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明京電機株式会社

明京電機株式会社 再起動はおまかせ!オリジナリティにこだわった製品で世界へ飛び立つ

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再起動はおまかせ!オリジナリティにこだわった製品で世界へ飛び立つ

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再起動はおまかせ!オリジナリティにこだわった製品で世界へ飛び立つ

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面白きことは良きことかなストーリー
再起動はおまかせ!オリジナリティにこだわった製品で世界へ飛び立つ

 ここにしかなくて、どこにでもある製品。ものづくりへのこだわりが生んだヒット製品で、日本を制し、いままさに世界へと打って出ようとするキラリと光る企業に迫った。

シェア100%のユニークな電子製品

 インターネットを使っている人なら、ブラウザのボタンを押しても接続中マークがくるくる回るだけでなかなかネットにつながらないという経験があるだろう。原因がわからないと、しばらくがまんして待ったりもしたものだが、無線LANルーターや回線終端装置(ONU)の電源を落として再起動するのが、道理にあった改善法だ。実はこれ、端末ごとに割り当てられているIPアドレスが重複して、信号が渋滞することで起こる現象。装置を再起動すればルーターがIPアドレスを順番に振り直して、スムーズに交通整理できるようになるというわけだ。 明京電機の主力製品は、この再起動を自動でしてくれる「リブーター」という装置。なんと国内のシェアはほぼ100%で、累計15万台を売り上げているという。
 「プログラムを独自設計し、遠隔操作できたり、複数の装置を順番に再起動できたり、他社にはないユニークな機能が詰まっています」
と寺地辰己取締役(取材当時)は自信をのぞかせる。
 およそネットワークにつながる電子機器は、どんな装置でも同じリスクを抱えている。家庭やオフィスなら気の利く人が再起動すればすむことかもしれないが、例えば屋外に設置されている電子看板や、高所に取り付けられている防犯カメラなどは数も多く、足を運んで再起動するのは負担が大きい。さらに原子力発電所や海上など容易に近づけない場所もある。そうした装置の状況を常に監視して、異常があれば自動で再起動できるリブーターがあると、サービスが停止する時間を最小限に留められる。
 「スケジュール機能を加えて自動で照明や電子看板をオン・オフしたりする分野の需要もあり、順調に引き合いも増えています」(寺地取締役 取材当時)

body1-1.jpg大手電機メーカー出身の寺地取締役(取材当時)。鋭い着眼点の持ち主だ

更なる飛躍を目指しアメリカ市場に参入

 こうした電子機器はかつて日本のお家芸だったが、コスト競争に敗れ台湾や中国企業に主役の座を奪われていっている。そんな中で、同社はニッチな製品ながら主役の座を明け渡すことなく、さらにこの数年で大きく販売台数を伸ばしている。
 「創業者だった先代社長が作り上げた『面白いものをつくろう』という社風が、いまもここには息づいていているんです」と現社長の山田和榮社長(取材当時)。
 同社は1990年の創業。技術者出身の先代山田駿社長が、ツテを頼って依頼を受けた部品や製品を開発・加工するところからスタートした。その後、時代が急速にIT化していく中で、パソコンを自動でオン・オフする機器や、ネットワーク用のLANタップを独自開発。2000年にネットワークリブーターを開発・発売するやいなや、大手通信会社などの目に留まり、一気に評判を高めていった。
 その先代社長が一昨年世を去った。悲しみくれる間もなく、同社は精力的に活動を続け、製品の改良と広報活動をむしろ強化していった。
 そして、同社は昨年から今年にかけて、二局面から大きな勝負に打って出た。ひとつはデータセンターなどで使われる大量のサーバを一斉に再起動させる装置をアメリカのメーカーから輸入し販売する事業に着手したことだ。
 「お客様からお問合せが多かったのですが、当社のラインナップにはなかった製品。メンテナンスや取り替え部品サポートも立ち上げて、事業継続性を求めるお客様の声にしっかり対応できる体制を整えました」(寺地取締役 取材当時)
 そしてもう一つが、アメリカ市場への参入だ。100%のシェアを固めている日本とは違って競合他社もいれば、多数の規制に対応した製品を新開発するなど、新規参入ならではの厳しさもある。
 「でも、IT先進国のアメリカで成功できれば、世界が注目するでしょう。そうすれば、先の展望も大きく開けます。自信はあります」と寺地取締役(取材当時)は言葉に力を込める。

body2-1.jpg「社員が支えてくれてここまでこれた」と山田社長(取材当時)

居心地の良い会社

 社員30人と小規模な会社だけに、お互いがお互いのことをよく知っている。新入社員が加われば、会社を挙げて食事会をして新しい仲間を歓迎する。
 加えて大きな飛躍を控えているためか、社員の顔は明るい。
 購買課の高野かおりさんは、25歳。2年前に前職の貿易会社から転職してきた中途入社組だ。現在は、主にサーバを一斉再起動させる装置を、注文に応じてアメリカのメーカーに発注し、取り寄せる実務を担当している。
 「個人の裁量でできるところが大きいのは、やりがいになりますね。しかも、前職に比べれば休みもきちんといただけていて、働きやすいです」
 海外製品に関連する書類を翻訳するとき、読みやすい日本語にならないのが目下の悩み。どうすればお客さんの目に留まり、ちゃんと読んでもらえるものになるか、試行錯誤の毎日という。
 高野さんの上司の田中信義さんも中途入社組だ。
 「居心地が良い会社。新卒でここに就職したら、他に移ろうと思えないと思います」と笑う。
 部品をいかに低コストで調達して、製品を効率良く販売していく。細かい作業を積み重ねて「小さい会社ですが、ちょっとした風でも吹き飛ばない会社に育てていきたい」と意気込む。
 創業以来の理想と蓄えた社員の力。その真価がいま試される。

body3-1.jpg「自分にできることを、見つけて、していくことを心がけています」と高野さん

編集部メモ

オリジナリティのある製品を送り出すことへのこだわり


 明京電機のリブーターに対する業界の評価は高く、すべてのものがインターネットにつながるIoT時代の訪れが近いといわれていることを考えれば、ニーズは爆発的に広がる可能性がある。展示会などに出品すると、自社製品にリブート機能を組み込みたいからと、核となるデバイス(内臓部品)を供給してくれないかと申し込まれることも少なくないそうだ。一見、良い話に思えるが、「それはありません。OSがいちばん大切。オリジナリティがある製品であることを大事にしている」と寺地取締役(取材当時)は断言する。
 あくまで自社製品として世に送り出し、リブーターという名前を浸透させることが、社員のモチベーションを高め、同社の開発力の源泉になっているというのだ。会社が進む道として、ひとつの理想形といえるだろう。

edit-1.jpg装置の電源を自動で再起動してくれる「リブーター」。明京電機の登録商標だedit-2.jpg「足腰の強い会社に育てていきたい」と話す田中信義さん
  • 社名:明京電機株式会社
  • 設立年・創業年:設立年 1990年
  • 資本金:3,000万円
  • 代表者名:代表取締役社長 寺地 辰己
  • 従業員数:34名(内、女性従業員数12名)
  • 所在地:114-0012 東京都北区田端新町 1-1-14 東京フェライトビル4階
  • TEL:03-3810-5580
  • URL:http://www.meikyo.co.jp