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株式会社東電工舎

株式会社東電工舎 数千万円以上する産業機械の重要部品を1点ずつめっき処理する職人の技<br>職人の手作業が必要な単品もののめっき処理。品質管理システムのISO9001を導入して次世代に技術をつなぐ

株式会社東電工舎

数千万円以上する産業機械の重要部品を1点ずつめっき処理する職人の技
職人の手作業が必要な単品もののめっき処理。品質管理システムのISO9001を導入して次世代に技術をつなぐ

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輝く技術 光る企業

株式会社東電工舎

数千万円以上する産業機械の重要部品を1点ずつめっき処理する職人の技 職人の手作業が必要な単品もののめっき処理。品質管理システムのISO9001を導入して次世代に技術をつなぐ

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  • 社名:株式会社東電工舎
  • 設立年月:1924年
  • 資本金:1000万円
  • 従業員数:-
  • 代表者:代表取締役 山田 英佐夫
  • 社員平均年齢:45歳
  • 初任給:240,690円
  • 主な勤務地:本社
  • 休日:土曜:月3回、日曜、祝日、当社カレンダーによる。
    有給休暇、夏季・冬季休暇あり。
  • 本社所在地:東京都墨田区吾妻橋 3-10-9
  • 電話番号:03-3622-8111
  • 公式HP:http://www.azuma-p.co.jp/
  • 芳香めっきやフォト金めっきプレート、抗菌めっきに消臭めっきといった多彩なめっきの新技術を開発してきた株式会社東電工舎という会社がある。最先端のめっき技術開発が中心の会社かと思いきや、事業の柱となっているのは産業機械で使われる重要部品のめっき処理。1点ずつ手作業でめっき加工していて、長年にわたって培ってきた職人の技が物を言う仕事だ。
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事業紹介

私どもは「まかせられる企業」になりたいと日夜努力しています

【品質は東電工舎にまかせておけば大丈夫】
毎日のめっき液管理、作業毎のめっき条件管理、作業方法管理、受注時の受注伝票発行によるめっき仕様管理を通して品質の安定に努めています。 その実績が評価され、納品時の検査を省略する資格をいただいている大手企業もあります

【納期は東電工舎にまかせておけば大丈夫】
早期にコンピュータを導入し、納期管理を行っています。その出力をもとにして毎朝社員全員で外部委託も含めて進行状況の確認を行います。

【コストは東電工舎にまかせておけば大丈夫】
めっきの単価としても安心しておまかせいただけるよう、生産会議では毎回コスト削減計画の進捗と実績を確認しています。

【まかせられる人材の育成】
個々の社員に目標があり、その目標達成のために日々努力しています。 一方、技能の偏りを防ぐために多能工化を図り、だれでも何でもまかせられる人材を育成しています 新たな加工にチャレンジすることも出来るまかせられる人材育成のため社内、社外のシステムを活用しています。

【技術は東電工舎にまかせておける】
常に移りゆく最新の技術の情報を集め、工業用めっきの動向を把握しお取引先様との技術打合せに臨みます。 私どもだけでカバーしきれない場合は外部の力をお借りして、技術開発、試験を行なっています。 1999年にはその成果として工業用めっきを開始しました。

【めっきなら何でも東電工舎にまかせておける】】
お取引先様にとって有用なめっき委託先であり、相談先でありつづけるためにめっきに関しては何でもお話に乗れる体制作りを進めています。 幸い、多くのめっき関連の仲間、金属加工の仲間があり、お取引先様のあらゆるご要望にお応えできる体制を持っています。
例えば……円筒研削、センタレス研削、平面研削、研磨(バフ、ベルト)、金、銀、金色、亜鉛、無電解ニッケル(リン、ホウ素、複合-テフロン、セラミック)、金属加工(プレス、溶接、機械加工等) また、量産品でも単品(試作品)でも大物でも小物でもそれぞれ最適の工場で加工いたします。

「まかせられる」実績によりお取引先様との信頼関係を太いものとし共に伸びていく企業になりたいと考えます

大型部品にめっき処理。量産品よりも困難な単品ものを扱う職人の技

金属などの表面に別の金属薄膜を被せることで、装飾性・機能性を向上させるめっき。国内にはさまざまなめっき加工会社があるが、その中でも株式会社東電工舎は、産業機械に使われる1メートル超の大型金属のめっき処理など、特異な依頼にも応えられる技術力を持つ会社だ。 「金、銀はもちろん、亜鉛、ニッケル、ゼオライトなど、あらゆるめっきに対応しています。量産品も手掛けますが、単品ものが得意ですね」と語るのは、同社3代目社長となる山田英佐夫代表取締役。1924年から続く老舗企業の舵取りを担っている。 産業機械の中でも同社に依頼されることが多いのは、印刷機やプレス加工機で使う部品のめっき処理。「一般的なめっき加工工場では、手のひらに数百個も収まるような極小の部品を量産していますが、当社で扱う印刷機やプレス加工機の部品はスケールが大きく、重いので、一つずつ職人の手作業でめっきしています」(山田氏) 山田氏によれば、顧客からは図面でめっき加工の指示が届き、図面に描かれた寸法と違わぬ精度で1点ずつ仕上げていく必要がある。量産品なら次第に慣れるだろうが、単品ものなら一発勝負。まさに職人の技が問われる仕事になる。

