<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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日伸精機株式会社

日伸精機株式会社 目指すのは未来へとつながる技術。<br>環境に優しい洗浄システムを創れ!その答の1つは、洗剤を必要としない“水”でした。

日伸精機株式会社

目指すのは未来へとつながる技術。
環境に優しい洗浄システムを創れ!その答の1つは、洗剤を必要としない“水”でした。

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輝く技術 光る企業

日伸精機株式会社

目指すのは未来へとつながる技術。 環境に優しい洗浄システムを創れ!その答の1つは、洗剤を必要としない“水”でした。

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  • 社名:日伸精機株式会社
  • 設立年月:1968年11月(昭和43年)
  • 資本金:9,000万円
  • 代表者:山口 伸一郎
  • 所在地:【本社】東京都墨田区江東橋1-11-8 日伸ビル
    TEL:03(6890)0081(代)
    FAX:03(6890)0085
    【かずさ工場】千葉県君津市かずさ小糸3-2
    TEL:0439(70)1311
    FAX:0439(70)1318
  • 公式HP:http://www.nissin-seiki.co.jp/
  • 20世紀中盤にかけて、金属部品加工の洗浄剤としてはフロンやエタン等の塩素系が主流でした。それは洗浄後の処理がしやすいことが理由でした。常温でそのまま放置しておけば洗浄剤は揮発してしまったからです。しかし、オゾン層破壊が問題化すると、フロン類はその原因物質とされ、1985年のオゾン層の保護のためのウィーン条約や1987年のオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書により、製造及び輸入の禁止が決定されました。金属部品加工での洗浄作業には新たな技術が必要となったのです。金属部品加工の洗浄システムを納入していた日伸精機では、以前から取り組んでいた水を使用した洗浄システムを進化させていきます。その中で洗浄能力の高い「強アルカリイオン洗浄水」に着目しました。それは技術革新を追求した帰結だったのです。
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業種

その他製造業

事業紹介

部品洗浄装置、アルカリイオン水生成装置、洗浄液濾過・排水処理装置
門型洗車機・大型洗車機、作業環境改善用設備機器等々、
各種装置の設計・製造・販売

界面活性剤の排水処理問題がアルカリイオン水開発のきっかけでした。

日伸精機は、元々は自動車の洗車機を製造していました。そこで取引先であった自動車部品工場での金属部品洗浄の相談を受けたことが、今の洗浄機製造へ踏み出したきっかけです。現状では、様々な事業分野で、アルカリイオン水を生成し、洗浄・排水処理を含めた、環境汚染ゼロの循環洗浄システムを開発し、導入しています。 「環境問題は、これからのビジネスで避けて通ることはできません。」 北田製造部長は、アルカリイオン水開発のきっかけをこのようにお話されました。 「金属部品加工でのフロンやエタン等の塩素系洗浄剤を使用しないということから、アルカリ系洗浄剤へと工場での洗浄方法と洗浄剤が進化していきましたが、問題は排水処理なのです。お客様からは、そのことは常に言われましたね。もっと、簡単な排水処理ができるモノはないのか?とね。その答えがアルカリイオン水だったのです。原材料は水ですから環境にやさしい。しかも、アルカリイオン水は、アルカリ度が高いので排水処理をしないで流すことはできませんが、基本的には放置しておけば中性の水に戻るわけです。洗浄力は高いし、環境にもやさしい。また、アルカリイオン水に鉄を浸けても鉄が錆びる事はありません。これは画期的な技術として、各所で評価されました。」 アルカリ系洗浄剤を使用すると、排水処理が複雑となる理由は、洗浄剤の中に界面活性剤と呼ばれる油脂分が含まれているからです。 「工場の排水処理の場合、界面活性剤が含まれていると非常に処理がしにくくなります。理由は、界面活性剤も原材料は油脂分だからです。もともと油脂分で作った界面活性剤の力をかりて汚れを乳化させることで汚れを落とすという洗浄方法なので、それを水と分離させるのが難しいわけです。ところが、アルカリイオン水ならば、活性剤という油脂分がない分、汚れと水を分離しやすく、処理がしやすくなります。排水処理においても、コストダウンにつながるのではないかなと思います。」 北田部長の熱弁はさらに続いていきます。 「さらに、単なる電気分解水では、酸性水も出てしまうのですね。しかし、酸を機械は嫌います。なぜなら、大半の機械・プラントはほとんど金属ですから腐食などの問題がでてくるのですね。そこで当社では、アルカリ水のみが出てくるようにできないかと研究を重ね、アルカリイオン水のみが出てくる機械を開発したわけです。」

