<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

文字サイズ

金星ゴム工業 株式会社

金星ゴム工業 株式会社 電気を通すゴムを開発。ゴムの困りごとを何でも解決<br>1カ月に作るゴム製品の種類は200~300。用途を踏まえ、素材の配合を瞬時に判断。加工品の形状によって金型成形・押出成形を使い分ける

金星ゴム工業 株式会社

電気を通すゴムを開発。ゴムの困りごとを何でも解決
1カ月に作るゴム製品の種類は200~300。用途を踏まえ、素材の配合を瞬時に判断。加工品の形状によって金型成形・押出成形を使い分ける

main_kinsei-gomu
輝く技術 光る企業

金星ゴム工業 株式会社

電気を通すゴムを開発。ゴムの困りごとを何でも解決 1カ月に作るゴム製品の種類は200~300。用途を踏まえ、素材の配合を瞬時に判断。加工品の形状によって金型成形・押出成形を使い分ける

main_kinsei-gomu
  • 社名:金星ゴム工業 株式会社
  • 設立年月:1949年9月
  • 資本金:1,200万円
  • 従業員数:20名
  • 代表者:代表取締役社長 杉本 浩志
  • 社員平均年齢:33歳
  • 初任給:大卒190,000円
  • 主な勤務地:本社内
  • 休日:土日祝日、有給休暇、夏期・冬期休暇
  • 本社所在地:東京都墨田区八広5-3-4
  • 電話番号:03-3619-0561
  • 公式HP:http://www.kin-sei.co.jp/
  • ・産業装置用ゴム製品を製造。1カ月に作る種類は200~300にも
  • ・用途・形状から最適な素材・加工方法を考え、顧客に提案
  • ・ゴムなのに電気を通す。静電気をためないフッ素ゴム
intro_img

業種

ゴム製品製造業

事業紹介

金星ゴム工業はこんなもの作っています!

【半導体製造装置向けゴムパッキン・シールゴム】
半導体製品に影響を及ぼさない低アウトガスゴム、ホコリを寄せ付けない導電性ゴムなど、精密部品製造には必要不可欠なゴムです。

【大型産業機械用ゴムパッキン・シールゴム】
金型では製造出来ない大型パッキンは、押出成形しリング状に焼付接着して製造します。

このように、各種業界のゴム機能部品を中心に製造しております。
短納期での少量多品種の生産から大量生産までお客様のニーズに対応できること、そして永年の実績により、顧客先から高い信頼と評価をいただいております。特に高付加価値、高品質のゴム製品の製作に力を入れ、フッ素ゴム、シリコンゴムなど少量の押出成形とその接着加工技術は弊社の得意とするところであります。

【事業内容】産業装置用ゴム製品を製造。1カ月に作る種類は200~300にも

衝撃を吸収するため、気体・液体漏れを防ぐため、装置の一部や管と管との継ぎ目など、工場のいろいろなところでゴムは使われている。 金星ゴム工業は家庭用品も手掛けるが、主力はそうした産業装置用ゴム。硫酸銅が溶けた酸性液に浸し続けても溶けないゴム、駅のホームドアが閉じるときに両扉が接触する部分のゴム、遊園地のアトラクションで船の接岸部に取り付けられた2mほどの大型ゴムなど、20人ほどの社員で1日に10種類ほど、1カ月に200~300種類ものゴム製品を作り上げる。 それだけ幅広い依頼が舞い込むのは、さまざまなゴムの素材・加工法を扱う技術があるから。「ゴムで困ったら金星ゴム工業に相談しよう」と頼られる存在だ。

03.jpg
04.jpg 押出成形(写真上)・金型成形(写真下)
両方に対応

【独自戦略】用途・形状から最適な素材・加工方法を考え、顧客に提案

ゴム加工企業の大半は、取り扱う素材を数種類に絞り、得意な加工に特化する。 一方、金星ゴム工業は顧客企業の要望を踏まえ、ゴムの配合から考える。1カ月に作る200~300種類の製品のうち、同じ配合の素材で作るものはほとんどない。加工方法にしても、金型に流し込んで高精度に仕上げる金型成形と、装置から押し出して金型を通して形作る押出成形を使い分ける。 多種多様なゴム製品を手掛けてきただけに、顧客から届けられた図面を見て、この用途ならどんな配合がいいか、設計図の形状なら金型成形と押出成形のどちらで作ればいいかと瞬時に判断。時にはゴムの配合・加工方法を変えた方がいいと同社から顧客に提案し、採用されることもあるほどだ。

