<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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中央・城北地区 株式会社オネスト

株式会社オネスト ベンチャー精神を持ったシステムインテグレーターがIT業界に新風を起こす

株式会社オネスト

ベンチャー精神を持ったシステムインテグレーターがIT業界に新風を起こす

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東京カイシャハッケン伝!企業
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株式会社オネスト

ベンチャー精神を持ったシステムインテグレーターがIT業界に新風を起こす

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デザイン&チャレンジ ビジネス創生ストーリー
ベンチャー精神を持ったシステムインテグレーターがIT業界に新風を起こす

医療、農業、建設などのシステム開発やそれに関わるサービスを展開するオネスト。その設立は、世界で初めてウェブサイトができるより1年前の1990年のこと。創立30周年を間近に控えた現在、従業員数200名以上を誇る気鋭のIT企業へと成長を遂げた。

ハードにもソフトにも強いIT企業

 「大学時代はバンドを結成し、ベーシスト兼リーダーとして活動する一方で、コンピューターいじりにも時間を注いでいました。ですから、音を電子的に操るシンセサイザーを使う音楽家が出てきた時には、コンピューターの限りない可能性を感じましたね」と話す本間大二郎代表(取材当時)がITに関わる個人事業を始めたのは、1970年代のこと。1970年代といえば、一般消費者向けに発売された世界初の個人向けパソコンと呼ばれている「Altair 8800」が登場し、アップルやマイクロソフトといった企業も台頭してきた時代。文字通りコンピューターの草創期だ。
「海の向こうで起こっている技術革新に、日本でもイノベーションが起こせるはずと、起業に踏み切ったんです」
 そしてあるアイデアがひらめいた。空港のレストランスタッフが注文を伝票に書いているのを見て、注文情報をデジタル化して無線で厨房に送れるようにできないかと考えたのだ。
 「たとえ、空港のような電波制限がある場所でも、赤外線であれば問題ありません。さらに調べてみると、電波よりもむしろ赤外線のほうが送れる情報量が多いというのが分かりました」
 大企業も手をつけていない分野でもあった。赤外線とはどんな電磁波なのかといった基礎研究から、ソフトウェアとハードウェアの設計・開発まで、全てを自社で賄った。そして2年の研究開発期間を経て「赤外線オーダーリングシステム INOS」の発売にこぎつけた。
 これを皮切りに、テーマパーク内のゴーカートを制御するコントローラーのハード・ソフト開発など様々なオリジナル製品を生み出していく。こうした変遷をたどってきたことが同社の強みになっていると、本間代表は胸を張る。
 「まずハードとソフトをこなせる中小企業というのが、そもそも珍しい。当社はまだ世の中にない革新的な製品を生み出したいという思いからスタートし、実際に開発してきたのでハードにもソフトにも対応できます。ソフト開発をするにしろ、ハードに精通しているとより効率的なプログラムを組めたりしますし、ときにはハードから作ってしまえば良いじゃないかという発想も出てきます」
 強みはそれだけではないという。
 「ソフト開発一つ取っても同じなのですが、顧客から言い渡された要件を実現するために黙々とパソコンに向かってコードを打ち込んでいれば良いというものではありません。それでは、より役立つシステムを生み出す知恵や意欲が出てきませんし、何よりやっていて楽しくないでしょう。当社はベンチャー出身ですから、なぜレストランの注文を端末で入力しないのだろう、なぜこのシステムはこんなふうになっているのだろうといった『why』や『what』の視点を持っています。この視点があって初めて、コードを打ち込むという『do』があるわけです。事業の目的や全体像を見渡す視点があれば、実際のプログラムに当たる姿勢が明確に変わってきます」
 そんな本間代表に、創立から30年が過ぎても大切にしたいことを語ってもらった。
 「プログラムに設計があるように、ビジネスを始めるには製品計画や事業計画、つまりデザインがなければなりません。デザインができたら、今度は失敗を恐れずに果敢にチャレンジする。いつまでもこの気持ちを持って独自の事業を展開していきたいと思っています」

body1-1.jpg同社の黎明期を振り返る本間大二郎代表(取材当時)

