<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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有限会社豊岡製作所

有限会社豊岡製作所 品質はもちろん、価格でも新興国に負けない深掘り加工企業<br>間接費を抑え、時には設計自体の見直しを促すことで、顧客企業に新興国の企業よりも価値のある提案を

有限会社豊岡製作所

品質はもちろん、価格でも新興国に負けない深掘り加工企業
間接費を抑え、時には設計自体の見直しを促すことで、顧客企業に新興国の企業よりも価値のある提案を

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輝く技術 光る企業

有限会社豊岡製作所

品質はもちろん、価格でも新興国に負けない深掘り加工企業 間接費を抑え、時には設計自体の見直しを促すことで、顧客企業に新興国の企業よりも価値のある提案を

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  • 社名:有限会社豊岡製作所
  • 設立年月:1960年
  • 資本金:1,200万円
  • 従業員数:12名
  • 代表者:代表取締役 豊岡 勉
  • 社員平均年齢:-
  • 初任給:-
  • 主な勤務地:-
  • 休日:-
  • 本社所在地:東京都墨田区八広1-2-7
  • 電話番号:03-3613-2231
  • 公式HP:http://www.toyooka.biz-sumida.com/
  • 金属のプレス加工・深絞り加工を手掛ける有限会社豊岡製作所は、大手企業で技術を磨いてきたベテラン技術者が集まり、高い技術力を誇る企業。だがその技術力に甘んじず、間接費を最小限に抑え、コストを減らせる製造方法を考えてきた。顧客企業から要求される前に、自ら値下げ提案をすることで、顧客からは非常に高い信頼を得られている。
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事業紹介

主な製品: プレス加工(化粧品容器、自動車部品、家電部品、ライター)

主な技術: プレス加工、深絞り加工

主な設備: 各種プレス約20台、洗浄装置、電気炉

主な素材: ステンレス、モリブデン、アルミ、真鍮その他

化粧品や給湯器の深絞り加工では、品質でも価格でも新興国には負けない

人件費の違いや円高の影響などから、「品質ならともかく、価格では新興国に勝てない」と考えてしまっている人もいるかもしれない。けれど有限会社豊岡製作所は、徹底したコスト削減を図ることで、新興国よりも安い価格を実現。高い品質を保ちつつ、安心のアフターサポートを顧客企業に提供しながらも、健全に事業を展開できている。 豊岡製作所が手掛けるのは、各種金属のプレス加工や、器型や筒型の金属の形状を深くする深絞り加工。化粧品関係と住宅で使う給湯関係の部品加工が売上の8割を占め、家電や車載機器などの部品加工も扱っている。 「化粧品ですと、人の肌に直接触れるものですから材質にこだわるお客様が多いですし、品質にも厳しい視線が向けられます。 給湯の場合は、さびを防ぐことが大切です。そのために、主にステンレスを使っています。 加工に使う材料は、ステンレスやアルミ、銅などさまざま。ですが、堅い金属では割れやすくなりますし、柔らかい金属では型の保ちが悪くなります。ですから、お客様の希望条件を満たす材料を考えて『これでいかがでしょうか』と、ご提案するように心掛けています」と話してくれたのは、同社営業部長の堀内一正氏だ。 「一般的なことですが、当社が重視しているのは顧客満足度。つまり、納期と価格と品質でお客さまにご満足いただくことになります。昨今の傾向として、納期は守れて当たり前、品質は高くて当たり前。価格をいかに安くできるか、そこに対するニーズが一番大きくなっています」(堀内氏)

03.jpg 営業部長 堀内 一正 さん
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間接費を減らし、効率的な方法を提案することで価格を抑える努力を

その価格の面で新興国の企業に負けないように、豊岡製作所ではさまざまな工夫をしている。 安い価格で提案できるようにするためには、まず人件費などの間接費を抑えなくてはならない。そこで豊岡製作所では、経理や人事といった業務を専属で見る社員を置いていない。製造にかかわる技術者以外の社員は、営業担当の堀内氏だけ。社員数12人という規模だからできることなのかもしれないが、華美なオフィスも設けず、できるだけ余計な間接費が掛からないように努めている。 また、金属のことを知り尽くしているからこそできる提案をすることで、価格を下げる努力もしている。例えば、鉄とステンレスを比べると、素材としては鉄の方が安い。しかし、鉄を使って加工すると、その後にさびを防ぐためにめっき処理が必要になることもある。その場合、ステンレスを使った方がめっき処理の分の費用が浮き、素材としては高価でも総合的に見てステンレスの方が安くなる。 あるいは、製品の設計自体に改善提案をすることで、価格を安く抑えたこともある。図面が既に決まっているので毎回受け入れてもらえるわけではないが、同社の技術力を信じて設計自体を変えてくれる時もある。同社が顧客から信頼されている証左と言えるだろう。 こうした企業努力の結果、同社が見積もる金額は新興国の企業の見積もりよりも安くなる。新興国の企業にとっては輸送費がかかる分だけ日本国内で利用する場合は不利になるが、逆に日本企業が不利になる海外に部品を輸出して組み立てる場合でも、新興国の企業よりも安い価格で請け負うことができるというのだ。

