<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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株式会社 清原光学

株式会社 清原光学 研究者を助け、光学製品の可能性を引き出す挑戦者<br>光海底ケーブル用レンズ、デジタル式速度計など、「世界初」「前例がない」光学製品を研究者と一緒に作り出す

株式会社 清原光学

研究者を助け、光学製品の可能性を引き出す挑戦者
光海底ケーブル用レンズ、デジタル式速度計など、「世界初」「前例がない」光学製品を研究者と一緒に作り出す

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株式会社 清原光学

研究者を助け、光学製品の可能性を引き出す挑戦者 光海底ケーブル用レンズ、デジタル式速度計など、「世界初」「前例がない」光学製品を研究者と一緒に作り出す

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  • 社名:株式会社 清原光学
  • 設立年月:1949年4月
  • 資本金:10,900万円
  • 従業員数:20名
  • 代表者:代表取締役社長 前野 隆一
  • 初任給:当社規定による (経験、能力考慮)
  • 主な勤務地:本社、山吹町分室
  • 休日:当社カレンダー (原則として土日休み)
  • 本社所在地:東京都新宿区新宿6-23-2
  • 電話番号:03-3352-1919
  • 公式HP:http://www.koptic.co.jp/opt/
  • ・研究者の構想を現実にするため、光学技術を用いて支援
  • ・レンズ加工職人の技を残す。技術継承のため、職人の教育に注力
  • ・スマホと組み合わせる即席の顕微鏡など、新たな光学製品を開発・製造
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業種

光学部品(レンズ・ミラー・プリズム等)の設計・製作等
非接触測定器等(レーザ干渉計)の製造・販売
光学に関するコンサルティング業務
光学システム企画・設計・製作
光関係機器の輸入・技術サポート
レーザ関連機器・精密機器部品の設計・加工・製作

事業紹介

●「人間に目がある限り、光学の仕事は永遠である。」
株式会社清原光学では、人間が見ることの出来る波長領域(400nm~700nm)以外の光も取り扱い領域としています。
短い波長では紫外光からX線領域まで、長い波長では赤外光からマイクロ波領域まで。
広領域の光を取り扱っています。

【干渉計】
各種光学干渉計を取り扱っております。ピエゾ方式位相シフト機構や強力な干渉縞解析装置を組込んだコストパフォーマンスに優れた干渉計など、多数の製品を取りそろえています。
使用光源、測定物などはお客様のご要望に対応します。

【光学システム】
fMRI用視覚刺激提示システムや太陽を自動追尾して観測を行うことができるシステム等、 各種光学システムを取り扱っています。

【光学部品】
レンズ・ミラー・プリズムなどの光学部品の設計・加工・製造までをトータルに行っています。
当社にてトータルに作業を行っているため、お客様のこまかい要望に対応します。

【コンサルティング】
長年の経験をもとに、光学分野でお悩みの方々に対し、コンサルティング・エラーアナリシスのサポートを行っています。

何を作ってる?

大学や企業で働く研究者が思い描く「こんなことをやってみたい」という構想を、光学技術によって現実のものにする手助けをしているのが清原光学だ。 例えば、日本とアメリカをつなぎ、国際通信に使われている光海底ケーブル。太平洋を横断して敷設されたケーブルは、多数の光ファイバーがつなぎ合わさってできている。その光ファイバー同士をつなぐ継ぎ目に使われ、光信号を中継する非球面レンズは、同社が作り出した製品だ。 「世界初」「前例がない」といった製品開発に果敢に挑戦し、自動車のダッシュボードに取り付けるデジタル式のスピードメーターなども同社が初めて開発したもの。音楽再生などに使うCDが誕生する以前には、音楽レコード盤を針ではなくレーザーを使って読取・再生する装置を作ったこともある。他にも国立天文台すばるの望遠鏡ミラー、超小型衛星ほどよし4号機の光学系機器なども、同社が手掛けたものだ。 そのような製品を、研究者と一緒になって作り上げていく。研究者から相談が寄せられると、同社の技術者が打ち合わせに出向き、どういった形であれば研究者の要望を実現できるかと具体策を提案する。同社から営業をしたことはなくとも、研究者の間では口コミで評判が広まり、構想を実現する手段を模索する研究者にとっての駆け込み寺になっている。

