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株式会社山之内製作所

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製造業を縁の下から支える立役者 ものづくりの醍醐味あり、居心地抜群

一生働ける技術を磨いて仕事の面白さを深められるストーリー
製造業を縁の下から支える立役者 ものづくりの醍醐味あり、居心地抜群

自動車や家電の部品・部材は、めっきや塗装の表面処理加工を施され、組立てられている。山之内製作所は、その表面処理を容易かつ正確に行うための装置「治具(じぐ)」を製造販売する。製造業を支える影の立役者として、来年で設立50 年の節目を迎える同社は、社員が口をそろえて「居心地が良い」と語る働きやすさが特徴だ。

工業製品の必須アイテム モデルチェンジが商機


 治具は、工業製品には欠かせないアイテムだ。中でも、山之内製作所が手掛ける治具は、製品の表面処理加工になくてはならないもので、例えば、車の外装のロゴマークやフロントのバンパー、ライトの反射板、車内の装飾パネル、カーナビのボタンまで、多岐にわたるパーツの加工に使用されている。車のほかにも携帯電話や一眼レフカメラ、ノートPC、釣り道具など、様々な製品が同社の治具で表面処理加工され、世の中に出回っている。
 「当社の仕事は、日々目にする大手メーカーの様々な製品に関わっています。そのため、どんな製品も当社の技術が関与していると考えると、すごくやりがいを感じられますね」
 量販店で商品を見ても塗装やめっき方法をつい検証してしまうという山之内丈人社長は、治具の魅力を生き生きと語る。
 製品のモデルチェンジがあれば、必ず新しい冶具が必要になる。乗用車は2年でマイナーチェンジ、4年でフルモデルチェンジがほぼ決まっている。
 「モデルチェンジへの対応は、精度の高さに対するお客様の要望も、納期も厳しいですが、お客様に当社の価値を認めていただく最大のチャンスです。また、世に出回る前のデザインを最も早く見ることができるのもこの仕事ならではですね」
 同社の冶具は、国内の部品メーカーから、世界中の拠点に運ばれ、使われている。大手メーカーのIT化や海外展開がどれほど進んでも、同社の冶具は、造業を陰ながら支える、真の縁の下の力持ちとして、必要とされているのである。

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一眼レフカメラの外装パーツを容易かつ正確に、黒く塗装するための治具。顧客から依頼された通りにつくることもあれば、「複雑な形だから新しい治具を提案して」と言われることもある

現場と研修の技術伝承で 一生働ける技術が身に付く


 治具はコンマ数ミリの違いでその出来が評価される。最新の機械でどんなに精密に加工しても、最後は人の手で微調整しなければならない。
 「機械と職人の合わせ技で仕上げますから、77 歳を筆頭に、70 代の50 年選手が何人も、バリバリの現役で活躍しています」
 一方、若手は機械操作を中心に携わり、経験を積む中で、ベテランの手業も次第に伝授され、一生働ける技術を身に付けることができる。さらに、大手機械メーカーでの1 週間にわたる合宿研修に参加することもでき、それぞれが得意分野を持つ約30 の協力会社に依頼すれば、各社の現場の見学も可能など、希望に応じて、社外でも技術を学べる機会が用意されている。経験の有無にかかわらず、意欲に応じて学べるからこそ、一生の仕事になるのだ。

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若手にもどんどん仕事を任せる一方で、悩んだときには先輩が親身に相談にのってくれる。機械メーカーの合宿や協力会社の見学などから学んだ知識やスキルを、現場で生かすことができ、毎日が成長のチャンスの連続だ

答えがない仕事だからこそ 個々の創意工夫が勝負


 同社では、数人がかりで数カ月かけて製作する大型の治具から、緻密な作業で同じものを数千個単位でつくる治具まで、多種多様な治具を扱っており、社員一人ひとりの性格や、やりたいことなど、適性に合わせて仕事を任せている。
 治具のつくり方に唯一の正解はなく、個々の創意工夫が試される。それゆえに毎回、新しい治具を開発し、日々、常に新しい仕事に向き合う難しさと面白さがあると、山之内社長は言う。
 「マニュアル通りではなく、別のやり方で工夫できないか、常に自分で考えていろいろ試せるのが、当社の仕事の醍醐味ですね」
 入社5 年目の武田仁さんも、最近仕事が面白くなってきたと話す。
 「何日も試行錯誤し、自分の努力が形になった試作品を上司に見せて、OKをもらったときが一番うれしいです」
 もちろん、一発でOKをもらえることは稀で、先輩に相談しながら、何度も作り直すこともある。そんな苦労を経て、顧客から「これはいいね」と自分の予想以上に高く評価されると、意外性と喜びが倍増する。
 こうした仕事のやりがいに加え、同社では、あらゆる経験を通じて社員が成長できる風土も培われている。
 製造と営業を担当し、ベテランとして現場もまとめる小野寺誠さんは、若いころ、取引先に反発し、ある仕事をなくしてしまった。しかし会社から責められることはなかったと話す。
 「いい経験になったなと言ってもらえて。失敗は次への糧だと学びました」
 中堅社員の井手尾誠さんも、「困ったことがあっても上司や同僚にすぐ相談できます。居心地が良すぎて、誰も辞めないんですよ」とにこやかに語る。その言葉のとおり、直近5年間での定着率は8割以上と高く、若手もベテランも活躍している。
 仕事の後には、よく飲みにも行くが、家族と過ごすことを大切にしている社員には一切、強制しない。むしろ後輩から「一緒に飲みに行きましょうよ」と先輩に気軽に声をかけることもあり、社員同士の密な交流が垣間見える。一人ひとりの技術と仲間とのつながり、そして自主性を尊重される仕事で、製造業の本当の面白さを味わうことができる。

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「最初はペンチもうまく握れず、手のひらにマメができますが、基礎的な知識や技術が身に付けば、自主性を生かして仕事に取り組め、面白さが実感できるようになります」(写真左から小野寺さん、武田さん、井手尾さん)

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社員お気に入りの休憩スペースが工場のそこかしこに!


 事務作業用の部屋を、僕は休憩場所としても利用しています。弁当を食べたり、短い昼寝で午後の仕事に備えたり(笑)。こぢんまりしたスペースでぼーっとするのもいい気分転換になって。
 工場のそこかしこに、こうした、各社員それぞれのお気に入りの休憩場所が点在しています。みんなうまく休みながら、集中して仕事に取り組んでいます。時にはチームで相談しながら試作品をつくる仕事もありますが、基本的にはどう仕事をするか、個々の裁量が大きいので、工夫のしがいがありますね。(武田さん)

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武田さんが休憩場所にしている小部屋。工場は限られた広さながら、みんなお気に入りのマイスペースを確保している。社員それぞれのペースで休憩をとり、仕事にまい進できるのも、社員の自主性を尊重する同社ならではの働き方だ

●第13号 (2018年6月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。

企業情報

社名
株式会社山之内製作所
設立・創業年
1969年
資本金
1,000万円
代表者名
代表取締役社長 山之内 丈人
従業員数
30名(内、女性従業員6名)
所在地
124-0006 東京都葛飾区堀切7-4-13
TEL
03-3602-1135
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