05.jpg 製品ごとにゴムの調合を変える

【プロジェクト】ゴムなのに電気を通す。静電気をためないフッ素ゴム

ゴムは基本的に電気を通さず、ゴム底の靴を履くと静電気がたまりやすくなる。 しかし半導体や電子部品を製造する現場では、静電気は大敵。製造品の故障を招き、ほこりを吸い寄せるので不良率の悪化にもつながってしまう。 そこである半導体製造装置メーカーが、金星ゴム工業に「静電気のたまりにくいゴムを作れないか」と相談。ゴムに混ぜるカーボンの選定には頭を悩ませたが、わずか数回ほどの試作で、静電気のたまりにくいゴムを開発してみせた。 それを知った別の電機メーカーからも注文が入るようになり、電気機器の生産ラインでも使われるように。静電気を逃がすため、ベルトコンベアを流れる電子部品の下に敷いて利用されている。

14.jpg 金星ゴム工業が開発した導電性フッ素ゴム

社長メッセージ
顧客を感動させてこそ、「次回もあの会社に頼もう」と思ってもらえる

代表取締役社長
杉本 浩志さん
――貴社の強みを詳しく教えてください。 まず、用途に合わせてその都度ゴム素材の配合を考えられる企業は、日本に当社を含めて数社あるかどうかでしょう。 さらに、ゴム加工には金型成形と押出成形という2つの方法がありますが、どちらにも対応できる企業も、そう多くありません。複雑な形状でも高精度に加工できる金型成形、安価に作れる押出成形というそれぞれの利点を踏まえ、製品ごとに適切な加工方法を選んでいます。 特に押出成形には技術力が求められ、フッ素ゴムを押出成形で加工できるのは、これまた日本で数社しかありません。そのうちの1社が当社です。 押出機からゴムを出すと膨張します。一般的なゴムでも、1cmに仕上げたいなら8~9mmほどに抑えて押し出す必要があります。そのように、膨張分を予測しながら加工するところが難しいのです。 ゴムの中でもフッ素ゴムは特によく膨らみ、予測が困難です。1cmにしたいのなら6~6.5mmほどで押し出さないといけません。膨らみ過ぎるとゴム肌が粗くなってしまうため、その対策もしておく必要があります。そうしたところにノウハウがあり、そう簡単にフッ素ゴムの押出加工はできないのです。 世の中でゴムに困っている人に、彼らの悩みを解決できるゴムの素材・加工方法をもっと提案していきたいです。そのために、もっと多くの人に、当社のことを知ってもらう必要があるでしょう。 顧客を満足させるだけでなく、感動させることです。 自分たちの作った製品を使ってもらい、「価格分の価値があった」と満足してもらうだけでは再び使ってもらえるかどうか分かりません。「価格以上の価値があった」とお客様を感動させてこそ、お客様に「次回もあの会社に頼もう」と思ってもらえるようになります。 日本の製造業にとって、今求められているのは「顧客満足」ではなく「顧客感動」なのではないか。私はそう考えています。 勉強・仕事と遊び、どちらも両立させることが大切です。 学生時代ほどではないにしろ、社会人になってからでも十分遊べます。「学生でいるうちに遊んでおかないと」と勉強を疎かにしないでください。 逆に仕事だけの仕事人間でいても、人生は面白くありません。仕事以外のときは十分遊んでください。遊びを通じて仕事では出会えない人とも交流を広め、人生経験を積んでいくことが大事だと思います。 1日は24時間あって、そのうちの8時間は眠るとすると、残りは16時間になります。そのうちの8時間は仕事で、余った8時間は自分の時間。仕事の8時間と自分の8時間、どちらの時間も大切にしてください。

