<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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石福金属興業 株式会社

石福金属興業 株式会社 <br>燃料電池用触媒をはじめ、1万種類以上の貴金属加工品を製造。金・銀・白金・パラジウム等を配合した貴金属合金を研究・開発・製造。工業用・医療用・歯科用といった用途に合わせて最適な合金の組成およびその製法を開発し、新しい製品を作り出す

石福金属興業 株式会社

燃料電池用触媒をはじめ、1万種類以上の貴金属加工品を製造。金・銀・白金・パラジウム等を配合した貴金属合金を研究・開発・製造。工業用・医療用・歯科用といった用途に合わせて最適な合金の組成およびその製法を開発し、新しい製品を作り出す

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輝く技術 光る企業

石福金属興業 株式会社

燃料電池用触媒をはじめ、1万種類以上の貴金属加工品を製造。金・銀・白金・パラジウム等を配合した貴金属合金を研究・開発・製造。工業用・医療用・歯科用といった用途に合わせて最適な合金の組成およびその製法を開発し、新しい製品を作り出す

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  • 社名:石福金属興業 株式会社
  • 設立年月:創業:1930年2月
  • 資本金:1億円
  • 従業員数:309名(2018年4月1日時点)
  • 代表者:代表取締役社長 中村 茂幸
  • 社員平均年齢:36.1歳
  • 初任給:大学院卒 241,400円
    大卒 223,800円
    ※ 2018年4月入社実績
  • 主な勤務地:本社、名古屋営業所、大阪営業所、九州営業所、草加工場
  • 休日:原則週休2日制 (年間休日125日)
    有給休暇(初年度10日、最高20日)
    夏季休暇、年末年始休暇、慶弔休暇
    リフレッシュ休暇制度、積立休暇制度
  • 本社所在地:東京都千代田区内神田3-20-7
  • 電話番号:03-3252-3131
  • 公式HP:http://www.ishifuku.co.jp/
  • ・工業用・医療用・歯科用に1万種類以上の貴金属加工品を提供
  • ・目的に応じて金属の配合を調整。0.01%で特性が変わることも
  • ・燃料電池自動車に必要な白金の量を10分の1に

業種

自動車、電子・電機、半導体、化学、石油、ガラス、セラミックスなど様々な分野で必要とされる「キーマテリアル」である貴金属の製品開発、製造、販売および貴金属リサイクルを行っています。

事業紹介

金、銀、白金をはじめとする貴金属に特化し、貴金属素材、材料、製品の開発から製造、販売まで一貫して行う貴金属総合メーカーです。
創業以来、1万種類以上の製品を開発し、車載関連製品や熱電対、歯科材など、国内トップシェアを誇る製品群も有しています。さらに、燃料電池の重要部品に欠かせない材料をはじめとしたユニークな素材の開発、製造で先端技術の向上に大きく貢献しています。
また、限りある資源である貴金属を有効かつ永続的に活用するための貴金属リサイクルも、当社の1つの柱となっている事業です。
現在は、「環境」「医療」「エネルギー」など、今後さらに需要が増えると考えられる先端産業分野に特に力を入れています。

【事業内容】 工業用・医療用・歯科用に1万種類以上の貴金属加工品を提供

これまでに作り出した製品は、実に1万種類以上。金・銀・白金・パラジウムなどの貴金属加工を事業とする石福金属興業は、地金販売用の金塊や、合金の板・線・パイプをはじめとする工業用製品、カテーテルやペースメーカーなどに使用される医療用製品、銀歯用合金といった歯科用製品を製造している。 その中でも、主力になっているのは工業用製品。特に自動車用製品については、排ガス浄化の触媒になる白金等の化合物、エンジンの温度計測用センサー用材料、ガソリンに着火してエンジンを始動させるスパークプラグ用部品などを生産。重要な製品を数多く生産し、国内外の自動車産業に貢献している。

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【加工技術】 目的に応じて金属の配合を調整。0.01%で特性が変わることも

鉄の塊に1%にも満たない炭素を加えるだけで、ずっと強度を増した鋼になる。同じように貴金属も、別の金属を0.01%ほど加えるだけで、貴金属の持つ機能性を大きく変えられることもある。 石福金属興業は、そうした合金の特性の違いを熟知。1万種類以上に及ぶ同社製品のうち、同じ組成の合金を使ったものは多くない。大半が顧客の目的に応じて組成を変え、最適な合金から、製品を加工している。 貴金属の特性についてさらに専門性を深めるため、研究開発の部署に40名弱が所属。大学や大手企業などと共同で研究・開発を進め、最先端製品に最適な貴金属材料を今日も探求している。

