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株式会社風技術センター

株式会社風技術センター 未来の都市環境創りに風洞実験装置と模型作りで貢献する

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未来の都市環境創りに風洞実験装置と模型作りで貢献する

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ユニークな技術ストーリー
未来の都市環境創りに風洞実験装置と模型作りで貢献する

 世の中にはこんな仕事があったのか。そんな表現がぴったりの事業を展開する株式会社風技術センターは、高層ビル化に伴う風環境への影響を分析する研究者や技術者にとってなくてはならない存在である。風洞実験と言われてもなんのことやら想像もつかないが、ビル風の実験と言われると納得される方も少なくないだろう。実は、誰もが一度は目に耳にしたことがあるであろう有名ビルやタワーも事前にこの装置を使ったテストが行われ、その影響を多角的に分析し建設されているというのだ。そんな高技術でニッチなビジネスを展開する中小企業の活躍ぶりを紹介する。

風を測定する方法

 高層ビルがひしめく西新宿はじめ、六本木や大手町といった都心のオフィス街。見上げると首が痛くなるほどの高層ビルを目の当たりにすると、よくもまあ、こんな大きなものが建てられるものだと感心してしまうが、高層ビルが我が国に誕生して半世紀。これまでに様々な問題に遭遇し、それを解消し歴史を重ねてきた。
 実は大正年間に未曾有の震災に見舞われた我が国では、百尺規制という高さ制限によって基本的には31mを超える建築物は建てられなかった。事実、60年代の丸の内周辺は、まるで切りそろえられたかのように建物は31mで統一され、その整然とした街並みは丸の内スカイラインと呼ばれ多くの人の目を楽しませていたという。ところが、高度経済成長期に入り、オフィスビル需要や東京オリンピックに向けたホテル需要が増えたにも関わらず、狭き国土は如何ともし難く、しからば、上に行くしかあるまいとなり、法規制が見直され、堰を切ったように高層ビルが次々とお目見えしたのだ。
 戦後復興のシンボルともなった高層ビルであったが、一方で日照権や景観を損なうなど、問題が次々にクローズアップ。中でも想定外と騒がれ出したのが、ビル群を歩いているときに見舞われる突風、いわゆるビル風である。たかが風と侮るなかれ、ケースによっては、最大瞬間風速20メートル、つまり歩くのが困難なほどの風が吹き荒れることもあり、訴訟問題にまで発展することもある。それだけに、高層ビル建築を計画する場合、事前にビルが建ったことによる周辺への風の影響、加えてその建築物そのものにかかる風の強さを測定し、対策を講じるのが常識となった。そうした時代のすう勢もあって誕生したのが、日本初の風工学専担メーカーとなる株式会社風技術センターである。
 「施工予定のビルが建ったときの街並みをミニチュア模型で再現し、そこに風洞という装置によって起こした風を吹き当てて、建物自体とその周辺に吹く風を観測し、実環境への影響を分析するのが風洞実験です。風洞実験を行うのは風工学の専門家や大学の専門学科ですが、その方々の多様なニーズにお応えして実験装置や実験模型を提供するのが私たちの事業です」
 と解説するのは永田幸代表取締役会長。何やら、ハリウッド映画の撮影現場でやっていそうな仕掛けだが、映画と違って確かなデータを取らなければならないのだから、そこでは素人が想像できないような緻密さと、それを成し得る高い技術が求められる。事実、同社の高い技術力と蓄積されたノウハウは他の追随を許さないようで、特に風洞実験模型の分野では同社が国内シェアの7割を占めているのだという。
 「風を自然に沿って再現するのも一朝一夕にはできませんし、ミニチュアの街もリアルさが徹底して求められます。この事業はこの両輪があって初めて成立するのです。わが社では風を再現する風洞製作部門と街を再現する模型制作部門を分けて、事業を推進しています」
 そう語る吉田智哉係長は入社10年の中堅社員。学生時代から風洞製造一筋というプロフェショナルだ。

