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株式会社 ミラック光学

株式会社 ミラック光学 ひらめきから創造される、誰も見たことのない新製品<br>徹底的に手作業にこだわった品質と斬新な発想によって付加価値の高い製品を提供する

株式会社 ミラック光学

ひらめきから創造される、誰も見たことのない新製品
徹底的に手作業にこだわった品質と斬新な発想によって付加価値の高い製品を提供する

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輝く技術 光る企業

株式会社 ミラック光学

ひらめきから創造される、誰も見たことのない新製品 徹底的に手作業にこだわった品質と斬新な発想によって付加価値の高い製品を提供する

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  • 社名:株式会社 ミラック光学
  • 設立年月:1963年(昭和38年)11月
  • 資本金:10,000,000円
  • 従業員数:24名 (平成27年10月現在)
  • 代表者:代表取締役 村松 洋明
  • 本社所在地:東京都八王子市松木34番地24号
  • 電話番号:042-679-3825
  • 公式HP:http://www.miruc.co.jp/
  • 顕微鏡というと研究などの実験器具のことを思い浮かべてしまうが、実は産業のあらゆる分野で数多く使用されている。ミラック光学の製造している「測定顕微鏡」は、内部に目盛りがついており、対象物に接触せずに測定できるため、工業の現場では欠かす事の出来ない必需品なのである。そうした顕微鏡の技術から生まれた「アリ溝摺動ユニット」はさらに幅広く様々な用途で活用されている。ミラック光学の村松社長はこの汎用的な製品に独自のアイデアを反映した画期的な製品を次々と世に送り出している。
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業種

光学機器・精密工具・XYステージ等の開発・設計・製造業

事業紹介

弊社では創業以来、自社ブランドの測定工具顕微鏡やTVマクロレンズ・真空ピンセット等を開発・設計・製造してまいりましたが、2000年から光学機器の焦点微調整機構の組立で培ったコア技術を他の用途に 水平展開できないかと考え、汎用位置決め分野に着目してアリ溝式ステージを次々と開発いたしました。
アリ溝式ステージでは知財網の構築による付加価値の高い新商品の投入と既存の測定工具顕微鏡・TVマクロレンズとのコラボレーションによる相乗効果で、FA分野におけるグローバル・スタンダード(世界の標準品)を目指す取り組みに挑んでおります。
今後は蓄積したノウハウとアイデアで新機構のステージを開発したり、異分野への進出を視野に入れ、切り口を変えた新商品開発に挑戦したいと思っております。

顕微鏡の技術を抽出したところから始まった事業展開

村松 洋明さん
株式会社 ミラック光学
代表取締役
ミラック光学は昭和38年に杉並区で創業。現在も主力製品だという測定顕微鏡の製造、販売からスタートした。不動産会社に勤務していた村松社長は1991年に父である先代の後を継いで就任。全く違う分野の世界に飛び込んだが、違った切り口で物を考えられた事がむしろ良かったという。 現在は海外にも多くの製品を販売しているというが、会社の転機となったのは、アリ溝摺動ユニットという製品の展開を始めてからだという。村松社長にそのきっかけについて伺った。 「バブル崩壊後、はたして自分達に出来ることは何かと考えたところ、顕微鏡の微調整部分のアリ溝技術にかけてみようと思い立ち、その技術を水平展開して製品化するという、新たな挑戦が始まりました。そうして生まれたアリ溝摺動ユニットはFA(工業の自動化システムの総称)分野で多く使われています。装置の中に組み込まれることもありますし、生産加工分野で治工具としても使われています。消耗品的に使われるお客様も多いので、数も多く出ますし、リピート率も高いです。当社の製品は高品質と耐久性では他社に負けないと自負しており、お客様からも高い評価を戴いていますので、利用範囲も拡大しています。」 さらに村松社長は自社の製品の特にこだわっている部分についてこう語る。 「最もこだわっているのは手作業の部分です。これは日本のものづくりの最もコアな部分であり、手作業による精密さが私たちの生命線、命だと思っていますので、徹底しています。アリ溝摺動ユニット以外の製品では、測定顕微鏡は装置の周辺機器に使われる場合や、町工場などで非接触の測定を行う場合などに用いられています。さらに、工場などで微細な部品を扱う際に用いられる『真空ピンセット』も主力製品のひとつです。これは以前は時計産業で使われることが多かったのですが、現在は小さな電子部品やベアリング、光学素子などの取り扱いで使用されることが多いです。」

miruc-17.jpg 代表取締役 村松 洋明さん
miruc-01.jpg 測定顕微鏡
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ふとしたひらめきから生まれる付加価値の高い製品