06.jpg 金属を鋳造する装置を操作

【プロジェクト】 燃料電池自動車に必要な白金の量を10分の1に

2014年12月、「究極のエコカー」と呼ばれる燃料電池自動車(FCV)の量産がついに始まった。FCVは水素と酸素を化学反応させて電気を生み、その力で走る。化学反応を促す触媒として白金が使われている。 しかし、白金は非常に高価。FCV 1台に白金は50gほど必要だが、価格は1g当たり5000円前後。材料費だけで25万円ほどもかかってしまう。 そこで石福金属興業は、FCVに使う白金の量を約10分の1に減らす量産技術の開発に着手。すべて白金で作っていた触媒用の微粒子を、表面の原子1個分だけ白金で覆う量産技術を編み出した。現在は少量実験に成功し、2020年の量産化を目標に研究を進めているところだ。

07.jpg 燃料電池用に石福金属興業が開発した触媒

工場長メッセージ
常に「創造」を忘れず、優れた「品質」の製品を届け、「利益」を出して事業を継続

前取締役 工場長(現顧問)
朝木 知美さん
――これから注力していきたいことを伺えないでしょうか。 まずはやはり、燃料電池自動車(FCV)の触媒に使う白金の量を、10分の1に減らす技術を実用化させることが重要でしょう。 FCVにも当てはまりますが、最先端の技術を用いた製品が登場したばかりのときには、たくさんの貴金属が使われていることが多いです。貴金属の産出量は決して多くありませんので、最先端の製品を普及させていくため、貴金属の使用量を減らすことが常に課題になります。 FCVを含め、最先端の製品を社会に普及させていく後押しをするためにも、今後も貴金属の使用量を減らす技術の開発に取り組んでいきたいです。 2007年から2013年にかけて、埼玉県草加市にある工場を建て直しました。製造現場や事務所、食堂など、社員が働きやすい職場環境を目指して整備を進めてきました。 新工場の中でも一番の自慢は、大浴場ですね。工場で働いた社員が汗を流してから帰宅できるように、広めでくつろげる大浴場を設けました。 また新工場は、地震にも強い構造にしています。大きい地震に見舞われても操業を続け、お客様に迷惑をかけないように配慮しました。 草加工場の食堂の風景 草加工場の食堂の風景 「創造」「品質」「利益」です。 お客様のニーズに応える製品を作るためには、常に工夫して新しいものを「創造」する力が必要です。 また「品質」を高め、優れた製品を納期までに納めることも大切なことでしょう。 さらに事業を継続していくために、適正な「利益」を出し、お客様の事業発展に貢献するとともに、社員の生活の質の向上に努めています。 当社で働く社員には、楽しく明るく働いてもらいたいと考えています。 そのために、当社ではあいさつを大事にしています。学生の皆さんにも、どのような会社で働くようになっても、あいさつをしっかりすることを心掛けてほしいですね。 もう1つ、当社の製品はFCVのような社会を変えていく製品にも使われています。当社と同じように、重要な製品に使われるものを作り出している企業は、中小企業の中にもたくさんあるでしょう。 そういった自分たちの仕事の意義に思いを巡らせて、「自分たちの仕事が社会をよりよくする上で貢献しているのだ」という誇りを持ち、日々の仕事に取り組んでほしいです。

09.jpg 前取締役 工場長(現顧問) 朝木 知美さん
10.jpg 草加工場の食堂の風景

先輩メッセージ
金・銀等の原材料を手配。各部署との調整がうまく進み、納期を守れるとうれしくなる

生産管理部 生産管理グループ
豊田さん
――この企業のどんなところに惹かれて入社したのですか? 学校に届いた求人票の中に当社のものがあり、加工しているものが貴金属だというところに興味を持ちました。普段の生活の中では、金や白金などに触れる機会があまりないものですから、それだけ貴重な素材を扱える仕事は面白そうだと感じたのです。 そして会社のことを詳しく調べてみたら、扱っている製品の種類が1万点以上あることに驚きました。いろいろな製品を作ることになるので、新鮮な気持ちを持ち続けることができると思いました。 工場見学に参加したときには、案内された先々で社員の皆さんがあいさつをしてくれました。明るい雰囲気の職場で、楽しく働けそうだと入社に前向きな気持ちになれましたね。 今は原材料を手配する部署で働いています。扱っている金属の種類は幅広く、金・銀・白金・パラジウム・イリジウム・ロジウムなどの貴金属、他にも鉄・銅・マンガンなども取り扱っています。 当社の貴金属加工の仕事は、ほとんどが複数の金属を組み合わせて合金にするところから始まります。まずは材料となる金や銀といった貴金属の在庫を確認し、用意ができたら溶解の部署に運び込み、溶かし固められた材料は再び私の部署に戻され、板状や線状に加工する次の部署に持っていきます。 入社したばかりのころは、どの金属にどんな特性があるのかも分からず、指示されたとおり手配していました。それが次第に金属の特性や、仕事の流れも理解できるようになり、「この金属は、溶解にどれくらいの時間がかかる」「圧延を納期までに終わらせるには、この日までに合金を渡しておく必要がある」といったことが分かってきました。 多くの部署と関わる職場ですから、そうしたことを頭に入れながら、「この納期だったら、溶解をいつまでに終えないと間に合いません」「圧延にかけられる時間が短くなりますが、何とか期日までに完成できませんか」といったように各部署に声を掛けて、作業が円滑に進むように調整しています。 そのようにして問題・遅延が発生することを未然に防ぐことで、「納期に間に合わせるのは難しい」と言われていた材料でも、納期までに仕上げられるとうれしくなりますね。 私が働いている草加工場は、最近新しくなったばかりで、とてもきれいです。友人には「お前の会社の工場は、ホテルみたいだな」と驚かれたことがあるくらいです。食堂のごはんも安くておいしいですよ。 また職場はとても仲がいいですね。私は20代前半で、同じ部署には40代や50代の先輩もいますが、休み時間などはテレビ番組の話題などでよくコミュニケーションを取っています。 同じ部署の社員で集まって、旅行に行くこともありますね。最近は長瀞の方に遊びに行きました。 以前は、歯医者で使う銀歯用の原材料を扱っていました。それが今年から、自動車のスパークプラグに使うプラグチップの原材料の手配を任されるようになりました。 プラグチップは当社の中でも重要な製品です。失敗をしないように気を配りながら、仕事の進め方を覚えていきたいですね。 社会に出たら、あいさつを大切にしてください。 誰かと初めて会ったときにあいさつをしっかりできないと、相手に悪い印象を持たれてしまいます。逆にあいさつがしっかりできるだけで、いい印象を持ってもらえます。 毎朝のあいさつにしても、朝一番に気持ちいいあいさつができれば、その1日を気持ちよく始められます。しっかりあいさつするように心掛けてみてください。

