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株式会社 小坂研究所

株式会社 小坂研究所 技術先取りと高品質な製品で社会に貢献<br>精密機器が不具合なく稼働するのに必要な部品の加工精度を測定。最先端の製品作りに対応すべく測定精度を高め、より使いやすく短時間で測れるさまざまな専用測定機器などを開発

株式会社 小坂研究所

技術先取りと高品質な製品で社会に貢献
精密機器が不具合なく稼働するのに必要な部品の加工精度を測定。最先端の製品作りに対応すべく測定精度を高め、より使いやすく短時間で測れるさまざまな専用測定機器などを開発

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輝く技術 光る企業

株式会社 小坂研究所

技術先取りと高品質な製品で社会に貢献 精密機器が不具合なく稼働するのに必要な部品の加工精度を測定。最先端の製品作りに対応すべく測定精度を高め、より使いやすく短時間で測れるさまざまな専用測定機器などを開発

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  • 社名:株式会社 小坂研究所
  • 設立年月:1953年7月(創業:1950年9月)
  • 資本金:2億7000万円
  • 従業員数:212名(2015年1月末現在)
  • 代表者:代表取締役社長 小坂伊一郎
  • 社員平均年齢:42.2歳
  • 初任給:院卒:231,000円、大卒:212,000円、高卒:168,800円
  • 主な勤務地:埼玉県三郷市、栃木県真岡市、東京都千代田区
  • 休日:土日祝日、有給休暇、夏期・盆・冬期休暇
  • 本社所在地:東京都千代田区外神田6-13-10 プロステック秋葉原2F
  • 電話番号:03-5812-2081
  • 公式HP:http://www.kosakalab.co.jp/
  • ・精密測定機器、ポンプ、自動機器の3分野で事業展開
  • ・より正確に、より短時間に。顧客の要望に応じて専用機を開発
  • ・世界初の多関節型三次元測定機。自動車製造などで採用
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業種

精密機器・流体機器・自動機器・包装機の研究、開発、製造、販売

事業紹介

【精密測定機器】
精密部品の研究や検査に用いられる表面粗さ測定機や微細形状測定機、シリンダーやピストン等自動車エンジンなどの部品の検査に用いられる真円度測定機、動かせない物体や大きな物体も高精度に測定可能な多関節型三次元空間座標測定機などを製造しており、これらは多岐にわたる産業分野において欠かすことのできない製品です。


【流体機器】
発電所や化学プラント、製紙工場等様々な用途に用いられる一軸・二軸・三軸の各種スクリウポンプや渦巻きポンプ。タンカーに搭載し、化学薬品等を荷揚するためのサブマージドカーゴポンプなどの産業用ポンプを製造しています。


【自動機器・包装機】
半導体素子を実装するダイボンダ、ウインナーソーセージなどの袋入り商品を2個セットで束ねるテープ結束機などを製造しています。


以上の3分野において、精密工学技術を駆使し、限られた分野であっても独自の高品質な機器を研究開発及び製造販売を行っている会社です。

【事業内容】 精密測定機器、ポンプ、自動機器の3分野で事業展開

世界でも数社しか作っていない高度な装置を作る。小坂研究所はそのような方針を掲げ、精密測定機器、ポンプ、自動機器の3分野で事業展開している。 精密測定機器で測るのは、加工後の各種部品表面の粗さ、輪郭の形状、真円度など。DVD普及前に使われていたビデオテープレコーダーでは、テープが走行する重要部品の形状計測で採用率100%。今もパソコン用HDDで磁気ディスクを支える軸受の真円度等、同社機器によって精密計測される製品は数多い。 ポンプにしても、高粘度の液体を送る二軸ポンプや、タンカーから化学薬品を荷揚するサブマージドカーゴポンプをはじめ、他社が簡単に作れないものばかり。自動機器についても、コンビニ弁当やウインナーの入った袋のテープ結束装置といった同業他社の少ない装置を手掛けている。

04.jpg 燃料油噴然ポンプ

【独自戦略】 より正確に、より短時間に。顧客の要望に応じて専用機を開発

精密測定機器、ポンプ、自動機器と3分野の装置を手掛ける中、売上の半分以上を占めるのは精密測定機器。その中でも小坂研究所が得意にするのは、顧客の要望に応じて専用の測定機器を開発・製造していくことだ。 最先端の製品を開発するとなると、1つ1つの部品にしてもより高い精度を求められがち。より精緻に精度を測定できる機器が必要になる上、工場で利用する際の使い勝手を考えて設計することも重要になる。 同社は顧客メーカーから「こんな測定機器が欲しい」と要望を受けたら、より正確に、より短時間に測定データを取得できる特注の専用測定機も開発。より高精度のモノづくりを短時間のうちに実現できるよう、多くの顧客を助けている。

