<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

文字サイズ

株式会社 塩入製作所

株式会社 塩入製作所 職人から受け継がれる彫刻技術<br>昔ながらの彫刻技術を現代に受け継ぐ匠たち

株式会社 塩入製作所

職人から受け継がれる彫刻技術
昔ながらの彫刻技術を現代に受け継ぐ匠たち

main_shioiri
輝く技術 光る企業

株式会社 塩入製作所

職人から受け継がれる彫刻技術 昔ながらの彫刻技術を現代に受け継ぐ匠たち

main_shioiri
  • 社名:株式会社 塩入製作所
  • 設立年月:1965年(昭和40年)2月
  • 資本金:10,000,000円
  • 代表者:代表取締役 小泉源一郎
  • 所在地:東京都墨田区東駒形二丁目16番10号
  • 電話番号:03-3624-3381
  • 公式HP:http://www.shioiri.net
  • 私たちの身の回りにある、大量生産される製品の多くは金型によって製造される。株式会社塩入製作所はそういった金型の製造と、近年珍しくなったという金型に文字などの彫刻・刻印加工を施す技術を専門とする企業。金型への彫刻・刻印のほとんどは手作業によるもので、工具をつくる段階から技術者の腕次第となる、極めて厳しい匠の世界。昔ながらの職人特有の勘によるところが大きい技術であるが、塩入製作所では上手く技能継承を行い、若き職人を育成しているという。
intro_img

業種

精密刻印・金型部品の製作

事業紹介

彫刻の専業メーカーとしてスタートした塩入製作所ですが、放電加工、NCフライス加工、成形研削加工などにも取り組んでいます。
とくに彫刻の技術を生かした放電加工、NCフライス加工などは微細・精密な加工が可能であり、精度を必要とする加工を得意とします。
また、最近では関連会社の(株)ソルテックで金型の一貫生産にも取り組んでいます。

昔ながらの職人の魂が脈々と受け継がれる彫刻技術

小泉 源一郎さん 株式会社 塩入製作所 代表取締役 東京下町、墨田区東駒形に工場を構える塩入製作所は、今では珍しくなった金型の彫刻や刻印を手がける企業である。今回お話を伺ったのは入社して25年になるという3代目経営者の小泉源一郎社長。昭和40年に設立してから現在に到るまでの企業の沿革についてお話いただいた。 「創業時は工業彫刻や刻印を専門に手がけていた会社でした。プラスチック製品などの金型に文字を彫り、製品に文字や模様を刻印するというものです。時代の変遷を経て、彫刻だけでなく金型自体も手がけるようになり、今では金型と彫刻を両方扱っています。加工する素材としては、やはり金属がほとんどで、工業的な製品として使われるものが多いです。彫刻や刻印の技術は今では印刷やシボ加工などに置き換えられることが多く、昔はたくさんいた同業者はだいぶ減ってしまいました。そのため売上の割合としては金型の製造の方が多く占めるのですが、彫刻は他社にはできない技術ですので発注を受けることもまだまだ多いです。一文字彫るだけの仕事から幅広く受注しています。こういう状況の中で当社が今まで彫刻を続けられてきている理由は、良いお客様に恵まれてきたという事と、金型と彫刻を併せてやってきたという事ではないかと思っています。彫刻、刻印においては日本でも有数の技術力を持っていると自負しています。」

shioiri-17.jpg 代表取締役 小泉 源一郎さん
shioiri-10.jpg

一般の人の目に付く部分のみならず、多くの場所で役立つ技術。

塩入製作所の技術により生み出された製品はどのようなところに役立っているのだろうか。小泉社長から技術、製品と会社の強みについて語っていただいた。 「当社で製造している金型はコネクタメーカーや電気機械メーカーといったお客様からの依頼が多いです。プラスチック製品の金型がメインですね。彫刻、刻印では薬の錠剤の金型の文字や、自動車のエンジンのナンバリング部分なども手がけています。エンジンのナンバリングは製造工程で管理に使用される刻印です。このように一般の消費者の目につかない部分にもたくさん関わっているんですよ。今では彫刻の仕事は量が減ってしまって、彫刻機という機械そのものが製造されていないという状況なのですが、逆に言えば競合が参入しづらい事業ですから、強みになっているとも言えます。さらに彫刻のカッターをはじめとする工具類を自社で作っていることも当社の大きな強みです。市販されている工具は沢山ありますが、購入するにはコストがかかりますし、カスタマイズしたものをすぐに作ることができて特殊な形状のものにも対応することができます。また、製品の品質管理では、特に万全な検査体制を心がけています。万が一トラブルがあった場合は履歴として残すようにして再発の防止に勤めています。彫刻の作業については、昔から職人が感覚で作業することが多かった仕事ですので、誰か特定の技術者でなければできない、担当者がいなくなったらもうその製品は作ることができないというような事がないように、条件、仕様については細かく図面を残すように注意して技術の継承を心がけています。」

