<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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株式会社 桂川精螺製作所

株式会社 桂川精螺製作所 自動車・バイクなどに欠かせぬ部品を、素材からこだわって作り出す<br>3000種類もの部品を、何万・何十万・何百万個と製造。どれだけ量が多くても、高精度を維持できるノウハウが武器

株式会社 桂川精螺製作所

自動車・バイクなどに欠かせぬ部品を、素材からこだわって作り出す
3000種類もの部品を、何万・何十万・何百万個と製造。どれだけ量が多くても、高精度を維持できるノウハウが武器

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輝く技術 光る企業

株式会社 桂川精螺製作所

自動車・バイクなどに欠かせぬ部品を、素材からこだわって作り出す 3000種類もの部品を、何万・何十万・何百万個と製造。どれだけ量が多くても、高精度を維持できるノウハウが武器

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  • 社名:株式会社 桂川精螺製作所
  • 設立年月:1938年9月
  • 資本金:1億円
  • 従業員数:150名
  • 代表者:代表取締役社長 石井昌景
  • 休日:土日、有給休暇、夏季・冬季休暇、慶弔休暇
  • 本社所在地:東京都大田区矢口3-24-1
  • 電話番号:03-3759-1111
  • 公式HP:http://www.katsuragawa-seira.com/
  • ・常時3000種類の部品を製造。あの有名な物置で使うねじも
  • ・素材からこだわり、小さな改善でも積み重ねることで大きな成果を出す
  • ・本人のやる気・得意なことを重視。配属先に関する希望に耳を傾ける
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業種

自動車部品、冷間圧造品、工作機械周辺装置、小ねじ、座金組込みねじ、ボルト等の規格品の製造

事業紹介

【塑性加工技術で自動車・バイクの部品をメインに製造】
 1938年の創業以来、一貫して塑性加工技術による自動車、家具・家電、建築関係の部品を製造・販売しております。特に、自動車関係の製品が売上高の8割前後を占めており、人命に関わる部品を数多く製造するという、非常に重要な役割を担っております。

【金型・工具も自社で作ります!】
 塑性加工では、金属材料を金型に当てはめて製品を成型していくのですが、この金型も社内で製作しますので精度・寿命・材質に関するノウハウが豊富にあります。また、工具や機械部品も社内製作をしますので、スピーディな対応が可能です。

【設備も自社開発します!】
 必要があれば、足りない設備を自社開発で補います。例えば、座金の組み込みとねじ加工を同時に毎分1,500本の速度で行う「カムス」があります。今現在も開発中の設備があり、生産に寄与できるようにしています。

何を作ってる?

桂川精螺製作所はねじやボルトなどの金属部品メーカー。常時作っている部品は、なんと約3000種類。しかもそれだけの種類の部品をそれぞれ、少なくとも5000個以上、多いものでは数百万個もの規模で製造している。 同社が作った部品が使われるのは、主に自動車やバイクなど。エンジンやハンドル、シートベルト、ドア、カーエアコンなど、自動車のさまざまなところに同社の部品が組み込まれている。自動車やバイクといった製品では、わずかな部品の不良が生命の危険に直結するため、部品には高い精度が求められる。利用者の目に触れる場所で使われる部品なら、めっきのわずかな色味の違い、表面のわずかな傷も許されないほどだ。 変わったところでは、「100人乗っても大丈夫!」のテレビCMでおなじみのイナバ物置で使われているのもこの会社のねじだ。「長持ちする物置を作るためには高品質なねじが必要になる」と桂川精螺製作所に依頼された。

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会社の強み

それだけ高水準の品質が求められる部品を、数万、数十万、数百万という単位で短期間のうちに作り出し、不良品をほとんど出さない。不良を出さないためには、部品を作る素材の調達先にもこだわっている。 「老舗の和菓子屋や高級レストランと同じように、材料にはとても気を使っています。同じ鉄でも、仕入れ先によっては品質のばらつきがあるのです。当社では古くより取引のある企業から高品質で均質な材料を仕入れています。値段はその分高くなってしまいますが、品質は安定します。長年にわたってものづくりを続けてきたからこそ、当社にはそうしたつながり・ノウハウがあるのです」(大嶌憲太郎取締役。以下、同) そして工程ごとに目標を定め、QC(品質管理)サークルという少人数の集団を社内につくり、QCサークルごとに製造方法の改善策を考えてきた。若手の意見も積極的に取り入れ、不良品が出る率を減らし、製造にかかる費用を減らすことに成功。小さな改善でも積み重ねていくことで、大きな成果を生み出してきた。

