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三立金型工業株式会社

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メーカーの部品から自社開発製品まで
使う人を笑顔にするものづくりの姿勢

技術の伝承から社会貢献にまで奮闘する町工場ストーリー
メーカーの部品から自社開発製品まで 使う人を笑顔にするものづくりの姿勢

 大田区で、約半世紀に渡りプラスチック製品の製造に携わる三立金型工業。同社の製品はサッシや網戸の一部であり、国内はもとよりヨーロッパ、アジア、北米、中東、北アフリカなど世界中に流通している。

「型」から製品の製造へ 年に3,000 万個作る製品も

 三立金型工業は、石田会長がプラスチック用金型の製造を生業として約50 年前に創業、現在はプラスチック射出成形(加熱したプラスチックを金型に射出し成形する製造法)を事業の核としている。同社の製品について分かりやすく言えば、最初はプラスチック製品を大量生産するために使う、溶かしたプラスチック材料を流し込む「型」を作っていた。それが、現在は型を使って作ったプラスチック製品を作るように変わったという。製品は主にインテリアサッシやロールスクリーンに使用される部品で、大手の住宅設備メーカーを通して三立金型工業の製品は世界中に流通している。多いものでは1種類で年間3,000 万個も作る部品があるというから、気付かないうちに同社製品を目にしているということも多そうだ。
 「実はこの業界は、金型は金型、射出成形は射出成形を専業とする企業が多いのです。しかし当社は歴史的にまず金型を作り、その後に射出成形に移ったため、両方の技術とノウハウを持っています。そこがメーカーさんから信頼を得ているところであり、当社の強みでもあります」(石田会長)

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創業者の石田会長 。自社製品の開発では陣頭指揮をとり、今も販路開拓や人材の育成に取り組む

自社製品を 使命感に駆られて開発

 同社は、メーカーから受注する部品製造の他に、自社製品の開発・販売にも取り組んでいる。
 「売上の比率からみれば自社製品は微々たるものですが、会長が使命感を持って作った製品ですので、わが社にとっては大切なものなのです」石田社長がそう語る自社製品が、女性用携帯トイレ「シーする〜ホッと®」だ。これは、2011 年の東日本大震災の時に、水や食料などの物資が不足したこともさることながら、女性用のトイレが不足し多くの人が苦しんでいるという報道を見た石田会長が、自社の技術を使ってなんとかできないかと思い開発した商品。座ったまま、人目を気にせず、繰り返し使用できるという特徴を持つ製品で、開発にあたっては女性従業員による開発チームを発足。約2年の開発期間を経てようやく製品化にこぎつけた。この製品に関しては一種の社会貢献という意味合いが強く、災害時に有意な製品として内閣府主管の一般社団法人防災安全協会より認定を受けている。

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自社製品の女性用携帯トイレ「シーする〜ホッと®」。社会貢献的色合いの強い製品だ

社会環境は変わっても ものづくりの喜びは不変

 大田区のものづくり企業は、20 年前に比べて約1 / 3 に減っているという。
 製造の仕事自体が海外へ流出していることに加え、人材難による後継者不足や技術伝承の難しさが影響している。
 同社では製造部の須田部長が品質管理の標準化(チェック表を作成、1時間ごとの抜き取りチェックのルール化など)に取り組んでおり、今後は伝承が難しい技術のマニュアル化にも力を入れるという。業務課の新井さんも「他社との横のつながりも多いので、学べる技術があれば、他社からでも学びたい」と貪欲だ。
 社内教育にも、これまで以上に力を入れている。須田部長を中心として月に1回社内ミーティングを行い、技術に関するミニ講習から、1ヶ月間の振り返りや、その間に起こったヒヤリハット(事故には至らないものの、その手前のヒヤリとしたりハッとする事例)の情報共有を行う。また、不定期ではあるが石田社長が自ら品質不具合についての対策や、安全衛生についての勉強会を行うこともある。勉強会は、石田社長自身も勉強しなければ開催できないため、それも含めてよい学びの場になっているということだ。
 「昔とは社会の環境が変わってきていますが、考えたものを形にできる、作ったものが世界に広がり、使った人が笑顔になるという、ものづくりの喜びは変わりません」(石田社長)。
 そうした気持ちに共感できるという人材と、これからの三立金型工業を一緒に作っていきたいと、笑顔で語ってくれた。

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二代目の石田社長。工場長と共に、古いものづくりのあり方を改革中

ハツタロウー・ケンジロー・なびでんちゃんのもっと知りたい!

多様な人材が和気あいあいと働ける職場
 組立、検査といった工程では、多くの女性社員が活躍しています。年齢も30 代から60 代まで幅広く、外国籍の方もいるのですが、コミュニケーションは円滑で、皆で楽しく働いています。そこで役立っているのが休憩時間の「おやつタイム」! 皆で好きなおやつを持ち寄って、交換しながら食べています。特に楽しみなのが月に1度、会長が美味しいお菓子を差し入れしてくれる日です。その日は皆、テンションが上がりますね!この会社は会長、社長とも話がしやすく、皆で和気あいあいと仕事ができるので、とても働きやすい職場です。
(第二製造 谷畑さん、品質管理 堀田さん)

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おやつタイムはコミュニケーションを深める大事な時間

●第15号 (2018年12月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。

企業情報

社名
三立金型工業株式会社
設立・創業年
1970年1月
資本金
2,000万円
代表者名
石田 保
従業員数
20名(内、女性従業員10名)
所在地
146-0082 東京都大田区池上2-8-15
TEL
03-3754-1901
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