<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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株式会社 丸三電機

株式会社 丸三電機 半導体が生む熱を逃がす。品質重視の産業用ヒートシンク<br>メーカー転身から30年ほどで、産業装置向けヒートシンクで国内シェア4割に急成長。品質至上主義を徹底して不良率を下げ、事業効率を向上

株式会社 丸三電機

半導体が生む熱を逃がす。品質重視の産業用ヒートシンク
メーカー転身から30年ほどで、産業装置向けヒートシンクで国内シェア4割に急成長。品質至上主義を徹底して不良率を下げ、事業効率を向上

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株式会社 丸三電機

半導体が生む熱を逃がす。品質重視の産業用ヒートシンク メーカー転身から30年ほどで、産業装置向けヒートシンクで国内シェア4割に急成長。品質至上主義を徹底して不良率を下げ、事業効率を向上

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  • 社名:株式会社 丸三電機
  • 設立年月:1963年7月
  • 資本金:7,000万円
  • 従業員数:70名
  • 代表者:代表取締役社長 竹村 美香
  • 社員平均年齢:34.3才
  • 初任給:高卒 180,000円  大卒 200,000円
  • 主な勤務地:東京都千代田区、埼玉県入間郡
  • 休日:土日祝日、有給休暇、夏期・冬期休暇
  • 本社所在地:東京都千代田区外神田3-9-2
  • 電話番号:03-3253-0411
  • 公式HP:http://www.lex.co.jp/
  • ・携帯基地局など、産業用ヒートシンクで国内シェア4割
  • ・メーカーに転身してわずか30年。品質至上主義で急成長
  • ・ワンストップ、新製品開発、海外展開。次々と新たな取り組み
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業種

•電機・電子機器用部品の製造及び販売
•LEXヒートシンク(半導体素子用)
•アルミ非鉄金属加工品
•LEXツマミ(通信機器、測定機器、音響機器用)
•Hirshmanコネクター(ドイツ・ヒルシュマン社代理店)

事業紹介

丸三電機はこんな会社です。


ヒートシンク、放熱器の丸三電機では優れた放熱特性を発揮するヒートシンク(放熱器)の開発・製造・販売を行っています。
LEXの高精度ヒートシンクは、数ミリワットから数キロワットの冷却まで自然空冷、強制空冷や水冷の他、各種の冷却方式をラインアップ。標準素材から特注型材、また精密複雑加工から表面処理までハイテクを駆使しています。


【開発技術面】
現代の半導体を中心とした電子機器は放熱こそが、製品のキー(寿命・性能)です。
放熱技術に拘った製品開発に注力しています。
丸三電機の新しい発想が、お客様の『利便性』や『快適性』につながります。


【営業面】
お客様の声を謙虚にうかがい、商品開発・品質管理・生産方式に活かします。
お客様とのコミュニケーションを第一にしています。


【生産面・品質管理面】
最先端のマシニングセンターや三次元測定機を活用し、精密加工技術に挑戦し続けています。『品質至上主義』を合言葉に、詳細な品質管理ノウハウを活用することで、丸三電機のヒートシンクは『信頼の証』と言われるようになりました。

【事業内容】 携帯基地局など、産業用ヒートシンクで国内シェア4割

パソコンや携帯電話などの、電子機器を長時間使っていると熱を持つようになり、機器に触れて「熱い」と感じたことはないだろうか。 そんな電子機器などに使われている半導体に電気を流すと熱が生じる。高温になると半導体の性能が落ちてしまうことから、発生した熱を逃がすため、「ヒートシンク」という製品が使われている。 そうした半導体から生じる熱を逃がすヒートシンクを開発・製造しているのが丸三電機だ。熱を伝えやすいアルミなどの金属を使い、片側を剣山のように加工。逆側の平らな面を半導体に密着させ、剣山側から熱を放って冷やす仕組みだ。 同社が作るヒートシンクは、携帯電話の電波を中継する基地局、大規模な太陽光発電所、工場で使われる工作機械など、産業用の装置に使われる。この分野では国内シェア4割を誇るトップメーカーだ。

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【プロジェクト】 メーカーに転身してわずか30年。品質至上主義で急成長

実は丸三電機、創業時は商社で、モノづくりを始めたのは30年ほど前のこと。代理販売していたヒートシンクに不良品が見つかることがよくあり、「これなら自分たちで作った方がいい」とメーカーへの転身を決意した。 不良品があると一から作り直すことになり、お客様への対応にも手間が掛かる。不良品をなくせば効率的な事業展開ができるはずと「品質至上主義」を徹底。出荷前に不良品を見抜こうと品質管理部門を強化し、協力会社にも「品質にこだわって」と何度も念押し。当初は2.5%ほどだった不良率を0.05%以下にまで低減させた。 顧客からは「高品質・低価格・短納期だ」と評価されて短期間で急成長。品質へのこだわりが原動力となった。