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“町コウバ”から“町コウジョウ”へ。5S活動などの取り組みを進める

「町工場のような当社でも、新興国に負けないモノづくりを続けることができるのです。 昨今、日本企業が海外に出て行って、製造業の空洞化が騒がれていますが、日本の強みである技術が海外に流出してしまうことは、嘆かわしいことだと感じています。 当社の社長は常々、『日本人が培ってきた技術は国内に留まらせたい。モノづくりを日本に残したい』と語っています。私もその考えに共感して当社で働いているのです」と堀内氏。 ベテラン技術者の多かった同社では、若い社員を増やし、ベテランから若手への技術継承を進めているところ。職人の技術力に頼っていた“町コウバ”から、組織として機能する“町コウジョウ”へと脱皮できるように「整理・整頓・清潔・清掃・躾(しつけ)」の5S活動などの取り組みも始めている。 それなら、歯車の一つとして働くのではなく、当社のような中小企業で自分をを成長させて、『自分が会社を動かすのだ』という意識を持って仕事をした方がおもしろいのではないでしょうか。やりがいは、中小企業の方があるような気がいたします」(堀内氏)

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先輩メッセージ
「1万個加工」といった毎日の目標達成を目指す


荒金さん

――どのような経緯で入社されたのでしょうか。
豊岡製作所に入社したのは、学校を卒業してすぐのことです。知人からの紹介がきっかけでした。製造業に携わったことはなかったので、仕事として取り組んでみたいと思って応募しました。 主に担当しているのはプレス加工の作業になります。 どんな加工であっても手強いのですが、特に新しい加工を依頼された時には苦労します。製造ラインを新たに立ち上げる必要があり、どうやれば効率良く、品質の高い加工ができるか、「こうすれば良くなった」「これではだめだった」と自分で試行錯誤しています。製造工程が安定するまではどうしても時間がかかってしまいますね。 また、材質によってプレス加工のやり方を変えなくてはいけません。最近ではアルミやステンレスの加工が多いのですが、それぞれ加工方法にコツがあります。 自分で立てた目標を達成できた時ですかね。毎日、例えば「1万個を加工する」といった目標を立てています。それができた時には、うれしく感じますね。 いろいろな業務を経験してみたいと思っています。例えば、最近では設計担当の方が新しく入られたので、その方に教わって設計の仕事も勉強してみたいです。 とはいえ、まずは自分の今の業務からですね。任された仕事を確実に達成できるようになっていきたいです。

arakane.jpg 荒金さん

最終工程の「切り」工程に特化して専門性を深める


上江田さん

――豊岡製作所のどういったところに興味を持たれて入社されたのでしょうか。
転職する際に転職情報雑誌を見まして、「この会社はおもしろそうだ」と興味を持ちました。それまで製造業にかかわったことはなかったのですが、どういう仕事か興味を持ったのです。自分にできる仕事かどうか分かりませんでしたが、とにかく挑戦してみようと思って入社しました。 今は金属加工の中でも、最終工程の「切り」の工程を担当しています。深絞りして形ができたものを切って、最終的な形にする工程になります。全工程に携わっているというよりは、特定の工程に特化して専門性を深めています。 切りの工程では、切断する素材によって歯の向きや角度を細かく調整しています。それによって切れ方が変わってきますから。 あとは全工程の中でも切りの工程が最終工程になりますので、製品の仕上がりに気を配りながら仕事をするように心掛けています。 加工する製品の中には、化粧品のような多くの人に使われるものもあります。そういった製品に携われるだけでも、働きがいを感じます。一生懸命がんばることで、良い製品を作っていきたいと考えています。 この仕事は、加工する製品の数が求められます。自分自身で目標を立てて、目標数をこなしていけるようにしていきたいです。 あとは、工場の業務効率化を図る仕事を上司から任されています。まだ初期の段階ですが、工場全体での業務を効率化して、より多くの製品を加工できる体制を整えていきたいですね。

kamieda.jpg 上江田さん