<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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武蔵オイルシール工業 株式会社

武蔵オイルシール工業 株式会社 自動車用だけで1500~2000種類。工作機械用含め5000種類ものオイルシール<br>国内主要自動車メーカーの全車種に対応。100種類以上の中から最適なゴムを選び、オイルシールを設計する

武蔵オイルシール工業 株式会社

自動車用だけで1500~2000種類。工作機械用含め5000種類ものオイルシール
国内主要自動車メーカーの全車種に対応。100種類以上の中から最適なゴムを選び、オイルシールを設計する

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輝く技術 光る企業

武蔵オイルシール工業 株式会社

自動車用だけで1500~2000種類。工作機械用含め5000種類ものオイルシール 国内主要自動車メーカーの全車種に対応。100種類以上の中から最適なゴムを選び、オイルシールを設計する

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  • 社名:武蔵オイルシール工業 株式会社
  • 設立年月:1948年3月創業、1953年1月設立
  • 資本金:6200万円
  • 従業員数:273名
  • 代表者:代表取締役社長 武藤正弘
  • 社員平均年齢:37歳
  • 初任給:月給202,000円(2013年4月 大卒実績)
  • 主な勤務地:本社、東京・大阪・札幌・福岡・仙台・名古屋営業所、船橋・大田原工場
  • 休日:土日祝(会社カレンダーによる)、有給休暇、年末年始・夏期休暇、慶弔休暇
  • 本社所在地:東京都港区六本木5-11-29
  • 電話番号:03-3404-6341
  • 公式HP:http://www.musashi-os.co.jp/
  • ・自動車整備工場でのオイル漏れ修理などに使われるオイルシールを製造
  • ・競合他社がある中、全車種対応は武蔵オイルシール工業だけ
  • ・オールラウンダーな社員を育てる。資格試験の成績などで手当も出す
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業種

オイルシール、Oリング、Mリング、オイルレベルゲージ、シールキャップ、油圧機器パッキング、その他工業用ゴム製品の製造販売

事業紹介

武蔵オイルシール工業株式会社は、昭和23年に創業以来、日本の工業界、モータリゼーションの発展と共に総合シールメーカーとしてユーザーの皆様にご愛顧頂いて参りました。

近年のめざましい技術革新の進展、地球環境保全の必要性、又、厳しい経済環境を反映して、シールに対する要求も年々高いものとなっております。それらのお客様の要求に応えるべく、お客様と一体になりより良い製品を供給させていただくことが我々の使命と考えています。

何を作ってる?

自動車のエンジンやトランスミッション、工作機械などでは、軸の回転の速さ・円滑さなどが性能を決める要因になる。そこで軸と軸を支える軸受の間には潤滑油を充填するが、そのまま封をしないでおくと油が漏れてしまう。ここで必要になるのが、油漏れを抑えて外からゴミなどが入るのを防ぐオイルシール。武蔵オイルシール工業の主力製品だ。 同社のオイルシールが使われるのは、主に町の自動車整備工場。自動車のオイル漏れが見つかったとき、修理のために利用される。どんな自動車が修理に持ち込まれてもいいように、同社は国内主要メーカーの全車種に対応したオイルシールを製造。古いものでは30年以上前に発売された車種用の製品もあり、1500~2000もの豊富な種類を生産できる体制を整えている。 同社のオイルシールは自動車以外に、自動車を作る製造ラインで活躍する産業用ロボットなどでも用いられている。そういった工作機械用のシールも含めれば、扱う製品の種類は5000前後にも達するほどだ。

04.jpg オイルシール(自動車用)
03.jpg オイルシール(産業機械用)

会社の強み

オイルシールメーカー10社、うち補修用部品のオイルシールを作っているのは3社。「あの会社に相談すれば、どんなオイルシールも手に入る」と整備工場などから頼られる存在になっている。 ただ、それだけ多種多様なオイルシールを作っているだけに、全種類の在庫を切らさないように管理するのが非常に困難。そこで、在庫管理のためのシステムを構築。製品の売れ行きと在庫量を照らし合わせ、欠品になりそうな車種のシールをより早く把握できるようにした。そして大規模な配送センターを建設し、在庫を集約して一元管理。注文が入ったらすぐに該当品を探し出して、短納期で送り届けられる体制を整えた。 また技術面では、オイルシールの素材になるゴムの研究を鋭意進めている。主要なものだけで10種類、組み合わせを考えれば100種類以上のゴムを取り扱い、用途ごとに最適なゴムを選び出せるようにした。

