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アイランド株式会社

アイランド株式会社 ユーザーの声を直に聞くサイトづくりが  「レシピブログ」10周年の秘訣

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ユーザーの声を直に聞くサイトづくりが  「レシピブログ」10周年の秘訣

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ユーザーの声を直に聞くサイトづくりが  「レシピブログ」10周年の秘訣

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新サービス誕生ストーリー
ユーザーの声を直に聞くサイトづくりが「レシピブログ」10周年の秘訣

 アイランド株式会社の展開する「レシピブログ」が今年10周年を迎えた。20代~30代女性を中心に多くのユーザーの心をつかみ、掲載レシピをまとめたブログ本もヒットを連発している。めまぐるしく移り変わるネットサービスの世界で、息の長いサービスを生み出す秘訣に迫った。

お料理ブログがまとめて見られるポータルサイト

 大手広告代理店が発表するその年のトレンドキーワードに「ブログ」が初めて選出され、まさにブログ時代の到来を告げた2005年。アイランドが展開する「レシピブログ」がスタートしたのも同年のこと。
当時、自身のブログにオリジナルのレシピを掲載する料理ブロガーは数多く存在したが、それぞれ異なるブログサービスを利用しているため、横断的にレシピを見るには、いろいろなページに飛ばなければならなかった。それを1か所で見られるようにまとめたポータルサイトが「レシピブログ」だ。トップ画面からさまざまなブログに飛べるようになっているだけでなく、人気ブロガーのランキングや「一人暮らし」「ママ」などカテゴリ別の新着記事紹介など、切り口を変えた特集が目を引くサイトになっている。当初は約200人のブロガーが参加し、サービスがスタートした。
「Webサイトは顔の見えない相手とやり取りするものなので、距離が離れた感じがありますが、『レシピブログ』ではユーザーや料理ブロガーと直に会って声を聞くことで、ユーザーさんに寄り添ったサイト作りを心がけています。新コーナーのアイデアなどは、ほとんどユーザーさんとのやり取りの中から生まれてくるんです」
そう話すのは、2008年から同サイトの編集長を務める久永千恵さん。前職では大手ネットショッピングサービス会社でECサイトの制作に携わっていたが、自分が手がけられる範囲が限られていた上、ユーザーともっと近い立場で仕事をしたいと思い、同社に転職。その熱は、入社の翌週にはユーザーのもとへ取材に出かけていたほどといい、以来7年間、ユーザーの声を反映させたサイト作りを続けてきた。その経験から、サイトをつくる際に心がけていることがあるという。
「新しい企画をスタートさせるときに、初めからカッチリつくりこまないようにしています。感覚的には7割くらいがちょうどいいですね。ネットの世界はスピード勝負なので、あまり時間をかけたくないというのもありますし、多少ゆるめにしておくと、ユーザーがこちらの予想と全く違う使い方をすることがあっておもしろいんですよ」
つまり、意識的に余白を残してリリースしてみて、反応を見ながら残りの3割を仕上げることでユーザーの声に柔軟に応えられるというのである。こうした柔軟さは料理ブロガー・ユーザー・アイランドのスタッフ、三者のつながりを一層のものにし、ネットのサービスでありながら、ユーザーに寄り添ったサイト作りができるというわけだ。

body1-1.jpgユーザーと直接会うことを重視する久永さん

未曾有の大災害に直面し、ユーザーとのつながりを再確認

 久永さんがユーザーとのつながりを強く実感させられたのは2011年3月に発生した東日本大震災の時だったという。料理ブロガーから「こんな時に料理を投稿していていいのか」「何かできることはないか」という問合せが多数寄せられた。確かに、日々の食事にも困る被災者の状況を思えば、ただ料理を掲載するだけでいいのかは悩ましいところだ。
「何か被災者のためにできることはないか」。社内で検討を重ねた結果、出てきたのが電気や火がなくてもできる「節電メニュー」というアイデアだった。
早速、募集をかけると予想以上の反響があった。被災地外の料理ブロガーさんたちから、1000以上ものレシピが寄せられたのだ。それに対して、被災者からも「すごく助かった」「卓上コンロしかない中で、いろいろな料理がつくれてよかった」と喜びの声が寄せられた。
「料理サイトを通して、日々の暮らしの中で人の役に立てることがあるんだとつくづく実感させられました。ユーザー、料理ブロガー、私たち、『レシピブログ』に関わる人たち全員の一体感を強く感じました。同時にユーザーとのやりとりの重要性を再確認しましたね」(久永さん)
 集まったレシピは7月には書籍化。印税は日本赤十字社に寄付し、料理ブロガーたちもボランティアで参加してくれた。こうした社会貢献活動を通して、「レシピブログ」の新たな意義を発見したのだという。

