<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

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株式会社 ベン

株式会社 ベン 失敗を恐れない。その経験と精神が次代を担う新技術を生み出す。<br>何万種類にもおよぶ製品ラインナップは私たちのモノづくり・お客様づくりの賜物なのです。

株式会社 ベン

失敗を恐れない。その経験と精神が次代を担う新技術を生み出す。
何万種類にもおよぶ製品ラインナップは私たちのモノづくり・お客様づくりの賜物なのです。

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輝く技術 光る企業

株式会社 ベン

失敗を恐れない。その経験と精神が次代を担う新技術を生み出す。 何万種類にもおよぶ製品ラインナップは私たちのモノづくり・お客様づくりの賜物なのです。

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  • 社名:株式会社 ベン
  • 設立年月:1950年11月27日(昭和25年)
  • 資本金:44,900万円
  • 代表者:鈴木 一実
  • 所在地:

    【本社(総務部)】東京都大田区多摩川2-2-13
    TEL:03(3759)0181(代)
    FAX:03(3759)9731
    【東京営業所】東京都大田区多摩川2-2-13
    TEL:03(3759)0171(代)
    FAX:03(3759)0277
    【西関東営業所】相模原市緑区橋本台2-2-38
    TEL:042(772)8531(代)
    FAX:042(770)7576
    【東関東営業所】千葉市中央区新宿1-16-9(新栄ビル)
    TEL:043(242)0171(代)
    FAX:043(238)1208
    【北関東営業所】さいたま市北区櫛引町2-113-2(藤波ビル)
    TEL:048(663)8141(代)
    FAX:048(660)1038
    【関越営業所】前橋市小相木町1-5-14
    TEL:027(252)4248(代)
    FAX:027(290)1021

    その他の営業所はHPでご確認下さい。

  • 公式HP:http://www.venn.co.jp/
  • 「当社の主力製品であるバルブの基礎技術の起源をたどると、紀元前1000年ごろの古代エジプトの遺跡から発掘された木製のコックにまでさかのぼることができます。古代ローマ時代には、すでに貴族の家に水道のパイプが敷設され、その出口には青銅製のコックがついていました。金属製のバルブは2000年以上も前から実用化されていました。」北田常務は、ベンの歴史を語る前に、バルブと人類との歴史を紹介してくれました。「バルブは、私たちの生活と密接な関係をもっています。モノづくり産業の重要な一翼を担っていたり、インフラの安全を支える機能を果たしたりしています。そして、エンターテインメントでのアトラクションなどにも活用されています。目立たないが、なくてはならない縁の下の力持ちのような存在、当社はそのような会社なのです。」
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業種

各種流体を制御する弁、並びに継手類の製造、販売

事業紹介

減圧弁、安全弁、一次圧力調整弁、差圧調整弁、定水位弁、温度調整弁、サイレンサ、
スチームトラップ、空気抜弁、ラジエータバルブ、伸縮管継手、ボールジョイント、ストレーナ、
電磁弁、電動弁、シリンダー弁などの企画・開発・製造・販売

岩手工場のMBOによるフシマンバルブ製作所の創業が、ベンのスタートとなりました。

北田常務(取材当時)にベンの歴史をお聞きしました。それは、日本の近代における鉄道等の交通インフラ整備から軍需産業を経て、蒸気暖房に至る生活インフラ整備と、バルブそのものが広く人間活動に関わっていることを実証するものでした。 「当社の歴史は、前身である藤島製作所が創立されたことにさかのぼります。そして、工場を移転した時にフシマン製作所と改称しました。これは、当時の藤島社長が、ロシア等海外ではフシマと呼ばれていたことから、そのように社名を改称したと聞いています。時代は日本が満州国を建国し、大日本帝国と名乗っていました。フシマン製作所も満州国に進出しました。当時は蒸気のバルブ製造を主な事業としていました。 そして、第二次世界大戦が勃発し、海軍の軍需工場に指定され、艦船向けのバルブを製作することを命じられました。そして東京の空襲が激しくなり、東京ではモノが造れないということになり、昭和19年に工場を現在の岩手県に疎開。終戦後、会社は解散し、東京本社は大手財閥に引き取られましたが、岩手の工場は従業員が退職金を持ち寄って事業の経営権を取得して独立、フシマンバルブ製作所を創立しました。 その後、1970年にベンに社名を変更しました。その当時から、暖房関係の蒸気用のバルブを主体にして事業展開してきました。三沢米軍の暖房なども担当しましたね。産業や技術の進化とともに効率はいいのですが危険性の高い蒸気暖房が減少しました。代わりに流体関係として、水道・水関係に進出しました。今は蒸気と水関係の比率では4対6程度の比率になってきましたね。」

venn_ph01.jpg 北田 隆常務(取材当時)
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大手企業が対応できない多品種少量生産で、これまでに製作したのは数万種類に及びます。

