<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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株式会社 共立模型

株式会社 共立模型 一点物の模型を、企画から入って一貫製作<br>発電所・プラント、船舶・飛行機などの模型を、自社内で一貫製作。用途を踏まえ、顧客が目的を果たせるように、最適な模型を企画・設計

株式会社 共立模型

一点物の模型を、企画から入って一貫製作
発電所・プラント、船舶・飛行機などの模型を、自社内で一貫製作。用途を踏まえ、顧客が目的を果たせるように、最適な模型を企画・設計

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輝く技術 光る企業

株式会社 共立模型

一点物の模型を、企画から入って一貫製作 発電所・プラント、船舶・飛行機などの模型を、自社内で一貫製作。用途を踏まえ、顧客が目的を果たせるように、最適な模型を企画・設計

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  • 社名:株式会社 共立模型
  • 設立年月:1961年10月
  • 資本金:2,000万円
  • 従業員数:31名
  • 代表者:代表取締役 梅沢秀明
  • 主な勤務地:大田区南六郷
  • 休日:週休2日制(社内規定による)
  • 本社所在地:東京都大田区南六郷1-8-16
  • 電話番号:03-3735-1622
  • 公式HP:http://www.kyoritsu-mokei.com/
  • ・探査機や発電所など、一点物の模型を自分たちの力で一貫製作
  • ・用途別に最適な模型の企画から入る。満足した顧客が常連客に
  • ・社員1人1人の適性を見極め、気持ちよく働ける仕事を任せる
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業種

・模型・装置に係る企画・設計・製作の一貫作業
・多品種・少量生産品の設計・製作
・テクニカルイラストの製作
・以上に係る一切の業務

事業紹介

模型には実物ではわかりにくいことを伝える力があります。
それが最先端の技術や製品の特徴を見せるためであったり、科学や物理の基礎的なことを子どもたちに理解してもらうためであったり、今は無い昔のものを忠実に復元するためであったりと、様々な目的があります。

我々の存在意義は伝えたいことを把握し、それを的確に、効果的に形にする・・・ということです。
つまりお客様のご要望に対し、大きさや見せ方を提案し、材料や製作方法を選択し、限られた予算や日程の中で納得いただく製品をお届けすることが我々の仕事です。

また、当社は模型製作会社ということにはなりますが、当社の方針としては製作するものはいわゆる模型にとらわれず、一般の家庭のウッドデッキであろうが、工場の守衛所であろうが、作れるものと、作れそうなものはお引き受けする方針です。

長年にわたり築き上げてきた社員の技術・技能にプラス「3D光造形成型機」等の新しい技術の導入を図るなどして、品質・価格・納期の確保にも努めています。
当社が創立以来、50年以上も存続できたのはこのような姿勢を含めて、お客様に対する信頼を得ているからだと自負しています。

【事業内容】 探査機や発電所など、一点物の模型を自分たちの力で一貫製作

潜水調査船「しんかい6500」や小惑星探査機「はやぶさ」を科学館などで目にしたことはないだろうか。もちろん、展示されているのは実機ではなく、そっくりに作られた模型だ。 そのような探査機や、発電所・プラント、自動車・船舶・飛行機といったものを題材に、多種多様な模型を手掛けているのが共立模型。企業や科学館・博物館などから依頼を受け、一点物の模型を作り出している。 設計して素材を選び、加工・造形・塗装するところまで、基本的にはすべて自社で一貫製作。モーターを使って風車を回す、LEDを光らせて電気の流れを明示するなど、電気・機械的な仕組みの部分も自社内で作り、完成度の高い模型作りにこだわっている。

03.jpg 共立模型が制作してきた数々の模型。
発電の仕組みなどを説明するため、
電子回路や機構を組み込み、
動きを付けた模型も多数手掛ける

【独自戦略】 用途別に最適な模型の企画から入る。満足した顧客が常連客に

模型の使い道は、顧客によってさまざま。展示会に出品する、科学的な原理を分かりやすく示すなど、用途によって最適な模型は異なってくる。 共立模型は創業から50年以上、どんな用途で模型を使いたいのかと顧客から話を聞き、「実物より縮小しつつも精密に再現」「相手に説明したい部分をデフォルメして示す」「切断面を加えた形で造形して内部構造を見せる」など、要望に応じて最適な模型を考えてきた。 そのように模型を企画するところから入り、時には写真1枚から全体像を設計し、造形して顧客の評価を聞くことで蓄えてきたノウハウこそが同社の財産。1度でも仕事を頼んだら、何度も繰り返し注文してくれるところが多くなっている。

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【社内制度】 社員1人1人の適性を見極め、気持ちよく働ける仕事を任せる