時短勤務で働くママさんエンジニア

 現在の事業は大きく分けて、医療、農業、建設の三つがある。医療事業では、病院業務全般の自動化のサポートを手掛ける。具体的には、検体検査や病理検査などを行う検査機器と電子カルテを連動させて、患者情報の管理や異常値チェックなどが効率的に行えるシステムなどの開発。
 農業事業では、自社で開発した「スマートガーデナー」の運用を広めている。これはビニルハウス内の温度や湿度、CO2濃度といった情報を自動で収集し、それらの情報をクラウド上で閲覧できるというもの。循環扇や暖房機、給水バルブなどと連動させれば、スマートフォンやタブレット一つで温度調整や給水が遠隔地からでもできる画期的なシステムだ。
 建設事業で行っているのは、「ユニセクト」という自社製のパッケージシステムの開発。
 「ユニセクトとは、受注、発注、支払までトータルで管理できる会計・業務統合マネジメントシステムです」と話すのは、開発に携わる河東由紀さんだ。河東さんは1歳のお子さんを育てながら働いているママさんエンジニア。大学で情報工学を学んだのち、オネストの子会社であるオネスト九州に入社し、3年間、病院システムの開発業務に従事。結婚を機に東京に転勤してきたという。
 「夫が東京で就職したので、結婚するとなればオネスト九州は辞めざるを得ない。どうしようかと悩んでいると、上司が東京で働けるように動いてくれたんです」
 オネストは、こうした人の温かさを感じられる会社と、河東さんは話す。東京に異動してから2年ほど働いたのち、1年間の育児休暇に入り、現在は復帰し時短勤務で働いている。
 「通常勤務は9時~17時45分なんですが、それだと保育園の閉園時間に間に合わないので延長保育に頼らざるを得なくなります。そこで私は10時~16時までの時短勤務に切り替えたんです。閉園時間に間に合うだけでなく、朝の忙しい時間帯に余裕を持って準備できるので、すごく助かっています」
 もちろん、1歳の子どもを育てながら働くのであるから、その負担は決して軽くはないが、仕事が良い息抜きになっているという。
 「つくづく職場環境に恵まれているなと思いますね。仕事が良いリフレッシュになっているんです。時短勤務で効率良く仕事をこなして、帰宅したら子どもの相手をたくさんしてあげる。メリハリがついているので、毎日が充実しています」

body2-1.jpg社内の自由な雰囲気が自分に合っていると話す河東由紀さん

新卒採用を積極的に実施

 オネストでは会社の考え方に共感した人材を一から育てていきたいという方針に基づいて、新卒採用を積極的に実施している。入社1年目の菊池啓佑さんは入社理由をこう話す。
 「会社説明会で本社を訪問したときに、社員の方々の和気あいあいとした雰囲気を見て、ここでなら長く働き続けられると思いました。実際、社員の人たちが休日に集まってゲーム大会をしたりバスケットボールをしたり、とても仲が良いです」
 さらに、尊敬できる先輩ばかりだという。
 「特に現場で付いてくれている一番歳の近い先輩は、若手なのにプロジェクトの全体像をきちんと把握しているし、自分の意見も積極的に発信しています。当社では、システムの提案から導入、保守まで幅広い業務に携われるので、様々な経験を積んで、先輩のように頼りがいのある人材になりたいと思っています」

body3-1.jpg頼りがいのある社員になりたいと話す菊池啓佑さん

編集部メモ

人を大事にする取組


  若い人材を一から育てたいというだけあって、オネストは研修制度が充実している。入社後は2か月半の間、プログラミング技術や社会人として必要なビジネスマナーを学び、配属後は1年間、OJTが付く。さらに、定期的に研修を実施しているという。人を大事にしたいという考えから、団体長期障害所得補償保険(GLTD)にも加入している。これは、骨折、がんといった長期的なけがや病気で働けなくなった場合に対応するもので、給与の一定割合を補償してくれるというもの。保険料は会社が負担しているという。こうした取組をはじめ社員を大切にしたいという姿勢が人と技術を育むのだろう。

edit-1.jpg本間代表は社員一人ひとりに気さくに声を掛けてくれるというedit-2.jpg退社時間宣言カード。朝の時点で退社時間を宣言することで、作業の効率化に繋がっている
  • 社名:株式会社オネスト
  • 設立年・創業年:設立年 1990年
  • 資本金:7,000万円
  • 代表者名:代表取締役 本間 大輔
  • 従業員数:従業員数 243名(内、女性従業員数46名)
  • 所在地:113-0033 東京都文京区本郷4-9-25
  • TEL:03-5689-5900
  • URL:https://www.honest.co.jp
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