body2-1.jpg震災時に寄せられた声に、サイトの意義を再確認

料理ブロガーがユーザーを呼び、ユーザーが料理ブロガーを生む

 今や「レシピブログ」の月間アクセス数は約1400万、登録ブロガーは1万6000人、掲載レシピは75万点以上、関連書籍は370冊に及ぶ一大コンテンツにまで成長した。現れては消え、消えては現れを繰り返すネットサービスの世界において、10年間、堅調な伸びを記録するのは、やはりそれなりの戦略がなければ難しい。
「一貫して作り手重視のサイト作りをしてきたことが大きいと思います。このサイトでは、一人ひとりの料理ブロガーさんやユーザーが主役であり、私たちはあくまで皆さんを盛り立てるサポーターです。料理ブロガーさんにはそれぞれぞれのファンがついていますから、料理ブロガーさんがユーザーを呼び、ユーザーは新しい料理ブロガーを見つけたり、自分が料理ブロガーとしてレシピを投稿する側になったりすることで、さらにつながりが広がってきています」(久永さん)
 普通、ネットでレシピを調べる時は作りたい料理名を入力して検索することになる。同サイトでもそれはもちろんのことであるが、料理ブロガー目当てでやってくるのが特徴だ。「この人が作っている料理を作りたい」「この人みたいになりたい」、そんな思いがユーザーをかきたてているのだ。
そして料理ブロガーのモチベーションになるのは、もちろんユーザーの反応。同サイト内でランキングが見られるようになっていて、上位に入ると出版社から書籍化の声がかかることもあるという。徐々にランキングが上がっていき、ゆくゆくは出版も夢ではないとなれば、料理ブロガーたちがやる気になるのも頷ける。
「毎年、きらりと光るスターブロガーが誕生して、サイトを盛り立ててくれるんです」と久永さんが語るように、料理ブロガーがユーザーを呼び、ユーザーが料理ブロガーを生むという好循環が「レシピブログ」発展の秘訣なのだ。

body3-1.jpg「レシピブログ」のサイトイメージ

新入社員は元ユーザー

 この「ユーザーが作り手に」というサイクルを体現している社員がいる。入社半年の新入社員、貞光眞澄さんだ。高校生の時から「レシピブログ」をはじめとする同社のサービスを利用するユーザーだったといい、それが縁で今年4月から同社で働いている。
「たまたま弊社のサービスをいくつか利用していて、就活の時にそれらが同じ会社のものだと知って興味を持ちました。学生時代は、家庭科の教員になるための勉強をしていまして、弊社のサービスも衣食住を豊かにするものがメインなので、自分の行きたい方向性とマッチしていると思いました」
まずはインターンとして研修を積み、今年4月から晴れて正式に入社。現在は、食品メーカーや家電メーカーを対象に、営業活動を行っている。営業といっても、新商品開発にも携わっており、ユーザー目線のアイデアを積極的に出しているという。たとえ新人の意見であっても汲み取ってもらえる雰囲気が社内にはあり、貞光さんもやりがいを感じている様子。「これからいろいろなことを吸収して、サービスと一緒に成長していきたいですね」と希望を語る。

body4-1.jpg高校時代、『レシピブログ』を参考に料理をしていたという貞光さん

ネットサービスからリアルな出会いの場の創造へ

 SNS活況の時代でもある昨今、ブログという媒体である「レシピブログ」がどのような方向へ成長していくのか。その答えの一つが「ネットからリアルへ」。同社の掲げる「場を創造し続ける」という経営ビジョンの通り、ネットの媒体にとどまらず、リアルな場を提供する新しいメディアの方向性を模索している。その一例が、オフィスに併設されたキッチンスタジオだ。
 「ここでユーザーさんを実際に集めて、料理ブロガーさんの料理が食べられるイベントを定期的に開催したり、10周年を記念したパーティーを予定したりしています。作り手とユーザーがリアルで出会える場をつくることで、これからもいろいろな展開が考えられそうです。サイトに掲載されたレシピが食べられるお店なんかができたら楽しそうですね」(久永さん)
 アクセス数も伸び、出版実績も積み重ねてきたことで、サイトの認知度が高くなってきたことは実感しているところ。これからさらに多くの人に「レシピブログ」を知ってもらい、誰もが知っているサービスにまで成長させるのが目標だと語る。
久永さんにとって、「レシピブログ」は仕事であり、ユーザーとの出会いの場であり、料理という生活に欠かせない要素でもある。自身にとって同サイトが生活の一部となっているように、ユーザーの生活により寄り添ったサイトになるよう、日夜、企画を検討している。10周年を節目に、「レシピブログ」はさらに進化していきそうだ。

body5-1.jpg料理ブロガーやユーザーに喜ばれるサービスを日々検討

編集部からのメッセージ

「続ける」は「変化し続ける」こと

 「レシピブログ」だけでなく、アイランドは、ユーザーの豊かで楽しい暮らしをサポートするサービスを展開している。
 10年前といえば、Webサイトの閲覧はパソコンがメインだったが、現在はスマートフォンが主流になった。そこで、閲覧用のアプリをリリースするなど、ユーザーのライフスタイルに合わせた変化をしてきた。
 「10年続ける」とは、同じことを続けるのではなく、変化し続けることなのだろう。


慣れや独りよがりにならないように

 変化し続けるというスタンスは、久永編集長の仕事への心構えからも窺えた。7年も編集長を務めると、仕事に慣れてしまい、固定観念に縛れたり、独りよがりになったりしてしまいがち。「困った時はすぐメンバーに相談する」という久永さんは、意識的にメンバーの声に耳を傾けることで、悪い意味での“慣れ”を防いでいる。

  • 社名:アイランド株式会社
  • 設立年・創業年:設立年 1987年
  • 資本金:1,600万円
  • 代表者名:代表取締役社長 粟飯原理咲
  • 従業員数:21名(内、女性従業員数17名)
  • 所在地:150-0001 東京都渋谷区神宮前3-1-25 神宮前IKビル2F
  • TEL:03-5413-7077
  • URL:http://www.ai-land.co.jp/
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください