<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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株式会社 印南製作所

株式会社 印南製作所 スーパーに並ぶ肉・魚・総菜・菓子などを包装する省力化機械メーカー<br>世界最大手の通販サイトも導入のエコメールパックを開発。他社にまねできないオリジナルな機械にこだわる

株式会社 印南製作所

スーパーに並ぶ肉・魚・総菜・菓子などを包装する省力化機械メーカー
世界最大手の通販サイトも導入のエコメールパックを開発。他社にまねできないオリジナルな機械にこだわる

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輝く技術 光る企業

株式会社 印南製作所

スーパーに並ぶ肉・魚・総菜・菓子などを包装する省力化機械メーカー 世界最大手の通販サイトも導入のエコメールパックを開発。他社にまねできないオリジナルな機械にこだわる

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  • 社名:株式会社 印南製作所
  • 設立年月:1962年3月27日
  • 資本金:1000万円
  • 従業員数:58人
  • 代表者:代表取締役 印南 英一
  • 社員平均年齢:43歳
  • 主な勤務地:本社所在地
  • 休日:日・祝・(土)・年末年始・夏季・慶弔他
  • 本社所在地:東京都足立区宮城1-12-22
  • 電話番号:03-3912-2976
  • 公式HP:http://www.innami-factory.co.jp/
  • ・検査・運搬・包装の手間を減らす省力化機械を企画・開発
  • ・オリジナルさにこだわり、協力会社からの情報収集・技術交流を推進
  • ・成長する機会を増やせるように、いろいろな形で社員に刺激
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事業紹介

エコメールパック、焼菓子集積移載装置、チューブ被せ高速シュリンク装置、
クーリングタワー、ワンタッチ箱集積箱詰ライン

何を作ってる?

スーパーに並ぶ肉・魚・総菜や菓子、薬局で扱う医薬品などを自動包装する機械が主力製品。製品の中身ができてから、検査・運搬・包装して出荷するまでの過程で、人の手間を減らせる省力化機械を手掛けている。 大手包装機械メーカーに納品してその企業のブランドで販売してもらう機械もあれば、印南製作所が企画・開発して販売する機械もある。後者の代表例がエコメールパック。発送明細書と送る品物を機械にセットすると、自動的に段ボール封筒で梱包してくれて、そのままメール便で送れるようになる。世界最大手の通販サイトで採用され、メール便を使うことが多い大手通販サイトなどでも導入が見込まれている。 エコメールパック以外にも、一昔前には使い捨てカメラを包装する高度な専用機械を作るなど、オリジナルな省力化機械を多数開発。機械を新規開発するための予算を常に確保して、年間20種類ほどの新しい機械を世に送り出している。

03.jpg エコメールパック
04.jpg オリジナルの省力化機械

会社の強み

他社が簡単にまねできないように、たとえ大きな売上が見込めなくても、世の中にないオリジナルな機械を企画・開発することを心掛けている。 オリジナルさを出すために、「56年続けて生まれた協力の輪」(代表取締役 印南英一氏。以下、同)を大切にしている。部品の製作などを依頼している取引先企業から外国製品の情報やカタログなどを集め、製品のデモンストレーションをし合うことで互いの技術を積極的に取り入れようとしている。 また社員が集まる会議の場では、若い社員の新しい発想に期待を込め、ベテラン・新人を問わず全員に発言する機会がある。実際、スマートフォンを使って誤梱包・誤配送を防ぐメール便パッケージソリューションを開発した際には、若手社員の発想が大いに役立った。

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職場としての魅力

成長する機会に恵まれているのが印南製作所で働く最大の魅力。先に触れたように、若手であっても自由に意見を言える機会があり、学習の機会もできるだけ増やそうと配慮している。 「全社員にモノづくりの基礎を身に付けてもらいっています。入社半年経ったら技能試験や資格取得を推奨するなど、時期を見て、社員に成長の機会を与えられるように心掛けています。 さらに部署間をまたがる仕事もできるようになってほしいので、違う部署ともリンクさせながら日々の仕事を進めています」 例えば、設立記念日には通常業務を止めて、全社で掃除・整理整頓に取り組むイベントを企画。それぞれが別部署の職場を担当することで、普段とは違う視点から新たな気付きを得てほしいという狙いがあった。 「『何か新しいことをやろう。だめで元々でも良いからとにかくやってみよう』と常に言っています。やってみて失敗したら、元に戻せば良いわけですから。やりもしないで『やれば良かった』が一番悪いこと。とにかく、いろいろなことに挑戦してほしいのです」

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社長メッセージ
「将来どうなっていますか?」ではなく「自分たちが将来をどうしたいか」

代表取締役
印南 英一さん
――オリジナルの省力化機械をどのように生み出しているのでしょうか。 まずはお客様の現状を調査するところから始めます。製造工程や倉庫内での作業の様子を直接見て、人手に頼っているところを見つけ、「印南製作所がこういう機械を開発して、こう改善しよう」と複数のご提案をします。お客様の求めることとわれわれの提供できるものをすり合わせつつ、そこから話を進めています。 提供する機械はお客様ごとの希望を反映させていますから、同じ業界のお客様であっても、まったく別の機械を納めることもあれば、細部を変えた機械を納めることもあります。われわれのカタログに載せている製品を押し売りするのではなく、お客様の希望を伺いながら対応しているのです。 きめ細かく配慮していますから、満足いただいて何度も繰り返し注文いただけるお客様が多くなっています。 今年の新入社員には「印南製作所を1世紀事業所にしよう」と呼び掛けています。 ただ、50年後のことは誰にも分かりません。私は今、54歳です。子供のころに『鉄腕アトム』を見て、「夢のようだ」と思っていましたが、今はまさにアトムの世界になっています。50年後の世界なんて、とても想像できません。 でも、手塚先生は未来を想像し、作品を通して提言されていました。われわれも手塚先生のような創造者になりたい。印南製作所は「オートメーション・システム・クリエイター」になることを目指していまして、そうなることで初めて1世紀続く会社になれると考えています。 学生さんの中には、「一生勤め続けられる会社はどんな会社ですか?」と聞いてくる人がいますが、社会自体がどうなるか分からないわけですから、そんなことは誰にも分かりません。「将来どうなっていますか?」ではなくて、「自分たちが将来をどうしたいか」と想像して創っていくことが大切なのではないでしょうか。 当社の社員にはそんな意識を持ってもらえるようにしています。そのために、顔ぶれを少しずつ変えながら、全社員に経営に参画する機会を作っています。 私の肩書きは「代表取締役」で「社長」ではありません。私自身は「代表社員」だと思っています。ほかの社員も私と同じように、経営に参画できる会社にしたいのです。

08.jpg 代表取締役 印南 英一さん

先輩メッセージ
プラモデルが好きだったので、機械を組み立てていく今の仕事は楽しい

製造部
伏木さん
――印南製作所に興味を持ったのはなぜですか? 実は印南製作所とは、本当に偶然出会ったのです。学校でコピー機の調子が悪かったので試し印刷してみたら、たまたま開いたページに印南製作所の求人情報が載っていました。そのページがコピーされて出てきたのです。 家からも近かったですし、製造業で働きたいと思っていましたから、興味を持ちました。会社のことを詳しく調べてみると、印南製作所は1台の機械を1人が順に組み立てていくことが分かりました。製造の仕事と言っても、例えば自動車の組み立ては流れ作業になってしまいます。印南製作所の仕事は考えながらやれるので、そこが良いなと感じました。 薬品の錠剤シートを重ね、フィルムで包装する機械を組み立てています。 錠剤シートが重なった状態で流れてきます。それをフィルムで包んで、包装の両端と中央の折り目を閉じます。その閉じる仕組みのところを任せていただいているのですが、機械にとって一番大切な部分です。閉じ方が甘いと隙間ができてしまい、上手く包むことができません。その調整に苦労しています。 まったく同じ機械を連続して組み立てることはほとんどありません。どこか少し変わっていたり、別の機械だったりします。それが楽しいですね。 以前までは大手菓子メーカーのクッキーを梱包する機械を作っていました。ポテトチップスの自動梱包機械を作っていたこともあります。スーパーで普段見掛ける製品を包装する機械を作ることも多いですよ。 同じ機械を組み立てるにしても、組み立てる順番次第で所要時間がかなり変わってきます。いつも効率の良い順番を考えながら、組み立てるようにしています。 図面とにらめっこしながら「この部品はこういうものだから、きっとここで使うのだろう」と考えながら作業を進めて、ばらばらだった部品が一つの機械になると達成感がありますね。プラモデルを組み立てているのと同じような感覚です。 でも組み立て時間について言えば、まだ先輩たちに全然追いつけていません。自分の半分くらいの時間で完成させてしまう先輩もいますし、私が分からないところも迷わず組み立てられる先輩もいます。そうした先輩たちに、少しずつでも追いついていきたいですね。 自分の働く会社を選ぶことになるわけですから、自分の好きなことを仕事にできるようにがんばってください。 私はプラモデルを組み立てるのが好きだったので、今のように機械を組み立てていく仕事を楽しく感じています。そういう職場で働いてこそ、長く働き続けられるのだと思います。

09.jpg 製造部 伏木さん
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先輩メッセージ
調達は現場と協力会社をつなぐパイプ役。仕事が上手く回るように気を配っている

業務部 主任
印南さん
――モノづくり企業で働こうと思ったのは、いつごろからでしょうか。 音楽の専門学校に進んだのですが、就職活動を意識するころに機械を組み立てる仕事を経験しました。正直、モノづくりには良いイメージを持っていませんでしたが、単純そうに見えても自分でやってみると難しく、はまってしまいました。少しでも作業が進むと成果が目に見えましたし、音楽を制作するのと同じような面白さがあると思いましたね。 協力会社から取り寄せる部品を発注・調達する仕事です。 モノづくりとは離れている仕事だと思われるかもしれませんが、図面が読めないことには、どの部品を発注する必要があるのかが分かりません。協力会社の担当者とも円滑にコミュニケーションを取ることができません。できるだけモノづくりの現場を見て勉強するようにしています。 部品を取り寄せる私たちの調達業務が、機械を製造する最初の工程になります。お客様から依頼が来たら、まずは図面を仕分け、社内で用意する部品を加工して、最後に組み立ての工程になります。 ですから、スケジュールを管理する役割も調達の仕事です。納期から逆算して、先に組み立てた方が楽になる個所の部品を早めに取り寄せるなど、できるだけ多くの人とコミュニケーションを取って、上手く仕事が回るように気を配っています。 初めての自社企画・開発の機械を作り、展示会に出展したことです。展示会に出ることになったので、広告を作ったり、機械を説明する動画を自分たちで撮影したり、ブースの展示方法を考えたり、接客や営業の方法を話し合ったりと当日までに何度も打ち合わせを重ねました。 何でもやらないといけなかったので、すごく大変でしたが逆に、「何でもやれる会社なのだ」と思えるきっかけにもなりました。 私は業務部で、直接モノづくりに携わっているわけではありません。ですが、加工する人、組み立てる人、協力会社の方々をつなぐパイプ役だと思っています。もっと学んで、もっと上手く状況を把握してコミュニケーションが取れるようになれば、もっと上手く仕事が回るようになるはずです。 会社もいくつかの場所に分かれて作業をしていましたが、徐々に集約して1カ所にまとまりました。少し歩けば現場の生の声が聞こえてきますから、そうした声を聞いて勉強したり、業務に取り入れたりすることで成長していきたいですね。 私は入社前、音楽制作に携わりたいと漠然と考えていました。夢や将来像がはっきりしている人もいるでしょうが、当時の私と同じように漠然とした夢しか持っていない人もたくさんいるはずです。 そういう人は、「自分の夢は何だろう?」と大げさに考え込むのではなく、1日後、1週間後、1カ月後の自分がどうありたいかと考えてみることです。小さな目標設定を積み上げていくことで、最終的には満足できる社会人生活が送れるようになると思います。好き嫌いせずに、いろいろなことを試してみる姿勢が大切なのではないでしょうか。

11.jpg 業務部 主任 印南さん