03.jpg レンズを磨く工程
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会社の強み

清原光学が大切にしているのは、何よりも研究者の構想を現実のものにするモノづくりの力だ。同社に相談を寄せる前に、シミュレーションソフトを使って「どのようなレンズ・光学機器が必要になるか」と目処を立てておく研究者もいるが、その計画どおりの性能を出せるレンズ・機器を作り出せる技術力がないと、机上の空論に終わってしまう。 「最近では、金型を使ってプラスチックのレンズを作る企業が増えてきていますが、高性能なレンズは金型からは作り出せません。レンズを加工する職人の技が必要で、職人の手を介さないと高性能なレンズはできないのです」(清原元輔代表取締役社長。以下、同) しかし、レンズ加工の技術を持つ職人は次々と引退している状況だ。そんな中でも同社は職人の技を継承しようと、30年以上も前から職人の育成に注力。協力企業の後継者などに、レンズ加工の基礎を教え、職人の技を受け継がせてきた。そうして育てた外部の協力企業の力を借りながら、研究者からの要望に応え続けているのだ。

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職場としての魅力

清原光学は研究者を手助けするだけでなく、独自にカメラ用特殊レンズや望遠鏡なども開発・製造してきた。現在も、スマートフォンに取り付けて即席の顕微鏡として使える光学製品など、新製品の開発に意欲的だ。 「カメラが以前ほど売れなくなり、光学メーカーは厳しい局面を迎えています。けれど、光学メーカーには新しい市場を生み出していける可能性があり、当社も将来性を感じてもらえる会社であろうとしています。 スマートフォンと組み合わせて顕微鏡になる製品を開発しているのも、その一環です。光学製品の可能性に魅力を感じてくれる若者、新しいことに挑戦したい若者にとって、より魅力的な会社でありたいですね」

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会長メッセージ
たくさん失敗してきたことを評価する社会になってほしい

取締役会長
清原 元輔さん
――経営者として、大切にしているのはどんなことでしょうか。 私自身、今までにやったことのないことへ挑戦するのが好きな性格です。会社としても「世界初」「日本初」といった先進的な取り組みに挑戦するようにしています。  挑戦する以上、成功することもあれば失敗することもあります。無謀な挑戦はいけませんが、失敗を積み重ねることで成功に近づけることだってあります。失敗を恐れないことが何よりも大切です。もっと失敗が許される、むしろたくさん失敗してきたことを評価する社会になってほしいと思いますね。 そんな考えを持っていますから、当社の取引先である研究者の方々にも「技術立国・日本として、世界初のことに積極的に挑戦するべきだ」と訴え、「当社は先進的な取り組みができる仕事から優先して引き受けるつもりだ」と伝えています。そして、先進的な取り組みを成功させるため、「made in Japan」の体制を組んで、日本の優れたモノづくり企業の力を結集して、難しい課題にも恐れず挑んでいこうと考えています。 私はボランティアでロータリークラブの活動に携わっています。そこで小学生・中学生に「あなたは理科が好きですか?」というアンケートを実施しました。調査の結果、理科が「好き」と答えた学生は65%もいました。 けれど、「学校の理科の授業は好きですか?」と尋ねると「嫌い」という回答が65%にも達しました。その結果を理科の先生に伝えて感想を聞いてみたところ、なんと「理科の嫌いな私が理科を教えているのですから、生徒がそう答える気持ちが分からなくもありません」といった趣旨の答えが返ってきました。 理科が好きな子供たちに、そのまま理科を好きでいてもらって、モノづくりのことも好きになってもらうにはどうすればいいのでしょうか。そのためには、模型作りなど、もっと子供たちに自分の手を動かしてもらうべきでしょう。 最近の研究者の卵の中には、コンピュータを使ってシミュレーションするばかりで、実験をあまりしない人も増えてきているそうです。実際に自分の身体を使って実験して「これは上手くいきそう」「これはだめだ」という感覚を身体で覚えること。それが大切なことなのだと思います。

