<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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株式会社 高橋製作所

株式会社 高橋製作所 こだわりが支持され、天文マニア向け天体望遠鏡の国内シェア60~70%を握る専門メーカー<br>専門メーカーとして52年。情熱とこだわりを持った技術者が作り上げる世界的ブランド“Takahashi”の天体望遠鏡

株式会社 高橋製作所

こだわりが支持され、天文マニア向け天体望遠鏡の国内シェア60~70%を握る専門メーカー
専門メーカーとして52年。情熱とこだわりを持った技術者が作り上げる世界的ブランド“Takahashi”の天体望遠鏡

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輝く技術 光る企業

株式会社 高橋製作所

こだわりが支持され、天文マニア向け天体望遠鏡の国内シェア60~70%を握る専門メーカー 専門メーカーとして52年。情熱とこだわりを持った技術者が作り上げる世界的ブランド“Takahashi”の天体望遠鏡

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  • 社名:株式会社 高橋製作所
  • 設立年月:1932年7月
  • 資本金:1600万円
  • 代表者:代表取締役 高橋 登喜男
  • 主な勤務地:本社:東京都板橋区大原町41-7
    工場:埼玉県大里郡寄居町赤浜795
  • 休日:日曜・当社カレンダー・夏期・年末年始
    (2012年の年間休日111日)、
    年次有給休暇・特別休暇
  • 本社所在地:東京都板橋区大原町41-7
  • 電話番号:03-3966-9491
  • 公式HP:http://www.takahashijapan.com/
  • ・世界中の天文マニアから愛される天体望遠鏡の専門メーカー
  • ・わずかなぶれも許さない。組み上げへのこだわりが彼らの心をつかむ
  • ・社員自身が天文好きだからこそ生まれたモノづくりへのこだわりを若手にも継承
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事業紹介

弊社は、昭和7年7月故高橋喜太郎によって創立されました。想えば、戦前戦中の創業時代は、鉄鋳物の製造で航空機産業に関与し、戦後の荒廃による混迷期からは鉄よりも非鉄鋳物に比重を移して生産方針の転換を図りました。日本経済も幾多の変遷をたどり、弊社も変転する社会の中にあって、技術の革新に努力し、積極経営の展開と効率化を図り、常に社会情勢の変化に対応しながら会社の業容を順調に拡大して参りました。昭和35年には天文機器の製造を開始。天体望遠鏡メーカーの仲間入りを果たし、現在は開発及び製造販売部門を併せ持つメーカーとして光学業界に揺るぎない経営基盤を築くに至っております。これもひとえにお客様あってのものと深く感謝しております。今後の内外経済社会は、より多様化、グローバル化し、光学業界もその圏外にあり得ず、弊社も今後とも積極かつ堅実な経営理念、製造理念を持って、新たな躍進を目指し、地域社会に大きく貢献していきたいと願っております。

何を作ってる?

高橋製作所は天体望遠鏡の専門メーカー。天文マニア向けの天体望遠鏡で60~70%の国内シェアを誇っている。公共施設向けの大型天体望遠鏡も手掛け、国内だけでなく海外の天文台にも納めている。日本だけでなく世界中の天文マニアから愛されている企業だ。 現在、高性能な天体望遠鏡で使われているレンズの一つに、フローライト(蛍石)を用いて作られたものがある。元々は、顕微鏡や一眼レフカメラのレンズに使用されていたものだった。それを1977年に世界で初めて望遠鏡に採用したのが同社。当時はまだコンピューターでの光学設計は広まっていなかったため、手探りで望遠鏡に使ってみたところ、非常に見え味が良かったのでシリーズ化されることになった。 ほかにも、極軸を合わせるための極軸望遠鏡や、モータードライブ内蔵赤道儀(天体の日周運動を追尾するための回転軸を持った天体望遠鏡の架台)をいち早く導入。最近でも2011年に、天体撮影用望遠鏡「CCA-250」で板橋製品技術大賞 最優秀賞を受賞するなど、常に新しい技術を取り入れ続けている。

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会社の強み

高橋製作所の強みは、高い技術力が生み出す製品の精度・強度にある。「当社の製品は、他社の製品に比べて長い期間が経っても不具合が出づらいという評価をいただいています」と代表取締役の高橋登喜男氏。およそ、他社製品の倍以上は長持ちすると言う。 その秘密は、自社で鋳造した強度に優れた部品を使っているところと、少数精鋭の技術者が手間を掛けて組み上げているところにあると高橋氏は語る。 望遠鏡ははるか遠くにある星を見るのに使うため、わずかなぶれが大きな差を生んでしまう。それだけに組み上げ時には、部品の個体差に合わせて手作業で調整する。細かな傷など、少しでも気になる個所があると、徹底的に微調整してから使っている。 その結果、製品の精度は世界トップクラス。どうしても価格が高くなってしまうが、「精巧な加工のためには人件費が必要。それを分かってくれるエンドユーザー様が当社の製品を愛用してくれています」(高橋氏。以下、同)