06.jpg 測定しづらい大型部品向けに作られた測定機。
検出器が回転して測定したい部分の真円度を測る

【プロジェクト】 世界初の多関節型三次元測定機。自動車製造などで採用

顧客の要望に応じて開発した測定機器の一例が、多関節型三次元測定機だ。小坂研究所が30年ほど前、世界で初めて製品化した。 従来の直交型では、対象物を台に載せ、探針をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向にそれぞれ動かして測定していた。 対して多関節型では、対象物の位置はそのままで、多関節のアームを近づけて測定可能。アームを自由に動かして測れることから、従来と比べて大型の物、複雑な形状の物の測定も容易になった。 現在は自動車の製造ラインに導入され、ボディにドアを取り付けた後、正しく取り付けられているか、寸法に狂いはないかと測定する用途をはじめ、さまざまなモノづくりの現場で用いられている。

08.jpg 多関節型三次元測定機

社長メッセージ
和を以て貴しと為す。社内外の人々の幸せと社会貢献を理想とする

代表取締役社長
小坂 洋一さん(取材当時)
――貴社の精密測定機器は、どのようなところで使われているのでしょうか。 自動車業界のお客様にご利用いただくことが多いです。主な用途としては、金属加工後の精度測定があります。加工後の部品の表面が粗くなっていないかと測定するわけですね。他にも、自動車の燃料噴射装置の先端にある噴射ノズルの精度を測るところなど、様々な分野で使われています。 最近では、燃料電池のセパレーターの精度測定に用いられています。水素と酸素が混ざらないように分けるための部品ですが、非常に高い精度が求められます。 新しい製品が登場してきたとき、1つの部品の精度によって、製品自体の性能が大きく左右されることがよくあります。高精度のモノづくりをしようとなると、主要な部品の表面が粗くなっているだけで、不良や故障の原因になる恐れがあります。重要な部品になればなるほど、「指定通りの粗さの表面になっているか」「真円に近い形状になっているか」とメーカーは厳しく検査するのです。 当社の精密測定機器は、そのような重要部品の精度測定に用いられることが多くなっています。 精度を測定するときには、電気・機械・光学といった分野の専門性が問われます。当社はこれら3分野の専門家が力を合わせて、顧客の要望に応える装置を開発できるところが強みになっています。 例えば、「自動車エンジンのシリンダーなど、大型部品の真円度を測る装置が欲しい」と依頼されたことがありました。従来の考え方なら、部品を台に載せて回すことで真円度を測定するのですが、シリンダーブロックほどの大型部品になるとそのやり方ではうまく測れません。そこで当社は大型部品を動かさず、逆に測定機器の探針を回転させて真円度を測定する装置を開発しました。そのような装置を作っているのは、世界でも当社以外に1、2社しかありません。 同様に、液晶テレビに使うガラスパネル用の測定装置を作っているのも、当社を含めて世界に数社しかありません。液晶テレビ向けのパネルは、数枚に分割してからテレビ1台1台にはめ込むことになります。元になるパネルを検査するには非常に大きな装置が必要になり、特殊な技術が要求されます。 当社で作っている装置は、最先端のモノづくりを支え、社会にとって必要になるものばかりです。 どれも大切な装置ですから、仕事に対して熱心で、集中して業務に取り組める人に入社してきてほしいと考えています。 「和を以て貴しと為す」です。当社の創立者が創業以来、社是として掲げてきました。文字どおり、「みんなが仲よく、協力し合うことが最も大切」という考え方ですね。 「会社の内外で働く人々の幸せと、世の中に貢献することを事業の理想とする」ということを経営理念にして、折に触れて社員に話すようにしています。

10.jpg 代表取締役社長 小坂 洋一さん(取材当時のもの)
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先輩メッセージ
組み立て担当の仕事は、組み立てだけではない。実物を見て、設計担当に改善提案

精密機器事業部 製造部 組立一課 課長
中澤さん
――入社までの経緯を教えてください。 もともと手先の器用さには自信があり、モノづくりを仕事にしたいと考えていました。就職活動を迎えてから、当社の会社説明会にも参加してみました。 そこで「表面の粗さを測定する機器を開発していて、0.001mm単位で測定できる」という話を聞き、驚きました。普段の生活では1mm単位で作業するだけでも気を使います。「0.001mmを扱う仕事というのは、どれだけすごいものだろう」と強く興味を持ちましたね。 表面の粗さや輪郭の形状などを測定する機器を組み立てています。 組み立ての仕事の流れは、まず営業担当者が受注してきた測定機について必要な部品が入荷されるので、手順に従って組み立て、調整及び精度検査を行い、お客様に指定された納期までに納品していくことになります。 手順どおりに組み立てていくことになりますが、経験豊富な社員ほど、作業の時間配分がうまいです。数十~数百点ほどの部品を使って装置を組み立てていく中で、完成品の測定精度に影響を与える重要部分には念入りに時間をかけ、それほど影響しない部分は短時間で組み立てていくのです。若手は完成品の測定精度、組み立て時間も先輩たちにはまだ敵いませんね。 当社の組み立て担当者には、組み立て以外にも重要な役割があります。それは机上で考えられた設計を実際に組み立ててみて、「ここの機構は変えた方が壊れにくくなる」「あそこの設計はもう一工夫した方が、お客様にとっては使いやすい」など、よりよい設計になるように設計担当者へ提案することです。そうして改善を重ねていくことで、お客様に心から喜んでもらえる装置にしようと努力しているのです。 私にとって1番うれしかったのは、「他社ではうまく測定できなかったけれども、小坂研究所の測定機を使うようになって高精度に測定できるようになった。やはり小坂研究所はすごい」と褒められたときですね。最高の褒め言葉でした。 社員間の交流が盛んで、ソフトボール大会などの社員と家族が参加出来る親睦会行事が年数回開かれているところです。バス旅行も年1回企画され、毎年楽しみにしています。 そうしたイベントをきっかけに、別部署の人とも親しく話せるようになってきました。普段の仕事に戻ってから、「これはあの部署の彼に聞こう」と気軽に相談できるようになりましたから、仕事にもいい影響が出ています。 まずは若手の成長を手助けすることでしょうか。部署内での連携を深め、1人1人が技術を磨いていく必要があると考えています。 それだけでなく、もっと設計担当者に改善提案できるように成長し、よりよい装置作りに貢献していけるようにもなりたいです。 興味を持ったことがあれば、何でも1度は挑戦してみてください。 挑戦してみた結果、たとえ望んだ結果を得られなかったとしても、失敗した経験は後々、自分自身の財産になります。挑戦することを恐れないでください。

