<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

文字サイズ

島田電機 株式会社

島田電機 株式会社 鋳造品が当たり前だった業界に、アルミ合金製の防爆機器を持ち込む<br>発電所・プラントでの爆発事故を防ぐ防爆機器メーカー。海外認証を取得し、欧州・中国などにも売り込みを掛ける

島田電機 株式会社

鋳造品が当たり前だった業界に、アルミ合金製の防爆機器を持ち込む
発電所・プラントでの爆発事故を防ぐ防爆機器メーカー。海外認証を取得し、欧州・中国などにも売り込みを掛ける

main_shimada-elec
輝く技術 光る企業

島田電機 株式会社

鋳造品が当たり前だった業界に、アルミ合金製の防爆機器を持ち込む 発電所・プラントでの爆発事故を防ぐ防爆機器メーカー。海外認証を取得し、欧州・中国などにも売り込みを掛ける

main_shimada-elec
  • 社名:島田電機 株式会社
  • 設立年月:1972年2月(創業:1970年8月)
  • 資本金:6000万円
  • 従業員数:90名
  • 代表者:代表取締役社長 島田正美
  • 本社所在地:東京都大田区仲池上2丁目29番6号
  • 電話番号:03-3754-1711
  • 公式HP:http://www.shimada-elec.co.jp/index.html
  • ・ガスと電気機器を遮断する防爆機器の開発・製造。爆発・散水等の試験代行も
  • ・鉄の鋳造が当たり前だった業界に、軽量なアルミ合金製の機器を持ち込む
  • ・社員一人一人の個性を伸ばす。「社員全員が頼もしい」と社長が誇る職場
intro_img

業種

防爆電機機器、ならびに防爆型配管付属品一式製造販売

事業紹介

1972年創立以来、私たちは防爆機器の専業メーカーとして幅広いジャンルのお客様により安全で高機能な防爆製品の供給に努力してまいりました。おかげさまで多くのお客様のご支持を賜り、国内外の数々のプラントにおいてご利用いただいております。21世紀、私たちも創立30年を迎えた現在、日本の防爆業界はIEC整合に向け大きく動き出しており従来の技術を超え、ハイテク化、国際化がますます進み、お客様のニーズも多様化、高度化しております。私たちはこうしたニーズにお応えするためつねに研究開発を進め、持てる技術をさらに磨き、次代の防爆技術を求めて努力を続けております。

何を作ってる?

ガスが充満した部屋、コンセントに電気プラグを差し込む瞬間に出た火花に引火して爆発する――。テレビなどでそんな映像を見たことはないだろうか。 ガス爆発の危険性に常時さらされているのが、火力発電所のガスタービン関連の設備や、原油を蒸留させてガソリンなどを精製する石油プラントなど。そういった施設では、爆発性ガスに火花が引火しないように、電気機器などを覆ってガスから遮断する「防爆機器」が欠かせない。防爆機器には箱型やケーブル接続部を覆う形の製品などがある。 島田電機は、防爆機器の専業メーカー。防爆機器の開発に必要な試験設備を持っていることから、試験の代行サービスも提供している。発電所・石油プラントなどに導入する機器について、爆発・衝撃・粉じん・散水などにさらされても、耐えられるかを調べるのだ。 20年ほど前からは、海外展開を推進。欧州や中国など、世界各国の発電所・プラントに採用されるのに必要な各種認証を取得。防爆機器の国内メーカーで認証を得て海外展開しているのは、同社ただ1社だ。

03.jpg 看板商品のターミナルボックス
04.jpg

会社の強み

40年ほど前までは「とにかく頑丈であればいい」と鉄を鋳造して防爆機器を作るのが当たり前だった。そんな中、島田電機はアルミ合金製の機器を開発。重量を3分の1ほどに減らしたことで、これまでクレーンを使わないと動かせなかった製品が、人が抱えて持ち運べるようにまでなった。 さまざまな防爆機器を手掛ける中で、看板商品になっているのは防爆構造のターミナルボックス。電源から引いてきた電気を、付近の電気機器に割り振るのに使う中継装置で、同社が国内シェア1位だ。 同製品が支持されるのには、2つの理由がある。電源ケーブルなどを引き込む穴からガスが出入りしないように精密な加工を施し、実際の利用場面を想定して設計を工夫したからだ。引き込んだケーブルの配線が楽になるように設計することで、「島田電機の製品は使いやすい」と好評を博すようになった。 そうした顧客のことを考える姿勢を社内で徹底。オーダーメードの製品開発も喜んで引き受け、顧客からの信頼を勝ち得ている。