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06.jpg 各部署が意識を高め、不良率を減らしてきた

【独自戦略】 ワンストップ、新製品開発、海外展開。次々と新たな取り組み

産業装置向けのヒートシンクメーカーとして国内で実績を残した丸三電機だが、現状に甘んじず、次々と新たな取り組みを始めている。 例えば、ヒートシンクの製造だけでなく、半導体まわりの熱設計から支援し、周辺部品も同社が調達、装置に取り付けて試験するところまで一貫対応する「ワンストップ戦略」を打ち出し、少しずつ売上を増やしている。 製品開発にも力を入れ、自励振動型ヒートシンクの開発で東京都から助成金を受けるなど、さまざまな種類のヒートシンク・放熱器の開発に着手。毎年のように特許を取得するようになった。 また、海外展開も積極的に推進。中国・台湾・ベトナムなどにも生産先を広げ、一層の成長を図っている。

08.jpg 空冷式以外のやり方で冷却する新型ヒートシンクも開発中

社長メッセージ
お客様に喜んで頂き、社員を幸せにする。そのためには感謝の心が大切

代表取締役社長
竹村 元秀さん(取材当時)
――貴社のヒートシンクは、どのようなところで使われているのでしょうか。 電子機器に不可欠な半導体は、稼働時に熱を出します。ヒートシンクはその熱を放散させる製品ですから、半導体を使うさまざまな機器に組み込まれています。 当社が作るヒートシンクについては、携帯電話の基地局に設置される機器向けのものの出荷が増えてきました。スマートフォンの普及に対応するため、携帯電話各社が急速に基地局を増やしています。そのおかげで売上も伸びていますね。 そうした基地局向けのヒートシンクは数千個単位で作ることになりますが、それだけの量を同じ製品で製造するのは珍しいことです。当社の取引先は製品を直接購入されるメーカーだけで200社以上あり、メーカー各社に代理販売してくれる販売代理店も同じくらいの数があります。それだけ多くの企業から、数十~数百個単位で注文が来ることがほとんどで、多品種少量でヒートシンクを製造できるように、生産体制を整えています。 実は、数年先、十年先のことを考えて計画を立てることは、あまり好きではありません。 というのも、私が社長に就任してからの20年あまり、長らく不況が続いていました。大企業であっても中期・長期計画を簡単に達成できない状況で、変化が大きく先行きを予測することが非常に難しかったので、数年先のことを見据えてもあまり意味がなかったのです。 そんな理由があって、中期・長期計画を立てる代わりに毎年目標を打ち出し、その目標達成に向けて1年間全力を出し切る「単年度ベスト型経営」を心掛けるようになりました。今後も、この方針を続けていこうと考えています。 現在、力を注いでいることの1つは、総合的な熱対策のできる企業になることです。ヒートシンクだけでなく、それに関連する部品の調達、装置への取り付けなども含めて対応する「ワンストップ」戦略を打ち出しました。さらに、空気で自然に冷える方式のヒートシンクだけでなく、ファンを回して空気で強制空冷するヒートシンク、冷却液を循環させて熱を奪うヒートシンクなど、新製品の研究開発を推し進めています。 半導体の熱対策は、今後も必要とされることでしょう。さまざまな方式のヒートシンクで、包括的に熱処理の解決策を提供できるメーカーへと成長していきたいですね。 「感謝」です。私が経営者として大事にしていることの1つ目はお客様に喜んで頂くこと、2つ目は社員を幸せにすることです。 お客様に喜んで頂くには、お客様に感謝して「もっとお客様に満足してもらわなくては」と努力する必要があります。社員を幸せにする上でも、日ごろのがんばりに報いようとする感謝の気持ちが大切でしょう。 私は社長として2代目で、初代は私の叔母でした。叔母の働く後姿を見ていて、「感謝」という言葉が経営者にとっては大切だと感じましたね。 がんばって働く社員に対して、しっかりと報いられるのは、大企業よりも中小企業の方だと私は考えています。努力する姿勢は必ず経営者・上司の目に入りますし、働きが認められれば昇進・昇給する可能性も高いでしょう。 日本のモノづくりを支えているのは、われわれのような中小のモノづくり企業です。意欲ある人には、ぜひ中小企業で働くことを視野に入れてほしいものです。

09.jpg 代表取締役社長 竹村 元秀さん(取材当時のもの)

