<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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株式会社ベネテックス

株式会社ベネテックス 顧客との信頼関係を最重視する映像関連機器/デジタルスチルカメラ(デジカメ)開発型メーカー<br>支援者のおかげで2度に渡る危機を乗り越え、画像処理/業務用デジカメメーカーとして地歩を固める。

株式会社ベネテックス

顧客との信頼関係を最重視する映像関連機器/デジタルスチルカメラ(デジカメ)開発型メーカー
支援者のおかげで2度に渡る危機を乗り越え、画像処理/業務用デジカメメーカーとして地歩を固める。

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輝く技術 光る企業

株式会社ベネテックス

顧客との信頼関係を最重視する映像関連機器/デジタルスチルカメラ(デジカメ)開発型メーカー 支援者のおかげで2度に渡る危機を乗り越え、画像処理/業務用デジカメメーカーとして地歩を固める。

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  • 社名:株式会社ベネテックス
  • 設立年月:1980年12月
  • 資本金:1000万円
  • 従業員数:37名(2018年10月31日現在)
  • 代表者:代表取締役 阿部 哲士
  • 社員平均年齢:41歳
  • 初任給:大卒208,000円
  • 主な勤務地:本社・札幌
  • 休日:土日曜日、祭日、夏休み5日
  • 本社所在地:東京都青梅市新町8-3-9
  • 電話番号:0428-30-0611
  • 公式HP:http://www.venetex.jp/
  • 放送業界で使われるような画像圧縮装置など専門的な映像関連の機材、あるいは証明写真・医療機器用カメラなどの装置に組み込まれて使われるデジカメなどを開発・製造している会社が株式会社ベネテックスだ。モノづくりには確かな技術が必要で、ベネテックスにも優れたエンジニアが在籍してはいる。だが、同社の阿部哲士代表取締役が技術と同時に大事なものは、「お客様との約束を守る」こと。そう考える背景には、お客様との信頼関係に支えられて危機を乗り越えてきた苦難の歴史があった。
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事業紹介

(1)放送機器分野
放送機器分野では、HD化への流れが世界中で浸透されつつあり、消費者がHDコンテンツに触れる機会も急速に増えています。弊社では永年培った画像技術を駆使し、コーデックを中心としたHD関連製品の開発に取り組んでおります。
(2)業務用デジタルスチルカメラ
弊社のデジタルカメラは、大手メーカーの開発委託の経験を生かし、高度なデジタル画像処理技術を蓄積してまいりました。弊社では業務用途に適した、組込性、色再現性に優れた、高画質・高性能なカメラの開発に取り組んでおります。
(3)医療機器分野
医療機器分野においては、JPEG2000等の画像圧縮技術を応用し、DICOMネットワーク対応の医療用高帯域画像信号キャプチャボードの開発に取り組んでおります。

