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株式会社 電子制御国際

株式会社 電子制御国際 インパルス試験機のパイオニア<br>次世代型インパルス試験機のさらなる研究開発を目指して

株式会社 電子制御国際

インパルス試験機のパイオニア
次世代型インパルス試験機のさらなる研究開発を目指して

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輝く技術 光る企業

株式会社 電子制御国際

インパルス試験機のパイオニア 次世代型インパルス試験機のさらなる研究開発を目指して

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  • 社名:株式会社 電子制御国際
  • 設立年月:1968年1月(昭和43年)
  • 資本金:5,000万円
  • 代表者:中村 謙二
  • 所在地:所在地:東京都羽村市神明台3-33-6
    【本社工場】東京都羽村市神明台3-33-6
    TEL:042(554)5383(代)
    FAX:042(555)7380
  • 公式HP:http://www.ecginc.co.jp/japan/
  • 1969年に誕生した電子制御国際は、高精度のインパルス巻線試験機の製造・開発で世界トップシェアを誇る業界ナンバーワン企業だ。インパルス巻線試験機とは、液晶TVや、自動車などに使用される各種モーターなどに使われている絶縁皮膜の状態を検査する機械だ。同社試験機については、検査の信頼性が高いと評価を受け、世界80%超えのシェアを有する。国内のみならず、中国や韓国、台湾などにも多く納入。若い人材を上海現地法人に送り込み、サービスの質向上に努めるなど海外の顧客開拓にも意欲的だ。
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業種

インパルス巻線試験機、総合試験機の製造・販売、メカ製品、モータトランス用振動計、その他検査装置のシステム開発・製作・販売

「日本だからこそ希少性の高い商品開発で勝負する!」

今日は、若い社員とのパイプ役でもある営業課リーダ中村さん(取材当時)に話を伺った。 「皆さんは、インパルス巻線試験機をご存知ですか?車のドアミラーやワイパー、いろいろなところで使われているモーターやトランスなどの巻線コイルにインパルス電圧を印加し絶縁皮膜の状態を調べる検査機です。最近では、ハイブリッドモーターカーの駆動モーター検査にも使われています。他にも液晶テレビの画面発光に使われているインバータートランスの検査やパソコンの冷却用ファンモーター、冷蔵庫やエアコンのコンプレッサーコイルの検査など、普段なにげなく使用している家電製品や自動車、電車等の車両にも当社のインパルス試験機で検査された巻線コイルなどが多く使われています。インパルス試験機の仕組みは、ある一定の電圧を基準となる良品の巻線コイルに印加し、コイル内部の電圧変化を減衰波形としてインパルス試験機に記憶します。記憶された波形とテストする巻線コイルが良品であれば、同じ波形を描きますが、絶縁状態が悪い場合は記憶された波形よりも小さな波形が表示されます。弊社の試験機は、長年の取り組みから信頼性が高いと認められ、現在では日本が6割、それ以外にも中国や、タイ、ベトナムでも高いシェアを誇っています。海外からの問い合わせも多いですね」と笑顔で語る中村さん。 「弊社では、製造開発から販売まで一貫して手掛けていますが、中国シェアも意識し、現地法人を立ち上げ上海でも現地向けの製品を製造しています。近年では希少性の高い、特殊な製品製造に心掛けています。例えば、都の水道局で使われている水漏れを検査する漏水発見器も弊社で開発しました。以前は、水道管の漏水を調べる場合、水道管から伝わる漏水の振動音を検査作業者が耳で聞いて漏水の有る・無しを検査していましたが、これは作業者の音を聞き分ける長年の経験に頼った職人作業であり、誰しもが出来ることではありませんでした。最近はこの様な職人も少なくなったため、誰でも簡単に漏水を発見出来るようにパソコンを使ってモニタリングできる漏水発見器を開発しました。他にも産学連携で環境浄化をテーマにした研究開発にも取り組み、排気ガスを浄化する高電圧電源の開発にも取り組んでいます。どんどん新たな製品が開発され、世の中に出回る時代なので常に最新のインパルス試験機や環境浄化にも取り組んだ製品開発にも対応できるように企業努力をしています」

