<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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多摩地区 テクノブレーンズ株式会社

テクノブレーンズ株式会社 プロとは、 自ら考えて答えを出せる人のことである

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プロとは、 自ら考えて答えを出せる人のことである

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多摩地区

テクノブレーンズ株式会社

プロとは、 自ら考えて答えを出せる人のことである

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電気産業の日はまた昇るストーリー
プロとは、自ら考えて答えを 出せる人のことである

 電気電子関連産業で、新規市場の可能性を確信して邁進するテクノブレーンズ。技術力・開発力を駆使した品質で業界の未来を担う。

曲がり角を迎えた電気電子産業

 「先日もある住宅メーカーから引き合いがあったのですが、これまでと全く違う分野の企業から仕事をいただくことが増えています。それもこれも、これまでお取引いただいた電気関連の会社の方々が、テクノブレーンズに頼めば安心と紹介してくださっているからなんです。うれしい限りですね」と話すのは同社の池口雅之社長だ。
 同社は、コンピュータの黎明期ともいえる 1962年の創業。国内電気メーカーの依頼で、インチで表記されているアメリカ製のコンピュータの設計図をセンチ表記で引き直し、ライセンス生産をサポートするところから同社の事業はスタートした。以後、電子機器の心臓部である電子回路の設計から、外装のデザイン、組み込みソフトや専用半導体の設計、そしてそれら全てを統合して開発・設計から据付までをトータルで受託するサービスを提供している。同社の名前が表に出ることはまれだが、だれもが知るパソコンや、レジのPOSシステム、携帯電話の基地局、さらにはスーパーコンピュータまで、設計・開発に携わった製品は数知れない。
 ほとんどは電子機器メーカーや通信機器メーカーからの依頼が中心だったのだが、ここに来て増えているのが、くだんの住宅メーカーなどだという。
 「自宅で発電というのが普及していますし、あらゆる家電にセンサーがたくさん組み込まれるなどして、家そのものが電化製品になってきていることの表れでしょう。自動車も急速に電子機器化が進んでいますから、今後はそうした依頼も増えてくるかもしれません」と市況を分析する。

body1-1.jpg池口雅之社長は変化の激しい市場で新たな顧客探しに余念がない

高い技術力とふところに飛び込む力

 近年、日本の電気電子関連産業は元気がない。アジア企業の勃興で、価格競争に続々と敗退。かつて日本の屋台骨を支えた半導体事業から白物家電にいたるまで撤退縮小を余儀なくされ、大手電機メーカーによる事業部の売却や、メーカーまるごとの身売り話が相次いでいる。
 そんななかでもテクノブレーンズはしたたかに、力強く生き抜いてきた。
 「価格競争になったら、東南アジアの同業他社にはまずかないません。だからこそ、それを超える付加価値を提供することをつねに目指してきたのです」
 テクノブレーンズが提供する付加価値とは、一言でいえば品質だ。長年の経験に裏打ちされた技術力・開発力で、どのような仕様を提示されても製品化へ結びつけてきた。
 加えて「ふところに入り込む力」の重要さを池口社長は強調する。
 「プロジェクトによって私たちに期待されている役割は様々です。とにかく短納期で開発してほしいということもあれば、任せるのでじっくり取り組んでほしいという場合もある。そうしたニーズに的確に応え、満足を提供し信頼を紡いでいく。そうやって厳しい環境を生き抜いてきました」
 そこで大切になるのが「個々の能力」だという。
 「指示通りの仕事ができてもプロとしては不十分です。社員一人ひとりが現場で求められているものを嗅ぎ取るセンスや、考えて答えを出す力をもっている。それが我が社の一番の自慢です」

body2-1.jpg顧客の思いに応える力をもったプロフェッショナル集団

町を歩いていて自分が作ったものに出会える喜び

 設計部機構課の奥田康夫さんは、テクノブレーンズに勤務して20年になるベテラン。学生時代は電子工学を専攻していたが、配属されたのは機構設計。当初は知らない用語が飛び交って戸惑うことも多かったという。
 「先輩が親身にサポートしてくれて、最初の壁はクリアできました。それ以降、お客様の要望を聞いて自分で答えを考えるということをとにかく厳しく教えられました」
 現在は、自身が後輩を指導する立場になり、自身も設計を行いながらチームを率いるプレイングマネージャーとして活躍している。後輩には自律的に考えることを教え込みながらも、その新しい考え方に刺激を受けることもしばしばという。
 「街中で自分たちが作ったものを目にする機会もあって、そのたびに誇らしい気持ちになります。いつかは大きなグループを束ねるプロジェクトリーダーとして仕事をしてみたい」と夢を語る。

body3-1.jpg新しい顧客の仕事は知らないことを経験できて楽しいと奥田康夫さん

日進月歩の技術。この仕事は一生が勉強

 製品開発課の加藤武さんは、他社で20年電気回路設計に従事していたが、去年の春、テクノブレーンズに転職した。転職してまず気づいたのが設計から製造まで行っている同社ならではのよさだ。
 「回路図を引いていて、ここにどの部品を使おうかと考えている時に、すぐに社内でその部品を入手でき、それを使って間違いないかを確認しながら回路図を作れる。信頼性が高いのも納得です」
 前職と同じ電気回路設計に携わっているが、扱う製品や使う技術には違いが多く、猛勉強中という。
 「お客様が知っていて私が知らない技術があったら、私も知りたい。この仕事は一生勉強です。一つでも引き出しを増やして、私の提案でお客様が喜んでくれたら、それが一番うれしいですね」
 考えて答えを出せるプロたち。日本の電気電子産業の新たな輝きになるべく、日々奮闘する。

body4-1.jpg転職1年目。顧客の信用を勝ち取るために奮闘中の加藤武さん

編集部メモ

現場の、現場による、現場のための裁量権


 池口社長は、「徹底して現場に任せる」ことを信条にしている。後輩を教育するのは現場の先輩で、求職者を面接して採用するのもそれぞれの部門の部門長だ。従って池口社長は一切口を出さない。
 「心配がないといえば嘘になりますが、してもしょうがありません。機構設計と電子回路では技術者同士が話していても通じないくらい、求められる知識も仕事の進め方も異なります。技術者ですらない私がすべてをわかろうとするのは、おこがましいくらいです。採用も教育も、現場の人間が、どうすれば現場がよくなるか考えて、やるべきことです」と力説する。
 そこまで大きな裁量権を与えられれば、社員のモチベーションは否が応でも高まる。「この会社には、仕事の好きな人が集まってくるんですよ」と池口社長はいうが、その「好き」も、現場重視の施策によって社員の内から引き出されたものかもしれない。

edit-1.jpg成長が実感できる企業ですと語る加藤さん