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日商印刷株式会社

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コンパクトな組織が育む互いを思いやる社風で 人々の生活をカード印刷を通じて支える

コンパクトな組織が育む互いを思いやる社風で 人々の生活をカード印刷を通じて支える

カード印刷を専門とする日商印刷。一口にカードといっても、金融機関のキャッシュカードからポイントカード、学生証まで種類は豊富。プラスチック印刷と情報管理を融合した信頼性の高い製品づくりには、専門知識が欠かせないだけに、複数の先輩社員がじっくり見守る中で未経験者が育つ環境を整えている。

ICカードにも対応したカード類の印刷に特化

 印刷物といえば書籍やパンフレット、ポスターといった“紙”を思い浮かべる人が多いかもしれないが、日商印刷は、プラスチックカードをはじめとしたカード印刷に特化した会社。都内の中小企業でICカードの製造を手掛けているのは同社だけだという。
 一口にカードといってもその用途によって兼ね備える機能は様々。例えば、金融機関のキャッシュカードや学生証なら、カード番号や写真、バーコードといった、所持する一人ひとりの個人情報を盛り込まなければならない難しさがある。金融機関系のカードなどは、数字が立体になる加工も必要になる。更に最近はICカードの普及で、個人情報などの電子情報をICチップに書き込み、カード本体に埋め込むプロセスも加わった。そのおかげでキャッシュレス決済、オフィスやホテル、住宅のカードキーなどにも用途が広がった。
 個人情報に関わる事故が発生すれば、社会問題に発展しかねないだけに配慮が求められる仕事といえる。それだけに関わるスタッフには慎重な姿勢が求められ、その人材育成は一朝一夕というわけにはいかない。
 「印刷は15世紀にグーテンベルクが発明した歴史の長い技術。その印刷がIT、つまり大量情報と融合するのですから、時代に合わせ印刷技術も大きく変化していかなければなりません。当社も常に進化する必要があります」(秋葉代表)
 最近は製造工程を“見える化”するべく、生産の進捗状況を共有するシステムの導入も進めるなど、新しい挑戦にも積極的に取り組んでいる。

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「デジタル時代だからこそ最新設備を導入し、顧客の期待に応える製品を提供したい」と秋葉代表

長期の研修期間を設け未経験者も大きく成長

 絵本に漫画、教科書など、生活の身近なところに印刷物があふれている。しかし、それがどうやって印刷されているのかを知る機会は少ない。同社でも印刷に関する知識を持って入社する人材はほぼいないため、人材育成は徹底して行われる。
とりわけ、技術系に配属された若手社員は製版や刷版、印刷、加工といった各工程を1年ほどかけて回り、プラスチック印刷の基礎をしっかり学ぶ。個々の習熟度がランク付けされるスキルマップは評価者の個人的な意見に偏らないように複数人が成長を見守る体制になっている。
 技術課と加工課を兼任する入社5年目の鳥越さんは、前職でITデータ整理業務に就いていたが、形になって目に見えるものづくりに携わりたいと同社に転職。ちょうど同社でICデータの作成に関わる機械を新規導入した時期と重なり、入社間もない鳥越さんは適性を評価されて主担当に抜てきされた。未経験ながらも責務を果たせたのは、先輩社員の指導のおかげと当時を振り返る。
 「今はIC発行機の専任ですが、これからも積極的に学び、社内の機械の全てを操作できるようになりたいです」(鳥越さん)
 同社で重視されるのは、経験の有無よりも本人の意思。研修で学び、活躍できるチャンスが同社には数多く存在する。

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鳥越さんが任されているIC発行機。デジタル上の加工も含めた総合的な技術が求められる

お互いを気遣う文化の中で働く環境の整備を進める

 製版課の杉山さんの前職は、文字の間違いや誤字脱字をチェックする校正者。10年前に同社に転職し、印刷の原本となる版を作る製版を主な業務としてきたが、事務職も兼任。経理の一部や仕入れ、発送、社員のタイムカード管理などの業務も担っている。
 小さい組織だからこそ、お互いを気遣う文化があることが魅力と杉山さんは言う。
 「一人何役もこなさなければならないときもありますが、たくさんのことが経験できて充実感があります。周囲の社員と助け合いながら、日々の問題解決に取り組んでいます」
 杉山さんは職場環境の良さをそう話す。
同社では、働く環境も整備されつつある。育児休業制度は現在利用者がいないものの、子育て中の女性パート社員が多いため相互に仕事をサポートし合う社風がある。例えば、子どもが熱を出したというときも、休暇を取得できるように周囲が機敏に調整してくれるという。また、残業時間の抑制や有給休暇の取得奨励など、働き方改革にも意欲的に取り組んでいる。

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杉山さんは製版から事務までマルチに活躍中。製版の後輩がほしいと熱望している

ここがポイント!働くやりがい!

カード印刷を通して、社会的責任を担う充実感
 今の時代、プラスチックなどのカードは、財布に複数枚入っているのが珍しくないほど人々の生活に浸透している。ATMで使うキャッシュカードや交通カード、学生証、更には家の鍵もカード化が進んでいる。現代社会では、カードが人々の生活に果たす役割は大きく、それだけに同社の社会的責任は大きい。多くの社員は、自分たちが手掛けた製品が人々の生活を支えているという使命感とプライドを持って、仕事に携わっている。

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品質を維持するためには工程間の連携も重要。改善点を思い付いたら、すぐに変えられる風通しの良さも根付く

●第18号 (2019年9月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。

企業情報

社名
日商印刷株式会社
設立・創業年
設立年 1970年5月
資本金
1,000万円
代表者名
代表取締役 秋葉 謙士
従業員数
41名(内、女性従業員数17名)
所在地
120-0047 東京都足立区宮城1-6-5
TEL
03-3911-2400
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