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城南地区 株式会社アイオイ・システム

株式会社アイオイ・システム 独自の技術と提案力でシェア拡大中。世界に物流革命を巻き起こせ

株式会社アイオイ・システム

独自の技術と提案力でシェア拡大中。世界に物流革命を巻き起こせ

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城南地区

株式会社アイオイ・システム

独自の技術と提案力でシェア拡大中。世界に物流革命を巻き起こせ

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物流を変える技術力ストーリー
独自の技術と提案力でシェア拡大中。世界に物流革命を巻き起こせ

 株式会社アイオイ・システムの主力製品は、仕分け作業や組み立て作業を確実、スピーディにこなす「デジタルピッキングシステム」。多田潔社長自らが考案したという同社独自の省配線システムで、日本はもとより、世界51ヶ国で運用されている。

物流の現場に革命的効率化をもたらしたデジタルピッキングシステム

 アイオイ・システムは、1984年創業。多田潔社長が電気技術者としての知識とアメリカ仕込みのマイコンの知識を融合し、独自の「省配線システム」の デジタルピッキングシステムを開発、順調に業績を伸ばしてきた。
 デジタルピッキングシステムとは、倉庫や工場のピッキング作業を確実・スピーディに行うもので、大手コンビニエンスストアやスーパーマーケット、通販会社、自動車メーカーの製造工場など、幅広い業界業種に導入され、業務の効率化に大きく寄与している。
 倉庫管理と言われてもその重要性をイメージしにくいが、広い倉庫に並んだ数万種類の商品の中から、10種類の商品を必要な数だけ取り出して出荷しなければならないと仮定しよう。これを出荷伝票を見ながら、手作業でやるとなると大変な作業になるというのは容易に想像できるだろう。これを同社のデジタルピッキングシステムで運用するとまず、どの商品を何個取り出すかをコンピューターに入力する。すると、倉庫では、出荷が必要な商品の棚に設置したランプがつき、作業者はそのランプの場所まで行って表示器に示された数だけ商品を取り出す。作業者は、いちいちどこにあるんだっけ? などと商品を探して広い倉庫を右往左往する必要もなければ、出荷伝票を見ながら、この商品でいいんだっけ? と商品を照合・確認する手間もいらない。
「コンビニなどの配送センターでは、大量の商品を毎日複数回入荷・配送を繰り返しています。多品種の商品を確実に管理し、しかもスピーディに仕分けし発送しなければなりません。このシステムを導入することで、作業全体を人の経験や勘、記憶に頼らずにできますし、熟練していない作業者であっても正確かつスピーディに業務をこなすことができますから、業務の効率的運用が可能となり大幅なコストダウンにつながります」(多田社長)
 同社では、このシステムをクライアントの悩みやニーズに合わた仕様で設計・提案している。その一例が重量センサー。棚の間口ごとに量りを設置して重さで数量管理を行います。3万個の商品の重さを把握できるようにしておけば、リアルタイムの在庫管理になる。つまり、定期的な棚卸し作業が不要になるというのだから、まさに画期的。
「デジタルピッキングシステムは応用次第で、いかようにも進化させられます。例えば、部品組立工場では、誰がどの部品をどの工具を使って組み立てるのかというプロセスを管理するようなシステムを設計することもできます」

body1-1.png同社独自のデジタルピッキングシステム

海外市場でもシェア拡大。さらに、新製品「スマートタグ」の開発

 多田社長は、自ら開発したこのデジタルピッキングシステムで海外に積極的に進出。1997年にはアメリカ、2002年にはヨーロッパ、2004年には中国に拠点を開設。現在、51ヶ国で同社のデジタルピッキングシステムが導入されている。
「ピッキングシステムでは、アイオイ・システムの製品が世界シェア70%を超えています」と多田社長は胸を張る。
 しかし、順風満帆かのように見える同社にも苦難の時期があった。それがリーマンショックである。受注件数がガクンと減り、多田社長は危機感を募らせた。
「2期赤字が続きました。3期目の赤字になると、金融機関からの資金繰りが厳しくなりますから、3期連続の赤字はなんとしても避けなければならないと次なる製品の開発を急ぎました」
 そして、物流のペーパーレス化を構想し開発したのが、2010年に製品化した「スマートタグ」である。
スマートタグを平たく表現すると、メモリー内臓の表示画面付き小型ディスプレー。一見似ている製品にスーパーの商品陳列棚に設置されている電子棚札があるが、これは電子ペーパーでなく液晶表示でバーコードはカメラでは読めるがレーザースキャナでは読めない。電子棚札とは用途が違う。NFCチップを内蔵しているのでタグ自体が情報媒体となり、生産管理システム、物流システム、デジタルピッキングシステム、POSシステムなどから必要な情報を取り出し、ネットワーク上で様々な情報を共有することが可能だ。この「スマートタグ」もデジタルピッキングシステムで物流革命を起こしてきた同社ならではの発想から生まれた商品だ。
「ある病院では、人間ドッグを受ける患者さんに一つひとつ渡して、ある検査が終わったら、次の検査の場所を画面に表示させて案内するといったシステムで活用していただいています。このスマートタグは情報の入れ替えが自在ですから、発想次第でいろいろな活用ができます。これからどんどん新しい使い方を提案・普及させていきたいですね」
 現在では「スマートタグ」から電池レス・薄型化を経て「スマートカード」へとさらなる進化を遂げた。