05.jpg
06.jpg 防爆試験以外にも、自社で散水・注水試験や
粉じん試験などが可能

職場としての魅力

「私は社員の個性、いいところを最大限に伸ばしてあげたい。会社全体の組織の中で、社員一人一人を育てていきたいのです。 そのために部門の垣根をなくして、営業も製造のことを知り、製造も営業のことを知るように促しています。海外出張に行くときも、営業と製造の担当者を一緒に行かせるなど、できるだけ多くの場面で、行動を共にさせるようにしています」(島田正美代表取締役社長) 部門の垣根を取り払うのには別の狙いもある。防爆機器は、国内に数社しか製造している企業がない特殊な製品。外部に分かる人材がいないため、できるだけ社内で知識・経験を共有するようにしているのだ。 社員がさまざまな経験を積んで成長したことで、「社員全員が頼もしいですし、社員全員の将来が楽しみ」と島田社長は頬を緩める。社員一人一人が社長から本当に必要とされている職場なのだ。

07.jpg
08.jpg

社長メッセージ
納期を守り、基準を満たす製品を確実に作る。モノづくりをさせたら日本人が1番

代表取締役社長
島田 正美さん
――貴社は海外で製品を拡販していくため、各国の認証を積極的に取得されています。 防爆機器は発電所やプラントなどの重要な施設で使われています。ですから、各国が指定する規格を「満たしている」という認証を受けないと導入してもらえません。 そこで、まずは認証を取るところから始めることになりますが、世界にはヨーロッパ系の規格とアメリカ系の規格があります。ロシアや中国、東南アジアなどはヨーロッパ系の規格を参考に規格を定めていますから、われわれもまずはヨーロッパ系の規格を満たすところから始めました。現在はロシア、中国、韓国、東南アジアの認証を取得し、一層の事業展開を図っているところです。特に東南アジアはこれから発展する国が多いです。今もたくさんの引き合いが来ていますから、東南アジアには特に注力していきたいです。 ただ、大本になっているのが同じヨーロッパ系の規格とはいえ、細かいところは各国で異なっています。例えばロシアだと非常に寒い国ですから、マイナス60~80度といった低温下でも耐えられる機器にする必要があります。逆に中近東では80度もの高温状態にも耐えられる機器にしないといけません。 海外展開に乗り出した理由は、日本が成熟市場になっているからです。発電所やプラントがこれ以上新設されることはあまりないでしょう。国内で防爆機器を購入してもらえるのは取り替えるときだけになってきています。ですから、これから発電所・プラントが増える新興国に進出していかないと、売上は伸びません。このことからかなり前から、海外で製品を売っていく戦略を採るようにしたのです。 最初のころは、日本の大手メーカーが海外に発電所・プラントを建設する際に当社の製品を採用してくださいました。そこから当社独自の販売網を広げるようにして、各国に販売代理店を務めてくれる協力会社を見つけ、海外の幅広いお客様から採用していただけるようになってきました。 海外で勝負していて感じるのは、日本人的なモノづくりの繊細さと素晴らしさです。高品質な製品を納期どおりに納入する。そこを海外でも高く評価いただいております。というのも、発電所・プラントの建設は、計画どおりに進めていくことが大切。その場合、日本人は休日出勤してでも納期を守ろうとしますが、海外の人はあきらめてしまうことが多いのです。 品質にしても、当初は海外メーカーの製品を参考にしていましたが、最近になって「追い抜いた」という自信を持てるようになってきました。なぜなら、実際に海外製品を当社の試験装置で評価してみたところ、基準を満たさない製品がかなりの割合で含まれていることに気が付いたからです。 日本人は、「いいものを作ってお客様に納期どおりに提供しよう」という意識を持っています。モノづくりをさせたら、やはり日本人が1番だとあらためて感じましたね。 ――これから社会に出る学生に伝えたいことは? 製品を企画・設計して、工場で製造し、お客様に使っていただいて喜んでいただく。この最初から最後までの流れを、すべて経験できる仕事こそが働く醍醐味を一番感じられる仕事だと私は思うのです。 この流れをすべて経験できるのはメーカーしかありません。若い人にはぜひメーカーに入社していただいて、この一連の流れを経験することで、仕事の楽しさ・うれしさを感じてもらいたいです。 ただ、大きな歯車の1つになってはいけません。決まった製品を決まった数量、決まった時間内で作るだけでは、メーカーで働いていても面白くないでしょう。製造の仕事だけ、設計の仕事だけでも構いませんから、歯車にならず、自分の発想を生かせる企業を探してください。そんな企業に入って、自分が何かを生み出す喜びを味わってもらいたいなと願っています。

