<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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吉田電材工業 株式会社

吉田電材工業 株式会社 「自社のモノづくり領域を限定しない」~チャレンジ精神で総合的なモノづくり企業へと成長~<br>長年にわたって磨いてきたモノづくりの総合力を活かし、変圧器の製造、医療機器の設計開発・製造を任されるように

吉田電材工業 株式会社

「自社のモノづくり領域を限定しない」~チャレンジ精神で総合的なモノづくり企業へと成長~
長年にわたって磨いてきたモノづくりの総合力を活かし、変圧器の製造、医療機器の設計開発・製造を任されるように

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輝く技術 光る企業

吉田電材工業 株式会社

「自社のモノづくり領域を限定しない」~チャレンジ精神で総合的なモノづくり企業へと成長~ 長年にわたって磨いてきたモノづくりの総合力を活かし、変圧器の製造、医療機器の設計開発・製造を任されるように

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  • 社名:吉田電材工業 株式会社
  • 設立年月:1940年4月
  • 資本金:1200万円
  • 従業員数:269名
  • 代表者:代表取締役社長 松本 匡史
  • 社員平均年齢:45歳
  • 主な勤務地:埼玉県三郷市
  • 休日:週休2日制年間休日112日
  • 本社所在地:東京都台東区台東三丁目43番6号
  • 電話番号:03-3833-0831
  • 公式HP:http://www.yoshida-denzai.co.jp/
  • ・工場やビルなどの受電設備で使われる変圧器、医療用X線機器などを設計・製造
  • ・さまざまなモノづくりをワンストップで対応。顧客企業のモノづくりを支援
  • ・50歳~60歳代の社員が今も元気に働ける家庭的な雰囲気
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業種

電気機器の製造販売:合成樹脂(電気絶縁材料を含む)の製造及び加工販売:医療用機器の製造販売:各種変圧器の製造・組立

事業紹介

【サポーティングインダストリー】
サポーティングインダストリーとは、大手メーカーに対して加工部品を供給したり、製品の組立をおこなう仕事です。
設計・部品加工・組立完成まで、あらゆるフェーズでお客様のニーズに対応いたします。また、現在までに蓄積された独自のモノづくりのネットワークを通じ、自社でできない加工も取りまとめて供給することで、発注ご担当者の負担を軽減します。図面一枚いただければ、すべて整えて納品する。これを当社では、「ものづくりワンストップ体制」と呼んでいます。


【変圧器関連】
電力会社から高電圧で供給される電気を事業所や家庭で使える低電圧電圧の電気に変換するのが変圧器です。当社では中型(50KVA〜500KVA)油入り変圧器の完成品量産ラインを有しており、日本でもトップクラスの変圧器製造工場です。その他、様々な容量(〜5000KVA)までの、コイル巻線作業や変圧器を組み込みキュービクルの設計・製造を行なっています。


【医療機器関連】
CTやMRが登場した現在でも、なお、画像診断の基本はX線撮影です。当社では、街のクリニックなどで使われるレントゲンの撮影装置を設計・製造しています。ほとんどの製品を自社で設計し、当社がメーカーとして市場に供給しております。今後は、より付加価値の高い装置の開発や海外を含めた販路の開拓など、当社を次のステップへ引き上げる重要な分野と位置づけています。

何を作ってる?

「自社のモノづくり領域を限定しない」とその時々にできる最大限の努力を積み重ねてきた結果、いつの間にか総合的なモノづくり企業へと成長を遂げた――。吉田電材工業はそんな企業だ。 事業の柱になっているのは大きく三つ。変圧器、医療機器の設計開発・製造、そして顧客企業のモノづくりを支援する事業で成り立っている。 元々は、電気絶縁材料の加工企業として創業。懇意の大手メーカーから少しでも多くの仕事を受けられるように、徐々に対応できる加工の幅を広げてきた。その結果、ただ電気絶縁材料を作るだけでなく変圧器の製造まで任されるようになり、品質・安全の要求が厳しい医療機器の製造に加えて設計開発まで自社でこなすようになり、メーカーへと脱皮。 変圧器は大手メーカーに納品。同社製の変圧器は工場設備などの受電設備に組み込まれている。医療機器はレントゲン検査に使う装置が中心。耳鼻科用のX線撮影装置など、大手企業が対応できていない分野で高いシェアを誇っている製品もある。