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職場としての魅力

社員に気持ちよく働いてもらうため、大切にしているのは社員本人のやる気だ。社員を採用するときには配属部署について第1~第3希望までを聞き、できるだけ希望どおりの部署に配属できるように努めている。 「自分がやりたいこと、得意なことをやってもらうのが一番です。本人も幸せですし、出てくる成果も素晴らしく、会社としても幸せになれます」 どんなに不景気なときであってもリストラを実施したことは1度もないと大嶌取締役は胸を張る。組合による催しではあるが、年に1~2回、社員約120人が参加する大規模な宴会も開催。カラオケ、バンド演奏、手品などを自主的に披露する社員もいて、ビンゴ大会で盛り上がる。そうした居心地のよさが会社の自慢だと大嶌取締役は話してくれた。

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役員メッセージ
小さな池だからこそ、石を投げ込んでくれれば大きな波紋を生める

取締役 企画室長
大嶌 憲太郎さん ――今後の展望について、どのようにお考えでしょうか。
当社の製造装置の中には、1分間に200~300個も部品加工できるものもあります。少なくとも5000個、できれば数十万・数百万個の単位で注文をいただきたいと思ってはおりますが、値段が多少高くなっても高精度の部品加工にこだわる当社の特徴を考えると、多品種の加工にも対応できる体制を整えていくことが重要だと考えています。 そのため、現在は自動車やバイクといった高品質が求められる分野の部品の他に、発電所に使う部品など、特殊な用途で高品質が求められる部品の注文を増やしてきました。 電力以外の分野では、医療分野にも注目しています。骨折したときに骨の代わりに埋め込む器具を固定するボルトなど、当社の高精度な加工技術が生かせる仕事が多そうですから、これから注力していきたい分野の1つです。 例えば、当社は塑性加工といって金属を金型に押し当ててプレスする加工方法で、部品を作っています。何度も使ううちに、金型は摩耗します。そうなったら、以前は金型を丸ごと交換しているものもありましたが、それを再研磨したり形状を変えたりすることで、金型全体を交換しなくても済むように工夫しました。 加工方法には塑性加工だけでなく、切削で加工する工程もあります。塑性加工よりも切削の方が時間はかかりますから、特に作業効率を上げたい工程です。従来は担当者が手作業で行っていたところを社内で開発したコンベアで自動搬送するなど、さまざまな工夫を積み重ねて加工にかかる時間を短くしてきました。 プロ野球で例えると、当社は人気の球団ではないかもしれません。学生時代に人気・実力共に兼ねそろえた一流の新人選手は、当社に入社してくれることはないかもしれません。けれど、たとえ下位の選手であっても、当社がドラフトで指名した選手は長所を伸ばして立派な戦力に育て上げ、人気球団に勝てる組織にしていきたいと考えています。「人気球団に勝ちたい」という反骨精神を持っている人、そんな考えに共感してくれる人がいたら、ぜひ当社に来ていただきたいです。 人気球団では、実力を持っている選手であっても、運が伴わないと一軍での出番はないかもしれません。一方、当社は少しでも秀でたところがあれば抜擢しますし、改善提案をしてくれればしっかりと受け止めて検討します。 社員1人の力で会社という池に投げ込める石は、小さな石かもしれません。大企業という大きな池に石を投げ込んでも大した影響もないかもしれませんが、当社のような小さな池に石を投げ込んでくれれば、大きな波紋を生むことができるかもしれません。 大きな会社で小さな活躍しかできない人生よりも、小さな会社で大きな活躍ができる人生を歩みたいのなら、ぜひ当社のような中小企業で働くことを検討してみてください。

