<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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岡谷精立工業 株式会社

岡谷精立工業 株式会社 流体制御技術を軸に製品展開。電気・ガス・水道などの社会インフラを支える<br>値下げ競争に巻き込まれない製品に絞り、高収益体質に。屋上フットサルコートなど、大手企業にも劣らない職場環境

岡谷精立工業 株式会社

流体制御技術を軸に製品展開。電気・ガス・水道などの社会インフラを支える
値下げ競争に巻き込まれない製品に絞り、高収益体質に。屋上フットサルコートなど、大手企業にも劣らない職場環境

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輝く技術 光る企業

岡谷精立工業 株式会社

流体制御技術を軸に製品展開。電気・ガス・水道などの社会インフラを支える 値下げ競争に巻き込まれない製品に絞り、高収益体質に。屋上フットサルコートなど、大手企業にも劣らない職場環境

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  • 社名:岡谷精立工業 株式会社
  • 設立年月:1953年4月
  • 資本金:5000万円
  • 従業員数:91名
  • 代表者:代表取締役社長 南雲文彦
  • 社員平均年齢:42歳
  • 初任給:4年生大学卒 月給20.4万円
    大学院卒   月給22.3万円
    (2017年4月初任給)
  • 主な勤務地:本社工場
    東京都足立区千住緑町
  • 休日:土日祝日、夏季、年末年始、有給休暇、慶弔・特別休暇、育児休暇
  • 本社所在地:東京都足立区千住緑町1-18-1
  • 電話番号:03-6812-0201
  • 公式HP:http://www.okaya-seiritsu.co.jp/
  • ・電気・ガス・水道など、日々の生活を陰から支えるさまざまな製品を作る
  • ・外部から能力・経験のある社員を採用することで組織を強化
  • ・フットサルコートに社員旅行。充実した職場環境
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業種

油圧式自動制御装置、クリーンルーム内室圧制御装置、メカトロニクス製品、コンピュータと連携した制御機器等の開発、製造、販売

事業紹介

★3つの領域において、ふだん目にすることはありませんが世の中に不可欠な製品を製造販売しています★


【社会インフラ・エネルギー・製鉄領域】
インフラ設備に欠かせない油圧式制御装置。ハイパワーで耐久性に優れており、創業以来、主力製品として現在の地位を確立。電気・ガス・水道・下水道・ゴミ焼却・発電所等で使用されています。


【医療・ハイテク領域】
医薬品業界等のクリーンルームに不可欠な室圧制御装置。医薬化粧品や研究所ではワクチン、ウイルスの漏出防止、液晶や半導体工場では異物浸入防止、廃棄物や焼却施設では有毒ガスや臭気拡散防止に役立てられています。


【ビール・飲料領域】
飲料製造工場での入味検査装置。缶やペットボトルに入っている容量を1分間で最大2000本を検査できます。

何を作ってる?

流体制御の技術を活かし、「新しくて技術力が必要な製品」、あるいは「ほかの企業が作らなくなった製品」を作る。岡谷精立工業は10年ほど前から、競合企業の多い製品から撤退。取り扱う製品の種類を7割ほどに絞り込むことになったが、競合企業と値下げ競争することがほとんどなくなり、高収益な体質の企業へと変貌を遂げることができた。 現在取り扱っている製品は「油圧制御機器」「室圧制御機器」「入味検査装置」「鋼板検査・制御装置」。油圧制御機器は電気・ガスや上下水道、ゴミ焼却炉などの社会インフラを支える施設に導入され、室圧制御機器は医薬品メーカーが新薬開発をする際になど、万一のことが起きても汚染の外部拡散を防ぐ目的で使用されている。入味検査装置は缶やペットボトルに入っている飲料品の容量について、1分間に最大2000本を検査できるというもの。私たちの日々の生活を陰から支えるさまざまな製品を世に送り出している。

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会社の強み

岡谷精立工業は創業から60年以上にわたって培ってきた気体や液体の流体制御技術を軸にしつつ、自社にはない技術を持つ人材を外部から招き入れることで成長を続けてきた。 例えば室圧制御機器などは、技術・経験のある社員が転職してきたからこそさらに質の高い製品ができた。大手製薬メーカーの研究センターなどで導入され、今後は病院や介護施設などへも売り込めるのではないかと期待されている。 最近では海外営業の経験者を外部から採用。日本政府が新興国にODA(政府開発援助)で支援するゴミ焼却場、上下水道などの新設・改修時に岡谷精立工業の製品を使ってもらっている。また、ドイツから製鉄機械を輸入し中国やブラジルなどのプラントへ輸出。今期は海外取引の売上全体に占める割合を約3割にすることを目指している。

