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株式会社 酒井製作所

株式会社 酒井製作所 自動車、船舶、食品とさまざまな業界向けに専用装置を設計開発<br>取引先は1業種1社だけ。「こんな装置が欲しい」という考えを設計に落とし込み、装置として完成させる

株式会社 酒井製作所

自動車、船舶、食品とさまざまな業界向けに専用装置を設計開発
取引先は1業種1社だけ。「こんな装置が欲しい」という考えを設計に落とし込み、装置として完成させる

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輝く技術 光る企業

株式会社 酒井製作所

自動車、船舶、食品とさまざまな業界向けに専用装置を設計開発 取引先は1業種1社だけ。「こんな装置が欲しい」という考えを設計に落とし込み、装置として完成させる

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  • 社名:株式会社 酒井製作所
  • 設立年月:1960年(創業:1950年1月)
  • 資本金:1000万円
  • 従業員数:40名
  • 代表者:代表取締役社長 酒井憲一
  • 社員平均年齢:41歳
  • 初任給:大卒  201,500円
    短大卒 184,500円
    高卒  174,000円
  • 主な勤務地:東京本社 東京都大田区矢口3-10-9
    栃木工場 栃木県矢板市中150
  • 休日:年間110日間
    概ね土日は休日ですが、1月、5月、8月 長期連休がある場合は月1回程度出勤になります
  • 本社所在地:東京都大田区矢口3-10-9
  • 電話番号:03-5741-5011
  • 公式HP:http://www.sakaiwork.jp/
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業種

省力化装置や油圧ユニット、工業印刷機周辺機器の製造・販売

事業紹介

当社は、製造業における生産性向上や、研究開発支援のための装置を設計・開発しています。特に、省力化装置や舶用装置・油圧装置、検査装置、工業乾燥炉の分野において強みを持ち、すべてオーダーメイドによる装置を製造しています。
また、世の中にないものは部品ひとつからでも製造し、研究開発や生産性向上の課題解決に積極的に取り組むことが当社の特徴で、顧客からも高い評価と信頼をいただいています。
今後も技術力と知見を深め、「酒井製作所に相談すれば課題解決できる」と思っていただけるパートナーとして、あらゆる装置の設計開発を行っていきます。

何を作ってる?

自動車エンジンの性能試験装置、航海用操舵装置、食品製造工場用のベルトコンベアなど、酒井製作所はさまざまな業界に向けて専用の装置を開発・製造している。 酒井製作所のこだわりは、「1つの業界で1社とだけ取引する」こと、そして「部品加工の仕事よりも装置作りの仕事に力を入れる」ことだ。 「1つの業界で1社とだけ取引する」のは、取引をする1社に心から信頼してもらいたいから。酒井製作所の会社規模を考えると、同じ装置を量産して薄利多売するよりも、他社があまり作らない装置を1台1台作っていく方が向いている。それほどの量を作らなくても成り立つ事業体制にしているから、取引先の社数は少なくても構わない。むしろ取引が長続きするように、1社に絞った方が相手から信頼してもらえると考え、独自の道を歩んでいる。 「装置作りの仕事に力を入れる」のは、総合力で勝負するため。板金・機械加工、組み立てといった各工程を考えると、東京都内には優れた技術力を持つ企業が他にもある。それなら総合力で勝負して、自社でより多くの工程を担当して工程間の輸送にかかる時間を削り、より短納期で製品を納められるようにすることで差別化を図ろうと考えた。

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会社の強み

酒井製作所の強みは、顧客の担当者がぼんやりと思い描く「こんな装置が欲しい」という考えを、図面に落とし込んで完成させることができるところだ。 同社の顧客には大手企業が多く、その社内には当然、装置の設計ができる社員はいる。けれどそうした社員の仕事は、自社でこれから売り出す製品の設計をすること。社内で使う装置などの設計にまではなかなか手が回らない。そこで酒井製作所のように、考えを話せば図面にして装置として仕上げてくれる企業があれば、担当者としては助かり、注文を出したくなるというわけだ。 「考えを話すだけで装置ができあがれば、手間がかかりませんから、お客様に喜んでもらえますよね。しかもこちらで図面を描いておけば、ある程度のところまで、自分たちで決められます。自分たちがやりやすいように進められますし、努力した分だけ利益も出しやすくなります。そんな狙いもあって、できるだけ設計のところから装置作りを任せていただけるように努めているのです」(酒井憲一代表取締役社長。以下、同)

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職場としての魅力

酒井製作所は現在、若手への技術継承に力を入れているところ。本社工場の取りまとめを30代の社員が担当するなど、若手社員の抜擢を進めている。 「私たち、熟練社員が自分たちの知恵や技術を次の世代に早く的確に伝えることが大切になっています。そして若い人には、自分の継承すべき技術を早く的確に受け継いでほしいのです」 技術者として10年も働き続ければ、1人前の技術を身に付けられると酒井社長は言う。問題は、「どうすれば10年間、技術者としてがんばってもらえるか」という点。「社員たちにやる気を持って働いてもらうために、会社としてどうやって支援していくべきか」と考えることが今後の課題だと酒井社長は話してくれた。

