<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

文字サイズ

株式会社ルケオ

株式会社ルケオ 「誰にもまねできない高付加価値のモノづくり」を目指す光学メーカー<br>「お金は残らなくても、技術が残る」挑戦して蓄積してきた技術を、手塩に掛けて専門家に育てた社員が継承する

株式会社ルケオ

「誰にもまねできない高付加価値のモノづくり」を目指す光学メーカー
「お金は残らなくても、技術が残る」挑戦して蓄積してきた技術を、手塩に掛けて専門家に育てた社員が継承する

main_luceo
輝く技術 光る企業

株式会社ルケオ

「誰にもまねできない高付加価値のモノづくり」を目指す光学メーカー 「お金は残らなくても、技術が残る」挑戦して蓄積してきた技術を、手塩に掛けて専門家に育てた社員が継承する

main_luceo
  • 社名:株式会社ルケオ
  • 設立年月:1966年9月
  • 資本金:4000万円
  • 従業員数:30名
  • 代表者:代表取締役会長 兼 CEO 吉村 健正
  • 社員平均年齢:42歳
  • 初任給:195,000円
  • 主な勤務地:東京都板橋区
  • 休日:土日祝日、有給休暇、夏期・冬期休暇
  • 本社所在地:東京都板橋区大山金井町30-9
  • 電話番号:03-3956-4111
  • 公式HP:http://www.luceo.co.jp/
  • ガラスやプラスチック製品の品質検査の際、機能性の低下や破損を招くことから、見逃してはならないのが歪み。けれど、ガラスやプラスチックの歪みは目では見えない。そこで偏光という光学特性を利用して、簡単に検査できる検査装置を開発した企業がある。光学メーカーのルケオだ。
  • ほかにも光学フィルター、光学センサーユニットなど多彩な製品を手掛ける同社。ニッチな市場でも確実に必要とされる製品を開発・製造する同社は、どのような歩みをたどってきたのだろうか。
intro_img

時代に応じて主軸製品を変えるも根底に残るは高付加価値のモノづくり

老舗の光学メーカー、ルケオの創業は1966年。「都内で誰にもまねできない高付加価値のモノづくり」を目指しての起業だった。創業者が着目したのは、一眼レフカメラに用いられる偏光フィルター。その読みは当たり、優れた技術力で市場から高評価を得た同社には、国内外から注文が舞い込むようになった。 代表取締役の吉村健正氏は創業の4年後に入社。輸出向けの増産に伴い、製造現場を任せられた。 ところが、その後は円高で輸出が伸び悩んだ上に、カメラの性能向上によって偏光フィルターの必要性が低下してきてしまった。吉村氏は創業者である父親と力を合わせ、事業の転換を図ることになる。第二創業期を迎えたわけだ。 「82年から85年ごろに掛けては、既存事業からの撤退と新規参入を並行して進めていました。寝る暇もないくらい忙しかったし、また苦しかった。技術を習得する社員も同様だったと思います」と吉村氏は当時を振り返る。 吉村氏は苦境を脱するため、三つの方針を打ち立てた。一つ目は、成熟した光学フィルターの分野で、既存の技術をさらに昇華させ、誰にもまねできない技術を確立すること。二つ目は、光学フィルターで培ったノウハウを活かし、食品や印刷といった分野で使われる光学センサーユニットの設計・製造を試みること。最後の三つ目は、光学特性を応用して、ガラスやプラスチック製品の歪み測定、分布状態の観察、応力方向の解析などを行う事業を立ち上げることだった。

03.jpg 代表取締役会長 兼 CEO 吉村 健正 さん
04.jpg

ニーズなきところにモノづくりなし。必要とされるから技術が生まれる

吉村氏の掲げた三つの方針に従い、ルケオはその後、業績を回復させる。吉村氏の弁を借りるなら「業績向上は挑戦の副産物」挑戦を続けたことが業績向上の何よりの特効薬になったのだ。 「モノづくりは物売りとは違います。どれほど良いものを作っても、それが社会に必要とされなければ意味をなさないし、だからといって販売力でそれを補うのも違います。『このような物はできないか』『こんなことはできないか』という顧客のニーズに合わせて開発していくことがモノづくりの本質なのです」(吉村氏) 同社は顧客の要望に応じる形で次々と新しい技術に挑戦した。依頼があれば、どれだけ困難な内容であっても方法論を検討し、挑んできたのだ。  「複雑な要望を実現するためには、コストが掛かります。何度も何度も作り直すから時間も掛かる。そうして苦労した末に実現できても、採算が合うことはまれなのです。けれど、お金は残らなくても、技術が残ります。技術は会社の財産。その蓄積が会社の力になるのです」(吉村氏)