07.jpg 取締役会長 清原 元輔さん

先輩メッセージ
自分の作ったMRI用メガネ型装置が、テレビ番組に登場。家族や友達にも自慢できた

設計開発部
平松さん
――どのような縁があって、清原光学のことを知ったのですか? 大学の先生からの紹介です。研究室の教授が当社の社長と知り合いで、「大学院の修士課程を修了した人を採用したい」と相談されていたようで、私が紹介されて当社に入社することになりました。 私は物理を学んでいましたから、光学という自分が学んできた専門性を生かせそうな分野であること、そして当社が家庭的な雰囲気の職場だったので楽しく働けそうだと思いまして、清原光学に入社したいと思いました。 お客様から「こんな装置が欲しい」といった要望を伺って、装置を設計し、必要な部品を集め、組み立てて納品します。そして、お客様の求めている用途で実際に機能するか確認をして、お客様のところに行って操作方法を説明するというのが一連の業務になります。 MRI(磁気共鳴画像)装置を使って、脳などの活動を調べるシステムの開発を手伝ったこともあります。視覚からの刺激を加えるためのメガネ型の装置を作ったことがあるのですが、納品後に何気なくテレビ番組を観ていたら、その装置が取り上げられていたのです。急に自分の携わった製品がテレビに登場して「ワッ!」と驚きましたね。その後、家族や友達にも自慢しました。 小規模な会社なので、若手の私にも、いろいろな仕事を任せていただけます。多いときには5件くらいの仕事を並行して走らせています。「今日はこの案件の装置の組み立て、明日はあの案件の装置を進める」と作業内容を覚えるだけでも大変です。やるべき業務を忘れないようにメモに記しておくなど、気を付けながら業務を進めています。 お客様から寄せられた相談1件1件に応えていく必要があるため、苦労することも多い仕事ですが、その分、お客様から喜んでもらえたときには格別な気分になります。相談があって初めて打ち合わせに伺うところから自分が担当して、その後もお客様と直接何度もやり取りすることになります。親しくなったお客様から喜ばれるとうれしいですし、自分の仕事ぶりが認められて、別の方から「あの人が使っているのと同じ装置が欲しい」と依頼されるのもやりがいに感じます。 時間の融通をつけてもらいやすく、働きやすいところです。業務に支障が出ない範囲であれば、「この日は予定があるので、早めに帰りたい」「やりたいことがあるので、この日は休ませてほしい」といった要望を伝えると、余程のことがない限りは、許可していただけるところがありがたいですね。 前例のない装置を作ることが多いので、お客様に完成像を伝えるため、3D CADをもっと使えるようになりたいです。3次元の図面を見せることで、お客様と認識をすり合わせやすくなり、話も進めやすくなると思いますから。 優先順位付けをする訓練をしておいてください。仕事を進める上でも、どの作業から取り掛かるべきか、優先順位付けができるかどうかで業務効率がかなり違ってきます。今のうちから、普段の生活の中で、気を付けておいてほしいですね。

08.jpg 設計開発部 平松さん

先輩メッセージ
直接は関わらなくても、モノづくりがはかどるようにお手伝いしたい

経理部
石井さん
――清原光学で働きたいと思うようになったきっかけは? 「事務として働きたい」と考えていましたから、事務職を採用している企業を探しました。その中に清原光学があり、縁があって入社させていただくことになりました。 入社前には「光学という専門的な分野の製品を扱っているので、私は業務についていけるだろうか」と不安に感じていました。けれど入社してから、会社のパンフレットを読んだり、上司から必要なことを教えていただいたりしながら、少しずつ業務に必要な事柄を覚えていきました。まだ不安に感じるところもありますが、入社直後よりも知識は増えてきたと思います。 はい、経理の業務を中心に、電話応対なども担当しています。当社に電話で問い合わせいただく方は、研究者の方ばかり。「こんなことをやりたいのですが、相談できる方はいらっしゃいますか?」と尋ねられます。「このご相談に応えられる技術者は誰か」とすぐに思い浮かべて電話をつながないと、なかなか商談へと発展しません。最初のころは、どんな相談を誰に取り次げばよいか分からず、周りの先輩に聞いてばかりいました。それでも自分なりに勉強してきましたので、今では「最初のころよりも電話応対がかなり上手になったね」とほめていただけるようになり、うれしく感じています。 そうした仕事ぶりを認めていただけたのか、最近になって社長を手伝う仕事も任されるようになり、うれしく感じています。社長が国の研究機関や大学の研究者と進めてきた商談について、見積書を作ったり、必要な書類をそろえたりと事務的な面からお手伝いをしています。 年配の社員も多く、入社したばかりのころは「どんな感じで話したらいいのかな」と不安に感じるところもありました。それが皆さんから気を使っていただいて、お昼休みなど、先輩社員から親しく話し掛けてくださいました。いつの間にか、すっかり打ち解けていましたね。 私の仕事は事務ですから、直接モノづくりに関わることはありません。ですが、事務がいろいろとお手伝いしないと、モノづくりの仕事ははかどりません。もっと上手くお手伝いできるようになって、モノづくりが円滑に進むようになればいいなと思っています。 私は社会に出るまで、仕事をする準備を何もしてきませんでした。それで仕事を始めてからしばらくは戸惑うことが多く、仕事に慣れるまで時間がかかってしまいました。ですから、まだ社会に出ていない学生さんには、学校にいる間から仕事をすることへの準備をしておいてほしいと思います。 注)掲載している情報は、取材日(2013年11月)時点のものです。

09.jpg 経理部 石井さん