12.jpg 精密機器事業部 製造部 組立一課 課長
中澤さん

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先輩メッセージ
粘度の高い液体を送るポンプを作ることで、原油を今まで以上に有効活用。地球環境にも貢献

流体機器事業部 技術部 技術二課 課長
倉田さん
――こちらの会社には、どんな縁から入社することになったのでしょうか? 当社とは、大学で開催されていた企業説明会で出会いました。最初は気軽に「話だけでも聞いてみよう」と思い、足を運んでみたところ、「当社では1人の社員がさまざまな仕事を担当することになる。設計だけでなく、製造に携わることもあれば、お客様のところに行って打ち合わせすることもある」と人事担当者から説明を受けました。 私は小学校のころからラジコン好きで、モノづくりに興味を持っていました。ただ、興味を持っていたのはモノづくりだけでなく、学生時代に飲食業のアルバイトを経験したことから、「みんなで話し合いながら物事を進めていくことも面白い」と感じるようにもなっていたのです。 そのため、パソコンに向かってCADで設計するだけの仕事は「自分の望む仕事とは少し違うかな」と思っていました。当社の仕事では、設計とコミュニケーションの両方が必要。「自分が探していたのは、こんな仕事だ」と感じましたね。 二軸スクリウポンプの設計をしています。当社で作る二軸スクリウポンプは量産品ではなく、基本的にすべて受注生産。お客様のご要望に合わせて、設計を考えていきます。 営業担当者が受注金額などの交渉を終えた後は、私も前面に立ってお客様の技術担当者とやり取りします。技術者同士で話し合いながら、設計の詳細を固めていくわけですね。 これまでに担当したポンプの中には、アスファルトを扱うものもありました。当社で製造するポンプは、粘度の高い液体の移送も得意なのです。アスファルトは道路の舗装で知られていますが、扱うアスファルトは、中でも石油精製の最後に残った超重質といわれるとても粘度の高いものです。資源に限りがある原油は、できる限り使える部分を絞り取って有効活用したいところですが、絞り取るほど、残ったアスファルトの粘度が高くなってしまい、通常のポンプではうまく移送できなくなります。 当社のポンプは、このアスファルトを液状のまま運ぶことができ、発電所の燃料や、工業用として供給します。原油をより有効活用するという点で社会に貢献できるわけです。その仕事に携われたときには充実感がありましたね。 ポンプという製品は、0.01mm単位で高精度に部品加工していかないと、設計どおりの性能を発揮できません。わずかな狂いがあるだけで、時には予定していた性能を発揮できないこともあります。 それが当社の場合、精密測定機器を手掛けている別事業部の力を借りられます。しっかりと部品の精度を測ることで、設計時の理論値どおりの性能を引き出せるわけです。ポンプ設計の担当者としては、自分の思い描いたとおりのポンプを形にできる環境で、非常に恵まれていると感謝しています。 当社には、装置作りのノウハウがたくさんあります。私自身、ポンプ作りのノウハウをある程度は受け継いできましたが、まだまだ習得できていないことが多いと感じています。 そうしたノウハウを吸収していって、今度は私が次世代の技術者に伝えていきたいですね。ただ伝えるだけでなく、例えば、今よりもさらに粘度の高い液体でも移送できるポンプの設計を考え出すなど、私なりに上積みもしていきたいです。 大学で学ぶことであっても、まだまだ基礎的な内容がほとんどです。社会に出てから、大学で得た知識を土台にして、応用を身に付けていくことになります。 ですから、「大学で十分学んだから」と慢心せず、社会に出てからもしっかりと勉強してください。 注)掲載している情報は、取材日(2014年12月)時点のものです。

14.jpg 流体機器事業部 技術部 技術二課 課長
 倉田さん

16.jpg 倉田さんが設計に携わっているポンプ