09.jpg 代表取締役社長 杉本 浩志さん

先輩メッセージ
自分で考えた口金を使って無事に完成。「自分の力でできた」と達成感が得られた

製造部
堀越さん
――この会社に入社したきっかけを教えてください。 社長とはもともと顔見知りで、何度か「うちの会社に、来てくれないか」と誘われていたのです。何度も誘ってもらいましたので、「1~2年くらいは働いてみて、どんな会社なのか見てみようか」と思うようになり、この会社に入社しました。 入社から半年間は、ゴム製品の仕上げを担当していました。押出機から出てきたゴムを窯に入れて焼き、形が変わらないように固めるのです。 その後、押出機を担当するようになりました。押出成形は機械に金型(口金)を取り付け、圧力を掛けてゴムを押し出します。すると、ゴムが口金の形になって出てきますので、出てきたゴムを巻いて切り取り、窯焼きの担当者に預けます。 扱うゴムの素材は多種多様で、柔らかいものもあれば硬いものもあります。素材の硬さに合わせて、ゴムを押し出す強さを変えるのですが、そうした押出機の設定方法は社長・工場長が指示書に書いて届けてくれます。まずは指示書のとおりに設定して押し出してみて、自分でその様子を確認し、微調整しながら作業を進めていきます。 押し出しで一番気を使うのは、寸法です。押し出して少し置いておくと膨らんできますから、どれくらい大きくなるかと予測しながら押し出します。一般的にはお客様から指定された寸法から誤差10%以内に収めるのですが、当社の場合は誤差5%以内を目指しています。より難易度は上がりますから、細心の注意が必要です。 そのような押出機を扱う技術が身に付いてきた2年目ごろから、口金作りを任せてもらえるようになりました。自分の設計した口金でゴムを押し出し、窯で焼き、寸法どおりに仕上がるようになり、初めて「自分の力で加工ができるようになった」と感じられるようになりましたね。 すごく仲のいい職場です。バーベキューやお花見など、会社で開くイベントには多くの社員が参加します。家族のような関係が築けていると思います。 社長や工場長の技術に、少しでも近づくことです。 押出機の設定は社長・工場長が考えたものを使っていますし、口金にしても社長・工場長の作った口金の方が優れています。 仕事をしている限り、この二人に近づくことがずっと私の目標になるでしょう。 社会に出る前に、夏休みなどまとまった時間が取れるときにアルバイトをして「社会で働く」という経験を積んでおくことをお勧めします。

10.jpg 製造部 堀越さん
11.jpg

先輩メッセージ
目標より短い時間で加工できることが増えてきて、仕事が楽しくなってきた

製造部
安谷さん
――この会社に就職しようと決めた理由を教えてください。 社会に出て働くことを考えたとき、自分には営業のような仕事は向いていないと感じていました。腰を据えて働けるモノづくりの仕事には興味を持っていましたが、学校の授業で経験した金属加工に、私はあまり面白さを感じられなかったのです。 そこで自宅から通いやすく、金属加工以外のモノづくりの仕事を探してみたところ、当社の求人が見つかりました。入社前に工場見学させてもらったのですが、想像していたよりもずっときれいな環境で驚きましたね。面接のときも社長から笑って話し掛けてくれて、「働きやすそうな会社だな」と感じられました。 入社して2年目になり、ずっと押し出しを担当しています。 まだ慣れていないころは、ゴムの材料を押出機に入れ、押出機から出てきたゴムを切る作業を任されていました。少しずつ仕事に慣れてきまして、今では押出機から押し出すところも含めて、ほぼすべてを1人で担当するようになりました。 「どのように加工してほしい」と社長・工場長からの指示が書き込まれた書類が届いたら、その内容を基に加工を進めていきます。押出機の設定方法など、すべて指示書に書かれているので、そのとおりに設定していきます。 押し出しの経験を積んでいくうちに、作業の段取りが少しずつ分かってきました。「これを運ぶときに、あれも一緒に持っていこう」などと工夫することで、最初は1時間かかっていた仕事を30~40分ほどで完了できるようになりました。 私はいつも時計を見ながら作業するようにしていまして、「1時間以内に終わらせよう」といったように目標を立てて仕事に取り組んでいます。最近は、目標よりも短い時間で加工を終えられることが多くなってきました。自分の成長を感じられて、仕事が楽しくなってきましたね。 ゴムに付着した粉を洗って落とす ゴムに付着した粉を洗って落とす 上司・先輩との距離感が程よいところです。上司・先輩のことを敬いつつも、前日に放映されたお笑い番組の話題などを気軽に話せるので、明るい雰囲気の中で働けます。 頼まれた仕事を、全部確実にできるようになりたいですね。 まずは今頼まれている仕事をしっかりできるようになることが大切でしょう。そうして信頼されるようになったら、「この仕事も任せてみようか」と上司に考えてもらえるようになると思います。そして、新しい仕事も1つずつ確実にできるように成長し、またさらに新しい仕事を任せてもらえるようになっていきたいです。 学生のころ、先生から「勉強しろ」とよく言われましたが、当時の私は聞き流していました。 それが社会に出て働くようになって、自発的に「もっと学ばないと」と思えるようになってきました。先輩たちに教えてもらったことを手帳に書き、後から確認し、さらに作業時に必要になったらその都度見返すようにしています。 そのように、学生時代に勉強が嫌いだった私でも、社会に出たら自分で勉強することが大切だと感じるようになりました。勉強する姿勢を身に付けるのに、早過ぎることはありません。まだ学生でいるうちから、自分から物事を学ぼうとする姿勢を身に付けておいてください。 注)掲載している情報は、取材日(2014年12月)時点のものです。

12.jpg 製造部 安谷さん
13.jpg