顧客にもっと満足してもらうため、力を入れていることの1つがメンテナンスだ。模型はほぼ一点物のため、製作者本人でないと分からないことが多い。10年先、数十年先に「修理してほしい」と頼まれても対応できるように、社員にずっと働いてもらえる会社であろうと努めている。 特に配慮しているのは、社員に任せる仕事の決め方。模型作りには、企画、設計、加工、組み立て、塗装、スケジュール管理といったさまざまな役割が必要になる。社員を採用したら一通りの業務を経験させて、「手先は器用だけど話下手」「全体を俯瞰して考えるのが得意」と1人1人の適性を見極め、得意なことを任せて気持ちよく働いてもらえるように心掛けている。

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社長メッセージ
模型作りの技を若手に伝え、受け継いでいきたい

代表取締役
梅沢 秀明さん
――貴社はこれまでに、どのような模型を製作してきたのでしょうか。 50年以上前に創業した当時は、造船会社から「船舶を購入してくれた船主に、その船の模型を贈りたい」と依頼を受け、船の模型を作っていました。 そうしているうちに当社が作る船模型の精度が高いことが認められ、その造船会社が別事業で展開している発電所についても、模型製作の相談を受けることが増えてきたのです。建設予定の発電所を先に模型で形にしておいて、「配管などに問題はないか」と設計を詳しく検討する目的で利用されるようになったわけです。 それ以来、発電所関係の模型を作ることが多くなっています。建設予定の発電所の完成形を模型で作って展示会で披露したり、海外に発電所を売り込みにいく際に「このように建設します」と説明したりといった場面で使われています。 発電所関係の模型以外には、科学的な原理を理解しやすくするための模型を科学館や博物館に納めていますね。 最近は、会社のホームページを見て注文していただくお客様が増えていまして、個人のお客様から「こんな模型を作ってほしい」と相談を受けることもあります。 実は、模型を作るときには、そこまで高度な加工技術が求められるわけではないのです。 大切になるのは柔軟性を持った総合力です。お客様は模型に対して、「細部まで精密に再現してほしい」と望んでいることもあれば、「全体像を何となく把握できればいい。だから、できるだけ低価格・短納期にして」と希望していることもあります。「どれくらいの予算で考えているのか」「いつまでに必要なのか」「どんな用途に利用するのか」といった情報を聞き出して設計を考え、最適な素材・加工方法を選択し、納期までに完成するよう工程を組んで製作を進めていきます。 そうしたお客様の要望に応える技術、つまり総合力こそが当社にとって一番重要なものだと考えます。 模型をデザインする力、素材を加工して造形していく技術、電気制御の知識、お客様の要望を聞き出す姿勢など、理想としては、それら全部を持っていることです。けれど、すべて兼ね備えている人は、まずいないでしょう。 「子供のころから木工が得意」「手先が器用」など、何か1つでも自慢できることがあれば、得意なことを当社の中で生かすことができます。ですから、これから入社してくる社員に何を求めるかと言えば、モノづくりが好きだという気持ちや新しいことに興味を持って身に付けようとする好奇心があることでしょう。そうした気持ちだけ持って入社してきてくれれば、十分です。 当社が理念として掲げ、大切にしているのは「成長しつつ存続」していくことです。納品した模型をいつになってもメンテナンスできるように、若い人を育てて模型作りの技を受け継いでいきたいですね。 そのためには仕事量の確保が必要です。今後、東南アジアなど、海外展開も視野に入れつつ国内の既存顧客との関係も、より深く、より広いものにしていきたいですね。 「モノづくりを仕事にしてくれ」とは言いません。モノづくりの魅力を理解しようとしてくれるだけでいいです。モノづくりに興味を持ってください。 日本の将来を支えていくのは、若い人たち。1人でも多くの若い人たちにモノづくりに興味を持ってほしいのです。

