<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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東工・バレックス 株式会社

東工・バレックス 株式会社  -160度以下のロケット燃料も制御するコントロールバルブ<br>化学工場、発電所、各種研究機関などで配管を流れる液体・気体の流量や圧力を自動調節。流れる流体の種類・用途に合わせて1台からでも受注生産

東工・バレックス 株式会社

-160度以下のロケット燃料も制御するコントロールバルブ
化学工場、発電所、各種研究機関などで配管を流れる液体・気体の流量や圧力を自動調節。流れる流体の種類・用途に合わせて1台からでも受注生産

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輝く技術 光る企業

東工・バレックス 株式会社

-160度以下のロケット燃料も制御するコントロールバルブ 化学工場、発電所、各種研究機関などで配管を流れる液体・気体の流量や圧力を自動調節。流れる流体の種類・用途に合わせて1台からでも受注生産

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  • 社名:東工・バレックス 株式会社
  • 設立年月:1957年2月
  • 資本金:3,000万円
  • 従業員数:59名
  • 代表者:代表取締役社長 横山 達也
  • 社員平均年齢:50歳
  • 初任給:諸手当・・・家族手当、役職手当、超過勤務手当 他
    賞与・・・年2回
  • 主な勤務地:本社(江戸川区)
  • 休日:週休2日制ただし年間数日土曜日出勤有り。
    年次有給、慶弔休暇、育児休暇、介護休暇、誕生日休暇
  • 本社所在地:東京都江戸川区松島4-2-17
  • 電話番号:03-3655-3171
  • 公式HP:http://www.toko-valex.co.jp/
  • ・液体も気体も。配管の中を流れるものの流量や圧力を自動調節
  • ・大手が尻込みする特殊バルブも進んで作る独自路線を歩む
  • ・-160度以下、LNGの流量を制御するロケット用バルブ開発
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業種

各種自動調節弁(コントロールバルブ)の開発・設計・製造・販売

事業紹介

“創造と挑戦”

当社は1957年から一貫して、この不変のテーマを基にコントロールバルブの設計・製造・販売をしており、そのバルブも1台1台が受注生産でお客様のご要望を一つ一つ形にしてまいりました。

コントロールバルブというと、あまりピンとこないと思いますが、実は皆さんの生活を下支えしているのです。
全国の浄水場、食品・飲料、製薬、半導体をはじめとするハイテク産業、化学・石油などのプラント、ガスや電気といったインフラに及ぶまで私たちの製品は活用されています。

蒸気・水・空気から超低温・酸やアルカリ性・海水など、さまざまな流体に対応できるよう、絶えず「創造力」を働かせ、良い物は取り入れ実践するという柔軟性と、創業当時からの知恵と技術力を駆使することで、最近では、LNGロケットエンジン用バルブの開発にも着手いたしました。激しい経済環境の変化や技術革新が進むことによる製品への要求の変化にも遅れることなく、的確にニーズを捉えて絶えず「挑戦」する姿勢を持ち続けることが、私たち東工・バレックスを成長させ、社会に貢献し続ける企業であり続ける大切な要素であると考えております。

【事業内容】液体も気体も。配管の中を流れるものの流量や圧力を自動調節

水道の蛇口のように、配管を流れる液体・気体の量を調節する製品を「バルブ」と言う。東工・バレックスが得意とするコントロールバルブは、配管を流れるさまざまな液体・気体の流量をモーターや空気圧などでバルブを動かして流量を自動調節する製品だ。 使われている場所は、石油製品・半導体・食品等を作る化学工場や食品工場、発電所、研究機関など。中を流れるものも、水や蒸気をはじめ、各種ガス、粘度の高い液体、-253度以下になるヘリウムや液体水素といったように幅広い。 そうした用途に合わせて、創業時から作り続けた製品の台数は、延べ16万台ほど。そのうちの4割前後は、顧客の注文を受けて開発した特注品になる。

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【独自戦略】大手が尻込みする特殊バルブも進んで作る独自路線を歩む

東工・バレックスは、顧客からどんな依頼が来ても断らない。創業当時から、「こんなバルブが欲しい」と相談されたら、全力で期待に応えようと努めてきた。次第に「困ったら東工・バレックスに相談すればいい」と評判に。今も、たった1台からの注文にも快く応えている。 そんな姿勢を貫いてきたことで、酸に強いものや極低温液を扱えるものなど、特殊なバルブを作るノウハウを蓄積。特注品を同業他社の半分ほどの期間で納められるように、生産体制も整備した。 その結果、同業の大手企業が「これほど特殊なバルブ、こんなに少ない出荷数ではもうからない」と手を出せない仕事でも利益を確保できるように。他社にはまねできない独自路線を歩んでいる。

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【プロジェクト】-160度以下、LNGの流量を制御するロケット用バルブ開発

