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永島医科器械株式会社

永島医科器械株式会社 鉗子・メスから内視鏡手術ナビゲーションシステムまで、幅広い製品を取り扱う<br>耳鼻咽喉科を支える医療機器メーカー最大手。創業から100年以上にわたって技術を磨き、医師との信頼関係を深めてきた

永島医科器械株式会社

鉗子・メスから内視鏡手術ナビゲーションシステムまで、幅広い製品を取り扱う
耳鼻咽喉科を支える医療機器メーカー最大手。創業から100年以上にわたって技術を磨き、医師との信頼関係を深めてきた

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輝く技術 光る企業

永島医科器械株式会社

鉗子・メスから内視鏡手術ナビゲーションシステムまで、幅広い製品を取り扱う 耳鼻咽喉科を支える医療機器メーカー最大手。創業から100年以上にわたって技術を磨き、医師との信頼関係を深めてきた

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  • 社名:永島医科器械株式会社
  • 設立年月:1937年2月(創業:1910年)
  • 資本金:1,164万2,000円
  • 従業員数:92名(2014年7月1日現在)
  • 代表者:代表取締役社長 永島 毅志
  • 社員平均年齢:42.9歳(2014年7月1日現在)
    男性:47.5歳 女性:38.3歳
  • 初任給:・四年制大学卒業程度/200,000円
    ・大学院修了程度/230,000円
    ・専門学校・短期大学卒業程度/170,000円
    (2014年4月入社実績)
  • 主な勤務地:本社(東京・文京区本郷)
  • 休日:土曜日・日曜日・祝祭日
    夏季休暇は7~8月に3日間、年末年始(12月30日~1月4日)
    有給休暇(入社6ヶ月後から10日間付与、最大40日)
  • 本社所在地:東京都文京区本郷5-24-1
  • 電話番号:03-3812-1271(代)
  • 公式HP:http://www.nagashima-medical.co.jp/
  • ・耳鼻咽喉科向けのメス等だけで数千種類。最新装置も手掛ける
  • ・100年以上にわたって要望に応え、構築できた医師との信頼関係
  • ・国内初耳鼻咽喉科用の内視鏡手術ナビゲーションシステムを開発
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業種

医療機器の製造・販売および輸出入に関する業務

事業紹介

永島医科器械は1910年(明治43年)、「いわしや永島器械店」として創業以来、一世紀以上にわたって耳鼻咽喉科を主体とした医療機器の製造販売会社として日本の医療とともに歩んできました。
中でも聴力検査機器、耳鼻咽喉科診療ユニット、手術用顕微鏡を国産初で製品化しています。

また最近では、これまで培ってきたノウハウを生かし、ものづくり企業、医科系大学等との連携による新製品の開発において中心的な役割を果たすなど、新たな取り組みにもチャレンジしており「モノづくり連携大賞」や「がんばる中小企業300社」の一社にも選ばれています。

このほか文京区の地場産業を支える一社として地域へ貢献していくために社員のワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の両立)へ取り組んでおり『「よく生きる」ために働くことのできる会社』『社員満足度の向上』をめざしています。

【事業内容】 耳鼻咽喉科向けのメス等だけで数千種類。最新装置も手掛ける

鼻やのどの調子がおかしくなったときに通う耳鼻咽喉科。そこで使われる医療機器は、大半が永島医科器械で作られたもの。同社は耳鼻咽喉科の分野で、国内最大手の医療機器メーカーだ。 耳鼻咽喉科は、内科と外科の両方の要素を持つ診療科だ。検査や治療に使う器械の種類は膨大で、鉗子やメスといった鋼製小物だけで数千種類。さらに国内シェア7割ほどを占める照明・吸引・スプレーなどの機能を備えた複合装置「ユニット」や、聴力検査装置などの製品も取り扱っている。 そうした製品の開発・製造には、金属加工だけでなく、光学・電気・ITなどの技術も必要。それだけ多彩な製品を作り出せる技術は、一朝一夕にまねできるものではない。

03.jpg 聴力検査で使う装置なども扱う

【独自戦略】 100年以上にわたって要望に応え、構築できた医師との信頼関係

1910年の創業から現在に至るまで、耳鼻咽喉科の医師たちと広く深いつながりを築いてきた。 患者の健康・生命を預かるだけに、医師は1人1人、使う医療機器にこだわりを持っている。耳・鼻・のどといった狭くて深い部位での作業が多くなることから、「鋼製小物の先端の角度をちょっと変えてほしい」「持ったときの感触をもっとこうしてほしい」といった要望が同社には多数寄せられている。 そうした要望を吸い上げて、製品開発に反映したり、オーダーメード品を作ったりと細やかに対応。そのように日々の改善を積み重ねてきたことで、医師が使いやすい医療機器とはどんなものかを深く理解し、日本全国の医師から信頼を集めている。