03.jpg 創業時から手掛ける絶縁物
04.jpg X線の照射範囲を絞るのに使う装置

会社の強み

変圧器や医療機器といった強力な製品を持ってはいるが、それらを土台から支えているのは長年にわたって磨き上げてきたモノづくりの総合力だ。 吉田電材工業は絶縁加工、プラスチック成形、金属・プラスチック加工、組み立てなど、幅広い工程に対応。しかも、人の手間を減らす省力化装置を自社で設計・開発するなどして改善を重ね、「どう加工すれば、品質を上げられ、より製造費を抑えられ、納期が短くなるか」と考え続けてきた。 自社の対応していない加工があれば、得意とする協力会社を探してきて依頼。独自に広げてきたモノづくり企業のネットワークを活かし、どんな依頼にも応じられる体制を築き上げた。また、このようにさまざまな依頼に対応し、経験を積んだ技術営業スタッフは、顧客の設計者に対して、部品ベースの技術相談にも応じられるレベルまでになり、加えて設計部門は場合によって顧客設計の一部を担当するなど、単なる部品屋に留まらない総合力を有している。 顧客にとっては、複数の企業に依頼せずとも吉田電材工業1社に頼むだけで済むわけだ。「手間が掛からず、高価値な製品が納品される」と顧客からは好評を博している。

05.jpg 新潟事業所では変圧器を中心に製造
06.jpg 製造コストあたりの付加価値を高めるため、
バリューエンジニアリング(VE)に注力。
会議にも熱が入る。
時には設計にまで踏み込んで改善提案をすることも

職場としての魅力

変圧器や医療機器といった主力製品の土台にあるのがモノづくりの総合力なら、その総合力を生み出しているのは吉田電材工業で働く社員だ。 「自社のモノづくり領域を限定しない」の精神でありながら、「がんばれば何とかできる」という限界を上手く見極めて仕事を受注。常に新しいことに挑戦し続けることで、モノづくりの総合力を今も磨き続けている。 そして社員の定着率は極めて高く、多くの50歳~60歳代社員がまだまだ現役で勤務中。年長者の技・経験を活かし、元気に一線で働いている。 社内は家族的な雰囲気で、良い意味で「昔からの日本メーカー」。例えば、現在も新潟事業所では忘年会で社員全員に新巻鮭を贈るなど、社員を家族の一員であるかのように大切にする企業文化が色濃く残っている。