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社長メッセージ
「何となく働いて1日が終わった」ではむなしいだけ。目標を持って働いて

代表取締役社長
酒井 憲一さん
――「1つの業界で1社とだけ取引する」のはなぜでしょうか? 複数の企業と取引すれば、購入する側としては「この装置、同業のあの会社にも売るのかな? こちらの情報を伝えると、あの会社にも情報が漏れないかな」と不安な気持ちになりますよね。だから「あなたの会社以外には売りません」とお伝えすれば、比較的安定してお仕事をいただけるようになります。 そればかりか、当社のことを信頼してくれて、大切な情報やノウハウも教えてくださるようになります。その分だけ、当社は技術を磨けるわけですよね。ですから、1つの業界で1社とだけ取引するようにしているのです。 また「1つの業界で1社とだけ取引する」と決めていれば、会社として売上を増やすために、自然と複数の業界と取引するようになります。さまざまな業界と取引していれば、どこかの業界が不景気になっても、他の業界が元気であれば乗り越えていけます。そういった利点もあるわけです。 これからも日本での製造を続けていきます。海外に拠点を置くには語学力や、現地の人の考え方まで理解できる能力が必要だと私自身の経験から思っています。 実際、「中国で製造しよう。次はタイだ」と海外に拠点を築いて、苦労したのに上手くいかず、結局は国内に戻ってきている会社もたくさんあります。当社は日本での製造にこだわって、良いものを作り続けていきたいと考えています。 目標を持ってください。「家を建てたい」「車を買いたい」といった目標でもいいでしょう。仕事をがんばった結果、目標を達成できた喜びを感じることが大切だと思います。 「何となく働いて、何となく1日が終わった」という日々を繰り返す人生を送っていてもむなしいだけです。年を取ってから「充実していた」と感じられるように日々を過ごしてほしいですね。

07.jpg 代表取締役社長 酒井 憲一さん

先輩メッセージ
最新の装置を任された以上、その装置にしかできない加工技術を自分のものにしたい

機械工作グループ
中村さん
――どのようなご縁で入社されたのですか? こちらの会社で働く以前は、モノづくり企業で働いていました。転職しなくてはいけなくなったとき、前職での経験を生かせる仕事をハローワークで探し、酒井製作所を見つけたのです。 会社見学に来たとき、前職よりも製造装置の種類が豊富で、見たことのない機械がいくつもありました。「面白そうな職場だ」という印象を持って、この会社で働きたくなりましたね。 マシニングセンタを主に担当しています。専用装置で使う特殊な部品を1点だけ作ることもあれば、量産品を手掛けることもあるので同じ部品を数十個と作ることもあります。作る部品の中には、大型のものや、形状が複雑なものもあります。そうした部品の加工は丸1日かかったり、2日にわたって加工することになったりと大変ですね。 マシニングセンタを使った加工の仕事は、当社に入社して初めて経験しました。まだ経験が浅いので分からないことが多くて苦労しますが、角を曲面状にする加工など、フライス盤では不可能だけどマシニングセンタならできる加工もあります。そうした難しい加工ができるのが、マシニングセンタを操作していて楽しいところです。 まだ経験が浅い私ではありますが、使っているマシニングセンタは最新の装置で非常に大きく、この装置でないと加工できない部品もたくさんあります。それほど大切な装置を任せてもらえているわけですから、やりがいを感じますし、期待に応えたいと思っています。 JRの線路に傷がないかと点検する装置の部品を作ったことです。「自分がしっかりした部品を作らないと、傷を見落とすことになってしまうかもしれない」と思うと、気が抜けません。いい加工をしなければいけないと緊張しましたね。 職場になる工場は、2013年1月に移ってきたばかりの建物です。きれいな環境ですから、すごく気持ちよく働けます。新しい装置もいくつか導入されましたし、「新しい工場で、仕事をもっと増やすためにがんばろう」という気持ちで働いています。 どんな難しい加工でも、任せてもらえるようになりたいですね。特に自分に任せていただいているマシニングセンタは、大型部品でも加工できます。大型部品の加工については特に経験を積んで、自分のものにしていきたいと考えています。 私は何度か転職して、いくつかの会社を見てきました。最初に入社した会社で働き続けられるのも素晴らしいことですが、いくつかの会社を見ることで、自分に合った仕事・職場を見つけるのも悪くないと思います。私は遠回りすることになりましたが、最終的には満足できる会社・仕事に出会えてよかったと思っています。

08.jpg 機械工作グループ 中村さん
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先輩メッセージ
長い目で育ててくれる会社。上司・先輩は分からないところを察して教えてくれる