05.jpg 天体望遠鏡に使う部品は自社で鋳造
06.jpg 組み上げ工程を徹底的にこだわることで
高精度な製品が生まれる

職場としての魅力

社長の高橋氏をはじめ、高橋製作所のベテラン社員の多くが天文好きであり、だからこそのこだわりが製品の精度を上げてきた。「ただレンズを重ねて終わりではありません。組んだレンズを微調整して、より良いものに仕上げていくのです」 新しい世代の社員にも、単に決められた工程をこなすのではなく、自分の目で見て「もっとこうしたほうが良い」とこだわりを持てるように育ってほしいと高橋氏は願っている。そのために、若手を中心としたプロジェクトを発足。採算度外視で本当に精度の高い天体望遠鏡を開発させるなど、若手の育成にも力を注いでいる。 高橋製作所には、ベテラン技術者がたくさんいる。興味を持って積極的に学ぶ姿勢があれば、専門性と高い技術力を持った技術者になれる環境が整っていると言えるだろう。

07.jpg 社員が撮影した金環日食写真を掲示

社長メッセージ
怖いのは業界そのものの衰退。話題になる商品を発表することで業界を活性化したい

代表取締役
高橋 登喜男さん
――会社の業績を伸ばすために大切なことは、何だとお考えですか? 業界が活性化することが必要だと思っています。これまでに最も活性化したのが、1986年のハレー彗星接近による天文ブーム。今よりも社員を5割以上増やし、夜遅くまで残業をしてもらったのに、追いつかないくらいの注文が来たものです。 でも、最近はお子さんが天体に興味を持たなくなってきました。今は少ないお客様を、さらに数社で取り合っている状態です。その中でも当社は、天体望遠鏡の専門メーカー。他社のように双眼鏡も顕微鏡も製造しているわけではありません。それだけに、業界が縮小していくと、如実に売上が低下してしまうわけです。 そこで毎年必ず1機種は、話題になるような新製品を作って出しています。そうしないと、業界そのものの話題性がなくなって衰退していってしまいます。それが一番怖いのです。 その中で、2011年には板橋製品技術大賞最優秀賞をいただきました。業界を活性化するには、こうやって少しでも話題性のある製品を出し続けることが大切だと信じてがんばっています。 卒業して就職するとなると、「自分はこれからずっと勤めないといけないのだ」という後ろ向きな気持ちになるかもしれません。でも、せっかく会社に入るのだから、積極的に知識や技術を学んでいただきたいと思います。 新卒の学生さんを採用するということは、会社にとって最初は赤字覚悟です。5~10年といった長い期間で技術を習得して、1人前になっていただくことを前提としているのです。 ですので、自分が本当にやりたいと思って、興味を持てる仕事を選んでください。そして、長い時間を掛けて優れた技術者になって、会社に貢献していただくのが、社員と会社の理想的な関係だと思っています。