06.jpg

「中小企業」という環境こそがオールマイティな人材を育てる

もちろん、技術という無形の財産を蓄積していくには人材が必要。にもかかわらず、実はルケオには、光学系の専門知識を持って入社した社員は少ないのだと吉村氏は言う。入社時点で専門家でなくても構わない。しっかりと1人前になるまで社員を育てようという土壌が同社にはあり、いつの間にか日本を代表する研究機関や大学の研究員と互角に渡り合えるほどにまで専門性を伸ばせるということなのだ。 例えば、新入社員にはISOの指針に沿った長期間に渡る研修を用意。そして吉村氏自らが率先して外部のセミナー・講習への参加を社員に勧めている。さらに社内勉強会も定期的に開催し、社員同士の情報交換も活発だ。 だが何より社員を成長させているのは、同社が「中小企業」であるという事実だと吉村氏は話している。「中小の社員はオールマイティに仕事へ取り組まなければなりません。歯車のように、決まった場所で決まった動作だけをしていては、中小企業では立ち行きません。変化の激しい社会動向の中で、さまざまな役割を担っていかなければならないのです。一つのことしかできないような人は、重要なポストに就くことができないでしょう。」 そう考える吉村氏が求める人材は、PDCAを自分で回せる人。「自分で計画(Plan)を立てて、行動(Do)し、評価(Check)して改善(Act)する。それが可能な人であれば、白紙の状態で入社しても、すぐに自立し、当社のビジネスを担っていけるでしょう。そんな素養を持つ人材に来てほしいものですね」(吉村氏)

07.jpg
05.jpg

先輩メッセージ
やりたいことが明確なら、大手よりも中小の方がチャンスはたくさんある


技術部 課長花島さん

――現在、どのようなお仕事を担当しておられるのですか。
主にレンズの設計に携わっています。お客様の用途や要件を伺い、納品するレンズの仕様を決め設計するのが主な仕事です。
――業務の上で心掛けておられることは何でしょう。
お客様とのコミュニケーションに気を付けています。お客様が求めておられることを的確に把握し、連絡を密にとって細かいことでも必要な事項は必ず報告するようにしています。当社にとっては当り前のことでも、お客様からすれば当たり前ではないことがよくありますからね。信頼というものは、そうした細かな積み重ねによって生まれるのではないでしょうか。
――仕事のやりがいや喜びは、どんな時に感じられますか。
私は転職して当社に入社したのですが、前職のころからレンズの設計に携わりたいと考えていました。ですから、レンズ設計の仕事に携われていること自体が喜びです。また、レンズ設計はさまざまな構成要素が組み合わさっているパズルのようなもの。一部をほんの少し変更しただけで、性能が飛躍的に高くなったり、これまで不可能だったことが急に可能になったりします。トライをしていく過程がとても面白いのです。
――この会社の魅力を教えてください。
大手企業に勤める身であれば、何かしたいことがあっても上司の承諾が得られるまでに長い時間が必要だったり、所属部署の業務範囲を超えれば、実現すること自体が難しかったりするでしょう。その点、当社ではすぐに会長まで話が通りますから、やる気さえあれば実行に移せるチャンスはいくらでもあります。やりたいことが100パーセントかなうわけではありませんが、チャンスはたくさんある環境です。
――最後に、学生さんたちに向けてメッセージをお願いします。
学生のうちに、やりたいことを見つけて、学べるだけ学んでおくことをお勧めします。社会人になるとさまざまな制約があって自由に時間を割けなくなります。ある程度時間に余裕のある学生のうちに、できることをやっておいた方がいいと思うのです。 私もまだ知らないことがたくさんありますから、一生勉強を続けるつもりで視野を広げていきますよ。

08.jpg 花島さん

専攻が違っても、興味とやる気がある人なら大丈夫


技術部 主任飯塚さん

――大学を卒業後、ルケオに入社されたと聞いています。大学ではこの方面を専門にされていたのですか。
いえ、それがまったく畑違いの学部で、同じ理系でも化学を専攻していました。入社前には、物理の専門書を買い込んで勉強しながら、「私で勤まるかな」と不安な日々を過ごしていたものです。 最初は分からないことばかりでしたが、先輩方も丁寧に教えてくださいましたし、社内外の研修も受けさせていただきましたので、時折失敗はありましたが、着実に知識を吸収できました。 実際、営業部に所属していた時には、お客様と話をしていて知識不足を痛感することが多々ありました。ですが、徐々に話についていけるようになりましたし、何とかなるものだと感じています。
――これまでで、一番印象に残っている出来事と言えば?
あるお客様から難易度の高いご要望がありまして、あれこれと試行錯誤しながら、長期間掛けて製品化したことですね。実験を繰り返し、その都度結果をお客様に報告しながら開発を進めました。その分、お客様と固い信頼関係を築けた手応えがありましたね。 最後に「貴社に頼めば何とかしてくれると思っていたよ」と仰っていただいた時には、とてもうれしかったのを覚えています。
――この会社の魅力は何でしょう。
何といってもアットホームなところです。分からないことは気兼ねなく先輩や上司に相談できますし、経営陣との距離も近いので、意思の疎通もスムーズです。毎日働く場所ですから、職場の雰囲気は良いに越したことはありません。その点この会社は居心地がいいです。
――ご自身の今後の抱負を聞かせてください。
私は入社後に開発部へ配属され、続いて生産部、営業部に転属となり、数年を経た現在は品質向上を図る技術部に所属しています。 そうして四つの部署を経験する中で、業務に必要な知識をさまざまな角度から学ぶことができました。お客様のご要望は近年、ますます難易度が高まっています。難しいご要望であっても具現化できるよう、これまで複数の部署で蓄積したノウハウを役立てていきたいと思っています。
――最後に、これから社会に出る学生さんたちにメッセージをお願いします。
どのような業界に進むにしても、学校で学んだことがすべてではありません。私のように専門が違っても大丈夫。きっと何とかなりますから、気後れせずチャレンジしてほしいですね。

09.jpg 飯塚さん