nissin-seiki_ph01.jpg 北田製造部長
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様々なメーカーの過酷な試験で確かな評価を受け採用されています。

現在では、金属加工部品業界において、アルカリイオン水での洗浄システムというのは、洗浄能力の高さと排水処理の簡便さという点で高い評価を受けています。一方、日伸精機では、お客様の洗浄の種類・方法等も多岐にわたる事から、完成品の販売というよりも、金額ベースで7割近くがオーダーメイドであるようです。それは、お客様個々の工場で求められる洗浄能力に対応する為なのです。しかし、その導入には非常に時間を要します。 「当社の洗浄システムは、お客様の工場にすぐに導入して頂けるかというとそうはいかないのですよ。現状では、今のお客様の工場の生産設備の一部を切り替えて、導入して頂くことは極めて困難です。それは、既にラインとして完成しているわけですから、それを変更するのは非常にモノづくり企業各社でもリスキーなのですね。現状では、最初から工程を組む新工場で採用される場合が圧倒的に多いですね。」 北田部長は、洗浄システムといえでも、途中から参入することが困難であることを説明されます。 「日本製品が海外で高い品質であるということは周知の事実ですが、それは大変な過酷な試験を様々な角度から行い、品質の検証をしているからなのです。例えば、エンジン部品を製造しているメーカーが、その部品を、エンジンの組み立てメーカーに納品する。でも直ぐにそれが、エンジンに組み込まれるわけではない。やっと納品して6ヵ月後にエンジンに組み込まれ、また6ヵ月後にエンジンが車に搭載される。その車が6ヵ月後にアメリカに輸出され、その6ヵ月後にエンドユーザーが購入してエンジンをかける。2年とか3年後に、初めてエンドユーザーが使用することも考えて製品づくりすることが品質なのです。ですから、現状の生産ラインで問題がないのであれば、それを変更することはすごいリスクがあるわけです。それまで問題が起きないように試験や検証を行ってきたわけですから。」 「一方で、お客様各社は海外も含めた大変な競争をしています。原価低減等の理由でのライン変更や見直しもあるのですが、そのためにはある程度の試験期間を経て、十分な品質を確保できることを証明することが必要です。そのための共同開発やデータ提供等は今も盛んに行われています。」 北田部長が、印象的なことをいわれました。 「但し、当社が試験機を提供してもお客様が実験したデータはわたしどもに提供して頂けないのですね。それは企業秘密とのことです。ですから、私たちは試験機を送り出す時は、お嫁さんを出すような気持ちになるのです。たくさん受注という子供を産んで下さい、とね。」

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工場から様々な用途へ、アルカリイオン洗浄水の活躍できるシーンは広がっています。