ミラック光学を訪れて驚かされるのが、ずらりと並んだ特許状の数である。村松社長は特に知的財産権の確保に力を入れていると語る。 「知的財産権を取得することで製品の付加価値を高めることになります。ただし、特許を取ったからといって製品の値段を高くしようとは全く考えていません。逆に付加価値のあるものを安くご提供しようというのが当社のコンセプトなのです。」 多くの知的財産権を所有している背景には、村松社長のひらめきによる、発明のような製品開発がある。お話を伺うと、クリエイターのような一面が垣間見えた。 「先代社長は『人の真似をするな』というのが口癖でしたので、私もその考えを継承しています。お客様がポロッと漏らした言葉や、ご意見の中であったり、技術者ではない従業員の女性から斬新な意見が出たり、趣味で集めている腕時計から新製品のアイデアが生まれたりすることもあります。 面白いと思ったことは常に自分の頭の中に浮かべておくんです。そうすると何かのきっかけでそれらがビビビッとつながって新しいものが生まれる。これがすごく面白いんですよ。」 アイデアの事を話される時の村松社長は本当に楽しそうで、新製品開発への情熱がひしひしと伝わってくる。村松社長のひらめきやお客様の声から生み出された製品をいくつか紹介していただいた。 「まず、『リバーシブルステージ』という製品です。これは一本針の腕時計からヒントを得て開発したものです。ハンドルのX軸とY軸を一方向にまとめたことで使用するスペースを抑え片手でXY操作が可能です。また、文字通り両面で使用できるので、作業環境に合わせてステージ面の使い分けも可能です。左右対称に並べて、両手両側でXY操作をする用途には本当に便利です。これは特許権、意匠権、商標権という知財三種の神器を取っています。」 「次に『スケルトンステージ』です。ある時お客様から、すり合わせ部分に使用する潤滑油やアルマイト処理(金属の表面加工)がクリーンルームの中で化学反応によりガスを発生させるので困るというご意見がありました。そこで考えたのがこの製品です。アクリル製で、一滴の潤滑油も使っていません。メンテナンスフリーで磁性が無く、水の中でも使用できるという画期的なものです。色も赤、黄、青とあるので、用途によって使い分けも可能です。デザイン性でも評価をいただいていますので、工業用だけでなく、他の用途にも使えないかと思案しています。これも知財三種の神器です。」 技術を活かしながらも、柔軟な発想により生み出された製品の数々には驚かされるばかりだが、村松社長はさらなる展開を胸に抱いているとお話してくれた。 「今後は現在の製品をさらに進化させていき、知財網の構築と付加価値の高い製品の開発を追究したいと考えています。また、様々なマーケットに合った製品の開発にも心掛け、世界中のお客様にご愛用いただけるラインナップを整えたいと思います。さらに、顕微鏡の技術を応用してこのアリ溝摺動ユニットが生まれたように、このアリ溝摺動ユニットから工業以外の全く違った分野に展開出来ないかとも考えています。」

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miruc-43.jpg 数々の特許状
miruc-60.jpg リバーシブルステージ®
miruc-04b.jpg スケルトンステージ®

「メイドインジャパン」を守るという心意気を持って欲しい

村松社長の考える会社の在り方、採用や求める人材についてお話を伺った。 「当社の方針は『人を大事にする』ということです。リーマンショックの時は、『不況を理由にしたリストラは一切しない』という事を社員を集めて話しました。採用する場合も人柄重視で行っています。現在は主に中途採用で、転職歴の少ない人、技能のある人を求めていますが、今後は新卒採用で若い世代を入れることについても検討しています。」 最後に村松社長からものづくりを志す若者に向けてメッセージを語っていただいた。 「まず、『日本のものづくりは捨てたもんじゃないよ』って言いたいですね。『メイドインジャパン』を守る心意気を持って、ものづくりに取り組んでいただければ必ずそれに応えるものを日本の会社は持っています。ものすごく達成感がある仕事だと思いますし、若い方々にとってものづくりの仕事というのは人生の大きな舞台になるのではないでしょうか。」

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先輩メッセージ
世界中で使われる製品を自分が作っていると思うとすごくやりがいを感じます