営業グループ
荒瀬さん
――酒井製作所のどんなところが気に入って、就職を決めたのでしょうか。 私は新卒採用で入社した会社を、早期に退職してしまいました。そこで早期退職者の就職支援をしている会社に相談をしたところ、酒井製作所を紹介していただいたのです。 就職先の希望条件として紹介者に伝えていたのは、「長い目で育ててくれる会社」ということでした。面接のときに社長とお話をさせていただいて、直接会ったときの雰囲気から「この会社なら長く働き続けられそうだ」と感じました。 部署は「営業」ですが、めっきの処理や、当社で加工が難しい部品の製作などを協力会社に依頼する仕事も担当しています。1日のうちの半分くらい、多いときには1日の3分の2くらいは協力会社を回って、めっき処理などをお願いする部品を届けて、作業が終わったら取りに伺い、装置が完成したら梱包して――といった業務をしています。 営業として担当している企業は3社ほどです。取引先の中には船舶関連の企業もあって、船の舵を切るのに使う動力舵取装置を注文いただいたこともあります。船の舵を切る装置なんて、それまで実際に見たことはありませんでした。どうすれば上手く加工できるのかがまったく分からず、上司や加工経験のある現場の社員に相談して、「段取りはどうすればいいか」「どんな素材を買って何を協力会社に依頼すればいいか」「どうやって組み立てればいいのか」と逐一聞いて、何とか形にすることができましたね。 上司や先輩たちは、私の心情を上手く察してくださって、「ここはこうした方がいい」と先回りして助言してくれました。自分には何が分からないかも分かっていない状況でしたから、「こういう流れで仕事を進めることになるから、次はこの準備をしておこう」と丁寧に指導いただけたことが印象に残っています。 そうですね。部署を超えた社員間の交流が多く、風通しもいいです。普段は和気あいあいとしていて楽しいですが、納期まであまり時間がないときなど、いざというときには一致団結して乗り切ることができます。そのようにメリハリを付けられるところも気に入っています。 直近の目標として、「この仕事だったら荒瀬に任せておけば大丈夫だ」と思ってもらえることを増やしていきたいです。 今はまだ、仕事をしていて自分で「未熟だな」と感じるところがたくさんあります。営業活動や、協力会社への発注・進捗管理など、「これは荒瀬に任せて大丈夫」と思ってもらえることを1つずつ増やしていき、いつか全部の業務を1人でそつなくできるようになりたいです。 社会に出ると「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」が大事だとよく言われます。私自身、実際に働いてみて、その大事さがよく分かりました。 自分1人で業務をしていると、若いうちは必ず「これはどう進めればいいのだろう」と悩むことが出てきます。「今はこんなところで困っています」「ここはどうするべきでしょう」と上司や先輩に上手く相談できないと、仕事が止まってしまいます。自分が未経験の仕事をするときに、上手く上司や先輩に相談できることが働く上で大事なことだと感じています。

10.jpg 営業グループ 荒瀬さん

先輩メッセージ
加工や組み立てについて学んだことを生かして、よりよい製品を設計していきたい

営業技術グループ
河野さん
――入社するまでの経緯を教えてください。 酒井製作所に入社するまでは派遣社員として、「2~3年働いたら次の会社に移る」という働き方をしていました。そうしていると技術を幅広く身に付けることはできますが、技術を深く掘り下げることができません。自分としては「技術を深く掘り下げられる仕事をしたい」と思うようになりましたから、転職先を探していました。 この会社に面接を受けに来たとき、設計と製造の部署が同じ建物の中にあると気が付きました。自分が設計した装置がどうやって作られていくか、その過程がはっきり目に見えるところに魅力を感じましたね。 私は今、電車のレールを検査する装置の設計のところを担当しています。自分自身で設計をするだけでなく、お客様から図面の指定を受けることもありますので、「この図面ならいつまでに納品できるか」と社内で調整・手配したり、お客様に「ここの設計はこんな問題が起こる可能性があるけれど、そのまま進めて問題ないのか」と確認を取ったりする役割も担っています。 お客様からの図面が、しばらく届かないなと思ったら、急に何十枚も送られてくることもあります。それだけの量をできるだけ早く目を通して、社内の手配をして、細部にまで問題がないかと確認しないといけませんから大変です。めっき処理の仕方の指示など、少しでも間違えてしまうと装置が短期間でさびてしまうなどの問題が起きて、お客様に迷惑を掛けてしまいます。細かいところまで、しっかりと注意を払う必要があり、責任の重い仕事です。 当社に入社するまでは、図面を描いたら製品ができあがるのを待つだけでした。それが当社では、同じ建物の中で装置を製造・組み立てしていますから、図面からどうやって製品へと加工・組み立てされていくのか、自分の目で確認することができます。 これまで「どうやって加工や組み立てをするのだろう」と疑問に思っていたところが分かるようになったことで、これから技術者としてますます成長できると思います。 金属の曲げ方にしても、どんな曲げ方が難しくてどうすれば簡単か、ということが分かってきました。そういった加工の難しさにも配慮しながら、設計できるようになったところでしょうか。今後、もっと経験を生かして、よりよい製品を設計できるようになっていきたいですね。 私はこれまで、3回ほど転職しています。自分自身の反省でもありますが、就職先を選ぶときには妥協しないでください。妥協して見つけた就職先は、長い目で見るとあまり長くは続けられません。妥協せず、満足できる就職先を探してほしいです。 注)掲載している情報は、取材日(2013年11月)時点のものです。

11.jpg 営業技術グループ 河野さん