body1-1.jpg同社の事業内容を語る永田幸代表取締役会長

高度な技術とノウハウが凝縮した風洞

 一口に風洞といっても、装置内に人が入れるほど巨大なプラントもあれば、卓上に収まるほど小型の装置もあるというが、装置の形によって大きく2種類に分かれる。ひとつは装置内の風をぐるぐると循環させるために回廊のような形になっているゲッチンゲン型風洞。密閉された風路を風がループするため気流が安定するのが特徴という。もうひとつがエッフェル型風洞。こちらは直線のみで、プロペラによって起こされた風は風路を通過し模型に当たった後、吐出口から吹き抜けていく。低コスト、省スペースが特徴だ。
 「風洞の肝は風路にあります。プロペラで起こした風は、整流胴、縮流胴、測定胴を通過することで徐々に、自然界で吹いている風へと変化していくのです」
 風が最初に通過するのは整流胴で、ハニカム構造という蜂の巣状の穴のあいたボードや金網を風が通り抜けることで風が均一になる。扇風機を思い出してみれば分かりやすいが、プロペラの中央部分は風が弱いが、外側は強い。それを平均化するために、ハニカムや金網で風の勢いを調整し、さらに風を縮小させる縮流胴を通し、均一精度を上げ、風は測定胴へと流れ込む。
 「整えられた風はここで建築予定地域の風へと変化します。具体的にはスパイヤーという三角形の板やブロックを配置することで自然界の風を模擬しています。分かりやすく言えば、海っぺりなどの風が強い地域であれば、スパイヤーやブロックの数を減らし、高層住宅地などの遮蔽物が多いところはそれを増やすなどして風を調節するのです」
 そうして再現された風は、建築予定の建物に付けられた風圧計や模型の市街地部分に設置された風速計によって測定される。いうまでもなく、自然界の風を再現するには、、流体力学をはじめとした学問上の知識は言うまでもなく、これまでの経験があってこその代物だという。中には、製作に一年かかるような大掛かりなプロジェクトもあり、一層の困難を極めるが、完成したときの達成感はひとしおだと吉田係長は笑みをこぼす。
 同社の風洞は各方面から評価され、大学などの研究機関やゼネコンからの注文が途切れないという。それに負けず劣らずの定評を得ているのが、装置内に置く模型の制作技術である。この模型制作はまさに職人技である。

body2-1.jpg風洞の仕組みを語る吉田智哉係長

建築予定地域をくまなく歩きまわる

 「模型といってもメインの建物はもちろん、周辺建物までリアルに再現していきます。模型を置いていく円型の土台は大体、直径2mのものを使いますから、縮尺が400分の1ならメインの建物を中心とした直径800mの街並みを再現し、700分の1なら直径1400mの街並みを再現していくことになります」
 と話すのは模型部一筋17年目のベテラン、笠原善明さんだ。メインの建物は図面を読み込んで縮尺に合わせて、レーザーカッター、丸鋸盤、近年では3Dプリンターなどを活用しスケール寸法と寸分たがわぬよう制作する。その精巧さもさることながら、特筆すべきは周辺地域の再現度の高さである。地図や航空写真だけを頼りに作るのではなく、その周辺地域をくまなく歩き、建物の形状を逐一メモするというのだ。
 「地図で見たら単なる円柱の建物でも、実際にそんな建物は滅多にありませんからね。段々になっているマンションなら、その特徴をメモし、大きな看板があればそれも記録します」
 もっと言えば地図にあっても取り壊された建物や増築した建物もある。そうした変化も全て記録するのだという。そうして採取したデータを元に一軒一軒、丸鋸盤などを使って手作業で制作していく。驚くべきはその作業の手際よさだ。小さいものならものの数分で完成してしまうという。
 「子どもの頃からプラモデルやジオラマを作るのが好きでしたし、時間をかければいくらでも綺麗な模型が作れますが、納期があっての仕事ですから、どうしてもスピードが求められます。正確なデータが取れる精巧な模型を期日までに制作するのがプロの仕事だと考えています」
 模型部では女性も活躍しているという。模型制作課の杉山玲さんは、入社してすぐに模型部に配属。5年目に産休を取り、復帰してまた模型制作で緻密な作業に没頭する。
 「ものづくりが好きでしたし、穏やかな雰囲気の職場環境も気に入っていましたので、辞めようとはまったく思いませんでした。男性が多い職場なので、その分、女性に優しいんですよ」
 現在は時短勤務をしているという杉山さんは、子どもが小学校に上がるタイミングで通常の勤務時間に戻し、バリバリ働いていきたいと話す。高い技術力を誇り、労働環境も申し分ないという同社。ものづくり好きには魅力たっぷりの企業といえよう。

body3-1.jpg模型制作の仕方を語る笠原善明係長

編集部からのメッセージ

環境再現装置へ

 同社の風洞技術は建築分野のみならず、スキージャンプのトレーニング施設の風洞などのスポーツ分野にも手を広げている。こうした様々な分野にチャレンジするとともに、装置の改良も進めていきたいと永田会長は抱負を語る。
 「通常の風だけではなく、台風や竜巻といったものの再現も需要がありますし、もっと言えば、雨や雪、砂塵の実験をしたいという声もあります。ですから目指すべきは、環境再現装置だと考えているのです」
 そう遠くない将来、あらゆる自然現象を再現する実験装置が開発されるかもしれない。

edit-1.jpg繊細を極める模型制作作業。その目は真剣そのものだ

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