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アリオス株式会社

アリオス株式会社 常に新しい技術への挑戦 <br>超高真空技術・プラズマ技術で 先端技術分野の研究開発に貢献するモノづくり。

アリオス株式会社

常に新しい技術への挑戦
超高真空技術・プラズマ技術で 先端技術分野の研究開発に貢献するモノづくり。

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輝く技術 光る企業

アリオス株式会社

常に新しい技術への挑戦 超高真空技術・プラズマ技術で 先端技術分野の研究開発に貢献するモノづくり。

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  • 社名:アリオス株式会社
  • 設立年月:1972年8月12日(昭和47年)
  • 資本金:1,500万円
  • 代表者:有屋田 修
  • 所在地:東京都昭島市武蔵野3丁目2番20号
  • 本社:東京都昭島市武蔵野3丁目2番20号
    TEL:042(546)4811(代)
    FAX:042(546)4814
  • 公式HP:http://www.arios.co.jp/
  • 真空管といえば、既に過去の技術として語られることが多く、レアものや一部のマニアの垂涎の商品として真空管アンプなどで取り上げられる程度というのが一般的な認識ですが、長年に渡り蓄積された関連技術は、プラズマディスプレイや蛍光表示管(VFD)などにより、現在に継承されています。また、X線発生源やマイクロ波発生源等、高度で先端的な用途では真空管が主力部品として現在も多数使われています。アリオスは、戦前・戦中の真空管の開発を出発点にして、戦後は、大学・企業の研究開発の一翼を担う真空・プラズマ技術を蓄積してきました。そして真空・プラズマ技術の研究開発は、やがて、デジタル革命を引き起した半導体市場の爆発的成長によって、大輪の花を咲かせることとなります。
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業種

真空機器、研究開発機器の設計製造販売

事業紹介

真空計、分子線セル、プラズマ・ラジカル・イオン源、実験用装置、半導体製造装置の設計・製造・販売

自己主張はしていませんが、アリオスの製品・技術は、いつも皆さんのそばにいます。

「真空技術は、直接一般の人が目にする事はほとんどありませんが、私たちの生活のあらゆる部分のベースになっている重要な技術です。」アリオスの有屋田社長は、真空技術のポジションをこのようにお話しされました。「私たちが取り組んでいる研究開発機器は、次世代を担う技術開発に使われる事が多く、新製品発表など、やっとあのときの研究が実用化になったのかと感動する事も多くあります。ただ残念ながら私たちの名前が出る事はありません。それは、特許や企業秘密に関わる案件だからです。あくまで「縁の下」が私たちの活躍の場です。」B to C企業の様に最終製品を造るモノづくりではなく、その最終製品に搭載されている部品や先端技術を共同で開発する。それがアリオスの製品・技術です。したがって、『ここがアリオス製だよ。』と自己主張はできないのです。「当社の代表作としては、日本標準時(時報)は情報通信研究機構(NICT)で発信していますが、そのもとになる原子時計と呼ばれる周波数標準器の一部は、私たちが製造したものです。ですから、日本中いや世界中で当社の技術・製品に触れ合う機会はあるのです。」有屋田社長の説明は続きます。「では、当社がお取り引きしている業種・分野ですが、共同研究・開発として持ち込まれる案件は、宇宙開発関連から食品や半導体関連まで上げればきりがないほどあらゆる業種にわたっています。しかし、先にお話ししましたように残念ながら多くを公表できません。作っているのは、工場に入る装置ではなくその前段階の試作機や開発機がほとんどです。ですから、直接最終製品につながるものは少ないのですが、宇宙開発や半導体・デジタル家電などあらゆる先端技術分野に、何らかの形で関わっている事が多いですね。」