先輩メッセージ
高精度の加工を短時間のうちに。2つのことを両立できるように気を配る

製造部 製造課 加工係
岡村さん
――どのような就職活動を経て、こちらの会社に就職したのでしょうか? 就職活動を迎え、学校に届いた求人情報を調べていたところ、先生から、「この会社はいいところだから、受けてみては」と勧められたのがきっかけでした。求人情報を見たときには、「精密な加工をやっていて、難しそうな仕事だな」と感じました。実際に工場を見学させてもらい、面接を受けてみると、「社員が堅過ぎず柔らか過ぎず、いい雰囲気で働いていました。入社したら、自分もすぐに溶け込めそうだ」と好印象を持ったので、入社を決意しました。 さまざまな切削加工ができるマシニングセンタという工作機械を担当していまして、お客様からの仕様どおりにヒートシンクを加工しています。 私は、自分で納得できる仕事をしたいとこだわる性格で、不良品を出さないように、加工には細心の注意を払っています。ですが、仕事として加工する以上、それだけでは不十分です。不良品を出さないのは当たり前で、同時に短時間で仕上げることも求められます。高精度な加工と短時間の加工、その2つを両立できるように気を配っています。 もう1つ心掛けているのは、人の嫌がる仕事でも進んで引き受けることです。ヒートシンクを完成させるまでには、バフ掛けという金属の表面を磨く工程が入ります。この工程を好きではない人が多いのですが、私はこの作業が得意なので率先して引き受けるようにしています。以前、「ヒートシンク3000個を2日でバフ掛けしてほしい」と頼まれたことがありましたが、1日強で作業を終えることができ、上司・先輩たちから褒めてもらえました。 そうした姿勢を評価してもらえたのか、最近になって、マシニングセンタを2台任せてもらえるようになりました。「自分の成長が認められた」とうれしかったです。どんな仕事でも積極的に引き受けることで技術を磨き、上司・先輩からもっと認められるようになっていきたいですね。 社員1人1人が互いのことを気遣い、協力し合って働ける環境です。すごく働きやすくて、そんなところが好きです。 たくさんありますが、その中でも最大の目標にしていることは、製造課の中で一番の加工技術を持つ社員になることでしょうか。先輩たちの技術に追い付き追い越し、誰よりも上手に加工できるようになりたいです。 私が社会人になってから反省した点は、自分の意見・考えをはっきり上司や先輩に伝えることに慣れていなかったことです。そのために、働いていて困る場面もあったのですが、少しずつ自分の意見を言えるように努力してきました。社会に出る前に、自分の意見・考えをしっかりと表明できるようになっておくと苦労が減ると思います。 また、若いうちは人よりも多くの仕事を経験するように心掛けてほしいです。「自分たちがモノづくり企業を引っ張っていく」という気概を持って、より早く一人前に成長できるようにがんばってください。

10_02.jpg 製造部 製造課 加工係 岡村さん

先輩メッセージ
優しく尊敬できる上司・先輩ばかり。分からない点を丁寧に教えてくれる

営業部 開発技術課
李さん
――こちらの会社に入社したきっかけは? 大学では機械関係が専攻で、CADの扱い方などを学んでいました。前職では残念ながら、自分の好きなこと、得意なことを仕事にできていないと感じ、転職することを決めました。 インターネットで企業について調べていたところ、当社を見つけ、そこで興味を持ったのは主力製品のヒートシンクでした。冷却性能に優れていて、製品として魅力があると感じました。そして社長のインタビュー動画も視聴し、社長の考える成功の定義や将来展望などを知り、「深い考えを持っている方だ。この社長の下で働いてみたい」と思うようになったのです。 入社してまだ2週間しか経っていません。会社の文化について理解を深めながら、ヒートシンクの設計の進め方を学んでいるところです。 これまでヒートシンクの設計に携わったことはありませんから、分からないことがたくさん出てきます。ですが、同じ職場で働く上司・先輩が丁寧に教えてくれるので、1つずつ分かることが増えてきていますね。 例えば、ヒートシンクを開発する際、どれだけ半導体の熱を冷ますことができるか、当社では放熱能力をグラフ化して示すようにしています。そのグラフを作成するための数式が非常に複雑な式になっていて「なぜこのような計算式になっているのか」とすぐに理解できませんでした。 そこで上司に質問してみたところ、計算式について詳しく教えてくれただけでなく、「グラフを作成しておくのは、お客様に分かりやすく示しておく必要があるからだ。そうしてできるだけ多くの情報を提供することで、お客様により喜んでもらえる」とその意義まで説明してくれました。 優しく、尊敬できる上司・先輩ばかりで、とても働きやすい職場ですね。 以前の職場では、自分の得意な分野の仕事ができず、物足りなく感じていました。今の職場では、大学で学んできた技術を生かし自分の力を十分に発揮できます。自分の手で製品を生み出せるところにも喜びを感じます。 まずは上司から任された仕事をしっかりとやり遂げることです。それができるようになったら、当社の海外展開に貢献できるようになっていきたいですね。 技術者として、より優れた製品を開発し、私の知る中国の文化・考え方を社内で伝えていくことで会社の力になりたいと考えています。 私の父は仏師として働いていて、「目の前にあることの中から小さな目標を見つけ、コツコツと達成していくこと」を心掛けていました。 学生さんたちには、そんな考え方を持ってほしいです。1つの目標を達成したら、また次の目標を見つけてください。それを繰り返していくことで、いつか自分の夢を実現できるようになるはずです。 注)掲載している情報は、取材日(2014年12月)時点のものです。

12_02.jpg 営業部 開発技術課 李さん
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