04.jpg メスなどの鋼製小物を納品前に1点ずつ検査

【プロジェクト】 国内初耳鼻咽喉科用の内視鏡手術ナビゲーションシステムを開発

耳鼻咽喉科で使われる最新治療装置の開発に携わることもある。最近では、浜松医科大学などと連携して、国内初の耳鼻咽喉科用内視鏡手術ナビゲーションシステムを開発した。 内視鏡手術では、狭いところに医療機器を入れて、病変を取るなどの治療をする。しかし、耳鼻咽喉科が扱う鼻の奥などは、視神経や脳が近くにあるため、非常に危険な部位。安全で確実な手術をできるようにするため、同システムが必要とされた。 当時、既に海外には同様のシステムはあったが、患者の動きを正確に追い切れない欠点があった。同社は、日本の医師の意見を聞き、そうした欠点を改善。価格も海外製より手頃にして、注目の新製品として世に送り出している。

05.jpg 浜松医科大学など開発した内視鏡手術ナビゲーションシステム

社長メッセージ
絶対に諦めず、少しでも可能性があることには挑戦してもらいたい

代表取締役社長
永島 毅志さん
――今後の事業計画を伺えないでしょうか。 耳鼻咽喉科の医師は、全国でも1万人くらいしかいません。ですから、国内の耳鼻咽喉科の市場規模は、決して大きくありません。国内シェアを同業他社と取り合うだけでは、これ以上の成長はできないと考えています。 そこで、今後はもっと海外に目を向けて、海外で売上を増やしていくつもりです。欧米は日本と治療形態が違い、当社の製品をそのまま売り込むわけにはいきません。そんな事情から、主にアジアの国々を対象にして製品を販売していきたいと考えています。 少しずつ、海外向けの取り組みも進めていまして、英語の自社サイトを立ち上げました。また、韓国での展示会などにも参加しています。そうしたところから成果が生まれ、東南アジアや中東などからの問い合わせが多くなっていて、手応えを感じ始めています。 当社では、これまで新しい社員を採用するのは、誰かが退職したときだけでした。その人の仕事をすぐに引き継いでもらえるように、即戦力の経験者を中途採用していました。 しかし、当社がこれから50年、100年、200年と事業を続けていくには、何かを変えていくことも必要でしょう。やはり若い人たちを採用して1人前に育て上げ、新しい力で会社を変えていってもらいたいと感じるようになりました。それで新卒採用を始めたのです。 今後は少しずつ、2~3人といった規模でも、新卒採用を続けていくつもりです。 まずは一般的な大手企業と同様に、社会人として必要最低限のことを身に付けてもらいます。 そこから、当社で必要になることを教えていきます。例えば、今年採用した営業担当には、メーカーの営業として必要な製品知識を覚えてもらうため、技術研修をかなりしっかりとやりました。各現場を1~2週間ほど経験させたのです。現場の先輩社員たちの仕事ぶりを見させて、話を聞かせて、技術の仕事を理解してもらいました。 さらに技術研修の合間に、営業のOJT(オン・ザ・ジョブトレーニング:実際の仕事を経験させながら、上司・先輩が必要なときに仕事の進め方を指導していく研修手法)として、実際に営業担当の先輩社員がお客様先を訪問する際に同行させてもいます。 とにかく前向きに考えることができて、困難な課題にぶつかっても、解決方法を考えようと立ち向かえることです。 もう1つは、言ったこととやることに責任を持つことが大切です。個人ではなく会社という組織として働くわけですから、無責任でいては周囲に迷惑を掛けてしまいます。 また、周りの人たちの手助けがあって、初めて自分の仕事が成り立つことも理解してほしいです。ですから、相手の立場に立って物事を考えられることも大事でしょう。 そんな3つの条件を満たしていれば、社会に出てから間違いなく成長できます。当社としても、そういった人に入社してほしいものです。 絶対に諦めない姿勢でいてください。これは先程の前向きに考えることとつながるのですが、例えば会社に入って「何かを変えよう」「自分の意見を通したい」と思ったら、上司や先輩たちを説得しなくてはならないでしょう。そのときに「面倒くさい」「大変だ」「怒られるから嫌だ」と逃げ腰にならず、立ち向かってください。 これからの時代を担う若い人たちには、諦めないでほしいのです。少しでも可能性があるのならば、ぜひ挑戦してください。