リストラから始まった映像関連の製品開発事業。今ではデジカメで確固たるブランドを構築

「会社のスタートには2通りあります。他社にはない特許やコア技術を前面に打ち出して起業する場合と、創業前の流れや人脈を活かして始める場合。当社の場合は後者でした」と話すのは株式会社ベネテックスの阿部哲士代表取締役。独立した理由は決して夢あふれるようなものではなく、厳しい現実と立ち向かうために決意したのだった。 ベネテックスが会社として始動したのは1995年4月。バブル経済が弾け、会社の倒産・リストラが相次いだころのことだった。阿部氏を含めた創業メンバー4人は、業績悪化を理由に勤めていた企業がリストラを断行。それを契機に会社を辞め、そしてそのメンバーと会社を興すか再就職するか、悩んだ挙句起業した。 創業メンバー4人のうち、3人は映像関連の技術者だった。持っている技術を活かして、映像関連の大手メーカーから開発の仕事を受託して会社を成り立たせていこうと決めた。幸い、阿部氏の人脈から、顧客は1社見つかっていた。大手メーカーの医療機器事業部。診断装置のMRIやCTなどから出力される映像信号を、DICOMネットワークを介し、イメージャーというフィルムに出力する装置がある。その装置に接続する画像処理ボードとそのボードを組み込むFAパソコンの開発を受注した。 幸運なことに、そのころから病院のIT化が急速に進む。ベネテックスはその生産も受託できていた、数量は1年目の10倍まで増えていた。 しかし、好調な時期は7年ほどで、医療用画像管理システム(PACS)が普及してフィルムで出力・保管せずともよくなったことで需要が激減、次の事業の柱を考えざるを得なくなった。 まず放送業界向けの圧縮技術JPEG-2000やMPEG-2エンコーダなどの自社開発を進めていたが、ベネテックスがさらに次の事業の柱として注力したのがデジカメの開発。幸い、大手デジカメメーカーの開発責任者との人脈があり、業務用デジタルスチルカメラの受託開発の仕事を受注できた。 デジカメを開発するのには、さまざまな技術が必要。ベネテックスはその大手デジカメメーカーから受託を受け、デジカメを何種類も開発し生産もしていたことからノウハウを蓄積していた。新規参入が難しいデジカメの分野で地歩を得たわけだ。そのころには社員も30人ほどになっていた。 デジカメは、証明写真の撮影装置やプリクラなどの装置の内部に組み込まれているほか、医療機器用カメラなどの医療目的で病院などでも利用されている。しかし、一般のデジカメと比べると市場規模は小さい。大手メーカーにとってはそれほど魅力的な市場ではなかったため、受託先のメーカーは産業用デジカメの事業から撤退。受注がまったく無くなり、2度目の危機が襲う。 そこで自社開発を決断、2年後には大手証明写真装置メーカーに採用され、現在は海外も含め5社にデジカメを出荷していて、ベネテックスの柱の製品に成長している。

03.jpg 代表取締役 阿部 哲士 さん
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16年連続で黒字達成も、「応援してくれる人がいたからこそ」

創業時、そして医療用画像処理ボードとFA用パソコンの需要が激減した時、産業用デジカメの開発・生産が無くなった時と2度も窮地に立たされても、何とか乗り切ってベネテックスは16年連続で黒字を続けているという。阿部氏はベネテックスを応援してくれる人がいたからこそ実現できたことだと明かしてくれた。 「中小企業のほとんどは、人脈を活かして仕事を得ています。現実はそんなものなのです。そこからどうやって発展させられるかで会社の力量が問われてくるのです。受託開発の仕事だからこそ、依頼主の求めるものは何かを見極め、それ以上の結果を出すこと。 松下幸之助は「企業は人なり」と言いましたが、まったくそのとおりで、がんばる社員は大切にします。新しい技術に挑戦し、約束を守り、自身と会社の価値を高める社員が増えれば会社は発展します」(阿部氏) ベネテックスを応援してくれる人を増やすため、相手を裏切らず、信頼関係を構築してきたからこそ、今のベネテックスがあるのだと阿部氏は振り返っている。

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日本人はもっともっと努力をすべき

「現状で『大企業と遜色なく競える』と大口を叩くことはできません。でも、そうなりたいという夢を持っています。夢や目標がないと仕事をしていて面白くありませんから。 夢を実現するために必要なのは、1年後、3年後、5年後の事業計画を作成することです。基本にあるのはPDCAで、絵に描いた餅にならないこと、有言実行することだと思います。 日本人は集団では強いけれど、個人では独創性がない。外国人のようにもっと自分に投資し努力しないと独創性は生まれないと思います。日本の将来は心配です。 カメラマニア、パソコンオタク、大いに結構。社員には、『これでは誰にも負けないエキスパートになれ』また、『自信を持ってやりたい仕事をやれ』と言っています」(阿部氏)

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先輩メッセージ
設計の仕事以外に、営業・製造・品質評価などの業務にも携われる喜び