金属加工部品業界では高い評価を誇るアルカリイオン水ですが、他業界での評価が今一つとのことです。その理由は、アルカリイオン水そのものに対する誤解も多少あるようです。北田部長はその誤解を解消していくことが重要だと力説されます。 「アルカリイオン水の洗浄能力は、金属加工業界ではある程度認知されてきているのですが、他の業界では、まだ認知が低いのが実情です。なぜか?それは、いろんな水がでてきているからなのですね。機能水・アルカリイオン水とかいうのは、単純な電気分解水なのです。いろんなネーミングで出てきているので、誤解されやすいのですが、当社のアルカリイオン水は、工業用洗浄水なので違うという位置づけなのです。その誤解を解消していくことが必要なのです。」 様々な業界で、日伸精機のアルカリイオン水が評価され、採用されつつあります。 「現状では、食品関係のパレットの洗浄等にアルカリイオン水を活用した例が出てきています。あとは、介護関係のベッドの洗浄ですね。洗剤を使用すると、匂いがいやだというニーズがあるようで、それには、アルカリイオン水がよいと評価して頂いています。また、洗浄力を評価頂いて清掃会社に採用され、ビルメンテナンスの現場にアルカリイオン水を活用頂いています。また、半導体業界では、チップを納めるトレーを、エンドユーザーのチップの値下げ要請に対して、今までは廃棄処分していたものをリサイクルするために洗浄し、コスト低減に貢献した例も出てきています。これからもますます広がっていくと思いますよ。樹脂関係は浸透力の強いアルカリイオン水の方が向いていますから。」 但し、いずれの場合も、「強アルカリイオン洗浄水生成システム」の販売がメインとなっています。アルカリイオン水の販売も水の良さをわかって頂きたく進めております。アルカリイオン水の良さが理解され、さらに機械の販売につながればと考えております。

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意欲があれば、なんでもできるフィールドがある。それが日伸精機です。

日伸精機の歴史をみると、お客様からの要望に真摯に答えを出してきた歴史だと木次専務はおっしゃいます。 「自社でしかできない技術を開発することでしか、中小企業は生き残れないと感じています。そのために、ラボが集中する君津に、主力工場とラボを移転しました。意外と羽田と成田の2つの空港が近いので、お客様が来社される際のアクセスもいいのです。そこで、お客様からも要請されているのですが、お客様の研究スタッフとして機能する存在でありたいと思うのですね。」 さらに、日伸精機が求める人材像は「中小企業の魅力を理解している人がいいですね。つまり、務めているという感覚ではなく、多能工を目指す人。モノづくりの全体を知りたいと考えている人です。CADができるから設計ができますというのではダメですね。常に5つ位のアイディアを持っていて、これができなければ、これと出せるような人です。でも、最初からそんな有能な人でなくてもいいです。そうなりたいという意欲が欲しいですね。これからは、どんな企業も海外と伍して戦うことが必要なのですから、自分で、なんでもやってみたいな。一つのものを一人で全てできるようにしていきたいなと強く希望する人がいいですね。」 その意欲の一例として、このようなお話をご紹介いただきました。それは、お客様の洗浄の仕様を決めるために社内で試験をしていい結果が出たが、お客様の工場では、全てNGの検査結果になったことがあったそうです。機械、洗浄剤等を細かくチェックしても原因が解らなかった時、若手社員の発言が新たな視点と研究のきっかけとなりました。それは、「あそこの水は美味しいですよ。」お客様の工場は、ミネラルウォーターの取水エリアにあったのです。しかし、洗浄水としては最悪の水でした。軟水化装置をつけると、社内と同じ結果が出ました。ベテランでも気がつかない視点は、若手社員の気付きと解決したいという意欲だったのです。 意欲があれば、なんでもできるフィールドがある。それが日伸精機なのです。

nissin-seiki_ph07.jpg 木次専務
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先輩メッセージ
一品一様、短納期、仕様変更・・・ 製造現場のダイナミズムを体感しています。