shioiri-16.jpg
shioiri-07.jpg
shioiri-12.jpg

各々が仕事の中にやりがいを見つけていってもらいたい

最後に小泉社長に人材や組織について、そしてこれからのものづくりを担う若者に対してメッセージをお話いただいた。 「人材募集は中途採用が多く、新人はみんなやめずに仕事を続けている環境だと思います。新人が入った場合はOJTで教育しています。基本的には実践の中で見て覚えてもらうというスタイルです。人にもよりますが、入社してから3年くらいで一人前として仕事を任せられるように成長しますね。ただ、仕事を極めようと思えば限りなく奥の深い仕事です。社内の従業員は20代から60代まで世代差はありますが、当社では特にコミュニケーションの問題もなく技術が若い世代に継承されていると思っています。」 「会社の方針として、社員それぞれが自分の考えで行動できるようになって欲しいと思います。仕事の中での楽しみというものは人それぞれ違うと思うので、自分でやりがいを見つけていって欲しい。それはこちらが決めるものではありませんから。せっかく当社で働いているのですから、面白いと思って仕事してもらいたいですね。」 「ものづくりの仕事は3Kと言われたり、若い世代の方からは敬遠されたりすることもあるかも知れません。けれども、日本という国はものづくりで成り立っていると思いますから、もっとプライドを持っていい仕事だと思いますし、良いイメージで見てもらいたいですね。そして、興味があるのなら是非そういう仕事についてもらいたいなと思います。」

shioiri-02.jpg
shioiri-05.jpg
shioiri-04.jpg

先輩メッセージ
思い通りにいかない難しい仕事ほどやりがいがあって面白い

村上 友則さん
彫刻担当
村上さんは入社7年目の彫刻職人。技術者として伸び盛りの村上さんに仕事のやりがいや会社の事について伺った。 --入社のきっかけについて教えてください。 「彫刻については何も分からなかったのですが、ものづくりが好きだったのと、工場見学して面白そうだなと思って入社しました。」 --今の仕事内容について教えてください。 「入社以来ずっと彫刻作業を担当しています。母型(彫刻する文字などの型となるもの。これを機械でなぞりながら作業を行う)があるものはそれを使って彫刻機で作業を行い、無い場合は母型から作りますそれから手直し(細部の調整)ですね。最初は彫刻機を上手く使うことが難しくて大変でした。カッターを作るのもまた難しくて、苦労の連続でした。大きい文字で出来るようになるまで一年半ぐらいかかりましたが、小さい文字はいまだに難しい物もあります。」 --仕事でやりがいを感じるのはどういう時ですか? 「難しい手直しが出来たときはやはりうれしいものですね。細かい物や、角度、深さなどで難しい加工もたくさんあります。7年やっていますが、いまだに学ぶ部分は多いですし、先輩の腕前を見るとすごいなあって感じます。自分も職人として、とにかくもっと技術力を身に付けたいですね。」 --会社はどういう雰囲気ですか? 「ちょっと変わった楽しい人たちが多くて良い雰囲気ですよ。社員の皆さんが会社の一番の魅力だと思っています。場所が都心に近いというところも良い所ですね。」 --ありがとうございました。最後に、ものづくりを志す後輩へメッセージをお願いします。 「思い通りにいかない難しい仕事ほど面白いですからね。どんどん上を目指していけばやりがいのある仕事だと思いますよ。」

shioiri-20.jpg 村上 友則さん
shioiri-13.jpg

先輩メッセージ
職人肌の曲者ぞろいで、一体感のある楽しい会社です

金澤 孝博さん
放電グループ
金澤さんは青森出身で大学卒業後に塩入製作所の関連会社株式会社ソルテックに入社。入社直後に勉強のつもりで東京の塩入製作所に来たが仕事が楽しくなり13年目になるという。 --担当されている仕事について教えていただけますか? 「切削加工を担当しています。電極加工のセッティングや直に材料を彫る場合もあります。機械のプログラムを入力することが多いですね。仕事を身に付けるコツは、先輩に教えられた仕事を自分なりの解釈を通して考えていくことですね。得意不得意は人それぞれですから、自分のやり方を見つけることが大事だと思います。」 --仕事で気をつけていることはどういうことですか? 「お客様の注文された図面通りに仕上げることに一番気を付けています。あとは職場のポジションとしてちょうど中間ぐらいの立場ですので、コミュニケーションには特に気を付けています。」 --仕事でやりがいを感じるのはどういう時ですか? 「やはりできあがった製品を見るといまだに感動しますね。最初は金属の塊だったものが製品として図面通りに仕上がると、『おお、すごいな!』って思います。」 --会社の特徴を教えてください。 「少人数ですからみんな仲が良く、一体感のある会社だと思いますよ。世代も上から下まで様々で、曲者ぞろいな職人肌の人が集まっているので面白いですね。」 --ありがとうございました。最後にものづくりを志す後輩へのメッセージをお願いします。 「もともと私はものづくりがやりたいという強い意志は無く、漠然と始めてみたら面白かったので今も続けています。皆さんも自分の道は自分で決めることが大事なんじゃないでしょうか。やりがいがあれば仕事は続けられると思います。」

shioiri-22.jpg 金澤 孝博さん
shioiri-03.jpg