09.jpg 代表取締役社長 島田 正美さん

先輩メッセージ
「何をやりたいか」よりも「どういう人間になりたいか」で考えて

営業部
宮田さん ――島田電機には、どういった縁で入社されたのでしょうか。
私は以前、別の会社で働いていましたが、「専門性を持っている会社で働いて、自分もその中で専門性を磨いていきたい」と考えるようになり、転職活動を始めました。 そういった自分の希望をハローワークに伝えたところ、紹介されたのが島田電機でした。工場見学や面接に来るまでは、正直なところ、何をやっている会社かまったく分かりませんでした。知らない分野ではありましたが、何十年も防爆機器を専門でやっているという説明を受け、自分の望みどおりの会社なのではないかと期待するようになりました。 それ以上に印象に残ったのが、面接での出来事です。当社の面接を受けるまで「面接というと、面接官から威圧されるもの」という印象を持っていました。それが当社の面接は、とても気さくで、私と同じ目線で質問していただけました。また、工場見学の際にも、私が近くまで来ると社員のみんなが手を止めて、いろいろと仕事について丁寧に説明をしてくれたのです。「すごく雰囲気のいい会社だな」と思いましたね。 当社はかなりの数の販売代理店と提携しています。大手も含めて、そのうちの数社とのやり取りを私が担当しています。厚い自社製品のカタログを隅から隅まで覚え、問い合わせや質問に答えていきます。製品の注文が入りましたら、工場に稼働予定を確認し、納品予定日をお客様にご報告します。 実際に製造するのは工場で働いている社員なので、できるだけ無理のない納期になるように気を配っています。一方でお客様のご事情もありますので、両者のバランスを考えるのがとても難しいですね。 以前、工場の確認を十分に取らず、かなり無理のあるスケジュールで納品するとお客様に伝えてしまったことがありました。工場からは「無理だ」と怒られましたが、それでも何とかならないかとお願いしたところ、私が知らない間に納期に間に合うように工面してくれました。「やっといたよ」と告げられたときには、とてもうれしかったですね。 社員のことを考えてくれるところです。土日などのお休みはしっかりとカレンダーどおりに取れます。そうした基本的なところを当たり前に守ってくれるところがとても気に入っています。 教育にも力を入れています。私のような若手社員が分からないところを聞きに行っても、先輩たちは嫌がらずに手を止めて、分かるまで教えてくれます。会社全体で社員を育てようとしているところがとてもうれしいです。 あとは社員旅行に出掛けたり、夏には屋形船を貸し切ったりと、社員全員で交流できるイベントもあって楽しいですよ。 工場とお客様の両方に負担を掛けないように、うまく納期を調整できるようになっていきたいです。 業務知識もまだまだ不十分。専門的・技術的なことも覚えていき、どんなことを質問されても、すぐに答えられるようになっていきたいです。そうすることで、お客様からの問い合わせを受注につなげられる確率が高くなっていくと思いますから。 「何をやりたいか」が分からずに悩んでいる人も多いと思います。私もそうでした。でも、「何をやりたいか」よりも「どういう人間になりたいか」と考えて、望んだ自分に近づける環境の会社を選ぶべきだと思います。 実際、私は「何をやりたいか」が分からないまま就職しましたが、長く働くうちに自然と会社の事業内容に興味を持てるようになりましたし、仕事も面白くなってきました。でも、なりたい自分になれるかどうかは、会社の環境に依存する部分が大きいと感じています。ですから、「どういう人間になりたいか」とよく考えるべきだと思うのです。