製造部 生産管理Tm
紀伊 学さん
私が日伸精機への就職を決めたのは、就職活動をしていた中で最初に決まった会社だからです。入社後は製造部に配属され、様々なオーダーメイドの特殊機の製造・組み立てに携わってきました。現在では、外注する部品の調達とその納品管理も含めた生産管理を担当しています。 今現在、特殊機のオーダーが非常に多く、しかも短納期のものがほとんどなので、納期に追われてモノを造っている状態です。また、途中での仕様変更も多く、そのことで作業が中断したり、新たな加工部品を発注したりすることも多く、効率性という点ではやや悩みではありますが、そこは、一品一様なので迅速に的確に対応することを心がけています。 当社では、部品の加工について、ほぼ8割近くを外注したり、グループ会社で対応してもらったりしています。短納期である場合がほとんどなので、大概はお願いベースでの発注となります。 最近、板金モノの鉄加工をお願いしていた外注業者が急な注文なので対応できなくて、自分で図面をみてプログラムして、実際の加工は協力会社にお願いして完成させたことがありました。それまでは、外注先にまで物差しを持って検品しにいっていたのですが、プログラムを自社でできるようにしたことで、より短納期にも対応できるようになりました。これは非常にうれしかったですね。 もう、今では笑い話になることがほとんどなのですが、外注業者の方とのコミュニケーションは非常に苦労しました。それは、私が電話で外注業者と話をしていく中で、相手をするのは、自分の父親位の年代の社長の方々だからです。特に、人間関係が出来ていない間は、こちらが電話で説明するニュアンスが伝わらないと、とんでもないモノが上がってきたりした事がありました。また、独特な用語等もあって、それを理解するのが大変でしたね。 これからモノづくり企業に入社される方にとっては、コミュニケーション能力は不可欠です。特に、どのような年代にも溶け込める、輪に入っていける人。それは、今でいう空気を読める人でしょうか。そのような能力があれば、一品一様、短納期、仕様変更といったモノづくりのダイナミズムに対応していくことができると思いますし、なによりもお客様に評価されるモノづくりが出来る環境を創ることができると確信しています。

nissin-seiki_ph09.jpg 紀伊 学さん
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先輩メッセージ
学校で学んだモノづくりへの情熱が活きてくる環境です。

製造部
平澤 将人さん
私は、工業高校を卒業後、製造業に就職した後、一時期、製造業以外の仕事を体験し、再び製造業に携わりたくて、以前の市川工場で派遣社員として就業、その後、社員となりました。製造業は、離れてみてわかったのですが、自分としてはモノづくりの現場にいたいということを強烈に感じたのです。小さい頃もプラモデルを組み立てる事が大好きで、実家も自転車屋を経営していたという環境もあったのかもしれませんが、モノを造って組み立てて、電気を通して動いた時は楽しいですね。理由はないのですが、とにかく楽しい。そのような現場にいたいと思ったのです。 今私の担当は、特殊機が中心です。ですから、営業や設計とのやりとりをもっと活発にしていきたいと考えています。一番年下ということもありますが、お客様に対する満足度を低くさせたくないという一念で、ベテランの方とも意見を戦わせる事が増えてきました。そのことが結果として、自分のスキルを向上させているのではないかと実感しています。そうはいっても、このようなことができるようになったのは最近のことなのです。 かずさ工場に移転してきてからなのですが、ひとりでひとつの機械を全て組み立てる機会を頂きました。それまでは、先輩社員の方とアシスト要員として作業をしていたのですが、人がいないのでやってみてといわれたのです。電気を入れて動いた時に「よかった。ちゃんと動いた。電気の配線が間違えていたら・・・火吹かなくてよかった・・・。」と一安心するとともに、先輩から「よかったなぁ。」といわれました。すごく嬉しかったですね。電気図面の見方も教わりながら、配管も教わりながらでしたから・・・。その時の経験が今の自分の原点になっているような気がします。 これから入社される方には、とりあえず、やってみなさい。自分の手を動かしてみなさい。そこで面白みを感じてみなさい。と言いたいですね。それとともに、これは自分の実感ですが、工業高校で学んだことは必ず役に立つと信じていいと思います。よく学校の勉強は実社会では役に立たないといいますが、人間って学んだことはそう簡単には消えません。やすりで削り出すというようなことも、モノづくりの現場なら、必ず手作業での仕上げ作業は必要だし、その方が精度も出せるケースがほとんどなのですね。ですから、バカにしないで、きちんと身についてきなさい。といいたいです。頑張って下さい。

nissin-seiki_ph11.jpg 平澤 将人さん
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