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06.jpg 技術部でゴムの性能を評価

職場としての魅力

「1つの業務に特化した専門職ではなく、どんな業務もできるオールラウンダーな社員を育てたい」と語るのは武藤正弘代表取締役社長。技術部の社員はゴムの研究に加えて、オイルシールの設計や、取引先企業に出向いての技術営業なども担当。製造の社員にしても、オイルシールが完成するまで、1つでも多くの工程に携われるよう、新たな技能習得を促している。 「入社式では必ず『入社してからがスタートだ』と言います。学生でいる期間よりも、社会に出てから働いている期間の方が長いわけですから。社会人になってからも、とにかく勉強することが必要です。 当社では、社員向けに取得してもらいたい資格を指定して、年に1回試験を受けてもらい、成績と修了状況に応じて手当を出しています。社員が自然と勉強する姿勢を身に付けられるように、まずは習慣化させるところを手伝っているのです」(武藤社長)

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役員メッセージ
必要とされる限り、当社だけは全車種分のオイルシールを作り続ける

代表取締役社長
武藤 正弘さん ――若者に訴えたい貴社の魅力は?
真面目な社員が多いところです。始業時間の1時間ほど前には出社している社員がかなりいます。社員と直接話をするときにもよく「真面目だな」と感じます。 会社としては、社員旅行を毎年企画しています。今年は北海道に行ったのですが、かなりの人数が参加してくれました。社員同士の親睦を深めてもらい、日ごろの疲れを癒してもらうために実施しています。 仕事のやりがいという意味では、町の自動車整備工場の方から、お礼の言葉が届くことがあります。それが社員のやる気を刺激しているのではないでしょうか。経営効率を考えれば、全車種分のオイルシールを作るのは賢い選択だとは言えません。ですが多少は損をしても、お客様である整備工場から必要とされているわけですから、当社だけは全車種分のオイルシールを作り続けようと考えています。 全車種分を用意することには、徹底的にこだわっています。どうしてもうまく作れなかったときには、研究用に自動車を1台購入したこともあります。オイルシールを使っている部品を分解して、研究したわけですね。 工作機械用のシールを作るときにしても、お客様から「ここにこんなシールを使いたい」といったご相談をいただくことがあります。たとえそのシールがあまり売れなかったとしても、お客様の役に立てるのなら、それ以上にうれしくてやりがいを感じられることはありません。そういうご相談は大切にしたいです。 世界一の日本車補修用オイルシールメーカーになることです。世界で当社の製品を売っていくための戦略をいろいろと考えています。 ただ、1つ確かだと思うのは、とにかく目の前のお客様と向き合い、必要とされ続けること。それが世界で成長していくために、何よりも大切なことだと考えています。 好奇心と向上心、あとは元気。この3つを持って社会に出てきてください。

09.jpg 代表取締役社長 武藤 正弘さん

先輩メッセージ
特殊なゴム素材を使った製品開発。「当社にしかできない仕事だ」と誇りに

技術部 技術課
岩田さん ――なぜ武蔵オイルシール工業への入社を希望されたのでしょうか。
化学系のメーカーで技術職として働きたいと思い、就職活動に臨んでいました。いろいろと企業を見ている中で、大学のキャリアセンターから紹介してもらったのが武蔵オイルシール工業。興味を持ちましたので、工場見学に参加させていただきました。 最初は「オイルシール」と聞いても、どんな製品か分かりませんでした。「何かの部品なのだろう」くらいの見当が付いたくらいです。それが先輩社員に説明していただいて、自動車のエンジンなどの心臓部に不可欠な部品であることを知りました。今まで知らなかった部品が大切な役割を担っていると気付かされ、「面白そうな会社だな」と思いました。 お客様から、「こんなオイルシールが欲しい」とご相談いただき、そのご要望を満たす素材を考え、実際に使えるか試験をしていく仕事を担当しています。例えば、自動車のエンジンまわりに使うオイルシールなら、耐熱性が重要です。食品関係のお客様に納めるオイルシールには、人体への悪影響が出ない素材を使わなくてはいけません。 当社が取り扱うゴムの種類は、大まかに分けると10種類ほどあります。一般的なタイヤに使われているゴムは耐熱性・耐摩耗性はそれほどでもありませんが、価格は安いです。逆に価格は高くなりますが、耐熱性・耐摩耗性に優れたゴム素材もあります。そうしたゴムごとの物性などを考慮して、お客様のご要望を満たすゴムを選び出すわけです。 中には、当社でしか扱っていないゴムの素材もあります。性能面で優れている上に、省エネにも貢献するゴムです。それを使って、オイルシールを作ったことがあります。「当社にしかできない仕事だ」と誇りに思い、今でもその仕事が一番印象に残っています。  私自身がそうだったように、オイルシールのことはあまりよく知られていません。展示会などに参加しても、エンジンや工作機械などの中に組み込まれているものですから、表には出てきません。けれど、先輩から「あのエンジンにはうちのシールが使われている」と教えていただいたことがあり、「当社の製品を使っていただけているのか」とうれしい気持ちになりましたね。 皆さん、入社して間もないころから優しく接してくださいまして、すぐに打ち解けることができました。 女性技術者は決して多くなく、お客様先に伺うと「女性で技術者は珍しいね」と興味を持っていただけます。仕事自体の機会は、平等です。さすがに重いものを運ぶときなどは、先輩が「俺たちがやるからいいよ」と声を掛けてくださり、そうした心遣いがありがたいです。 入社して3年になりますが、まだまだ知識も経験も足りません。展示会に参加したり、営業の先輩に同行してお客様と商談を進めている様子を眺めたりしていると、自分の未熟さを思い知らされます。 ですから、お客様との打ち合わせをうまく進められるように経験を積んでいき、1日も早く1人前の技術者になれるようにがんばっていきたいです。 就職活動は、企業に自分のことをアピールして、理解・評価してもらう場だと考えています。自分をアピールするためには、自分で自分のことを分かっていることが必要だと思います。 もう1つ必要なことは、あきらめないことです。私自身、就職活動を1年ほど続けて、4年生の11月ごろに当社への入社が決まりました。最後まであきらめない気持ちを大切にしてください。