10.jpg 営業部 宮田さん

先輩メッセージ
国内にはほとんどない試験装置の操作技術を習得。顧客製品の設計に助言することも

技術部 小日向さん ――就職先の企業選びの際、どういう視点で選び、島田電機にたどり着いたのでしょうか。 私は中途採用で入社しまして、前職では技術職として働いていました。転職先を探すときも「同じ技術職として働きたい」と考え、転職情報サイトで条件に合う会社を探していました。 企業を探すときに注目したのは、海外に事業展開していることと、歴史の長い企業であることです。会社が長く続いているということは、それだけの期間、支持される製品を作り続けていて、会社を存続させるために組織も整えているはずです。社員にとっても働きやすい職場になっているだろうと推測しました。 ――担当している業務内容について教えてください。 お客様から依頼を受けた製品の各種試験を担当しています。爆発、火花点火、衝撃、温度、熱衝撃、粉じん、散水・注水などの試験装置を使って、過酷な環境にも耐えられる製品になっているかを試験しています。 まったく同じ製品を試験していても、試験結果がまったく同じにはなるとは限りません。何度も試験をして、どのような結果が出たかと報告書にまとめていきます。今では、業務の中で「この設計のこの部分を変えてみると、爆発などにも耐えられるようになるのでは」とお客様に提案することも増えてきました。 この仕事の難しいところは、スケジュール管理です。複数社のお客様から依頼がありますから、どれか1つでも試験が滞ってしまうと、ほかのお客様のスケジュールにも影響が出てしまいます。どのお客様の納期にも間に合うようにスケジュールを組んで、そのとおりに試験を済ませることができたときには充実感があります。 試験をしても、規格に見合うだけの性能が出ないこともあります。お客様は苦労して何度も改良して、事前試験で合格になるだけの性能を出せるようになってから、ようやく本番の試験に臨みます。その試験で無事に狙いどおりの結果が出て、お客様の製品が合格となったときには、私も自然とうれしくなってしまいますね。 ――職場環境については、どう感じていますか? 不安・不満は何もありません。年に1度は社内旅行がありますし、バーベキューなどの社内イベントも企画されて、和気あいあいとした雰囲気の中で働けています。 技術についても、しっかりと教えていただける環境です。爆発試験装置など、他社にはなかなか置いていない装置が多いです。詳しく説明してある専門書を探そうとしても、そもそも専門書がないくらいです。それに爆発試験装置では爆発性ガスを使いますから、取り扱いにはとても注意が必要です。そういった理由もあってか、試験装置の操作方法については、先輩たちがしっかりと直接教えてくれます。本当にありがたいことです。 ――今後の目標にしていることはありますか? いつか設計の仕事もしてみたいと思っていますから、お客様の製品試験をお手伝いする中で、お客様の製品のいいところを学んでいきたいです。自分がいつか製品設計を担当することになったとき、学んだ知識を生かしたいですから。 あとは海外との仕事もしてみたいです。難しい業務になるようですが、海外認証を取るところも担当してみたいです。 ――読者に今、一番届けたいメッセージは。 営業職にしろ技術職にしろ、自分が少しでも好きなものにかかわれる仕事を選んだ方がいいと思います。好きなことにかかわっていられると多少の無理もがんばれますし、仕事を覚える速度も全然違ってきます。 そして、会社規模にはこだわらないでほしいです。中小企業にも中小企業のいいところがあります。大手企業ばかりに目を向けないでほしいです。 注)掲載している情報は、取材日(2013年7月)時点のものです。"

11.jpg 技術部 小日向さん
12.jpg 爆発試験装置の試験準備中