arios_ph01.jpg 有屋田 修社長

真空機器は、ある程度のアソビが必要。それがメーカーのノウハウなのです。

昨今は、業種を問わず不況状況が続いており、研究開発への投資も大きく影響を受けました。アリオスも、研究開発の凍結などで影響を受けました。「当社の真空機器の多くは、研究機器ですから、ねじ一本に至るまで手作りの場合があります。一例として気象関係で少しでも軽くするために、樹脂製のねじを開発したこともあります。一品一様ですから、一般常識でみると高価なモノとなりますね。手のひらに乗るようなちょっとした機器で、自動車1台分の価格になるものもあります。」そのように高価な真空機器ですが、中で可動させる部分は、意外と精密ではNGだとうかがいました。 「真空機器では、外側は精密というか気密性が要求されますが、中で可動させる部分は、それではだめなのです。大気中では、空気があることによって、それが潤滑剤の役割を果たしていることが多いのですね。ですから、真空中ではある程度のアソビがないとうまく可動しなくなるのです。取引先で精密加工にたずさわっていた方から、設計した可動部が動かないということをお聞きし、当社スタッフが調整すること等もたまにあります。また、接する面同士の金属の相性の問題もあります。真空状態ということは、外部から大気圧が掛かり、たわんだり、ひずんだりすることもあります。そのような金属の変形やたわみを考慮してモノづくりを行います。これは、独特のノウハウが必要で、精度を出せばよいというものではないので、付加価値がある分野なのです。新しい技術で不況を乗り越えたいですね」

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様々な研究開発プロジェクトにも参画。

デジタル家電やハイブリッド自動車・電気自動車等で必要とされる、制御用デバイスの1つとしてパワー半導体と呼ばれるものがあります。現在はシリコン半導体が主流ですが、今後は大幅に高性能なGaNやSiCなどを使用した半導体に置き換わって行きます。「これらの高性能半導体がこれから電気自動車関連等においてロスの少ない制御技術を担う主力部品として注目されています。そしてさらに究極的な高性能が期待されるものにダイヤモンド半導体があります。次世代の半導体候補として国の研究機関である産業技術総合研究所などでも研究開発が進められるなど、この分野の研究が日本国内で活発となってきており、当社でもその開発の一翼を担っています。最近開発したダイヤモンド合成装置は、プラズマ技術を駆使し、今までの装置に比べて5分の1以下の電力で同様のダイヤモンドの合成が出来るとの評価を頂きました。」 この他にも、様々な研究プロジェクトに参画しています。「2008年と2007年は、国からの支援を受け、山梨大学と共同研究を行いました。これは質量分析技術を使ったもので、気体を超高感度に測定する物です。この研究は、安全・安心科学技術プロジェクトとして文部科学省から支援を頂き、爆発物などを検出する装置の開発を行うというものでした。具体的には、警察犬の代わりに臭いを嗅ぎ分ける機械を開発する様なイメージです。この成果をベースに次のステップへ向けて研究を継続しています。将来、私たちの技術を搭載したロボット犬が活躍するかも知れません。また、現在東京大学・北海道大学とマイクロ波を使用して、ナノ粒子の生成に関する共同研究を進めています。」 有屋田社長、そしてアリオスの挑戦は続いていきます。

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真空・プラズマ技術はフロンティアワールド、理系・文系も関係ありません。

アリオスでは、技術者の能力向上のために、日本真空協会が開催する真空夏季大学、日本真空工業会が開催する真空ウォーキングコース、各種社内講習会等による研修を行っています。社員も真空技術者資格の取得を目指しています。 一方、アリオスでは、真空技術・プラズマ技術を活用して新しい事に挑戦する事が多いため、好奇心・探求心の旺盛な人、特に機械や電子機器をいじるのが好きな人が求められます。有屋田社長からは、人材についてこのようなお話をいただきました。 「真空の部品は、メーカーが決めている規格がそのままISOの世界標準規格となっているものが多いのです。目立つのは、ヨーロッパ、ドイツ・フランス・イタリア・イギリス・スイス等ですね。そういった海外メーカー製の部品を使用する場合も多く、英語の取扱説明書を読んだりするために、中学生レベル位の英語力は身につけていると良いと思います。あとは、ルーティンワークでこなせる仕事は少ないので、新しい物や技術に興味のある人なら特に理系・文系はあまり関係がありません。少し特殊な分野なので、新たに吸収すべき知識・経験が多いのです。学校で習った事は社会に出てからはあまり役に立たないと言う人も多いですが、数学や物理など高校レベルで習った事が、新たな知識のベースになるのは言うまでもありません。」  日本の叡知を支えていくのは私たちだという誇りと向上心があれば、専門的な知識や能力は後からついてくる。多くの人材を育てた有屋田社長ならではの信念なのです。