denshiseigyo_ph01.jpg 中村 謙二さん

「小さくてもメーカー不況のときでも攻め続けられる」

「弊社はこの業界では世界トップシェアを誇る企業となりましたが、バブル崩壊後、当時の社長が業界への危機感を抱き、1996年に上海に現地法人を出したことが始まりでした。私も当時は、メンテナンスの部署でカスタマーサービスという立場で海外に出させてもらっていました。そのときの経験が今でも役に立っています。いろいろな人と仕事して自分の視野が広がりましたね」と中村さんは振り返る。「これからも社員全員、必要があれば海外へ行きます。海外への新規開拓はしなくてはならない。不況だからこそ止まっているわけにはいかないのです。海外へ行くことによって日本の不況と海外の好景気を肌で感じることが出来ます。昨今では、モノづくりの拠点は中国や東南アジア諸国が中心になっています。この羽村近辺でも、モノづくりの工場が少なくなってきました。技術と新たな道に踏み出す勇気があれば小さくてもメーカー、不況のときでも『攻めの営業』ができるのです。景気が良いときは黙っていても仕事が外から来ますが、こういう世の中では社員も経営を意識してスキルアップしていく必要があります。日本のモノづくりの社会が急激に変わる中で、生き残る為に自分たちで創意工夫して本当の社会全体のニーズを考える必要があるのです。日本は日本、海外は海外ということで、事情も違います。実際に海外へ行ってみて、状況を掴んで出来ることがあればやっていきます」と中村さんは意気込む。

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「自分たちの世代の新製品を生み出したい」

「今、ガーナ出身の社員がいるのですが、彼が、水道局で使われている漏水発見器をガーナでも使えないかと考え、ガーナ人の知り合いに相談したところ、現地で水道管の水漏れの検査をする事ができました。アフリカ諸国では水は貴重なものであり、少しの水も無駄には出来ません。弊社の技術が少しでも遠くアフリカの地で役立つのであればとてもうれしいです。今後は、前の世代で確立した既存の製品だけではなくて、インパルス巻線試験機以外でも何か新しい製品を、自分たちの世代で生み出したいなと思っています。世の中のお役に立てることをしたいと思っています」

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中村リーダ(取材当時) 後輩へのメッセージ
電子制御国際は、30代後半を中心に若い人材を起用する風通しの良い企業でもある。

現在は、営業6名、新規製品の開発を手掛けている部署・企画開発課が5名、それ以外は製造(1課、2課)、事務などで合計31名の組織だ。 「少ない人数で企画開発からすべて自社でやっていますので、新たな技術を開発するために大手企業で研究開発していた方も複数当社に来て頂いています。これからの時代は営業も英語以外の多言語を使える人材も必要です。やる気さえあれば社長や上司の方々も見てくれていますから、会社に多少迷惑かけるくらいの気持ちで自発的にどんどん進めていくことが大事だと思います。私自身も失敗から学び、新たな糧としてきたので、これからもチャレンジを続けます。枠にとらわれない人材が、これからの厳しい時代を生き抜くために中小企業にとって最も必要です。ぜひ、皆さんも自分の枠を作らず、世の中からはみ出す気持ちでチャレンジしてください」と中村さんからあたたかいメッセージをいただいた。 電子制御国際は、次世代型インパルス試験機のさらなる研究開発も進め、業界ナンバーワン企業としてますます発展していくに違いない。