10.jpg 技術部 技術課 岩田さん

先輩メッセージ
担当したオイルシールがニュースで話題の製品に使われ、やりがいを感じた

技術部 技術課 係長
山下さん ――どのような就職活動を過ごされましたか?
大学に入ってから自動車のことが好きになり、「自動車業界で働きたい」と考えるようになりました。自動車で使うエンジンは、ほとんどがレシプロエンジン。ピストンを往復させて回転運動エネルギーを生み出します。けれど、あるメーカーがロータリーエンジンというものを作っていることを知りました。三角形の回転子を回してエンジンを回転させる仕組みで「そんなエンジンもあるのか」と驚き、自動車のことに興味を持つようになっていきました。 私の専攻は化学でした。設計の経験はほとんどありません。それでも設計の仕事をやりたくて就職活動を続けていましたから、最初のころはうまく行きませんでした。 一方、化学専攻ですから素材のことはよく分かります。そこで自動車に使われる金属やゴムにかかわるメーカーへと志望先を切り替えてみました。金属とゴムを比べると、ゴムの方が工夫する余地があって面白そうだと思うようになりました。そうして、ゴムを使った自動車部品のことを調べるうちにオイルシールのことを知り、当社へ見学に来ました。 最初の印象は「技術系の社員数が少ない会社だ」というものです。それはつまり、入社後に自分の活躍できる機会が多いということ。素材に使うゴムの配合を考えたり、オイルシールの設計をしたり、お客様との打ち合わせに参加したりとやりたいことが全部できると感じました。 そうですね。どんなオイルシールが欲しいのかとお客様から希望条件を聞き出して、会社に戻って試作品を開発します。その試作品について、お客様から感想を伺って、改良を重ねるというのが主な仕事の流れです。 オイルシールだけでなく、軸や軸受けなどに関する知識も求められます。あるとき、お客様から「どうにもオイル漏れが止まらない」と指摘を受けて調査したことがあります。 どう調べても当社のシールに欠陥はなく、最終的には軸の材質がよくなかったことが原因だったと分かりました。もっと幅広く学んでいく必要があると感じています。 当社のオイルシールは意外なところにも使われていて、ニュースでも大きく取り上げられた話題の製品にかかわるオイルシールを開発したことがあります。やはり自分が携わった製品が注目されていたわけですから、やりがいを感じましたね。 みんな楽しく働いている職場です。私自身も楽しくやっています。 先日は、北海道へ社員旅行に行きました。社員旅行は毎年企画されていて楽しみにしています。以前、旅行先がタイになったこともありますよ。 一番力を入れていきたいのが後輩を育てることです。お客様と打ち合わせして、技術的に深いところまで詰められるのは、社内で上司と私だけです。技術部の社員なら誰もが対応できるように、技術的な知識を身に付けてもらい、打ち合わせの進め方にも慣れてもらうことが当面の目標です。 そのために、できるだけ細かく丁寧に教えるように心掛けています。「これくらいは分かっているだろう」と勝手に判断してしまうと、間違った進め方をしてしまい、時間を無駄にしてしまうことがあります。効率的に経験を積めるように、しっかりと教えていこうと考えています。 就職活動をしていると、「何で面接官は自分のことをうまく分かってくれないのだろうか」と憤る気持ちが芽生えることがあるかもしれません。けれど、そこは発想を転換してください。相手を変えることはできませんが、自分を変えることはできます。「自分がもっとうまく説明できるようになろう」と考えるようになれば、自然と工夫をするようになり、望むような結果を得られるようになってくるのではないでしょうか。 注)掲載している情報は、取材日(2013年7月)時点のものです。

11.jpg 技術部 技術課 係長 山下さん