07.jpg 取締役 企画室長 大嶌 憲太郎さん

先輩メッセージ
2人必要だった工程を1人で済むように。さまざまな人の力を借りて自動化を実現

製造部 切削課
青木さん ――「モノづくりを仕事にしよう」といつごろから考えるようになりましたか?
工業高校の機械科で、製図や旋盤加工の方法など、一通りのことを学びました。高校での授業を通じて、モノづくりの仕事に魅力を感じるようになっていきましたね。 就職先を探す際に桂川精螺製作所を選んだのは、先輩に紹介してもらったからです。「自分の作った部品が、世界中で走る自動車で使われることになるわけだから、とてもやりがいのある仕事だ」という先輩の言葉を聞いて、自分もそんな仕事をしたいと思いました。 生産する個数の管理など、会社組織がしっかりしていると感じました。部署間の連携が取れていて、製造部で工具の修理・補充が必要になったと報告すれば、別の部署がすぐに手配してくれます。独自に工夫しているところも多くて、そこが会社の強みになっていると思いました。 すり割り加工といって、部品に溝を付ける工程を任されています。現在は製造装置を5台担当していて、1台当たり1日に8000個、5台で4万個ほどの加工をしています。 加工は基本的に、スイッチを入れれば装置が自動で進めてくれますので、私としては、故障が起きないように装置の手入れに気を配ったり、「工具を再利用することで工具購入の費用を削れないか」「もっと自動化して、効率よく作業できないか」と工夫を考えたりするところに力を入れています。 工程を工夫する点については、会社としてもQCサークルという仕組みを導入しています。私は切削課のQCサークルの代表として、無人で作業できる範囲を広げたり、手入れ作業を自動化したりするなど、いくつか改善策を提案して実際に導入してもらいました。 特に手入れ作業の自動化は、これまで1人が付きっきりで作業する必要がありましたが、すべて自動で進められるように工夫しました。2カ月間かけて、治工具課とも連携しながら、さまざまな人の力を借りて進めた取り組みでした。狙いどおり自動化できて、2人必要だった工程が1人で済むようになったときには、努力が報われてうれしかったですね。 人柄がよくて人間味あふれた社員ばかりです。仕事上で何か困ったことがあったとき、どこの部署へ相談に行っても、必ず助けてくれます。 妥協せず、新しいことに取り組んでいきたいですね。自分の部署の仕事はもちろん、他部署の仕事も覚えていって、もっと活躍できるように成長していきたいです。 これからじっくりと考えながら就職活動をすることになると思います。いろいろな人から助言をもらいながら、あきらめずにがんばってください。 当社への入社を希望していただけるのなら、あいさつと相手の話をしっかり聞くことが大切です。朝一番と帰るとき、しっかりあいさつができないと信頼関係は育ちません。そこさえしっかりできれば、あとは困ったことがあっても周りの人が助けてくれて、仕事は上手くいくと思います。

08.jpg 製造部 切削課 青木さん
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先輩メッセージ
「好きな自動車・バイクの部品はこうやって作られているのか」と初めて知って感動

生産管理部 治工具課
福田さん
――桂川精螺製作所への入社を希望した理由は? 子供のころから自動車やバイクが好きで、工業高校の機械科に進みました。そこで特に旋盤加工について学び、「旋盤加工の仕事に携わりたい」と思い、就職活動のときにその職種で募集していた当社へ工場見学に来ました。工場を見て回り、見たこともないような装置がたくさんあって、本当に数多くの部品を製造していたことが印象に残りました。 私はとにかく自動車やバイクが好きなのですが、「自動車・バイクで使われているねじは、この会社でこうやって作られているのか」と初めて知って、思わず感動してしまいましたね。入社したいと強く志望するようになりました。 治工具課は部品製造に不可欠な金型を作ったり、製造装置が故障したときに修理したりする部署です。金型にはかなり小型のものから、大型のものまであります。お客様から部品の注文が入ると、まずは技術部が部品の設計図を作ってくれまして、その設計図を基に治工具課が金型を製作することになります。金型の数・種類は今も増えていますよ。 金型の加工は、コンピュータで加工方法を制御するNC旋盤という装置を使います。自動で加工を進めてくれて便利な装置ですが、自分の手を動かして加工した経験がないと、たとえ自動で加工してくれる装置を使っていても上手く加工することはできません。私も入社から5年くらいは手を動かして加工する仕事を経験し、上司・先輩から教わって技術を覚えてきました。 金型の製作には、少なくとも2週間以上、長いもので1~2カ月はかかります。それだけ長い時間をかけて作るわけですが、1つの金型だけで1つの部品を作り出せるわけではありません。金型に金属材料を圧入し徐々に最終形に近づけていきますから、最初に使う金型、次に使う金型……と複数回に分けて少しずつ部品の形を整えていきます。1つの部品ができあがるまでに使う金型を並べていくと、大きな机の上がいっぱいになってしまうほどです。大変な分、作り上げた金型の山を目の前にすると「よくやったな」と思えますね。 部署間の連携を感じられるところでしょうか。治工具課で金型を作っても、それを使って部品を作ってくれるのは製造部です。金型にしても、私がNC旋盤で加工する以外にさまざまな加工を経て、ようやくできあがります。同僚が手間を掛けて作ってくれた金型を、私がだめにするわけにはいきません。責任を感じる面もありますが、それがやりがいにもなります。 製造装置が好きなので、もっと多くの装置を動かせるようになりたいです。装置は1年経つだけでとても進化します。装置の展示会に参加すると、「旋盤がこんな動き・加工もできるようになるのか」と驚くことばかりです。 傾向としては1つの装置でさまざまな加工ができる機能が追加されてきていますから、私も旋盤だけでなく、さまざまな加工方法を習得していかなくてはいけないと感じています。 「何をやりたいのか」を明確にして、目標を目指して進むことが一番大切だと思います。 私は工業高校を卒業しましたが、同級生の中にはものづくり以外の仕事を選んだ人もいます。けれど私は、「好きなこと」「やりたいこと」を仕事にしないと、仕事を楽しめないと思うのです。「やりたいこと」を仕事にする気持ち、目標はあきらめないでほしいですね。 注)掲載している情報は、取材日(2013年11月)時点のものです。

10.jpg 生産管理部 治工具課 福田さん
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