技術本部 設計2部 カメラグループグループリーダー
松下さん

――ベネテックスに転職された理由を教えてください。
以前はベネテックスよりも大規模な企業で働いていました。製品開発の担当でしたが、お客様の顔が見えないところに不満を感じていました。どういうお客様が、どういう要望を持って製品開発を依頼されたのかが分からなかったのです。 ベネテックスに転職してきたのは、自分の担当する製品に対して、もっと幅広くかかわっていきたいと思ったからです。小さな会社ではありますが、いろいろな製品を手掛けていて、社長も気さくで面白そうな会社だと感じました。 業務用デジタルスチルカメラを設計するチームでリーダーを任されておりまして、製品全体を見ることができるようになりました。 設計の業務に加えて、営業や製造、品質評価の担当者とも連携を取りながら業務を進められています。協力会社との折衝も担当しています。 お客様への営業活動にも同行しています。先日も当社のカメラが証明写真のメーカーに採用されまして、企画の段階から実際に製品を納入するまで、何度も打ち合わせに参加しました。 製造ラインを立ち上げる時にも、工場での作業を手伝いました。幅広い業務を経験できるようになりましたので、本当に希望した内容がかなっている実感があります。 そもそも、デジカメを開発・製造できる会社はそれほど多くありません。ベネテックスはデジカメメーカーにOEMで製品を納めてきた歴史がありまして、その間に技術力やノウハウを蓄積してきました。 証明写真やプリクラのような装置で使われるデジカメは、どのような装置でも同じように写真を撮れないといけません。装置が異なると、どうしても少しずつ撮影する写真が異なってきてしまいます。ですから、そうした個体によるバラつきを防ぐための技術開発に当社は注力していて、そこが強みだと言えるでしょう。 部署間の垣根がないところではないでしょうか。 例えば、大きな企業では開発部門と営業部門が別の拠点で働いているところもあります。その場合、メールや電話でやり取りをすることになりますから、どうしても意思の疎通が取りづらくなります。 その点で当社は、営業部は別の棟で働いているものの、2〜3分も歩けばお互いに顔を付き合わせて話ができます。自然とお互いの信頼関係が強くなり、お客様の生の声が入りやすくなります。そういうところを魅力に感じています。

07.jpg 松下さん

医療を助ける製品を作ることで社会に貢献できないか

技術本部 設計2部 カメラグループ
川谷さん

――新卒でベネテックスに入社されたそうですが、何が決め手になったのですか?
モノづくりをしている会社に入りたいと思っていました。ただ、それだけでは範囲が広すぎますので、もう少し絞り込もうと考えました。そう考えた時に、私が大切にしたかったのは人の役に立つこと。会社の作っている製品が、社会とどのようにかかわっているのかを重視しようと考えました。 ベネテックスに惹かれたのは、医療用のデジカメを作っていたからです。映像・画像というものは、医療の中で確かに重要な役割を担っています。医療現場の中で使われる映像・画像に関係する製品を作ることで、社会に対して貢献できるのではないかと考えたのです。 まずはカメラの性能評価を担当しました。デジカメにはオートフォーカスなどの機能がありますから、仕様どおりの性能になっているか、実際に確かめてみる仕事です。実際に設定を変えて撮影してみて、ピントを合わせたところで撮影できているか、試行錯誤しながら確認しました。 ベテランの先輩社員と組みになり、業務中に都度質問して教えていただきながら仕事を覚えていきました。教えていただいた基礎知識はノートに書き、見返しながら覚えるように心掛けました。 配属されているグループ以外の先輩にも質問しやすい環境です。新入社員の立場から見て、ありがたかったです。 大きな会社でしたら、質問できる相手が同部署の先輩に限られてくるかもしれません。当社なら必要に応じて、製造の方に話を聞いたり、営業の方に相談をしたりすることができます。別部署の先輩と話をして知識を学べる機会が多いのは良いことだと思います。 就職活動中は漠然とした不安を感じることになるかもしれません。ですが、不安を感じる理由を考えると、社会人になった時の自分をイメージできないからではないでしょうか。 実際、私も就職活動中は不安でした。ですが入社して仕事を経験し、知識を得ることで不安はだんだんと減っています。 今ならインターンシップに参加して情報を得るといった選択肢もあります。将来を考える時には、自分の目で見て、自分で手に入れた情報が一番役立つのではないでしょうか。自分の手で集めた情報で判断をしてください。

08.jpg 川谷さん