ライフラインを支えるために技術を注ぐ。 社員の声を起点に、働きやすさも向上
ガスのパイプラインの測量・設計を手掛ける協振技建は、ライフラインを守るという重要な役割を担っている。社員一人ひとりが主役という考えに基づいて、会社運営には社員の声が色濃く反映されている。更に社内コミュニケーションの場を多く作ることで、技術、やりがい、働きやすさの向上を目指している。
生活に欠かせない ライフライン網を支える
協振技建は都市ガスパイプラインを中心にライフライン網の整備に関する測量・設計を手掛けてきた。その足跡は50年以上に及び、現在は地図情報システムの開発、上下水道の測量・設計、建設コンサルティングなどへも事業領域を広げている。
東日本大震災や熊本地震の際には、同社の社員がガス復旧支援のために被災地に赴き、復旧工事の土台となる調査・情報整理に汗を流したという。髙橋代表は、社員たちの活躍を誇らしげに振り返る。
「当社の社員は日頃から社会貢献への意識が高く、『被災地を支援したい』と続々と名乗りを上げました。いざというときに自ら立ち上がってくれるのは実に頼りになります」
実践や先輩のフォローで 新人も成長
設立以来、同社が築き上げてきた技術は、研修と実践によって、若手社員へ着々と受け継がれている。
入社するとまず3カ月間の研修を受ける。最初の1カ月に社会人マナーを学び、2カ月目から測量や製図、設計の基本を習得する。入社2年目、設計課の伊藤さんは10名の同期入社の仲間と研修をともにした。
「研修で学んだおかげで、スムーズに職場になじむことができました。基礎知識がベースとなり、先輩に何をどう聞けばいいのかを整理しやすかったことも大きかったです。1年目から先輩のもとで大小様々なガスパイプラインの設計を経験でき、成長の手応えを実感しています」
実践と並行して、2週間に1回のペースで勉強会もあり、各自の事例や確認事項を共有。更に、大手ガス会社主催の研修に参加してガスに関する知識も深められるという。
測量部に所属する入社10年目の坂本さんは、若手社員の身近な存在として相談に乗る立場。
「自分から率先して声を掛け、相談しやすい雰囲気を作っています。測量技術は絶えず進歩していますから、私も会社が費用負担する外部セミナーなどを積極的に受講して最新技術を取り入れるようにしています」
やりがい向上委員会等で 働きやすい環境を作る
今年6月から月に一度、「ファミリー研修」をスタートした。これは、部署の壁を取り払った研修で、入社5〜10年目の社員が「親」、4年目以下の社員が「子ども」という設定で、6〜7名での「ファミリー」となって、子どもたちの相談事や企業の将来像などを話し合うというもの。
「ファミリーごとにコミュニケーションの予算も託されていて、どこに遊びにいこうかと楽しく話し合っています」(伊藤さん)
「若手社員にとっては他部署にも相談相手ができ、視野を広げるきっかけになります。親役の社員にはリーダーシップを磨いてほしいと期待しています」(髙橋代表)
また、若手社員たちと髙橋代表が仕事のやりがいについて意見を出し合う「やりがい向上委員会」や、社長が各部署を毎月回って現場の声を聞く「社長懇談会」、女性社員たちと社長が食事を楽しみながら意見を交換する「女子会」など、社員がトップに意見を伝える機会が多いことも、同社の特徴。
「女性社員の意見から、産前産後休業を延長する制度を新設するなど、社員の声から改定も行なっています」(髙橋代表)
「夏の暑さ対策として、作業着をファンの付いた空調着へ切り替えたいと社員間で話をしていたところ、今夏から導入が決定。自分たちの意見が反映されると、意欲も自ずと高まります」(坂本さん)
今後、IT活用によって業務を見える化し、個人の仕事量の偏りをなくすことで、業務の効率化を進め、将来的には在宅勤務も導入したいと、髙橋代表は意気込みを見せる。技術も、働く環境も、社員主導で更に進化を続けていく。
ここがポイント!働くやりがい!
目に見えないライフラインを最先端技術で支える
協振技建が担う測量・設計は、ガス導管工事の上流工程に当たり、ライフライン整備に関わる重要な役割を果たしている。ガス導管は地中にあり、普段目にすることはないが、社会を支えているという誇りは、社員一人ひとりの胸に刻まれている。パイプラインの図面をデジタル化する地図情報システム、GPSやドローンを応用した測量など、技術の進化も著しい業界だけに、技術者として常に最先端を追求できることも大きな魅力になっている。
●第18号 (2019年9月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。