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職場としての魅力

「1番考えているのは、世の中の役に立つものを作ること。利益を出してしっかり税金を払い、従業員にも十分なお給料を払う。そうすることが会社の義務だと思っています」と代表取締役社長の櫻井邦雄氏は語る。 同社の業績は順調に成長中。2014年には売上16億円、利益3億円、利益率で約19%を達成することを目指している。上場企業の利益率の平均は、おおよそ4~5%程度であることを考えると、すごいことだ。 会社が大きくなった分は社員の給料や福利厚生にも反映させて、屋上にはフットサルコート、社屋内にはロッカー/シャワールームを設置。年に1回社員旅行で温泉に行くなど、がんばって働いてくれた社員に対して十分に報いていく経営方針だ。 女性社員が働きやすい環境であることも見逃せない。子供を育てやすいようにさまざまな配慮がされていて、能力・実績次第で課長などの管理職に抜擢された女性社員もいる。 ほかにも目標管理制度を人事評価に導入・運用しているなど、大企業と比べても見劣りしない職場環境が整っている。社員として働くのに、申し分のない環境と言えるだろう。

07.jpg 屋上にはフットサルコート
08.jpg 女性社員の割合も比較的高い

社長メッセージ
若手には意欲・夢を持ってほしい。そうなれば周囲が元気付けられ、会社は強くなる

代表取締役社長
櫻井 邦雄さん
――海外展開の手応えは? 日本国内では当社製品が他社製品と比較されることはほとんどありません。ですが海外に出て行くと、ドイツ企業の製品などが競争相手になってきます。 日本国内の今後を考えると、これから国内だけを相手にしていたら、当社の業績を伸ばしていくことは難しいでしょう。ですから東南アジアでの売上を増やしていく必要があります。今期は東南アジアだけで売上の3割を達成したいですし、将来的には売上の半分を占めるようになってほしいと期待しています。 そこで東南アジアにもっと進出していくため、5~6年ほど前から海外出身の社員を雇い始め、営業職でも、技術職でも採用しています。 国内の事業を仕切っていた社員たちも、海外の仕事に携わってもらうようにしています。海外での取り組みには、今後ますます力を入れていくつもりです。 若手に一番期待するのは、「意欲・夢を持って働いてほしい」ということです。若手がそういう意識を持って働けば、周りの先輩社員を元気付けられますから。若手がみんな意欲・夢を持てば、会社は強くなります。 ここ3年ほど、学生さんからの応募が増えていて、驚いています。今年は、「大手企業ではなくて中小企業で働きたい」と言ってくれた人がいました。今までは内定通知を出しても、最終的には「大手に行きます」と断ってくる学生もいました。それが最初から「中小企業の方が、自分の思うような仕事ができて、自分の専門性を活かすことができる」と言ってくれるようになりました。われわれにとっては、非常にうれしい変化です。 中小企業は大企業と同じ製品を作っていては勝てません。やはりニッチな分野で生きていかないと。大企業が作れないような製品分野、大企業が「もうからない」とあきらめて撤退したり参入を見送ったりするような製品分野を見極めて、堅実に生き残っていきたいですね。

