<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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有限会社 安久工機

有限会社 安久工機 発想力が決め手の試作品製作から新たな製品を生み出す<br>少数生産の試作品製作で必要とされるものは発想力や応用力。アイディア次第で全く新しいものづくりが可能になる。

有限会社 安久工機

発想力が決め手の試作品製作から新たな製品を生み出す
少数生産の試作品製作で必要とされるものは発想力や応用力。アイディア次第で全く新しいものづくりが可能になる。

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輝く技術 光る企業

有限会社 安久工機

発想力が決め手の試作品製作から新たな製品を生み出す 少数生産の試作品製作で必要とされるものは発想力や応用力。アイディア次第で全く新しいものづくりが可能になる。

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  • 社名:有限会社 安久工機
  • 設立年月:1969年(昭和44年)9月
  • 資本金:10,000,000円
  • 従業員数:6名
  • 代表者:田中 隆
  • 本社所在地:〒146-0092 東京都大田区下丸子 2丁目25番地4号
  • 電話番号:03-3758-3727
  • 公式HP:http://www.yasuhisa.co.jp
  • 安久工機は大田区にある小さな町工場。一般的な町工場とは違って機械装置の部品の製造の大量生産などではなく、試作品や特注品の製作をメインとしている。少数生産のものが中心なので、特殊な技術のノウハウが必要になってくる。そういった独自の技術力を活かし、自社製品の開発にも積極的に取り組んでいる。
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業種

医療機器・精密機器・一般産業機器試作品の設計・製作

事業紹介

先代社長が1969年に大田区に設立してから現2代目に至るまで、「ものづくりの便利屋」ひとすじ。 様々な分野の顧客の要求に対して、長年培ったノウハウと複合技術を駆使して設計し、 大田区を中心とした数十の外注先の協力を得て形にまとめ上げていきます。
また、自社製品の開発にも注力し、折り畳み式カラーコーン(パタコーン)や視覚障がい者用筆記具(触図筆ペン)等、 分野を問わずにニッチなすぐれモノを生み出しています。

医工連携のさきがけ的存在として人工心臓装置の試作に取り組んできた

田中 隆さん
有限会社 安久工機
代表取締役 社長 
安久工機は1969年に大田区で創業。創業者である先代社長の出身地である宮崎県都城市安久町が社名の由来である。 田中社長から会社の沿革についてお話しいただいた。 「精密機器や航空機器などの試作品製作から始まりました。その後、早稲田大学と東京女子医大で人工心臓装置の開発プロジェクトが始まり、技術力を買われ人工心臓の開発に携わるようになりました。いわば医工連携のさきがけ的存在ですね。以来、人工心臓装置の試作を中心として、他の会社が面倒でやらないような試作品の製造などを便利屋のように請けおってきました。現在は、自社製品の開発にも取り組みたいと思っていまして、そちらにも注力しています。」 田中社長は大学の人工臓器開発プロジェクトでも人工心臓やシミュレータの設計や製造を行っていたという経験を持ち、「大田の工匠100人」にも選ばれている試作品製作のスペシャリストである。

yasuhisa-22.jpg 代表取締役 社長 田中 隆さん
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何か一つの技術を極めるのではなく、発想力や応用力が重要

安久工機の手掛けている自社製品は二つ。どちらも試作品製作に特化した会社だからこそ生まれたというようなアイディアの詰まった製品だ。 「まず一つ目が『パタコーン』です。工事現場などによく使われるカラーコーンを、その名の通りパタンとコンパクトに折りたためるようにしたものです。従来のコーンとは比較にならないくらい簡単に収納や運搬が出来ます。」 「二つ目は視覚障がい者用筆記具、『みつろう君』です。蜜蝋をインクとしているペンで、書いた線が盛り上がるため、目の不自由な方でも書く楽しさが味わえるというものです。もともと香川盲学校から依頼されて開発したもので、現在もまだ改良を重ねています。当初は毛筆だったのですが、すぐ固まってしまったり、バルブ無しで作ったら溶けたロウがポタポタ落ちてしまったり、様々な問題を乗り越えて出来上がったものです。簡単な仕組みのものですが開発は大変でした。現在は少数の受注生産だけなのですが、今後さらに改良していますので、多くの場所で使われて欲しいですね。」 「当社は少人数で、何かを量産している会社ではありません。ですから特にこういう加工技術が得意というのはないのです。様々な技術を複合的に用いて頭を働かせて柔軟にものづくりをすることが重要ですね。社員も何か一つの加工を突きつめる職人という感じではなく、発想力や応用力を持って仕事しています。アイデアが出ないときは大変な仕事です。こういったものづくりの魅力を地域の子供たちに伝えたいと思っていて、人工心臓などの装置を小学校や中学校の実験教室などで紹介していきたいですね。今後は人の役に立つ自社製品をもっと開発していきたいです。ものづくりが社会貢献につながればいいと思っています。」

yasuhisa-27.jpg パタコーン
yasuhisa-12.jpg みつろう君

自分のアイディアがかたちになる事が魅力です。積極的にやってみてください

インタビューの最後に、田中社長に若者に向けて中小企業の魅力について語っていただいた。 「試作品製作は自分のアイディアがそのままかたちになるのがとても面白いですよ。アイディア次第ではお客さんですら考えてなかったようなやり方で出来たりすることだってありますから。これから就職する人たちは、積極的に進んでいけば道がひらけると思います。あとは周りの人への配慮も大事ですね。」