数多く手掛けてきた特殊バルブの中には、開発中の宇宙用ロケットエンジンで採用されたものもある。 用途は燃料になるLNG(液化天然ガス)の流量調節。LNGの温度は-160度以下になる。バルブが極低温に冷えても液体漏れなどを起こしてはならず、確実に作動しなくてはならない。加えて、ロケットが飛びやすいように極力軽くする必要もあった。 もともと同社には、他社より3割ほど軽いバルブを作る技術があった。それでも、そこから一層の軽量化を進めるのは困難なこと。耐久性と軽量化の両立には苦労したものの、試行錯誤の末、当初の3分の1にまで軽量化することに成功した。

06.jpg 超低温用バルブ

社長メッセージ
「創造」「挑戦」「責任」「協働」という“4つのC”を大切に

代表取締役社長
横山 達也さん
――今後の展望について伺えないでしょうか。 以前から研究機関向けに極低温の環境下でも使えるコントロールバルブを作り続けてきた実績が認められ、-160度以下になるLNG(液化天然ガス)を積むロケットエンジン用バルブの開発については、「東工・バレックスに頼みたい」とお客様から指名していただけるようになりました。 LNGと同様に、現在、燃料電池自動車の燃料として注目されている水素も、-253度以下にまで冷やすと液体になります。極低温の液体の流量を制御できる当社の技術を生かし、そうした石油に代わるLNGや液体水素などを輸送する自動車・船舶用のバルブなど、新エネルギー関連の仕事をもっと増やしていきたいです。 ただ、会社の社員数を、今の60人ほどから大きく増やさなくてはならないほど、仕事量を増やすつもりはありません。当社にしかできない仕事に絞って受注するようにし、仕事の量ではなく質を高めていく考えです。 当社は以前から、仕事に取り組む基本姿勢として「創造(Creative)」と「挑戦(Challenge)」を掲げてきました。 今まではその2つを徹底していれば十分でしたが、お客様の要求は年々厳しくなってきます。「誰かがどうにかしてくれる」と他人事で考えるのではなく自分事として仕事に向き合い、しっかりとした製品をお客様に届ける意識をさらに高めてもらいたいと「責任(Commitment)」という言葉を加えました。 そして自分の担当する業務について責任を持つだけでなく、別部署の同僚とも力を合わせていく必要があります。もっと言えば、同業他社の人とも、まったくの異業種の人とも力を合わせることで、当社が苦手としていたことを克服し、従来作れなかったバルブを作れるようになるかもしれません。そのように力を合わせることを大切にしてほしいという思いから「協働(Collaborate)」も加え、「創造」「挑戦」「責任」「協働」という“4つのC”を大切にするように伝えています。 何かに取り組んでいるとき、目の前に壁が迫ってきたとしても、ぶつかることを恐れず、そこで引き返さないで前進を続けてください。 ただし、やみくもに前進していては駄目です。しっかりと計画を立てて、どんなことが壁になるかと事前に想定して対応策を考えておいてください。それでも壁にぶつかってしまったのなら、それは仕方のないことです。 そんな姿勢で仕事に取り組む若手が何か失敗したとしても、私なら決して叱ったりしません。若い人たちには、ぜひいろいろなことに興味を持ち、何事にも挑戦していってもらいたいものです。

