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菊川工業株式会社

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先輩の技術を若手も積極的に共有し 巧みな金属加工で建物の「顔」を創造

先輩の技術を若手も積極的に共有し 巧みな金属加工で建物の「顔」を創造

熟練の技と高いデザイン性を融合した金属加工で、建築物の内外装工事を手掛ける菊川工業。国内のみならず、世界を代表する建築家が揺るぎない信頼を寄せる。更に、これまで培ってきた実績や加工技術をデータベース化し、若手への技術継承にも取り組む。

金属加工技術を生かして建築家の要望をカタチに

 街中には金属製のオブジェを施したり、外装やエントランスに金属で意匠の凝ったデザインを装飾し、人々にとってランドマークとしての役割を果たす建造物がある。
 「金属には自由に形を加工できるという特徴があります。つまり、デザインと加工次第で、高級感や重厚感、先進性など様々なイメージを作り出せます」と語るのは宇津野社長。
 同社が得意としているのは、硬質である金属を自由自在に曲げ伸ばし、コンクリートづくりの建造物に見事になじませた造形など、建築物の内装や外装に用いられる装飾性の高い金属加工。繊細な技術や大胆な発想を駆使して、建築家たちからの要望に応え、信頼を勝ち得てきた。
 「建築家がデザインしたものを、実際に形にするのが我々の仕事です。2つとして同じ仕事はありません。新しいものを生み出したいという建築家の熱意に応えるためには、我々も知恵をしぼって、実物大模型の製作を繰り返すなどして、どのような方法で形にするか考える必要があります。困難を伴いますが、決して手を抜かないことを身上としてきました。それが今日の評価につながっているのだと思います」と宇津野社長は語る。
 オフィスビルや商業施設をはじめ、劇場、コンサートホール、学校など、同社の技術が求められるフィールドは幅広い。困難なものづくりを実現してきた実績と技術力が評価され、海外からの依頼も増えているという。
 入社2年目の齋藤さんは、大学時代、観光学部で学んでいた。研修などで海外を巡り歩くうちに建物の美しさに目覚め、同社に営業として入社。
 「美しい製品を生み出しているという誇りを胸に日々、取り組んでいます。一点一点オーダーに合わせて工程やお願いする職人さんも異なるので、営業の仕事は工程をどう管理していくかが大きなポイント。まずは、自分一人でもしっかりプロジェクトをまとめられるようになるのが目標で、ゆくゆくはお客様の一歩先をいく提案ができる営業になりたいです」と意気込む。

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納品したものを見たとき、街の景色を作っているという実感が湧いたと話す齋藤さん

研修と技術の体系化で 社員の成長を促す

 同社は、月に1回土曜日を出勤日とし、社内資格の受験や、教育・研修などを行っている。また、会社の費用負担で外部セミナーを受講することも可能だという。社員たちはこうした機会を利用して、自分が高めたい技術や学びたい知識をそれぞれのペースで身に付けることができる。
 「入社当初は建築のいろはも知らなかったのですが、研修のおかげでお客様と技術的なお話ができるようになりました。また、業務で必要なソフトウェアの使い方などもしっかり教えてもらえました」(齋藤さん)
 更に、同社では、一人ひとりに蓄えられた知識の共有を積極的に推進している。例えば巨大なステンレス板をゆがみなく曲げる技術、鏡面のように磨き上げる技術など、完成品の美しさを支えている技術は、どれもベテランの職人たちが独自に考え、積み上げてきた。そうした技術を次代へ伝えるため、設計図や手法の図解、工程表などを全てデータベース化し、全社員で共有できる仕組みを作り上げた。この取組によって製品のレベルが維持されるとともに、ものづくりに携わる技術者たちにとっては熟練工の技をいつでも体感し、自らの技術向上に役立てることが可能になった。

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建築会社との付き合いが深く、外装デザインや建具のオーダーに応えてきた結果、技術を蓄積できたと話す宇津野社長

前例にとらわれず 男性の育児参加も推進

 同社は、多様な働き方にも理解が深い。設計部でチーフを務める入社14年目の牧山さんは、子どもが生まれたばかりの頃、育児をサポートしたいと上司に相談したところ、3週間の在宅勤務が適ったという。
 「これまで男性社員で育児を事由とした在宅勤務の例はなかったのですが、快く背中を押してもらえました。前例にこだわらないのも当社の良いところだと思います」と振り返る。
 同社では今後、男性の育児休業取得も推進していくという。こうした多様な働き方を促す姿勢が、働きやすい職場環境につながっている。

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設計部門は一人ひとりに広い机が設置され、快適に仕事に取り組める

ここがポイント!働くやりがい!

街のシンボルを生み出す喜び テレビ局の社屋に据え付けられた巨大なチタンの球体や、ファッションビルの万華鏡のようなエントランスなど、同社が手掛けた物件は街の観光名所であることも多い。人々から注目される建築物の製作に関わる社員たちの喜びは大きい。また、著名な建築家や国内外を代表する設計事務所と仕事ができることもモチベーションと
なり、材料選びから金属加工、建築物の施工と作品の仕上げまで一貫して携わることで、ものづくりの達成感も味わえるという。

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過去の技術サンプルを展示。顧客は金属建材の様々な加工方法を見ることができる

●第19号 (2019年12月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。

企業情報

社名
菊川工業株式会社
設立・創業年
設立年 1933年11月
資本金
1億円
代表者名
代表取締役社長 宇津野 嘉彦
従業員数
202名(内、女性従業員数32名)
所在地
130-0024 東京都墨田区菊川2-18-12
TEL
047-492-0144(総務)