ベンの事業領域である「自動弁」は、ニッチな産業といわれています。それは、究極の多品種少量生産でほとんどが機械化できないモノづくりだからです。北田常務はそのことが、ベンの独自固有な技術を育むことができたと説明いただきました。「 1か月で3000種類位の製品を出荷しています。1つの製品で一番多く造っても1000個程度のロットでしかないのですよ。ですから、当社の工場は、やや前近代的な工場風景ですね。いわゆるオートメーション化をしていない。職人さんの手作業が中心になります。ですから大手企業も進出してこなかったのです。これはラッキーでしたね。当社独自の製品技術を蓄積することができましたから。結果としてこれまで製作したバルブは、種類としてコンピュータに登録されているものだけで数万種類になりました。世の中の潮流に合わせて新商品を供給してきたからこのようになったのですね。今でも年に数点は継続的に商品を開発しています。今までの製品も使用して下さるユーザーがいる限りなくすこともできないので、種類は増えていく一方ですね。」 一方、自動弁業界では、以前は大手5社と呼ばれた5社がシェアを争っていたのですが、現在は3社になりました。その理由を北田常務はご説明いただきました。 「バルブ自体は成熟した技術ですので、とかく価格競争になりがちな業界なのです。受注競争が過熱すると、利益率を度外視した価格で見積競争となります。その結果、最終的には利益が取れない業種に参画はしないという経営判断をして撤退した会社もありました。当社はシェア・技術ともにトップ企業として、そのような価格競争に巻き込まれないようにしています。 その結果、プライスリーダー的なポジション、自動弁の価格を下支えしているというようなことをなんとかさせていただいています。価格競争に巻き込まれたところは、どうしても採算が悪化し、次々と撤退せざるを得ないわけです。また、技術的な独自性や総合メーカーということで、ある案件に対応したバルブ製品を揃えたいというと、開発中のものも含め一通りのものを揃える事ができます。これは、当社ならではの強みですね。」

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上越新幹線消雪設備や湾岸LNG基地の貯槽タンク等の巨大プロジェクトにも参画しています。

自動弁が使用されている代表的なプロジェクトをいくつか北田常務にご紹介頂きました。 「まず、現在交換工事を進めている上越新幹線の消雪設備用のスプリンクラー用圧力調整弁です。これは、新幹線の高架の上に積もる雪を除去するために、スプリンクラーで散水して雪を溶かす消雪設備を開発した中でスプリンクラーはある一定の圧力で水を飛ばさないと線路上の雪がうまく溶けていかないものです。そのための圧力調整弁というものを開発しました。全体で1300ユニット位あって1つのユニットに20本ぐらいのスプリンクラーが設置されています。開業以来、20数年たちますが、雪で新幹線が止まった事はありません。これも、当社製品の品質の高さを証明できる事例です。今、その交換工事を徐々に進めています。 次に、東京湾岸に発電所用のLNG(液化天然ガス)の貯槽タンクの安全弁を三菱重工様と共同で開発しました。LNGのタンク内の圧力が上がった時に爆発しないように安全弁が作動することで、ガス圧を下げるようにするものです。ところが、実際に安全弁を作動させる試験をした際に、異常な振動が起きてしまうことがわかりました。安全弁に問題があるのかタンクなのか等、様々な追求をしていく中で、LNGのタンクの下に入っているパイプの中のガスが気中振動をしていることがわかりました。ほっとしましたね(笑)。しかし、それまでは、どんなことをしても振動が止まらない。おかしいなぁということで、いろいろな専門家が様々な角度から検討していくのですよ。試験の度に岩手から試作品を製作して持ち込むということをやりました。今となっては楽しい思い出です。」 この他にも、東京ディスニーランドのシンデレラ城前のステージで、アトラクションの音楽と合わせて出ている噴水をコンピュータで制御する電磁弁も、ベンの製品が採用されています。また、愛知万博のトヨタ館のアトラクションの中でどうしても使いたいので、岩手工場まで外国人のディレクターが製品を受取りに来たこともありました。 「目立たないところなのですが、生活や産業に欠かせないインフラからエンターテインメントの現場に至るまで、当社の自動弁は活躍しています。ただ、このようなことは特殊な事例ですけどね。」と北田常務はおっしゃられました。

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社会生活において欠かせないモノを造っている、提供しているという誇りがあります。