11.jpg 生産管理部 生産管理グループ 豊田さん
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先輩メッセージ
1日に100kg以上の金を溶かすことも。段取りを工夫して、納期に間に合うと達成感がある

一次材製造部 溶解グループ
今成さん
――こちらの会社に興味を持った理由を教えてください。 通っていた学校が自宅から離れたところにあり、毎日の通学にかなり時間を取られていました。また人混みも嫌いだったので、「働くなら、自宅から歩いて通える会社がいい」と考えていました。 そんな条件で探してみたところ、学校に届いた求人情報の中に当社がありました。製造業に興味があり、自宅から歩いて通えるところに工場があったため、応募してみることにしたのです。 生産管理グループから運ばれた材料を加熱溶解して、溶けた材料を型に流し込む工程を担当しています。多い日には1日に100kg以上の金を溶かしていますね。 私はガス炉を3台と、連続鋳造機1台を扱っています。入社したばかりのころは1つの装置だけを担当していましたが、「仕事に慣れてきた」と上司から認められるたび、任される装置が1種類ずつ増えてきました。自分の成長に合わせて、仕事の範囲が少しずつ広がってきていますね。 1つの炉で溶かせる金属の量と溶かすのにかかる時間は決まっていますから、溶かした金属をどれだけ段取りよく型に流し込めるかで作業効率が変わってきます。 3つの炉に材料を入れる時間を少しずつずらし、溶けた炉から順番に取り出して型に入れていきます。こうすれば、炉を常に稼働させた状態で作業できるので、効率が上がるわけです。 そのように段取りを工夫することで、できるだけ短時間で溶解の工程を終えられるように心掛けています。工夫することで、納期よりも早く完了できたときには達成感がありますね。 また、私が溶解した材料は、他部署でさらに加工されて完成品になり、世の中に出ていきます。自分の手掛けたものが最終的に社会に出ていくものだという意識を常に持って、丁寧な作業をすることも心掛けています。 人柄のいい社員が多いところです。付き合いやすく、仲のいい友達のような社員が何人もいます。 社内にはサッカー経験者が多く、私も高校時代にサッカー部だったので、よく何人かで集まってフットサルをやっていますね。毎月、少なくとも1回は集まって同僚や先輩との繋がりを深めています。 私は今、炉を3台、連続鋳造機1台を担当するようになりましたが、私の部署で扱っている装置のまだ半分ほどしか任されていません。もっと仕事の幅を広げていきたいので、まだ使ったことのない装置も任されるようになり、使い方も覚えていきたいですね。 また、圧延や金属加工、金属線を作る部署など、他部署が忙しいときには、応援に入って作業を手伝うこともあります。そうした他部署の仕事も、少しずつ学んでいこうと考えています。 私は学校で学んでいたとき、「数学や理科を学んでも、社会に出たらどうせ使わないだろう」と思っていました。 ところが、合金を作る際、すぐに比重を計算できれば役に立つと、この会社で働くようになってから初めて知りました。 同じように、学生のころに「こんな勉強、役立たない」と考えていたことが、社会に出てから意外な場面で役に立つことがきっとあるはずです。まだ学生でいる皆さんは、勉強を疎かにせず、真面目に取り組むようにしてください。 注)掲載している情報は、取材日(2015年1月)時点のものです。

13.jpg 一次材製造部 溶解グループ 今成さん
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