07.jpg プラスチックの射出成形装置
08.jpg 働きやすい職場でベテラン社員も多数残っている

役員メッセージ
「アイデアでものづくりを進化する」という意識への改革や、営業力強化が今後の課題

常務取締役
松本 匡史さん(取材当時)
――部品加工から設計・制作まで、メーカーへの脱皮を試みたことのあるモノづくり企業は多いと思います。なぜ貴社は、数少ない成功例になれたのでしょうか。 「世の中にない製品を生み出せる会社を作り、世の中の人に貢献したい」という先代社長の思いが今に生きているからだと思います。「ただの加工企業で終わってなるものか」という高い意識が、先代のころから脈々と受け継がれてきているのです。 今の社長にしても、元々はモノづくりにこだわりがあることで有名な大手自動車メーカーに勤めていました。技術に対するこだわりを持っている人です。初めて医療機器製造にチャレンジしたのも今の社長でした。 既存の分野にとどまらず、新しいことにチャレンジし、失敗しながらも技術を蓄積していく・・・。そうした2代にわたるモノづくりへの思いが、総合的な技術力を育ててきたのではないでしょうか。 ですが、それだけでは今以上に成長していくことはできません。当社では、ものづくりを通じて産みだされる、「知的財産」に着目し、「アイデアでものづくりを進化する」というコーポレートスローガンの下、特許出願を中心とした知的財産戦略を推進しています。また、工場中心の今の体制から、海外への営業も含めた、より営業力を強化した組織にしていくことも重要だと思っています。 例えば、X線の照射範囲を狭めていくX線可動絞りは、去年より立ち上がった海外部門の活躍もあり、海外の大手メーカーに採用いただける話が進んでいます。また、当社では、自社の設計部隊を利用して、生産設備の自社開発を行い、生産に活用しておりますが、現在、それら生産設備の外販を進めています。ニッチな商品をどう売ろうかみんなで討議し、Webマーケティングという今まで当社でチャレンジしたことのない手法に取り組んだところ、既にお客様からの引き合いを頂けるようになりました。 これまで弱点だった営業力を磨き始めたことで、そのような成果が既に生まれつつあります。当社が元から持っていたモノづくりの力をより多くのお客様から必要としていただくため、知的財産戦略や営業力など、これまで取り組めていなかったところにも力を入れていきたいですね。 「好きこそ物の上手なれ」という言葉があります。私たちは仕事に1日の大部分を費やします。その仕事が面白くなければ、人生も面白くなりません。 ですから変に淡泊にはならず、昔の高度経済成長期の人たちのように仕事を面白がってください。会社と結婚するくらいの気持ちで就職先を探してほしいですね。そうすることで人生は楽しくなるはずです。 私としては「数学ができる」「○○に詳しい」という人よりも、基本的な人間力のある人と一緒に働きたいです。勉強ができるかどうかではなく、人間的な魅力があるかどうかです。そこを大切にしてほしいですね。

09.jpg 常務取締役 松本 匡史さん(取材当時のもの)

先輩メッセージ
「みんなで対応していく」雰囲気が感じられてすごく良い雰囲気

資材工務部
遊間さん
――まずは吉田電材工業に入社した経緯から教えてください。 以前はIT関係の仕事で働いていました。その後、モノづくりの仕事を経験してやりがいを感じるようになったころ、当社で先に働いていた友達から「人を大事にする良い会社だぞ」と当社のことを紹介されました。それで興味を持ち、人材を募集中であることを知りまして、応募してみたのです。 お客様の窓口役です。お客様からお仕事を受注し、ご相談いただいた加工をする場合のお見積の作成、製造に必要な資材等の購入・確認、製造現場への依頼、完成品の納品といったお客様と製造現場をつなぐ業務を担当しています。 これまでに担当した仕事の中では、X線検査装置を納めた時のことが印象深いですね。お客様から図面をいただいて、その図面を確認して部品を1個ずつ手配し、大きな装置を完成させるところまで持っていけました。「この部品は社内に頼むべきか、協力会社に頼むべきか」と考えたり、「協力会社の中のどこが一番安く製作してくれるか」と複数社に見積書を出してもらったりして大変でした。自分の手配した大型製品が初めて形になって、無事に納入できた時にはホッとしましたね。 あまり大人数の組織ではなく、社員がみんな顔見知りです。働きやすいですね。 あとは自社でさまざまな加工をすることができますから、万一、急ぎで対応しないといけない不測の事態が起こってしまっても、社内で融通を利かせて対応してもらえます。さまざまな加工をしている分、社内には各分野に詳しい人がそろっていますから、何か困ったことがあっても、相談に行けます。そのようにして「みんなで対応していく」雰囲気が感じられるところがすごく良いところだと思っています。 まずは、自分の担当している仕事をしっかりとできるようになることです。それから自分の業務効率を上げていって、自分の担当する分野の業績を伸ばしていけるようになりたいです。 その中で、自分の担当分野の知識を少しずつでも吸収していって、人に聞かなくてもある程度のところまでは自分で答えられるようになり、誰からも必要とされるような人材になりたいと考えています。 就職先の会社を探す時、最初には「どんな事業を展開している会社なのか」とか「給料などの条件はどうなっているのか」といった情報を調べることになるでしょう。 ですが、それ以上に自分の肌で感じることが大切です。実際に会社へ見学に行くなり、面接に参加して社員の雰囲気を見るなり、経営者の方がどんな方針で会社を経営していこうと考えているかと聞くなりしてみることです。自分の肌で感じながら、自分に合った魅力のある会社を探すことが大切なのではないでしょうか。