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先輩メッセージ
最先端技術の研究者達とセッションできる数少ない会社です。

技術部 鶴本 諒さん 私の仕事は、主にお客様との打ち合わせから設計・製品の組み立てが中心ですが、時には検品、そして納品と、営業的な仕事までを担当する事もあります。当社では、部品の加工は外部に委託しています。組み立て作業は、社内で行いますが納期が厳しい場合、まれに徹夜作業で仕上げることもあります。その時はでっかいプラモデルを組み立てているようで楽しいのです。 しかし、落としたらパリンと割れてしまうような部品もありますので、組み立て時には細心の注意が必要です。前に、プラズマを発生させるための石英で造られた部品を落として壊してしまいました。幸い、スペア部品が用意してあったので、事なきは得ましたが。非常に高価で製作に時間のかかる部品でもあり、このことが原因で納期が遅れてしまうようだと大変だ、と肝を冷やした事がありました。 つい先日なのですが、お客様から「納品した製品で、狙い通りのいい成果があがったよ。」といわれました。当社の製品は、研究室でこのような研究成果を狙いたいのだが、どうすればいいか提案してくれ。というようなオーダーが多いです。日本の名だたる研究者の研究を陰で支えているという手ごたえが私の誇りであり、アリオスで仕事をしていてよかったと感じる瞬間でもあります。 それゆえ、仕事を楽しむことができています。

arios_ph05.jpg 技術部
鶴本 諒さん

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先輩メッセージ
独自の膜生成技術で次世代の半導体開発に取り組んでいます。

技術部 下村 浩司さん 現在、私の担当している業務は、GaN(ガリウムナイトライド)やダイヤモンドなどの研究開発用の装置調整と実際の薄膜生成などです。半導体の最先端技術であると学界等で発表され、周りからも最先端を走っているといわれますが、実際は、膜生成までで具体的にLEDなどのデバイスまでを作っている訳ではないので実感としてはやや薄いです。でも、この半導体の開発は将来省エネルギーなどの役に立つ技術ですし、開発の一員に遠巻きながらも関わっていることは、素晴らしい誇りとなっています。 ダイヤモンド半導体開発の場合、工業用ダイヤモンドを使用してその上に数μmオーダの膜をいくつも造って重ねていきます。実は、メタンガスからダイヤモンドを作っているのですが、一般的には想像できないかも知れません。それは、透明な膜であるため判別は肉眼ではほとんどできませんので、評価はお客様にお願いする事になります。 『いい半導体になりそうな膜ができているよ。』とお客様から褒められると、それまでの苦労や疲れも一気に吹っ飛んでしまいますね。 今はようやく会社の環境にも慣れてきましたが、入社時に、怖いという意識が薄いこともあって、プラズマ発生用のマイクロ波発生器のコネクター接続を間違って、燃やしてしまった事があります。その時何が起こったのか判別できず、一瞬固まってしまいました。幸いにして、けが人もなく、火事にもならず、事なきを得ました。当社に限らずモノづくりをするということは、当然危険な道具や機械を使用することでもあります。その時に、どのような危険があるかを十分に察知するためにも、学校で勉強する科目の知識はきちんと知っていることが大切だなと痛感しました。また、正しい専門知識と技能を体系だって習得する為に、猛勉強をして真空技術者の資格を取得しました。『コネクターが燃えた事件』は怖い笑い話となっていますが、そのことが教えてくれる教訓を胸に毎日、新しい薄膜生成技術確立を目指した挑戦を続けていきます。

arios_ph07.jpg 技術部
下村 浩司さん

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