東京カイシャハッケン伝!

MENU

ヤシマ工業株式会社

  • 中央・城北地区
  • 建設業・不動産業

6カ月間の研修で改修工事のプロを育成し、建造物の寿命「100年」を目指す

6カ月間の研修で改修工事のプロを育成し、建造物の寿命「100年」を目指す

1804年に創業され、マンション・ビル等の改修工事を専門に手掛けているヤシマ工業。古くなったら壊して建て替えるという旧来の発想ではなく、「壊さないことへの挑戦」を理念に、100年使える建物を目指している。建築の技術やノウハウを身に付ける研修制度も充実させ、業界未経験者にも門戸を開いている。

社会的な課題や環境問題から新市場を開拓

 建物の長寿命化を使命とし、主に改修工事を行うヤシマ工業。同社は、建物を長く使うためにはアスベストが悪影響を及ぼすことを予見し、いち早くこの問題に着眼。社員を技術力の高いアメリカに派遣して、アスベストの除去技術を習得した。以来、改修工事に加え、アスベスト除去工事のパイオニアとしても業績を伸ばしていった。
 「当社の前身となる会社は、1804年に外壁の防腐効果のある渋柿に目をつけ商売を始めました。これも当時としては画期的なビジネスでした。他社に先駆けてアスベストに取り組んだのは企業のDNAともいえるでしょう。40年程前からアスベストの除去や調査に取り組み、その実績は2,000件を超えています」と小里取締役は胸を張る。
 創業時より大切にしている企業理念は、「建物を壊さないことへの挑戦」である。一般的にマンションなど鉄筋コンクリートの建造物であれば、メンテナンス次第で100年の耐久性が見込めるという。
 「築数十年で古くなったからと取り壊すのはもったいないですし、取り壊した建造物から出る廃棄物は環境破壊につながります。地球環境のためにも、私たちは、建物を壊さずに長く使うことを考えています。ですから、新築工事はいっさい引き受けていません」と小里取締役。
 もちろん、同社の技術力への信頼は高く、大地震に備えての耐震性や災害に強い建物への改修工事など、「建物を壊さない」分野で市場を広げているという。

body1-1.jpg
「建物100年時代。今ある建物を大事に、後世に残すことが当社の理念」と語る小里取締役

6カ月の手厚い研修や資格取得もサポート

 同社が行う改修工事は、住民が生活している中で行われるケースが多い。そのため、現場では技術力だけでなく、住民への対応力も求められる。新人・ベテランを問わず、どの社員でもプロとしての知識を持てるよう、同社では6カ月と長期にわたる新人研修を実施。ビジネスマナーや工事の基礎知識などを座学や現場研修、OJTなどで身に付けていく。
 また、建設会社は理系出身者の職場というイメージがあるが、同社では文系と理系が半々の割合だという。入社4年目、営業部の森谷さんは入社当初をこう振り返る。
 「文系出身ですが、現場研修のおかげで、座学だけではイメージできなかった専門用語を理解することができました。見積作成業務にも、学んだことが生きています」
 また、資格取得の支援も徹底している同社。建設現場に必要とされる資格には、建築施工管理技士や建築士などがある。同社では、それらの資格取得のために、資格学校の受講料や書籍購入費、受験料の費用などは、会社が全
て負担している。
 「受講料や受験料は経済的に負担になります。しかし全面的に支援してもらったおかげで、一級建築施工管理技士の資格を取ることができました。自信がつきましたし、より仕事が楽しくなりました」と入社10年目、工事第2部の増田課長代理は語る。

body2-1.jpg
「現場での専門用語が分かるようになると、お客様との電話も楽しくなります」と森谷さん

社員の家族ももてなす忘年会

 同社では、建設会社として多くの現場を抱えるため、社員同士が顔を合わせる機会が少なくなりがちだという。それだけに忘年会や社員旅行などの社内イベントが貴重な交流の場となっている。
 「忘年会は、家族同伴も可能。クリスマスには社員の子どもにプレゼントを渡しています。社員が子どもたちに自慢できる会社を目指しています」と小里取締役は話す。
 また、プライベートの時間をしっかり取れるようにと、毎週水曜日をノー残業デーとする取組や、社員同士が気軽に食事ができるよう飲食費の補助を行うことで、社員の交流を後押ししている。

body3-1.jpg
各工事現場の状況を集約する本社スタッフ。現場との連携プレーがお客様への信頼につながっている

ここがポイント!働くやりがい!

現場の数だけスキルが身に付く 建物をゼロから建設する工事とは異なり、改修工事は、現場の状況や建物の傷み具合など、現場ごとに工事の内容が大きく異なる。つまり、その現場の状況に合わせて臨機応変に対応しなければならない。工事の手間は掛かるものの、担当した現場の数だけのノウハウが身に付き、技術者としての技量が上がることになる。長年使用された建物の良いところは生かし、新たに生まれ変わらせることができることに、社員たちは喜びとやりがいを感じている。

edit-1.jpg
改修工事の実績例を展示。ビルやマンションなど数々の物件を手掛けてきた

●第20号 (2020年3月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。

企業情報

社名
ヤシマ工業株式会社
設立・創業年
設立年 1964年11月
資本金
1億円
代表者名
代表取締役 小里 洋行
従業員数
94名(内、女性従業員数26名)
所在地
165-0026 東京都中野区新井2-10-11
TEL
03-6365-1818