10.jpg 資材工務部 遊間さん

先輩メッセージ
理想的な在庫状況を保っている上司の立ち回り方を見習っていきたい

資材工務部
森田さん
――吉田電材工業のどんなところに惹かれたのでしょうか。 ただ単に加工するだけの企業ではなく、自社で製品を開発しているところです。しかも、変圧器や医療機器は社会のインフラとして使われるもの。非常に底堅い企業だという印象を受け、魅力に感じました。 私は資材工務部で絶縁材料を担当しています。変圧器やモーターの中にも使われていますし、耐熱用の絶縁材料もあります。埼玉県三郷市にある工場では、そうした絶縁材料を部品として生産・出荷しています。私はお客様からの注文を承って、材料を管理し、売上状況を把握する、生産管理にかかわる一連の業務に取り組んでいます。 記憶に残っているのは、東日本大震災が起こった後のことです。復興には電柱の上に載っている変圧器が必要になりますから、震災から数カ月した夏のころに絶縁材料を大量にご注文いただきました。普段は社内だけで対応できるのですが、さすがにその時は無理でしたね。協力会社の方などにお願いして回りました。 ただでさえ、納期が短く、難しい仕事でした。量が多い分、間違いがあると間に合わなくなりますから、普段よりもさらに気を使いました。間違えそうなところについては書類で詳しく指示をしたり、早めに納品してほしいものは念押ししたりして、何とか切り抜けられましたね。 絶縁材料については、「短納期で」「特急で」といった依頼がかなり頻繁に入ってきます。上手く立ち回ることで無事に納品できた時にお客様から「ありがとう」と言っていただけた時が、自分の中では一番うれしい瞬間ですね。 会社として、業務改善の提案を社員から集めるようになったところです。 昨年4月から始まった取り組みですが、この取り組みのおかげで、個人の視点だけでなく全体的な視点も持って仕事に臨めるようになりました。自分の担当していない仕事でも「こうすると、もっと楽になるのでは」と考えながら会社のことを見られるようになったのです。今まで気を配れなかったところにも、気を配れるようになってきましたね。 こういった取り組みは会社の業績にとても良い影響を及ぼしてくれると期待していますし、どんなことでも「こう変えてはどうか」と1件提案すると会社から評価してもらえるのでとても励みになります。がんばりが客観的な数字として目に見えるところは、自分としてはうれしいところです。 絶縁材料を扱っているモノづくり企業はそれほど多くありません。業界が狭いので、その中で協力会社の方々と良好な関係を築きながら、連携を深めていくことが大切になります。 上司の働きぶりを見ていると、絶縁材料の元になる素材メーカーとやり取りしながら、巧みに「在庫切れを起こさず、多少の余裕があるくらいで倉庫の場所もあまり取らない」という理想的な状況を保っています。そういった立ち回り方を見習いながら、もっと自分も上手く仕事ができるようになっていきたいです。 学生のころは、「自分のやりたい仕事」を探してしまいがちです。でも、一歩後ろに下がって自分を見つめ直してみて、「自分のできる仕事」が何かと考えてみることも大切です。 そうすることで、自分に向いている仕事に気が付けるのではないでしょうか。視野を広げることで面白い業界を見つけられるかもしれません。そういう視点も、就職活動には必要なのかなと思いますね。

11.jpg 資材工務部 森田さん