09.jpg 代表取締役社長 櫻井 邦雄さん

先輩メッセージ
電子回路のノイズ対策を一任される。前職より業務範囲が広くなり、仕事が面白くなった

技術部 技術二課
木下さん
――貴社に出会ったきっかけ、惹かれた点は? 転職情報サイトで当社のことを知り、応募しました。面接時に社長・常務と話をして行く中で、「今まで経験してきた技術を活かすことができる」と思い、入社しました。 前職では電子回路の設計を担当し、特に電子回路で発生するノイズをどう減らすかという問題に取り組んでいました。そこで面接時に求められた技術が、このノイズ低減対策であったので、自分が活躍できるのではないか、と感じました。 そうですね。今まで当社ではいろいろな機器を開発しており、数多くの電子回路基板が存在します。私が入社した直後は、その基板内のノイズ対策はほとんど施されていない状態でした。 そのため、自ずと私がこのノイズ対策の主担当になりましたが、基板の種類が多い分、大変な仕事になるかと予想していました。しかし実際は、共通化された基板が多かったので、改良点を一つ見つけることで、同じような対策手法を施していき、それほど時間を掛けずに済みました。 前職では20~30人ほどで機器開発を行っていましたので、業務が細分化されていました。しかし当社では3~5人ほどで開発・設計を進めていくので、担当する業務の範囲が広くなり、1から10までの仕事を任せてもらえるようになりました。業務範囲が広がったことで技術者としての仕事の面白みを感じられるようになりました。 自分の構想したものが製品として形になった時にやりがいを感じます。製品の性能・信頼性を向上させるために、各部署で話し合い、売れる商品を作っていく。そんな経験ができることが技術者の特権であり、仕事のやりがいだと感じています。 現在は、室圧制御機器の開発に携わっています。この機器は製薬会社や研究所などの無菌化や汚染防止などに使用される機器で室内の圧力を監視し、その圧力をコントロールします。この圧力は微圧(小さな圧力)制御のため、環境変化に大きく影響されるので、その影響をどのように押さえるかが、当社技術のノウハウとなっています。このノウハウはお客様からの情報や現場の不具合事例から蓄積されてきたものなので、その点がお客様から高く評価されています。 また、当社の常務は大手メーカー出身であり、品質管理には厳しく、「不具合があれば必ず報告するように」と徹底されています。そうした小さな不具合でも見逃さず、しっかりと改善していくことで、お客様から信頼される製品が生まれるように日々努力しています。 自分に合った会社は必ずあると思います。私も当社に入って、社長・常務の考え方に共感し、初めて「自分に合った会社はここだ」と思えるようになりました。会社の規模にこだわらず、自分のやりたいことを挑戦できる会社を探してほしいですね。

10.jpg 技術部 技術二課 木下さん

先輩メッセージ
努力次第で誰でも活躍できる!

営業統轄部 営業統轄課 課長
飯田さん
――どんなきっかけがあって貴社のことを知られたのでしょうか。 私は元々、保育士の資格を取るために勉強をしていたので、モノづくり企業に対して特に興味があったわけではないのですが、知人から当社を紹介され入社しました。 当時は今のように、きれいな社屋ではありませんでしたので入社直後の印象はそれほど良くありませんでした。けれども、技術部に配属されて毎日図面に触れているにつれ、モノづくりへの興味が出てきました。終業後は職業訓練校へ通い、機械設計の勉強もしました。その結果、応用設計等の仕事も任せてもられるようになり、モノづくりの楽しさを知りました。結婚後も産休と育児休暇を取らせてもらい、今日まで働き続けることができています。 社内の営業部は、東京に一部と二部、西日本地区には大阪、名古屋、九州の部署があります。営業統轄部の部長は社長が兼任し、社長直下の部として、営業を統括していくのが営業統轄部の役割です。 具体的な業務を挙げていくと、受注時の受注内容のチェック、受注売上金額の集計、営業部門の問題点の改善、販売促進用の資料作成などを行っています。技術部での経験も活かし、営業担当者へ見積作成時の指導や、製品の原価に関した指示なども行っています。また、他部門との交渉や調整も行うので、それぞれの立場で譲れないところを調整していくことにいつも苦労します。けれども、それに見合ったやりがいも感じています。 東日本大震災の時には、当社のお客様も津波で施設が浸水し、油圧制御の設備が使えなくなってしまいました。当社の油圧制御機器は社会インフラの一部に組み込まれていますので、可能な限り早く修理しないと日常生活を取り戻せません。そこで、『震災復興優先』という社長の指示で各部門協力し、過去最短で納品できました。その機器が使われている施設が被災地で稼働再開したというニュースを新聞で見た時には、うれしくて感動しましたね。 モノづくり企業で働く人は男性が多いです。当社は女性比率が比較的高い会社だと思いますが、それでも2割程度です。そんな状況ですから「モノづくり企業で女性が活躍できるのか」と心配する人もいるかもしれません。けれども、当社でなら努力・やる気を認めてもらえ、活躍するチャンスも手にすることができます。男性と同じくらい女性も活躍できる職場だと言えるでしょう。これまで私は支えてもらう立場でしたが、今後は私が若い女性社員の活躍を手助けしてあげたいですね。 学生さんの中には、大企業を志望される方が多いと聞いています。ですが私自身が働いていて、「中小企業の良いところ」がたくさんあると感じています。 従業員の人数が少ない中小企業では、一人一人の役割がとても重要になってきます。組織の中で人任せにするのではなく、自分の存在感を十分に感じながら意欲・向上心を持って仕事をしていける場だと思っています。そのような職場の中で、自分の「やりたいこと」「やりがい」を見つけてもらいたいですね。

11.jpg 営業統轄部 営業統轄課 課長 飯田さん