03.jpg 代表取締役 山田 英佐夫 さん

ISO9001取得を機に次世代への技術継承を進める

「産業機械の価格は、数千万円から数億円にもなります。単品ものに関しては代替品がありませんから、失敗は絶対に許されません」と山田氏は強調する。 それだけに、技術の継承は東電工舎にとって最重要課題となる。そこで同社は、品質管理の手法を定めたISO9001の認証を取得。ISO9001の手法を取り入れることで技術ノウハウを蓄積し、次世代に伝えていけるよう、着々と準備を進めている。 「多くのモノづくり企業がそうであるように、当社でも技術者の高年齢化が進む一方、若い人材が育たないという問題を抱えていた時期もありました。そこでISO9001に則って技術者の育成を図ったところ、技術習得が速まり、若手技術者が定着するようになったのです」(山田氏) 職人の世界では、一昔前まで「技術は見て盗め」と言われていた。そのために技術の習得には何十年もの時間が掛かり、1人前になったころには既に定年退職間近になっているようなことも。しかし、それでは社会の変化に追いつけず、若手社員も会社から離れていってしまう。そこでISO導入を機に熟練技術者の意識改革も進め、若手が働きやすい職場づくりも意識してきたのだ。 「特にノウハウを記録化していくことで、技術の正確な伝達が可能になりました。口頭での指導の場合、細部の指導があいまいになったり、目分量になったりしていましたから。また、失敗から得たノウハウも伝達されにくい状況でした。しかし、マニュアルとして残す習慣を付けることにより、正確で分かりやすく、指導者がいない場合でも、若手が学べるようになっています」と山田氏はISO導入後の変化を語る。 技術の習得が容易になれば、若手技術者のモチベーションも上がりやすくなる。いつまでも半人前扱いされるよりも、信頼して仕事を任されれば、当然ながらやる気や責任感が芽生えてくる。もちろん五感を使うことで初めて覚えられることもあるだろうが、五感を使って覚えるにしても、マニュアルがあるのとないのとでは習得の速さが違うと山田氏は話している。

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めっきの次なる可能性を求め新しい技術を開発

東電工舎では大学や大手企業と提携し、新しいめっき技術を共同開発している。例えば、香水の匂いが1年間持続する芳香めっき、細かなくぼみを金属表面に付けるディンプルめっきなどだ。 被せる金属の組み合わせ次第で、これまでにない機能を持つめっきが生まれる可能性は十分にある。「それまでめっきを用いていなかった部品であっても、めっき処理をすることによって、生産性を向上させたり、問題点を解消したりすることが可能だと思います。また、ある目的で開発を進めていためっき技術が、まったく別の用途でも使えることがあります。そうして消臭・抗菌めっき、芳香めっきなどの新しい技術が生まれました。めっきは、とても面白い技術ですよ」と山田氏は目を輝かせる。 現在、東京都鍍金工業組合の高等職業訓練校の講師も務めている山田氏。今後ますます、若者に向けてめっきの面白さやモノづくりの魅力を伝えていきたいと意気込みを語っている。

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先輩メッセージ
単品のめっき処理は難しいが、日々新鮮な気分を味わえる仕事


一柳さん

――転職して東電工舎に入社されたと伺いました。めっき技術は、どのようにして身に付けられたのでしょうか。
前職も技術職でしたが、転職時にめっき業界の知識はありませんでした。仕事を覚えるまで一筋縄にはいきそうにないと思っていましたが、先輩方の丁寧な指導があり、東京都鍍金工業組合の高等職業訓練校にも1年間通わせていただき、めっきについての詳細な知識が得られました。心配していたよりも比較的早くノウハウを習得できたと思います。 技術者の数が少ない当社では、受け入れから前処理、めっき、検査・出荷まで、すべての工程に携わることができます。一貫して携われば成果が目に見えて楽しいですし、工程を丸ごと任されることに対して大きなやりがいを感じます。大手の工場だと部分工程にしか携われませんから、こうはいかないでしょう。 また、当社は量産品の受注が少なく、単品での作業がほとんど。極端に言えば常に異なる種類の仕事に携われますから、日々新鮮な気分が味わえます。 確かに、初めて手掛ける仕事が多いですから、効率化が図れず、技術的にも難しさを感じることはあります。しかし、創意工夫して無事にめっき加工できると、より大きな達成感が得られます。 取り返しのつかないような大きな失敗をしたことはありませんが、上手くいかないことは少なからずあります。しかし、会社がISO9001を取得して、これに則った手法を取り入れてから、全社的に失敗が減り、品質が格段に上がるようになりました。 この仕事にはゴールがありませんので、より早くより正確に作業ができるよう、自分自身の技術力を高めていきたいと思います。常に向上心を失わないようにしたいですね。

07.jpg 一柳さん
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