body2-1.jpg持ち前の発想力と行動力で同社を牽引する多田社長

社員の声 海外営業課・千原さんのやりがい

 営業部・海外営業課の千原明さん(32)は、入社3年目。タイと日本のハーフということもあり、日本語、タイ語、英語の3か国語を操る。積極的に海外展開をしている同社でなら持てる能力を存分に発揮できるのではないかと志望したという。千原さんは、タイ、フィリピン、ベトナムなど東南アジアエリアを担当。年間の半分は、出張で海外に出ている。
「日本では営業というとスーツにネクタイというのがスタンダードですが、海外はもっとカジュアルですから、ポロシャツとチノパン姿で顧客を回るということが多いですね。最初から商品の説明を聞いていただきたいとアプローチしても話は聞いてもらえませんから、必要なのはユーモア。面白い日本人が来たと興味を思ってもらえるように、キャラを全面に押し出して営業活動しています」と笑顔で語る。
 東南アジアでは、同社のデジタルピッキングシステムのような物流効率化のためのシステムの認知度は低いが年々上がってきている。
「まずはこうした商品があることを知ってもらおうということで、現地では積極的に展示会に出展してアピールしています。そうした活動の甲斐あって、ベトナムで初めての案件が決まりました。まだ大きな案件ではありませんが今後横展開が望める案件です。」
 千原さんが約1年かけて温めてきた商談というだけに、大きな達成感を感じている様子。ゆくゆくは東南アジアに同社のシェアを広げ、現地法人を開設したいと目標は大きい。

body3-1.jpg日本語、タイ語、英語の3か国語をあやつり海外で製品を売り込む千原さん

社員の声 東京営業課・前田さんのやりがい

 システムエンジニアへの転身を胸にアパレルから転職した東京営業課前田有香さん(30)。入社3年目となる現在は、同社の商品を導入している顧客のアフターフォローを担当している。北海道、北陸、東京、静岡エリアを担当し、顧客企業を順次、訪問営業している。コンビニエンスストア、アパレルメーカー、食品メーカー、通販会社など得意先の業種はさまざまだ。
『緊急時のために24時間対応しているサポート窓口もあるのですが、実際に訪問してみると、「窓口にかけるほどではない」とは言いながらも、困りごとをいろいろ抱えていらっしゃるんです。何か困ったことはないかとお聞きして、必要があれば修理や交換の対応などを行います。訪問をきっかけに規模拡大など新たな受注をいただくこともあります』
 「フォークリフトがぶつかって機器が一部壊れちゃった」など、大半は単純な部品交換や修理で済むことが多いというが、一気に解決できない問題に遭遇することもある。
「あるお客様から、つくはずのないランプがつきっぱなしになるという相談を受けました。パソコンを再起動すると直るという。しかし、それが頻繁になると、一日に何度も何度も再起動しなければならなくて困るというのです」
 ひととおり調べてはみたものの、なぜそのランプがつくのかわからない。原因がわからなければ対処のしようもない。
「社内の関連部署、それから関連会社にも原因に心当たりがないかと相談して回りましたが、どこでも心当たりがないというのです」
 過去に例がないトラブルということもあり、原因究明には時間を要した。
「ランプがつくということは、どこかから命令が出ているはずなのですが、それがどこから出ているのかなかなかわかりませんでした。システム原因をつきとめるまで約1年かかりました」
 心苦しかったのが、その間も客先に原因不明の電話をかけ続けなければならなかったことと振り返るが、苦しくも連絡を入れ続ける姿勢は信頼を醸成したに違いない。
「お客様には解決まで随分お待たせしてしまいましたが、どんなお客様も問題が解決したあとには、『ありがとう。助かったよ』といってくださいます。その言葉を聞けるとこちらもうれしくなりますし、やりがいを感じますね」

body4-1.jpg同社で活躍する若手社員の皆さん

編集部からのメッセージ

多田社長が考案した「省配線システム」

 デジタルピッキングシステムは、「ランプを点灯させる」ことと同時に「データを表示させる」という通信と通電を同時に行うところに技術的な革新さがある。通信と通電を同時に行うためには、通常4本の配線が必要になるところ、多田社長は2本の配線で済む仕組み「省配線システム」を考案。複雑な配線が不要となったことが、簡単にシステム構築ができるデジタルピッキングシステムを実現させた。

edit-1.jpg情報の書き換え自在の「最新型スマートカード」

多数の受賞歴「スマートタグ」

同社の製品「スマートタグ」は、物流における効率化に貢献する製品として多くのビジネス賞を受賞している。
2015年01月 東京ビジネスデザインアワードでテーマ賞を受賞
2014年09月 東京商工会議所主催の第12回「勇気ある経営大賞」で大賞受賞
2013年10月 東京都ベンチャー技術大賞特別賞を受賞
2011年08月 第13回自動認識システム大賞で『電子ペーパーで見える化をしたRFIDタグ「スマートタグ」による生産物流システム』が優秀賞受賞

  • 社名:株式会社アイオイ・システム
  • 設立年・創業年:設立年 1984年
  • 資本金:1億2,300万円
  • 代表者名:代表取締役社長 多田潔
  • 従業員数:86名(内、女性従業員数13名)
  • 所在地:143-0016 東京都大田区大森北1-6-8 ウィラ大森ビル8階
  • TEL:03-3764-0228
  • URL:http://www.hello-aioi.com/jp/