<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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城東地区 株式会社オレンジアーチ

株式会社オレンジアーチ 優秀なエンジニアを集め、社会に役立つ自社サービスの開発を目指す

株式会社オレンジアーチ

優秀なエンジニアを集め、社会に役立つ自社サービスの開発を目指す

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城東地区

株式会社オレンジアーチ

優秀なエンジニアを集め、社会に役立つ自社サービスの開発を目指す

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自社サービス開発ストーリー
優秀なエンジニアを集め、社会に役立つ自社サービスの開発を目指す

 「持てる技術をもっと社会に役立てられないか」。腕のあるエンジニアなら誰もが抱く思いを原動力にまい進するオレンジアーチ。そこにシステム開発会社の挑戦を見た。

優秀な人材を集めて自分たちのサービスを作りたい

 大規模なプロジェクトともなると1000人単位の人間が関わることになるシステム開発。一人ひとりに相応のスキルは求められるのだが、集団での作業であるがために、時に足並みを揃えることが優先され、特筆すべき能力を持った人間がいたとしても、埋もれてしまうことがある。それをもったいないと感じるエンジニアは少なくない。
 オレンジアーチの本山功代表もその一人。前職では大手のシステム会社に勤務し、1000人規模のプロジェクトを動かす立場にいた。その中で多くのエンジニアと出会い、優秀なエンジニアと一緒に、社会の役に立つサービスを開発したいという思いを募らせていった。「前職では、官公庁や金融機関といった大規模なユーザーを持つお客様のためのシステムを作っていましたが、自社のサービスを作りたいという思いはずっと抱えていました。踏ん切りがついたのはリーマンショックでした。エンジニアも厳しい状況に置かれ、別の道へ進む人も現れ始める中で、逆にそれを転機と捉え、どうせならこのタイミングで起業してしまおう、と考えたのです」
 こうして動き出した同社の2つの主要な事業のうち、一つはシステム開発。ただし、一般的にシステム開発と聞いてイメージする下流工程を担うプログラマーではなく、最も上流で顧客と直接コミュニケーションをとって、プロジェクト全体を推進していくコンサルタントの立場なのが特徴だ。
 すべての工程に精通する知識だけでなく、プロジェクトを動かせるだけの豊富な経験値が求められるため、業界全体で見ても人材不足と言われるのがコンサルタントという役割。優秀な人材を集めた同社だからこそカバーできる領域であり、取引先からの評価も高いという。設立8年目にして多くの官公庁や大企業から信頼を勝ち取っているのがその証拠だ。

body1-1.jpg自社サービスの立ち上げに熱意を燃やす本山功代表

画像解析技術の可能性に挑む

 もう一つの事業が、本山社長の念願でもあった新規サービスの開発事業だ。本格的に事業が動き出したのは2012年、同社と同じ北千住にある東京電機大学と協同で「esalon(イーサロン)」というアプリを開発することになったことをきっかけに、社内にR&Dという研究開発をする部門を立ち上げた。牽引するのは、20年務めた大手システム会社から転職し、R&Dの立ち上げにも携わった宇田竹信さんだ。
 「前職では社内のシステムを作るのがメインでしたが、自分の技術をもっと幅広い一般ユーザーや社会のために役立てたいと思っていました。今の仕事は、これまで自分がやってきたシステム開発にとどまらず、サービスをどう展開するかというマーケティング・ブランディング・プロモーションも考えなければなりませんから大変ですが、この歳にして新しいことにチャレンジできるのはわくわくしますね」
 まさに本山代表と同じ思いを抱えて転職してきたというわけだ。既にいくつかのサービスはスタートさせていて、先ほどの「esalon」もその一つ。これは撮影した顔の画像にさまざまな髪型を合成できるという人気アプリで、ダウンロード数は100万を超えている。
 「esalon」は一般ユーザーへの普及を狙った遊びの要素が大きいが、ここで使われている顔認識や輪郭線の抽出といった画像解析技術は、同社が最も得意とする技術で、さまざまな分野に応用できる可能性を秘めている。
 例えば、書類の文字を読み取ってデータに変換する「オフィスッキリ」は企業やビジネスマンの味方。また、体の不自由な方の視線を読み取って、意思疎通を支援する「eeyes(イーアイズ)」は障害者支援の観点から注目されている。特に「eeyes」は、オムロンが開催する「ヒューマンセンシングアワード」で2度グランプリを獲得するなど、社会的な評価も高いアプリだ。
 「いち技術者として、新しい技術を追求したい気持ちがある一方、ビジネスとしての側面や、ユーザーに望まれるサービスを提供するということも忘れられません。どれかに偏らず、バランス感覚を持ってプロジェクトを進めるように心がけています」(宇田さん)
 ドローンや人工知能と掛けあわせた構想も練っているといい、画像解析の可能性はまだまだ広がっていきそうだ。