加納 敏次さん
設計部
加納さんは主に製品の設計を担当されている。社長が新しい製品のアイデアを思いついた時に最初に話を持ちかけてくるのが設計部。今までになかった製品の設計は非常に困難でもあるが常に刺激のある面白い仕事だと語る。 --入社のきっかけを教えてください。 「以前は専門メーカーで電機や機械の設計業務を担当していましたが、自社製品の開発設計に魅力を感じて転職しました。」 --入社に際しての不安はありましたか? 「勝手が違うので分からないことはありましたが、いろいろな設計をやりたいと思っていたので特に不安は感じませんでした。」 --今の仕事内容について教えてください。 「自社製品やOEM製品の開発設計業務を担当しています。新製品の開発にあたって、お客様が使いやすいように、私もアイデアを出せる部分は積極的に出していこうと思っています。コストの事も考え、新製品にはなるべく既存製品の部品を利用して作れないか試行錯誤して開発しています。自分のアイデアや書いた図面が製品となって世界中で使われるということにすごくやりがいを感じますね。」 --仕事をする上で心がけていることはありますか? 「会社の方針で、『一人二役の仕事をする』というものがありますので、設計以外にも組み立ての作業もひととおり経験しましたし、必要であれば担当外の作業もヘルプできるようにしています。」 --会社の特徴を教えてください。 「社長は社員の面倒見がとてもよく、色々な事に気を配っていて社内で一番仕事をしています。そういった社長の下で、社員はみんな社長の考えに賛同しているので、とても良い雰囲気ですね。」 --ありがとうございました。最後に、ものづくりを志す後輩へメッセージをお願いします。 「技術者になる人は専門書をよく読む事が大事です。基本となる自然の原理をしっかり理解していないと大きな問題が起きたときに対処出来ませんから。」

miruc-53.jpg 加納 敏次さん
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先輩メッセージ
ばらばらの部品を一人で組み立てて製品が出来た時の達成感は格別です

山北 雄史さん
製造部
山北さんは製造部で製品の組み立てをメインにしている。手作業による製品の組み立ては精密さが命。ただ部品を組み立てるのではなく、精度を出すために職人技といえる微細加工が必要となる。 --入社のきっかけを教えてください。 「以前は他社で検査用の装置の組立てを行っていたのですが、一から十まで自分ひとりで組み立ててかたちに出来る仕事がしたいなと思いまして、そういう会社を探していて転職しました。」 --担当されている仕事について教えていただけますか? 「アリ溝摺動ユニットの組み立てがメインです。ばらばらの部品をそれぞれ加工し、段階を踏みながら一つ一つ組み立てていくという流れですね。アリ溝の可動部分の調整は最終的には機械で削ることはできないので、手作業での感覚が鍵になるのです。微細加工においては機械よりも人間の手の方が優れている部分もあるんですよ。製品は主に製造業で使われるものなので、自分の作ったものがしっかりしていなかったらお客様が作る製品にも影響があると考えると、ミスは絶対に出来ないと思いますね。」 --社長のアイデアによる新製品の開発についてお聞かせください。 「社長はいつも私たち製造担当者がびっくりするような斬新な新製品を提案してきます。最初に図面を見た時には『え、これ大丈夫なんですか?』と思うようなものもありますが、ちゃんと製造の事も考えてくれていますし、ものすごく楽しいですよ。社長がそのようにやってくれるので、自分達も頑張って社長に近づいて越えて行かなきゃいけないなと思わせられるんです。」 --入社して大変だったことはありますか? 「もちろん最初は組み立て方もわかりませんので大変でした。特に削る部分はやり直しがきかないのでプレッシャーもあって苦労しました。やっているうちにコツが掴めてきてすごく楽しくなってきました。実践で覚えていく感じなので、初めのうちは先輩に教えてもらいながら緊張して組み立てていました。」 --会社の特徴を教えてください。 「転職するので入社する前は緊張していたのですが、実際入ってみるとみんな優しくてアットホームな感じの会社でしたね。規模は小さいのですが、すごく明るい雰囲気で、良い環境だと思います。」 --ありがとうございました。最後にものづくりを志す後輩へのメッセージをお願いします。 「あまり大きくない規模の会社では、自分なりの考えた方法で、枠にはまらずある程度やりたいように仕事ができる事が魅力です。考えたことがかたちになるというのはすごく面白い事ですから、若い皆さんはそういう仕事で自分の夢を実現するのもとても良い事だと思いますよ。」

miruc-56.jpg 山北 雄史さん
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