世話になっている先輩社員に感謝を述べる。この晴れの席には社員のみならず、当人の家族や取引先の人たちも招き、総出での祝いとなる。家族ぐるみで親交を深めることで、社員一人ひとりへの理解を深め、より円滑なコミュニケーションが図れる関係性を構築するという狙いもそこにはある。この席上、入社からそれまでの軌跡を写真でまとめて1冊の本も贈呈されるというから、この会への力の入れ具合がうかがい知れる。社員たちにとっても、責任感・緊張感をもってさらなる躍進をめざすための欠かせない通過儀礼として位置づけられ、大事にされているという。

body2-1.jpg「コツコツ学んで、積み重ねの毎日です」(田澤さん)

職人が語る左官のやりがいと魅力

入社して2年目の田澤さんは長野から上京、住み込みで働く、若手職人の1人。「塗り方の上手い下手というのはまだ分かりませんが、目標にしている先輩の仕事を間近で見て、動きを学んでいます」と現況を語り、教わっているのは技術だけでなく、コミュニケーションの大切さもお手本を示していただいていますと明るく笑う。職人というと、ともすると一人で黙々と自分の作業だけに没頭しているイメージを抱くが、一人の現場はほとんどない。どこでもチームで動いている。そこで欠かせないのがコミュニケーション力。作業を効率的に進めるのに加え、事故を防ぐという意味でも、常にお互いの動きを把握していなければならない。入社当初、田澤さんは現場特有の緊張感に身構え、口数も少なく常に肩に力が入って動きが固かったという。そんな田澤さんに一人の先輩が声をかけてくれた。「現場では細心の注意を払わなければならないが、力が入りっぱなしだと集中力がもたない。ほどほどに楽しむことも大事だぞ」。このアドバイスが田澤さんの緊張を解いてくれた。以来、積極的に雑談などに交じり、自分から声を出していくことを意識するようになった。
 同業他社から転職してきた吉成さんは、同社の多彩な技術にひかれて門を叩いた。「商業施設の内装や一般住宅など、さまざまな現場で働けるのでやりがいがあります。扱う素材の種類も豊富で、職人としての腕を磨くには最適の環境です」と生き生きとした様子。現場で経験を積むほか、最新の技巧などの外部研修会に参加する機会も与えられ、次々と技術を吸収していると話す。
 田澤さんも吉成さんも左官職人の魅力を、「依頼者の喜びの声が聞こえるのが、なによりのやりがい」だと語る。ときには、クライアントとの意見のすれ違いや、材料の搬入の遅れといったトラブルに見舞われることもあるが、その場の状況で創意工夫し仕上げたときの達成感はひとしおだという。

body3-1.jpg使う道具の種類は多岐に渡る

月に1度の会合で、積極的に意見を交わす

 男社会になりがちな現場を多数抱える同社だが、女性にとって働きやすい社風で知られ、実際、女性職人が少なくない。女性を採用している以上、厚労省指導の上、女性特有の事情に配慮した制度、仕組みが必要になる。当然、同社も様々な制度で働く女性を応援している。しかし、女性にとって働きやすい社風と評されるのは、それ相応のいわれがあってのこと。同社の場合、厚労省からの指導以前に、社員たちの発案で産休も育休も制度化された。きっかけは、ある女性職員の、結婚後も仕事を続けたいという社長への直談判だった。職員から上がった声を反映した制度だけに、どれも実情に則した仕組みで、幼稚園や保育園のお迎えも配慮されているなど、実に進んだ内容となっている。こうした労働環境づくりで、戦力として貴重な職人が仕事を続けてくれるのは、会社としても、現場でともに働く他の職人としてもありがたい限りだが、社長に直談判できたというのはそれだけ物言いやすい環境が整っているという証でもある。風通しのよさは原田社長自ら旗振りをしている。職人の仕事は現場がメインで、会社で顔を合わせることが少ない。それを補うために、月に1度、それぞれの仕事の状況を報告し合う会合を開いている。この意見交換会は、誰もが気さくに意見を言える雰囲気でなければならない。原田社長はそこに心を砕く。自由に言い合えるからこそ、互いを語り、互いを知ることになる。そこで若手職人の悩みに気づくこともある。それを先輩が察してフォローする。月一の会ではあるが、そんな人間関係構築の格好の場となっているという。
 原田社長は若手職員に左官職人の魅力をこう語る。「技術を身につけるということは、自分の裁量で仕事を調節できるということです。集中して働いて、1週間丸々休むなど、職人の世界はそういった自由がきくというのも魅力ですが、自分で提案し、塗り上げ、依頼主に感嘆の声をあげられる。そんな職人冥利につきる瞬間を若い人たちに1日も早く味わってもらいたいですね」。もちろん、彼らこそがこれからの時代の主役であり、感性も豊か。自由な発想でつくり上げる力を積極的に取り込んでいきたいですねと若手にエールを送る。
家を建てるとき、かつては熟練のワザが求められた瓦ふきやサッシの組み立てなどの大工仕事は、規格化されて誰でもできる時代になった。そんななかにあって、人の手で繊細に仕上げるため機械化ができない左官の仕事は、今後も建設業界に欠かせない技術として重宝されることは間違いない。

body4-1.jpg入社してから「年明け」までの軌跡をまとめたアルバム

編集部からのメッセージ

親方に付きっきりで学び、力を伸ばす


 左官の腕を磨くために欠かせないのが、現場での教育。同社では、新入社員一人につき一人の「親方」と呼ばれる先輩社員をつけ、技術はもちろん、職人としての心構えなどの相談も気軽に持ちかけられるようにしている。親方につくのは半年間だが、それ以降もなにかあれば、頼りになる先輩として、アドバイスを授けることは多々ある。一人ひとりの適性に目を向けることで、苦手な分野は補い、得意なものはさらに伸ばす教育が可能となるのだ。
また、インターン制度なども導入し、左官職人の世界を学生に事前に体験してもらい、ミスマッチをなくす取り組みも積極的に行う。
毎年、新入社員は3名ほど入社しており、原田左官工業所は左官業界に若い力を吹き込むことに貢献している。

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