「よく私は、当社製品のことをこのように例えます。人間の中に大切なものが1つある。それは心臓の弁である。これがないと人間は死んでしまう。我々がつくっているのはその弁である。建物も同じ事だ。躯体があって様々なインフラのための管がある。しかし、それを制御しきちんと機能できるようにするための弁、それを当社が提供していると。」 自動弁の一般的な使用例としては、集合住宅に使われている、1戸毎に水を安定的に供給するための戸別給水用のバルブ、水道のボックスと呼ばれるものの中に装着されています。自動弁を装着しないと、圧力の高い水が跳ねたり、圧力が低いと十分な供給ができなかったりします。最近集合住宅は高層化してきました、その場合、上層階と下層階では圧力が異なってしまいます。下層階では高い圧力となりますので、バルブで調整して低い圧力になるようにしています。また、防災設備としてのスプリンクラー用にも使用されています。 「いろいろな流体を制御するための圧力調整弁のお話を頂き、そのご要望に応えていくと、当社が扱うバルブの品種も増えていきますし、あらゆる業界でいろんなニーズがあります。当社製でなくてもあらゆる業界で、バルブという製品は必ずどこかに使われています。古代エジプト文明の遺跡からはバルブの原型が発見されています。人類の歴史上、水をつかうとこうした方が良いという製品の原型がすでにその時代から存在していたという事ですよね。我々が造る製品は、何千年も前から取り組んできたものである証です。」 北田常務の言葉からは、自分達が造っているバルブ・自動弁に対する愛着と誇りがあることが伝わってきました。

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お客様の顔を見て、製品が使われている現場を知って、初めてモノづくりは出来るのです。

最後に、ベンが人材育成として取り組んでいることを北田常務よりご紹介いただきました。 「当社では、自分の考え方を積極的に出せるようなことを目指して人材育成していきたいと考えています。その1つが、入社後1年間は実習期間として様々な経験を積んでもらう期間にしています。それは、工場も営業も含めた全部門です。会社全体を理解してもらいます。その後、3年程度を1つの基準として営業の最前線でお客様のニーズも含めて把握する営業活動を体験してもらいます。狙いは、製造や開発だけをしていると、偏った視点でモノづくりをしてしまうからです。お客様があって我々があるのだという視点をもつことが大切なのです。それから、適性に応じて製造や開発に配置していきます。このことによって、人材の定着率もよくなってきましたし、なによりも社内が活性化してきました。お客様視点で自分達のモノづくり・仕事への取り組みを見直すことで、自分の考えも積極的に出せる人材が増えてきたのかなと判断しています。」 自動弁という製品が使われているのは、ほとんど普段目につかない場所です。ですが、担う機能は、お客様によってまちまちなものです。そのようなお客様の声にちゃんと耳を傾け、お客様の顔を見る事が出来る事こそが、モノづくりの基本姿勢である。 北田常務が言われるベンの人材育成システムが機能する事は、ベンが自動弁のトップランナーでいられる秘訣なのかもしれません。

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先輩メッセージ
社会のニーズに応えるモノづくりを限りなく追求できる、面白みのある会社です。

相模原工場 開発課
小林 弘幸さん(取材当時)
私が就職活動をしたのは15年前です。ちょうどバブル崩壊後の就職難の時代でした。機械系出身であり、流体力学や熱力学等を大学で勉強していたこともあって、当社に就職する事にしました。学んだ知識が活かせると考えていました。 入社後は、技術系採用であったにもかかわらず、当社の人材育成方針に従って、入社後3年程度は営業現場にいきました。最初は建築現場の営業、その後製造業のお客様に対して製造機械装置への装着等の営業、最後は問屋さんへルート営業で、実際の当社製品の物流についての勉強もできました。 今は、当社製品の技術開発を担当しています。仕事としての面白みは、既に自動弁というものは、カタチとして出来上がっている製品がほとんどなのですが、それにもう一工夫して、独自の調整部分をつくる事ができるかといった試行錯誤をすることが楽しいです。それを通じて、できあがった製品が、要求されたスペックを満たした時は感動ものです。 現在、進めている製品開発は電磁弁です。これは電気を使って開閉をする弁で、遠隔でボタン1つで操作でき、中央指令室等で制御できる自動弁です。実際は建築設備や工場設備等に多く使われています。また、高層ビルの受水槽タンクにも、水量を検知するセンサと連動させて開閉する電磁弁が使用されています。 仕事をしていてやりがいを感じるのは、図面を書いたものが製品となり、テストして納品出来た時ですね。自分が最初に設計した電磁弁を設置した現場で通電した瞬間は記念写真を撮りたかった位感動しました。当社の電磁弁は、東京ドームや国技館等著名な建物の水制御設備等で使用されています。都庁の水回り・蒸気設備も当社の自動弁が使用されています。本当に表には出ないのですが、人間の生活インフラのあらゆるものに当社の自動弁・電磁弁が使われています。 当社は、様々な環境下の中で、あらゆるニーズに対応した新製品を常に出していく会社です。最先端のことから、地道な水回り・水道網を構築するようなことまで、おおよそ人がいるところに全て関わるモノづくりを経験することができます。会社としても現場としても、かなり面白みのある会社だと思います。

venn_ph12.jpg 小林 弘幸さん(取材当時)
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