11.jpg 代表取締役 梅沢 秀明さん

先輩メッセージ
「思い出の自動車模型を作って」と個人から依頼。苦労したが心から喜んでもらえた

製造部
吉田さん
――どのような縁があって、この会社に就職したのでしょうか。 私は大学時代、プロダクトデザインを勉強していました。ところが授業の中で自分の手で模型を作ってみて、「自分のやりたい仕事は、デザインよりモノづくりの方だ」と気が付いたのです。 もともと大学に入る前から、図工や技術、美術といった授業が好きでした。その中でも、造形物を作ること、模型を作ることが楽しかった記憶があったので、「模型メーカーで働きたい」と強く思うようになりました。 そんな私が友人から紹介を受け、選考を受けてみたのが当社でした。「ここなら自分のやりたいことを仕事にできる」とこの会社を迷わず選びました。 入社後は、まず一通りの業務を経験させてもらいました。金属や木材を切ったり削ったり、塗装をしてみたり、電気で制御する機構を組み立てたりしたこともありました。 そして現在は、お客様から要望を伺いながら、3D CADを使って模型を設計する業務を担当しています。 お客様ごと、作る模型ごとに大切にしなければならない点が違います。細部まで精緻に作ることが大切な模型もあれば、見えない部分は省略して低価格・短納期で作成した方が喜ばれる模型もあるわけです。 少し前に、個人のお客様から依頼を受けて、自動車の模型を作ったことがありました。「亡くなった主人が車好きだったから、仏前に一番好きだった車の模型を供えたい」と奥様から相談されて受けた仕事でした。 どんな自動車の模型を作ればいいかは決まっていましたが、自動車の設計資料などは一切なく、参考になりそうなものは写真しかありません。しかも、その車体は流線型の部分が多く、その曲面をCADで描いていくことが大変でした。結局、設計に2カ月も費やすことになりましたね。 そうした苦労はありましたが、最終的には19分の1スケールで、車内の携帯電話置き場やマスコットなども忠実に再現できました。奥様には心から喜んでいただけて、私もとてもうれしかったです。 当社が作っている模型はどれも一点物で、設計するとき、毎回新しいものをどう作ろうかと思い描くことになります。日々の仕事に刺激が多く、すごく楽しいところが気に入っています。 設計していて一番楽しいのは、教育目的の模型です。子供が見学する科学館などの施設に展示するものですね。 私自身、子供のころは雑誌の付録として付いてくる科学教材を楽しみにしていました。当時の私が楽しみにしていたように、今の子供たちが楽しみにしてくれる模型をたくさん設計していきたいですね。 思い返してみたら、私がプロダクトデザインを専攻するようになったのは、「好きだった科学教材を自分の力で作りたい」という夢があったからです。けれど、どんな会社に入ってどんな職種で働けば、その目的を果たせるのかは分かっていませんでした。 そんな状況から就職活動を始め、思ったことをいろいろと行動に移してみて、さまざまな経験を積むうちに、自分の夢を実現できる会社と仕事に出会えました。 学生の皆さんも、自分の夢を実現できる会社と仕事がどこにあるか、すぐには分からないかもしれません。ですが、とにかくいろいろなことに挑戦して、多くの経験を積んでいけば、自分のやりたいことを実現できる会社と仕事をきっと見つけられると思いますよ。

12.jpg 製造部 吉田さん
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先輩メッセージ
完成した模型を顧客に披露。「すごい」という褒め言葉が、すべての苦労を吹き飛ばす

製造部
大脇さん
――モノづくりの仕事に、いつごろから興味を持っていたのでしょうか。 学生のころから興味があり、高校ではモノづくり関係の部活で部長を務めていました。就職先を探していた時、部活の顧問の先生から当社のことを薦められました。 それがきっかけになって当社について調べてみたら、地元で展示していた全長2~3mほどもある船の模型を作っていたことが分かりました。その船模型は木製で、船底や船内の装飾品までしっかりと作り込んだものでした。「こんなすごい模型を作ることができる会社は、なかなかないはずだ」と感じ、入社を決意したのです。 入社からしばらくの間は、発電所関係の模型に使う部品を加工していました。 数mほどの大きさになる大型の模型を作るときには、複数の社員が製作に携わり、それぞれ担当する部品を割り振られ、加工を任されるのです。そうして必要な部品を用意できたら、模型全体を組み立てるという進め方をしていきます。 そのように経験を積んでくると、任される仕事も年々、難しく幅が広がってきます。入社3年目からは、部品加工だけでなく、LEDを使った電飾の作成も任されるようになってきました。最近では、3D CADを使った設計の仕事を少しずつ始めていますね。入社当時と比べて、任される業務の範囲がかなり広がってきたと感じています。 さまざまな模型を作ってきましたが、その中でも、宇宙関係の模型を製作したことが記憶に残っていますね。世間でも注目されていたものですから、「当社の力が認められてこれだけ有名なものの模型製作を依頼されたのだろう」と誇らしい気分になりました。 また、自分が製作に関わった模型を、お客様に納品するときに立ち会うこともありますが、完成した模型を披露した時に、お客様から「すごい」と感心してもらえることがよくあります。その一言を聞くと、完成までの苦労がすべて吹き飛びますね。 職場はいい意味で町工場らしく、堅苦しい思いをせず、ありのままの自分で働けます。すごく働きやすい雰囲気の職場です。 今取り組んでいる3D CADにもっと慣れて、1人で模型を設計できるようになりたいです。 最近は、3Dプリンターに注目が集まっています。3Dプリンターの利用はこれからもっと広まっていくと思いますから、今のうちに3Dプリンターに送るデータを3D CADで作れるようになっておきたいですね。 その一方で、自分の手を使って、切って、貼って、削っていく技術も磨いていきたいです。 最新の技術と、昔ながらでも基礎になる技術の両方を知っておくことが、今後の模型作りには重要になるはずです。どちらも疎かにせず、身に付けていきたいです。 私自身、就職活動を迎えるまで、「うまく乗り切ることができるだろうか」と不安を感じていました。不安が強かったため、「どうせ行動してもうまくいかない」と消極的な気持ちになっていた時期もあります。 けれど、実際に活動をしてみると、意外と楽しく面白い経験をする機会もありました。就職活動は嫌なことばかりではありません。前向きな気持ちを持って臨んでください。 注)掲載している情報は、取材日(2014年12月)時点のものです。

13.jpg 製造部 大脇さん
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