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先輩インタビュー
1993年入社

企画開発課 甲斐 賢一さん 「私は、職業能力開発総合大学校(現在)の電子科を出て、システムエンジニアとして製造開発課に配属されました。名刺は上海の現地法人のものですが、これは5年前に自分で手を挙げて中国国内の設備を中心に指導教育担当で行ったときのものです。また行くこともあるのでそのままにしています。上海法人では、システムを作った経験がほとんどない中国人をOJTに近い形で1年間、日本で教育して、現地法人に戻して分からない部分だけをまた教えにいくようにしています。私が行った頃には、現地スタッフの文化の違いや常識の違いもあって生産性に危機感を感じたこともありました。それが今では、だいぶ改善されてきて、ただ言われることをやるのではなくて、プラスアルファ何か自分たちで作るなど販売意欲も出てきています。それを上の人に報告できるのはとても嬉しいことです。実際に行ってみなければ分からないこともいっぱいありますが、小さい会社なのでいろいろとできることがあります。この会社では、社長とも直接話せて、フラットに自分の意見が言えます。海外に住むことができました。そういう場を作ってもらえたことに会社に大変、感謝しています」 後輩へのメッセージ 「少数精鋭で風通しが良いのが弊社の魅力でしょうか。常に新しいことを採用しています。これまで社長が窓口となって率先してやっていたのを、そろそろ自分たちでやらないといけないと思っています。これはよく例え話で人に話すのですが、「象のような会社で蟻のような仕事をしたいのか。それとも蟻のような会社で象のような仕事をしていきたいのか」と。僕の場合は、後者でした。そう考えれば迷ったときにも結論がでるのではないかと思います。こういうものがつくりたいと自発的に勉強して、ものづくりができる人、育っていくことができる人が必要です。ものづくりは人ですから。こういうものをつくりたいという発想があって、お客様に喜んでもらいたいというのがスタートです。 世の中に受け入れてもらえるかどうかはやってみないとわからないので、とにかくやってみることですね」

denshiseigyo_ph08.jpg 甲斐 賢一さん

先輩メッセージ
2003年入社

製造課 荒井 渉さん 「僕は、尊敬する甲斐先輩と同じ出身校で、学校で卒業生がいる求人票を見ていたら、優秀な先輩が入っているということで、学校が紹介してくれることになりました。甲斐先輩には、入社したばかりの頃からお世話になっています。内定の後、僕は入社前からアルバイトとして働いていました。ちょうど入社直前がハイブリッドの開発時期で、会社がすごく忙しくなって1ヶ月半位学校帰りの6時に出社して12時から1時位まで働いていました。そういう経験があったから入社式のときには落ち着いていられましたね。入社して1年目のときに出張で愛知の<トヨタ>まで先輩と行かせてもらったことも大きな体験でした。当時は、インパルスやプラズマ、ハイブリッドなどいろんなプロジェクトが同時多発的に進んでいて、国際計測器との合併もこの頃で大きな節目でした。今では国内だけで無く海外にもいっています。今年は、タイに2回とインド、最近は、上海にも3週間位行ってきました。1グループの仕事は、最初から最後まで全部一人でやっています。寝ているときにもどうしたらよいか考えていて…。終わったときの達成感は半端じゃないです。同じような商品でもメーカーが違えばそれぞれ違いますから、技術者も直接お客様の話をお聞きします。お客様の考え方を理解して色をつけてあげることが大切ですね。同じインパルスを作っても受注生産はできないので、会社として向上心を持つことが大切だと思っています」 後輩へのメッセージ 「世間的には不況だけれど、ここには勉強できる機会がたくさんあります。2007年頃から液晶パネルの普及や車載用モーターも増え、試験機のロットも増えました。ここには開発の要素が大きい仕事もたくさんありますが、それだけやりがいがあります。納品後、お客様へのアフターサービスも大切です。担当の方が「そういえば○○君元気?」とかって先輩のことを聞いてもらえるのはすごく嬉しいですね。自分も後輩が行ったときに「荒井君元気?」って聞いてもらえるようになりたいと思っています。僕としては、責任を持ち自分から提案して仕事ができるので中小企業がおすすめです。「会社をつぶすのも自分、生かすのも自分次第」。モノづくりは、技術者が中心ですから」

denshiseigyo_ph09.jpg 荒井 渉さん