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先輩メッセージ
ものを作ることは地球に爪痕を残せるような気がしてとても素晴らしい事です

田中 務さん
営業部長
田中さんは現社長の弟。父は安久工機の先代社長。大手企業から転職後、安久工機の営業を担当しつつ、技術的なことも行っているという。 --入社のきっかけを教えてください。 「以前はサラリーマンで営業をやっいてたんですが、子供の頃から父が会社をやっているのを見ていたので、やはり面白そうだと思って入りました。学生時代は文系でもともと機械のことには詳しくはなかったんですけれども。」 --今の仕事内容について教えてください。 「営業ですが、技術的な事もやっています。簡単な設計をしたり、図面を見たり書いたり。営業ではお客様の所に行って仕様を伺ってきて、社内に持ち帰って検討する、という事が多いですね。自社で作るか外で作ってもらうかを決めて発注し、外注先と予算やスケジュールの調整なども行ないます。追加工といって、調達した資材を自社で加工しなおすこともありますね。試作品が多いのでお客さんは大学や企業の研究室が多いです。」 --入社して大変だった事はありますか? 「アイデア勝負の仕事ですので、アイディアを絞り出す事が一番大変ですね。あとは、小さい会社なので担当する仕事の工程が多くて大変でした。大手の企業から中小企業に転職したので、最初は家族も不安だったと思います。」 --会社の特徴を教えてください。 「利益の少ないものを大量に売るという事業ではなく、例えば100円で仕入れたものをいかに1000円で売るかというような、付加価値の高い仕事をすることを目標にしています。試作品がメインですので、特定の会社から毎月同じ仕事がずっと来続けるという会社ではありませんから。」 --ありがとうございました。最後に、ものづくりを志す後輩へメッセージをお願いします。 「世の中に残るものが出来る事は、地球に爪痕を残せるような気がしてとても素晴らしい事だと思います。特に中小企業は、個人の存在感が大きいところがやりがいを感じられます。自分の力で新しいものを生み出すことも出来ますよ。」

yasuhisa-23.jpg 田中 務さん

先輩メッセージ
誰でも簡単に真似できることではない、自分独自のノウハウを持てる技術者に

福富 善大さん
技師
2004年入社
福富さんは北海道出身。町工場で働きたくて、自分でいろいろと調べた末に安久工機と出会ったという。技術を磨き、将来的には独立して自分の会社を持ちたいという夢を抱いている。 --入社のきっかけをおしえてください。 「中小企業で一人でイチから全部作るような仕事をしてみたかったのですが、北海道には工業系の就職があまりありませんでした。そこで東京や大阪を中心に、ホームページでいろいろな町工場を調べていて出会った会社です。最初に工場見学に来た時に、社長の家に泊めていただきました。話をしていたらすごく共感する部分が多くて入社を決めました。タイミングもよかったと思います。」 --入社してどう感じましたか? 「実家は自然が多いところだったので、東京の生活に慣れるのが大変でした。人の多さや暑さにはいまだに慣れないですね。仕事では、毎回作るものが違うので、その度に勉強が必要です。実験などの試作品の場合もあれば、趣味の延長のようなものを依頼されることもありますので、いろいろな知識が必要になります。技術的なことは社長や周りの会社の年配の人たちが教えてくれます。大田区は中小企業同士の横のつながりが強いのでとても助かっています。」 --担当されている仕事について教えていただけますか? 「いろいろ作っているのですが、最近だと3D用のカメラを固定するための台を作る事が多かったです。設計、組み立て、調整などがメインで、加工は外注に出すことが多いです。カメラによって大小様々なのでそれに対応するように作っています。大量生産するものではないですが、必要な物ですね。」 --ありがとうございました。最後にものづくりを志す後輩へのメッセージをお願いします。 「自分で手を動かして作ったものが実際の製品になる事がものづくりの最大の魅力ですね。そして、誰でも簡単に真似できることではない自分独自のノウハウを持てるということが技術者のすばらしいところです。でもそういった技術は実践で身につければいいと思いますので、学生の時にはいろいろな経験を積んで、知識を蓄える事も大事だと思います。」 ※10年間の“修行”を今年3月末で終え、4月より独立しました。

yasuhisa-25.jpg 福富 善大さん
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