06.jpg 代表取締役社長 永島 毅志さん

先輩メッセージ
今まで、できなかったことができるように。モノづくりの仕事の魅力は、そこにある

技術部 第3課
小沼さん
――永島医科器械への入社を志望したきっかけは? 前職では医療機器の検査業務を任されていました。ですが転職を考えるようになり、求人情報サイトで「医療機器」や「検査業務」といった条件で検索し、この会社を見つけました。 求人情報を見ていて、まず創業100年以上ということが目に入りましたね。「伝統があって、土台のしっかりした会社なのだろう」という印象を持ちました。腰を据えて長く落ち着いて働きたかったので、この会社に応募しようと思いました。 光源装置と言って、顕微鏡などに光を送り込む装置の組み立てをしています。 一番気を付けているのは、配線のはんだ付けですね。はんだをたくさん付け過ぎても機能しなくなりますし、少な過ぎても配線をしっかり固定できません。 この会社に入るまで、私は仕事としてはんだ付けをしたことがありませんでした。先輩たちが手早くできるのに、私は入社してしばらくの間、なかなかうまくできませんでした。 それでも諦めず、上司や先輩に指導してもらうことで、少しずつはんだ付けのコツを覚えていき、だんだんとうまくできるようになりました。 そのように、今までまったくできなかったことができるようになり、「技術が身に付いた」と実感できるところが、モノづくりの仕事の魅力の1つでしょう。 さらに、自分の手でさまざまな部品を組み立てて製品を完成させ、世の中に送り出すことで、人の役に立つことができます。そんなところも好きですね。 未経験で入社しても、一から仕事を覚えられる環境が整っているところですね。 入社当時、私は本当に未経験な業務が多く、分からないことばかりでした。 それでも、当社には技術資料がしっかりと整備されて保管されていましたから、自分で資料を探して調べることで、必要な知識を身に付けることができました。 また、職場は非常に家庭的な雰囲気で、上司や先輩たちが親しく声を掛けてくださいました。何か分からないときには気軽に質問することができて、とても助かりましたね。 私が働いている部署は、光学製品を主に取り扱っていて、顕微鏡が主力製品です。顕微鏡を組み立てる上で一番難しい作業は、一番重要なレンズを組み込む作業です。小さなごみでもレンズに付着していると非常に大きく映ってしまうので、細かいごみの除去にも気を使わなければなりません。まずは一番難しいこの作業を、誰にも頼らずできるようになりたいです。 また、レンズの知識もどんどん吸収していきたいですね。そしていつか、10~20年先になるかもしれませんが、新しい製品の仕組みを自分で考えて、世に送り出せるようになりたいです。 夢や自分のやりたいことも大切ですが、「自分はどういう人間か」「自分にできることは何か」「自分が世の中に出て役に立てることは何か」と、1度考えてみてはどうでしょうか。そうすることで、自ずと自分を見つめ直せて、自分のいいところを引き出せると思います。 それがきっと就職活動にもつながり、いい仕事、いい会社に巡り会うきっかけになるはずです。

07.jpg 技術部 第3課 小沼さん
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先輩メッセージ
“一部の業務だけ”ではない。受注から納品、修理までの一連の業務に関われる

営業第1部
田村さん
――どんな縁から、こちらの会社のことを知ったのでしょうか。 もともとモノづくりが好きで、より社会に貢献できる医療業界で働きたいと学生のころから考えていました。それで大学では医療工学を専攻し、就職先も専攻を生かせるように医療機器メーカーに絞って探しました。 そうして就職情報サイトで医療機器メーカーを探していたら、当社の求人情報を見つけました。耳鼻咽喉科の医療機器に特化しているところに興味を持ち、応募したのです。 応募時は技術職を志望していましたが、当社の営業職は病院に導入していただいた医療機器のメンテナンスや修理にも関われます。お客様と直接お目に掛かれて、技術関連の業務のどちらにも携われる。そんなところに魅力を感じるようになり、途中から営業職志望に変わりました。 今はまだ入社2カ月半で、技術部で研修を受けているところです。 当社の技術部は4課まであり、4課すべてを回って仕事のやり方を勉強してきました。例えば、ハサミのような小さな鋼製小物を作る現場を見せていただいたり、金属板を曲げて当社主力製品の「ユニット」の形へと製造していくところを見学したりもしました。 他にも、営業担当として覚えておくべきメンテナンスや修理の方法なども勉強しています。 受注から納品、メンテナンス・修理までの一連の業務に関われるところです。 大学時代の友達も、多くは医療機器メーカーに就職しました。けれど大手メーカーに就職した友人たちは、「自分が配属された部署の仕事しか担当できない」と嘆いていました。 一方、当社なら営業部と技術部、工場のある場所が近く、気軽に足を運んで仕事のことを相談できます。営業としてお客様から注文をもらってきて、技術部や工場に作ってもらうように依頼し、完成するところまで見届けて、さらに納品後のメンテナンスや修理まで担当できます。 また、この2カ月半でたくさんの先輩社員と話ができました。本当に風通しのいい会社だと思います。営業部と技術部の間に密な交流があって、営業担当者が受け取ったお客様からの要望を、技術部の担当者に直接伝えて「対応できるか」と相談する場面を何度も目撃してきました。そんな雰囲気のいい会社で働けていることに、すごく満足しています。 1人で営業するようになったときに自分なりの手法で受注できるよう、先輩のいいところを学びつつ、自分に合った営業手法を確立していきたいです。 先輩方は、それぞれ自分の特徴を生かして、受注を取ってきています。私は大学で医療工学を専攻したことを誇りにしていますから、技術面で手厚く支援していくことで、お客様からの信頼を得られるようになりたいです。 自分の好きなことを大切にしてください。 私はモノづくりが好きだったから、メーカーに就職しました。興味があることを職業にできたので、日々いろいろなものを見せてもらうたびに、面白く感じ、より多くのことに興味を持つようになりました。 学生である今のうちに、「自分はどんなものが好きなのか」と見つめ直して、興味を持てることを仕事にしてください。 注)掲載している情報は、取材日(2014年6月)時点のものです。

08.jpg 営業第1部 田村さん