08.jpg 代表取締役 高橋 登喜男さん

先輩メッセージ
部品の個体差によって努力を惜しまず対応を変えて、より良い組み上げ方を考える

鏡筒部
神田さん
――入社された経緯を教えてください。 まず、求人票に「望遠鏡の製作」と書いてありました。作り方がまったく想像できませんでしたから興味を持ちました。そして実際に会社を見学した際に、思っていたよりもはるかに大きな望遠鏡を目の当たりにして、「自分も作ってみたい」と思ったのが入社のきっかけです。 さらに、面接で宇宙飛行士の方々が来社された写真を見せてもらい、「世界とつながっている」と感じ、一層興味が強くなりました。 最後の決め手は社員の方々の人柄ですね。皆さんとても温かく、目上の方も気軽にあいさつをしてくださるし、会社のことについて丁寧に説明をしてくれました。この会社に入ったら、楽しく働けるだろうと思えたのです。 入社してしばらくは下仕事が主でした。ある程度技術が伴ってきたころから、鏡筒の組み上げを担当できるようになりました。さらに技術が身に付いてくると、望遠鏡のもっとも重要な核となるレンズの取り付けを任されるようになりました。 そういった経験を経て、今では望遠鏡の組み上げから完成、出荷まで通して担当しています。 それまで先輩方に頼るばかりだったのが、頼られるようになった時には、大きな喜びを感じました。今では一通りの業務を担当することになって責任も出てきたわけですが、大変な仕事を達成できた時には、その分やりがいが大きくなります。 また私は元々、天文好きというほどではなかったのですが、先日の金環日食の時には自分が組み上げた望遠鏡で観測から撮影までを行いました。「この会社に入って良かった」と思えましたね。 まず一つは、世界に通じる技術力を持っていることです。当社は組み上げに非常にこだわっていて、ただ組むだけではなく、部品の個体差を見て丹念に一つ一つやすり掛けをしたり、ラッピングをしたり、より良くするための努力を惜しみません。熟練した先輩技術者が非常に高い精度で組み上げをしているのを見ると、いつも技術力の高さを実感します。 二つ目は、チームワークです。組み上げていく中で、1人の作業が遅れたときは、周囲がフォローします。それぞれがいろいろな仕事ができるようになっているから、どんな仕事でも遅れが発生したところを助けられるわけです。個人が仕事を抱え込みすぎて生産性が低下するようなことはありません。そこが当社ならではの強みだと思います。 尊敬している先輩のようになりたいと思っています。もっと知識と技術を身に付けて、いずれ教える立場になった時に、正しいことを正しいやり方で伝えられるようになりたいです。 何年掛かるか分からないですが、日々精進します。 就職活動は社会に出る第一歩です。大変だと思いますし悩むかもしれません。ですが、迷ったらまずは「やっていて楽しいことは何か」「自分は何が得意なのか」といったことを思い返して、自分に合った職場を考えてみてください。

09.jpg 鏡筒部 神田さん
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先輩メッセージ
世界に通じる技術を持つ中小企業でなら、若いうちから世界を相手に仕事ができる

マウント部
佐藤さん
――入社された経緯について教えてください。 以前の仕事では機械メーカーでモノづくりに携わっていたり、海上自衛隊で大型機器を扱っていたりしていました。その両方の経験が活かせる仕事を探していたところ、紹介されたのが当社です。 小さくて細かいモノづくりの仕事から、海外の天文台に納めるような大型の望遠鏡を扱う仕事もあり、これまでの経験を総合的に活かせると思いました。 赤道儀の組み立てと部品の加工、完成検査までを担当しています。 望遠鏡は、調整のところで非常に繊細さが求められます。例えば自動車など、モーターが高回転のものは「ここからここまでモーターを回す」といったモーターの調整の許容範囲が比較的大きいのですが、赤道儀は時計と同じくらいの精度が求められます。しかも上に重い望遠鏡やカメラが載るので、なおさら難易度が高くなります。 星の撮影は、シャッターを開けている時間が長くなります。ですので、組み付けが上手くいかないと撮影中にぶれてしまい、きれいに撮影できません。しかも「検査機器でこの数値になるように調整すればきれいに見える」というようにマニュアル化できるものではないのです。ねじのベアリングの押し具合とか、いろいろなものを調整する必要があります。 私の上司は短時間で上手く調整できるのですが、私はまだまだですね……。上司は感覚で覚えているみたいで、コツを聞いても口では表現しにくいようです(笑)。 難しい仕事ですが、成長を実感できた時にはやりがいを感じますね。 最近は「ここを直せば短時間で調整できるだろう」といった勘が働くようになってきました。入社したばかりのころは調整で2時間以上掛かっていたのが、1時間くらいでできるようになっています。「少しは成長できたかな」とうれしく思っています。 いろいろな知識を吸収して、仕事に広がりを持つことです。部署の垣根を超えて、ほかの部署のお手伝いができるように仕事を覚えていきたいです。 私の上司は何でもできて、どんな問題やクレームにも対応できるのです。「テキパキと上手く対応しているのがすごいな」と思いますし、自分も勉強して追いつきたいです。 先日、電車に乗っていて「何でこんな時代に生まれてしまったのか」と嘆いている学生さんに出会いました。 特に学生さんにとっては、モノづくり産業には明るい兆しがないように感じるかもしれません。しかし雇用など、地域に及ぼす影響力は大きく、期待されている産業の一つだと思っています。モノづくりは、新しいものを発想する仕事で、とてもやりがいがあるものです。 中小企業には世界に通じる技術を持っている会社がたくさんあります。人数が少ないため、新人にも仕事をどんどん任せてもらえます。若いうちから世界を相手にした仕事ができるはずです。 また、自分が会社を大きくする原動力であることも実感できるのではないでしょうか。「自分が会社を大きくする」という気持ちで仕事に取り組めば、仕事が楽しくなって、楽しい人生になると思います。 学生さんが今の時代に絶望したくなる気持ちは分からなくもないですが、探せば未来ある中小企業も数多くあります。ぜひ希望を持って、前向きに「がんばってやるぞ!」という気持ちで会社を探してみてください。

11.jpg マウント部 佐藤さん