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株式会社 北嶋絞製作所

株式会社 北嶋絞製作所 研ぎ澄まされた五感と、へら一本で勝負する!<br>到達点のないもの作りの世界で、さらに経験を積み、技と感性を磨きたい

株式会社 北嶋絞製作所

研ぎ澄まされた五感と、へら一本で勝負する!
到達点のないもの作りの世界で、さらに経験を積み、技と感性を磨きたい

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輝く技術 光る企業

株式会社 北嶋絞製作所

研ぎ澄まされた五感と、へら一本で勝負する! 到達点のないもの作りの世界で、さらに経験を積み、技と感性を磨きたい

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  • 社名:株式会社 北嶋絞製作所
  • 設立年月:1947年11月
  • 資本金:1600万円
  • 従業員数:20名
  • 代表者:富永 聡
  • 本社所在地:東京都大田区京浜島2-3-10 〒143-0003
  • 公式HP:http://www.kitajimashibori.co.jp/index.html
  • 匠の心と他の追随を許さない技能・技術力で、人工衛星や航空機・半導体製造装置の部品など、最先端技術の開発を支えている北嶋絞製作所。加工が困難であればあるほど、技術を磨けるチャンスと職人魂を燃やすプロ集団です。現場の第一線で活躍する小杉慶さんに、もの作りに魅了され、絞り加工にかける情熱を伺いました。
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業種

各種金属板ヘラ絞加工/プレス加工

事業紹介

各種金属板塑性加工全般ヘラ絞り・プレス絞り・特殊形状絞り、これ等に付属する加工並びに板金加工一式

担当している業務内容は?
「へら絞り」という高度な手仕事の金属加工です

へら絞りとは、回転する金属に「へら」と呼ばれる棒状の専用工具を使って力を加え、さまざまな形状に加工することです。スピニング加工とも呼びます。イメージとしては、陶芸家がろくろの上で壷を作るような感じですが、円盤状に加工した金属は、絞旋盤の回転軸に横向きに回転するよう固定されています。その横にはへらを支える台とボタンがあって、へらの当て方を少しずつ変えながら成形していきます。指先の繊細な感覚が要求される数ミリほどの小さな製品から、2〜6人がかりで製作する直径4メートル以上の巨大な製品まで、機械ではできない高度な加工を行います。 私自身は、丸切りをはじめ、ほとんどの部署を回り経験を積んだあと、3年前からへら絞りを任されるようになりました。

kitajima_ph01.jpg 小杉 慶さん
1983年入社

入社したきっかけ、選んだ理由は?
アルバイト時代に間近で触れた職人技に魅了されて

定時制高校に通っていた頃、昼間にアルバイトをしようと思い、ここ京浜島でアルバイトを探していました。そのときに、親戚でもある現在の社長が誘ってくれたことが、当社と出会ったきっかけです。それまではへら絞りの現場を見たことも話を聞いたこともありませんでした。当時は、ちょうどバブル絶頂の頃で、製品の出荷や箱詰めなど、こなしきれないほどの仕事がありました。バイト仕事をしつつ間近でへら絞りを見ているうちに、へら1本で金属の固まりを自在に仕上げていく職人技の凄さに、すっかり魅了されていました。 社員として入社したきっかけは、創業者である先々代の社長から「うちに来ないか」と、声をかけていただいたことです。うれしかったですね。その言葉は、今でも覚えています。卒業を控え将来の仕事をどうするか考えていた時で、事務職よりも手に職をつけたかったし、絞りの仕事というものに接して「この会社なら」と思っていたので。でも、照れがあって、自分から入れて下さいとは言えませんでした(笑)。

仕事のやりがいを感じるときは?
匠への尊敬や、仕事の悔しさをバネに成長できる

職人の世界は、できて当たり前の真剣勝負。言葉は荒いし、気を抜くと製品がものにならないだけではなく、怪我や事故にもつながります。「使えないなぁ」と怒鳴られながら、その悔しさをバネに技術を磨いています。 ほれぼれするような職人技で匠と呼ばれる松井さんをはじめ、ベテランの方は短時間で誤差なく製品を仕上げます。先輩達に比べたら自分はまだまだ・・・。現場でたたき込まれる技術の難度は高く、今も苦労の連続ですが、もっともっと経験を積んで、必ず追いついてみせる!と思っています。

kitajima_ph02.jpg 一人前になるまで10年以上かかる
へら絞り技術。五感で金属と対話
するともいわれている。

新人の頃に積んだ幅広い実践経験が糧に

弊社では配属された現場の仕事を専門的に覚えていくことが多いのですが、入社した頃の私は、日中に納めなければいけない仕事を最優先に、1日の間にあちこちへ手伝いに回されていました。仕事が山のようにあり毎日が納期との戦いで“配属された部署の仕事をやっと覚えてきた、もう少しやりたい”と思ったところで、他の部署にかり出されることもしょっちゅうでした。 ですが、この時にいろいろな部署の現場で幅広く実践経験を積めたことは、自分にとってラッキーなことだったと、最近は思っています。

就職活動を行う学生へのアドバイスをお願いします
情報だけでなく、生の現場の空気を感じてほしい

以前はほとんど知られることのなかった職人の世界ですが、最近はネットである程度知ることができます。調べて惹かれるものがあったら、ぜひ来て見て確かめてください。 弊社の仕事も、実際に見てもらわないと伝わらない部分が大きいため、20年以上も前から見学や視察を受け入れています。見学に来た地元の小学生にへら絞りを体験してもらうこともあります。たった1本のへらで、金属の板がどんどん形を変えてゆく驚きや、自分で作ったんだという喜びに目を輝かせています。 ものづくりとは、技を磨いて自分の腕一本で勝負できて、誇りの持てる世界です。だからこそ、一人前になるまでには時間がかかりますが、やりがいも大きい世界だと思います。

kitajima_ph03.jpg あらゆる絞り加工に対応する工場は、
隅々まで整頓されて清掃も行き届いている。

上司からのひとこと
難しい注文が来たときこそ、技を磨くチャンス

小杉くんは、丸切り、プレス、NC旋盤と、うちの仕事のほとんどを経験し、絞り加工全般について幅広く技術を身につけてきています。仕事に対しても勉強熱心で、前はこうなったから次はこうしよう、これ以上やったらダメだという感覚など、失敗も含めて仕事で得た感覚をしっかりと活かしていると思います。 へら絞り加工では、脇の下のへらから伝わってくる感触から、金属が加工硬化してこれ以上加工できなくなるポイントを見極めなければいけません。そのニュアンスは言葉にも数値にも置き換えられないため、受け継ぐというより、体で覚えて自分で習得しなければなりません。真剣勝負の現場で感性を磨いて、いかに感じ取れるか、なのです。また、へら絞りの技術には100%の正解、これでよしという到達点もありません。常に自分を磨き続けつつ、経験に根ざした創意工夫が求められる世界なのです。だから、この世界では難しい注文が来たときこそ技術を磨くチャンスとやりがいを感じるような人材が伸びるといえます。小杉くんには、製品に要求される精度が年々高くなるなかで、どんな材質・形状の注文でもこなせるようになり、将来的に我が社の絞り加工全般を任せられるような人材に成長してくれることを期待しています。

kitajima_ph04.jpg 富永 聡さん
1989年入社 代表取締役