08.jpg 代表取締役社長 横山 達也さん

先輩メッセージ
「君なら安心だから、私が検査する必要はない」。お客様の評価がうれしかった

生産本部 品質管理部 サブリーダー
堀越さん
――どのような縁があり、この会社と出会いましたか? 私は工業高校に通っており、「機械を扱う仕事に就きたい」と思っていました。就職活動を迎えたとき、市役所で条件に合う企業の求人がないかと調べ、当社の求人情報と出会ったのです。 興味を持ち、工場見学に参加させてもらったところ、作業風景が明るく、社員が協力して働いているところが印象に残りました。すごくいい会社だと思いましたね。 その後、面接に進んだときに、私からいくつか質問させてもらいました。その中で「加工・組み立てが難しいところがあったら、どうやって対応方法を考えているのでしょうか」という質問に対して、「現場で図面を描いて、みんなで相談しながら解決している」と答えが返ってきたことを覚えています。そのように、みんなで力を合わせながら仕事を進められる環境に惹かれて、この会社で働きたいと思うようになりました。 品質管理部で検査の仕事をしています。コントロールバルブは、流体を流す配管に合わせて設計する製品なので、管とつなぐ部分の円の直径や製品全体の大きさなどの寸法を、測定機を使ってしっかり1台ずつ測ります。他にも、傷やへこみがないかと目視したり、実際に水などを流してみて水漏れがないかと確認したり、強い圧力を掛けても壊れないかと試す検査も行っています。 その中でも、特に細心の注意を払う必要があるのは、液体漏れの検査ですね。当社のバルブには、有毒なガスや燃えやすい液体が流れる場合もあります。他社の事例になりますが、ほんのわずかな漏れから大型工場で爆発事故が起きたという話も聞きますので、とても気を使っています。 最近では、ロケットエンジン用バルブの検査も担当しています。そのバルブの試作品をエンジンに初めて取り付けて試運転した後、私が検査してみたところ、いくつか改善点があると気付きました。その内容を一緒に検査したお客様に報告したら、「私は気付かなかった。君になら安心して任せられるから、もう私が検査する必要はなさそうだね」と褒めていただけたことがあります。あのときは、とてもうれしかったですね。 そうした検査技術が身に付いたのは、上司や先輩が丁寧に指導してくれたおかげです。品質管理部では製品の納品後もお客様先へ検査に伺い、導入現場で使われていて不具合が起きていないかと調べています。そのような現場で検査する機会があれば私も同行させてもらい、「出荷時にあんな傷があると、このような問題が起こりやすい」など、丁寧に教えていただきました。そういった経験を積むうちに、検査する際に気を付けなくてはならない箇所が少しずつ分かってきたのです。 社員全員の名前と顔をしっかり覚えられて、社長や上司とも話しやすく、力を合わせて働けるところです。 当社では上司・部下の上下関係はありますが厳しいものではありません。また、面接時に答えてもらったように、何か問題が起きたときにはすぐに何人もの社員が集まって「こうしよう」「ああしよう」と話し合える雰囲気があります。とても働きやすい環境です。 大手企業で働きたいと考えている人には、中小企業にも目を向けてみてほしいですね。中小企業であっても、大企業に負けず、社会にとって非常に重要な仕事をしているところもあります。 工場見学・職場体験などで実際の職場を見てみて、「ここなら自分の力が出せる」と感じられる職場が見つかったのなら、企業の大小を問わず、就職先として検討してみたらいかがでしょうか。

09.jpg 生産本部 品質管理部
サブリーダー 堀越さん

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先輩メッセージ
1年目からLNGロケット用バルブを担当。耐久性と軽量化を両立して3分の1の重量に

生産本部 技術開発部
田中さん
――どんなきっかけがあって、この会社に応募したのでしょうか。 もともとCADを使用する設計の仕事をしたいと考えていました。それで条件に合う企業の説明会にいくつか参加してみたのですが、話を聞くうちに「大企業では製品の一部しか設計できない。中小企業なら、1人で1つの製品をすべて設計できる」ということが分かってきました。 その後、就職情報サイトで中小企業に絞って調べ、当社の情報を見つけました。興味を持って面接に進んでみたところ、面接官がとても優しく自然体でしたから、私も気負わず、時には笑いを交えながら受け答えできました。他社では面接中に緊張することもあったので、「この会社なら、楽しく働けるだろう」と思うようになったのです。 そうですね。コントロールバルブの設計をしています。 当社の製品は、基本的に受注生産です。まずはお客様からどんな製品が必要なのかと要望を伺って、その要望を満たせる製品を設計していきます。とはいえ、すべて一から設計するわけではありません。土台になる設計がありますから、それを基にして細部を調整して仕上げていくことが多いです。 いつも苦労するのは、お客様から詳しい情報を聞き出すところですね。お客様にしてみれば外部には秘密にしたい情報もあります。最初からすべての情報を教えてもらえることは滅多にありません。流すのはどんな液体・気体なのか、どれくらいの温度なのか、アルカリ性か酸性かといった情報を少しずつ聞き出します。そこから最適な設計を考えて、長い期間、故障なく使えるバルブを提供できるように心掛けています。 これまでに設計を担当した製品の中には、LNGロケットエンジン用バルブなどがあります。入社1年目に携わった仕事です。研修が終わった12月ごろに担当を任されまして、「入社したばかりの自分に、こんな大きな仕事ができるだろうか」と不安に感じるところもありましたが、若いうちから大きな仕事を任せてもらえるところは、この会社の魅力だとも思いました。 設計は、上司に教わりながら進めていきました。-160度以下のLNGが流れ、高圧が掛かるバルブを、できるだけ軽く作らなくてはいけません。耐久性と軽量化を両立させることには苦心しましたが、最初に試作したときにはステンレスで作って重さが15~16kgあったものを、最終的にはアルミ製にして元の重量の3分の1以下である5kg未満にまで減らすことができました。 ようやく要望を満たせるバルブが完成し、エンジンに取り付けて燃焼試験をしたときのことを、今も鮮明に覚えていますね。無事に動作し、お客様にも喜んでもらえました。 当社のバルブを積んだロケットは、まだ実験段階で実際に打ち上げられてはいないのですが、いつか安全に宇宙を飛ぶ日を夢見ています。 私は学生のころから、「CADで図面を描くことを仕事にしたい」と希望していました。そのように、やりたい仕事を学生時代に見つけておくことが大切だと思います。 自分がしたいことは何か、どんな仕事に適性があるのかと見極めてから就職活動に臨めば、きっと満足できる結果を得られるでしょう。 注)掲載している情報は、取材日(2014年12月)時点のものです。

11.jpg 生産本部 技術開発部 田中さん
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