理念のもとに集ったごみ処理のプロたちが ごみを減らす社会に挑む
長年にわたり廃棄物の収集運搬と処理業務に携わってきた加藤商事。2010年には新しく環境イノベーション事業を立ち上げ、ごみを減らす社会づくりに全力でチャレンジしている。そこで活躍するのが、子育てとの両立を図る女性社員をはじめとした、経営理念を共有する社員たちである。
ごみを減らす社会を目指して 新事業を立ち上げる
1946年の創業以来、事業を通じて“衛生的な環境”を提供し続けてきた加藤商事。一般廃棄物と産業廃棄物の収集運搬と中間処理場の運営、商業施設から出るごみの処理を行う総合建物管理事業を行ってきたが、2003年に加藤代表が就任してほどなく、新たなビジョンを打ち出した。それはごみを減らす社会に向けて貢献できる会社になること。経営理念にも「未来(あす)の地球に持続可能な環境を創る企業」を掲げた。
「ごみ収集や処理を事業として展開している当社にとって、ごみが出る方がビジネスは潤います。しかし、CO2排出による地球温暖化やプラスチックによる海洋汚染に象徴されるように、地球環境への負荷は高まるばかり。そこでごみを適切に処理する事業を展開しながら、環境負荷の軽減を目指す環境イノベーション事業を立ち上げました」
具体的には、オフィスや工場などのCO2排出を抑えるために蛍光灯から省電力のLED照明への転換を促進するサービスや、変圧器や蓄電器に使用されてきた有害物質を適切に処分する事業をスタートさせた。現在は、官公庁に依頼されて廃棄物関連の調査業務を行うなど、事業の幅を広げている。
社員の仕事と子育ての 両立を支援
同社は、社員が働きやすい環境づくりにも積極的に取り組んでいる。その一つに残業時間の削減がある。毎週水曜日をノー残業デーに定めてからほかの曜日もほとんど残業がなくなり、効率的な働き方が浸透したという。
勤務時間の改善は、女性が活躍できる職場環境にもつながっている。同社の環境イノベーション事業部の女性社員2名は仕事と育児を両立させている。
入社9年目を迎える同部の佐々木さんは、産前産後休業・育児休業を取得し、今年復職した。
「今は短時間勤務制度を利用して9時から16時までの勤務なので、子どもの保育園への送迎もスムーズです。また、子どもの発熱などで早退しなければいけないときもあるのですが、周りの理解とサポートに助けられています」と笑顔で話す。
同部には若い女性社員も多い。佐々木さんは後輩のロールモデルになるために、仕事と育児の両立が図れるよう、時間の使い方などに工夫を凝らす。例えば、子どもの発熱などで急に帰宅することになっても困らないように、常に余裕をもって書類を作るようにしているという。
経営理念に共感する社員が 現場等を通して成長
環境イノベーション事業部で働く社員の中には、学生時代に環境分野を専攻した人が多い。入社2年目の菊池さんも大学で環境学を学んだ一人。加藤代表の経営理念に共感を抱いて入社したという。
「経営者と社員の距離が近く、全員で同じ目標に向かって挑戦できると感じて入社しました。環境保全に貢献し、より成長できるよう日々勉強です。」
菊池さんの仕事は、自治体などからの依頼を受けて、地域でどのくらいの量の廃棄物が排出され、どう処理されているのかといった廃棄物の現状調査や報告書づくりが中心。関係各所にアンケートやヒアリングをして報告書をまとめるが、ごみ処理の最新技術を知るきっかけになるという。
なお、同社では入社直後の研修でまず、ごみの収集運搬や処理工場などでの作業を経験する。現場の仕事の大変さを知ることで、ごみを減らす社会を作るという理念を改めて理解できるのだという。
ここがポイント!働くやりがい!
目標達成を支援する仕組みでエコとリサイクルを推し進める
同社では、社員一人ひとりの働く充実感を高めるために、収益を最大限社員に還元する方針を掲げ、各自が目標を設定し、実現するための支援に力を注いでいる。4 カ月に1回、加藤代表が社員と面談をして目標の達成度の確認や、目標を達成するために必要なスキルなどについてアドバイスを送る。この定期的な面談を通して知識や技術に磨きをかけ、日々の仕事の中で環境保全に貢献しているという実感を得ることが喜びにつながっている。
●第18号 (2019年9月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。