body2-1.jpg宇田竹信さん、新たな挑戦の日々

頼もしき若手も育つ

 ここまで、システム開発の第一線を走ってきた二人のエピソードを紹介してきたが、ベテランでなければ活躍できない環境というわけではない。入社3年目の沼澤果奈さんは、プログラム未経験からスタートしてさまざまな経験を積んできた。入社後2ヶ月間の研修を終えると、R&Dの宇田さんのもとに配属。その4か月後にはシステム部に異動して、組み込み系の開発を担当。大阪で鉄道関連のシステム、東京に戻って業務用エアコンの室外機の組み込みシステムなど、2年半でさまざまな経験を積んだという。それにしても未経験の状態から、これだけ多くの現場を踏むことになり不安はなかったのか。
 「未経験だからどうということは考えませんでした。何をするにも未経験のことはありますから、不安に思っても仕方がありません。むしろ、いろいろなことを経験できるのは楽しいことでもありますよ」
 同社にはいわゆる「組み込み系」のシステム開発だけでなく、インフラ、アプリ、R&Dとシステム開発に関わるさまざまな分野に挑戦できる環境がある。沼澤さんのような意気込みなら、きっとこの環境をうまく生かして活躍することだろう。
 「いまは組み込み系を極めようと勉強中ですが、これからいろいろなことに挑戦し、その中から自分の興味がある分野を見つけ、『一芸一能』を身につけたいですね」(沼澤さん)
 前向きに技術を磨こうとする姿勢は、重ね重ね頼もしい。

body3-1.jpg沼澤果奈さん。未経験も気にしない頼もしさ

駅伝から生まれる社内交流

 システム会社はクライアントに常駐することが多く、社内で顔を合わせる機会が少ない。それだけに、経営者は社内の交流には気を使うものなのだが、R&Dの活動が社内でも根付いてきた最近は、他の社員からも意見が出されるようになり、交流が活発になったという。さらに、新人歓迎会・事業報告会・社員旅行・花見・納会など多くのイベントも数多く開催し、社員の一体感を醸成する。
 「どのイベントでも『やろう』って言うと、社員には『本当にやるんですか?』と反発されるんですが、やってみると『次はどうします?』と乗り気になってくるんです。きっかけを作ってあげることは必要だと感じていますね」(本山社長)
 設立8年目を迎えたオレンジアーチは、15年目までの残り7年で売り上げを倍増させるという目標を掲げている。優秀な人材が集まっているだけに、その能力がうまく噛み合った時に驚くべきイノベーションを起こしてくれそうだ。

body4-1.jpg社内交流の一環、チャリティ駅伝。本山社長、走る!

編集部メモ

一つの閃きが大きな進化を生む

 画像解析技術を使っておもしろいことを模索した結果、作られたのが写真を絵画風に加工するアプリ。一般的な加工ソフトと違い、被写体の輪郭をデータ化し、一旦鉛筆の線画を作成。そこに絵の具の風合いや筆の動きをシミュレーションし、絵画調に仕上げるというもの。
 実際の絵画の作成と同じプロセスを再現するだけに、仕上がりはリアリティがあって、狙い通りのユニークなアプリになっている。
 しかし、手の込んだ処理をするため、5分ほどかかるという難点があった。その高速化に頭を悩ませていたところ、開発チームに一つのアイデアが降りてきた。その一つの閃きをきっかけに、大胆なショートカットに成功。秒単位にまで処理時間を短縮できるようになったという。
 「かなり行き詰まっていた時だったので、閃いた時はみんなで大喜びでしたね。地味な作業も多いですが、たったひとつの閃きが劇的な進歩を生む。こういう瞬間があるのがソフトウェア開発のおもしろいところです」(宇田さん)

edit-1.jpg話題のPepperのアプリも開発中
  • 社名:株式会社オレンジアーチ
  • 設立年・創業年:設立 2008年
  • 資本金:2,000万円
  • 代表者名:代表取締役 本山 功
  • 従業員数:140名(内、女性社員20名)
  • 所在地:120-0034 東京都足立区千住1-11-2カーニープレイス千住ビル7階
  • TEL:03-5284-8687
  • URL:http://www.orangearch.co.jp
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください